2024年6月20日

機械設備業界のM&Aの評価方法や統合プロセスについて

MABPマガジン編集部

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食品や自動車、家電製品、日用品などの製造ラインには機械設備が不可欠であり、製造する品目や用途に特化した機械が毎日稼働しています。

製造業を裏で支えているといっても過言ではない機械設備業界ですが、近年ではさまざまな経営課題を解決するためにM&Aを行う企業が増えています。

機械設備業界のM&Aにおいては、どういった方法で時価評価額を算出しているのか、経営統合のプロセスなども合わせて詳しく解説します。

機械設備業界の市場とM&Aの動向

機械設備は製造業において生産ラインを維持するために不可欠なものであり、機械設備メーカーは設計や開発はもちろんのことメンテナンスなども請け負っています。

自動車や家電、情報端末といった個人ユーザー向けの工業製品とは異なり、機械設備は企業に対して製品を提供する立場にあることから、各業界の景気の影響に左右されやすい傾向が見られます。

たとえば、2020年頃にはコロナ禍によって製造業界の需要は冷え込んだことから、機械設備業界も大きな打撃を受けました。

その後2021年以降になると徐々に経済活動も再開され、前年まで冷え込んでいた各企業の設備投資も積極的に行われるようになり機械設備の需要も回復しました。

機械設備の市場は数年おきに上がったり下がったりを繰り返す傾向が見られ、一時的とはいえ下落幅が大きいと経営危機に陥る企業も出てきます。

また、昨今ではさまざまな業界で人手不足が深刻化しており、新たな人材を採用したくても候補者が集まらなかったり、後継者不足に悩む企業も少なくありません。

このような経営課題を解決するために、機械設備業界ではM&Aが活発に行われています。

機械設備会社のM&Aにおける評価方法

機械設備会社がM&Aを行う際には、企業価値を正しく評価するための方法を理解しておかなければなりません。

また、M&Aを失敗しないために注意すべき点やリスク管理についても解説しましょう。

時価評価の重要性

M&Aにおいてはその企業が保有している資産額を正しく評価したうえで時価評価額を決定します。

機械設備も時価評価額の算定に含まれますが、日本国内の場合は財務担当者や不動産鑑定の専門家などが査定を行うケースが少なくありません。

当然のことながら、財務担当者や不動産鑑定の専門家は必ずしも機械設備に関する高度な知見をもっているとは限らず、正確な評価額を算定できないこともあるのです。

一方、海外においては高度な知見をもった機械設備のプロや専門家が査定を行うことが一般的です。

機械設備会社のM&Aにおいては、自社が保有する設備を正しく査定することが大前提であり、さらにグローバル化が進む昨今においては、海外のように機械設備の専門家による評価がスタンダードになる可能性もあります。

評価方法の種類とその特徴

機械設備の評価手法として一般的なのが原価法や取引事例比較法、収益還元法です。

原価法

原価法とは、評価対象となる設備と同程度の設備の新品価格をもとに、大規模修繕や耐用年数に応じた操業度の低下、および利益率の低下によるロス分などを考慮しながら控除するという方法です。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、評価対象となる設備と類似設備の価格をもとに、細かい部分の仕様の違いや、付帯設備などを考慮しながら適正価格を推定する方法です。

収益還元法

収益還元法とは、機械設備を使用する事業の将来的なキャッシュフローをもとに、事業価値から機械設備以外の資産価値を控除し算定する方法です。

評価の際の注意点とリスク管理​

評価方法によってもさまざまなリスクがあるため、以下のポイントを理解したうえで自社に合った方法を選ぶことが大切です。

原価法の注意点

機械設備は年数が経過するごとに性能や仕様が向上していくため、最新設備と比較した場合に相対的なロスが生じることが多くあります。

そのため、評価を行う際には最新設備と比べてどの程度のロスが発生するのかを正確に把握し、評価に反映しなければなりません。

取引事例比較法の注意点

取引事例比較法では、類似の設備をもとに評価額を算定しますが、事例の設備が完全に同じ仕様とは限りません。

そのため、自社の機械設備と事例の設備との違いを正確に把握し、それをもとに適切な価格補正を行う必要があります。

収益還元法

収益還元法では、事業そのもののキャッシュフローが算定基準となるため、事業計画が妥当なものであるかや、無形資産の有無を正確に把握しておく必要があります。

関連記事:M&Aで中小企業が解決できる課題とは?実施に向けた課題やPMIの課題と併せて解説

M&Aプロセスの詳細と重要なポイント

M&Aを成功させるためには、入念な準備を行ったうえで正しいプロセスに沿って進めることが大切です。

各プロセスの概要と重要なポイントをご紹介します。

1.準備段階での重要ポイント

M&Aの準備段階においては、何を目的にM&Aを行うのかを明確化し、M&Aの戦略を立てておく必要があります。

たとえば、自社の経営を立て直すためにM&Aを検討している売り手企業も多いですが、M&Aを行ったからといって将来の成功が保証されるわけではありません。

重要なのはM&A後にどうやって経営を立て直していくのか、具体的なビジョンや戦略、方向性を立てておくことです。

これらが明確になっていれば、どういった企業と交渉すべきなのかが自然と見えてくるほか、交渉そのものも円滑に進められる可能性が高まります。

2.対象企業の選定方法

M&Aの交渉を行う対象企業は、自社で選定する方法もあれば専門のM&A仲介業者に依頼し探してもらう方法もあります。

必ずしも全ての企業が交渉のテーブルに着いてくれるとは限らないため、まずは数十社程度の候補先企業をリスト化し、その中から8〜10社程度に絞り込む方法が多いです。

M&A仲介業者ではさまざまな企業の情報を保有しているため、自社の求める条件やM&A後のビジョンを伝えることで、それにマッチしてくれる企業を提示してくれます。

3.デューデリジェンスの進め方

デューデリジェンスとは、売り手企業が抱えているリスクや問題点をピックアップするプロセスをいいます。

リスクの内容は多岐にわたり、たとえば法務や税務、財務などの分野が代表的です。

M&Aが成立し、経営統合が完了した後に想定外の問題が顕在化してしまうと、買い手企業が一方的にリスクを負うことになるため、このような事態を防ぐためにもデューデリジェンスは必須といえるのです。

一般的にデューデリジェンスは買い手企業の主導によって進められることが多いですが、当然のことながら売り手企業も協力しなければなりません。

4.契約締結から統合までのステップ​

デューデリジェンスによってさまざまなリスクが解消できたら、最終契約の締結に向けて進んでいきます。

最終契約では経営権の譲渡方法や譲渡価格の調整、売り手側・買い手側それぞれの誓約事項の規定、さらには誓約事項に違反した場合の補償なども盛り込まれます。

また、大企業など一定以上の規模の企業がM&Aを行う場合には公正取引委員会への届出や審査が必要なほか、株式譲渡や合併などの場合には株主総会による承認決議を得る必要もあります。

関連記事:M&Aとは?目的や流れ、メリット・デメリットについて解説

M&A後の経営統合で失敗しないためのポイント

M&Aを後悔しないためにも、どういったポイントに注意すべきなのかを詳しく解説します。

統合計画の策定と実施

M&Aの交渉時点では、今後の大まかな方向性やビジョン、戦略を双方の企業が共有しますが、経営統合が完了した後は具体的な計画を立てたうえで実行に移していきます。

統合計画の策定にあたっては、どの部署がどういった役割を果たすのか、具体的なタスクやスケジュールも含めて策定しておくことで円滑に進められます。

組織文化の融合と従業員対応

M&Aでは異なる企業が合併、統合するため、企業文化や価値観、ビジネス慣習などの違いに戸惑う従業員も出てきます。

経営陣は従業員に対して、今後自社をどのように成長させていくのか、そのためには互いの組織文化の良い面を取り入れていくことの重要性も理解してもらう必要があるでしょう。

統合後の経営戦略

経営統合によって両社のシナジー効果が得られると、新規事業の創出や市場の拡大などに着手する企業も出てくるでしょう。

これらを成功させるためには具体的な経営戦略を構築、実行する必要があります。

関連記事:M&Aの目的を買い手・売り手の両視点から解説!課題やポイントも紹介

機械設備業界におけるM&Aの成功事例

機械設備業界でM&Aを成功させ、経営の立て直しや事業領域の拡大に成功した企業の事例をご紹介します。

泉州電業株式会社

ロボットケーブルや各種電線などを取り扱う泉州電業株式会社は、2022年に株式会社北越電研の株式を取得しました。

北越電研は産業機械向け制御装置の開発や製造を手掛ける企業であり、このM&Aによって泉州電業は電線やケーブルといった商材のみならず、関連の深い機械設備の受注や販売も可能となります。

人手不足が深刻化する製造業において、産業機械による自動化・省人化の需要は今後ますます高まると予想されており、そのようなニーズに対応していくためにも機械設備と関連の深い異業種によるM&Aはさらに活発になると予想されています。

機械設備業界のM&Aについてのまとめ

機械設備の企業にはさまざまな用途に特化した機械設備があり、M&Aにあたってはこれらを適正に評価することが大切です。

また、M&Aはあくまでも経営課題を解決するための手段のひとつであり、M&Aを成功させるためにはどういった目的を解決したいのかを明確にしておく必要があります。

さらに、M&Aでは候補となる企業の選定やデューデリジェンス、契約締結から統合といったプロセスにおいて専門的な知識とノウハウが求められます。

スムーズにM&Aを進めるためにも、専門のM&A仲介業者に相談してみるのもおすすめの方法です。

著者

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