2023年9月21日

【2024年】建築業界の今後の見通しについて|「未来がない」と言われるのはなぜ?

MABPマガジン編集部

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建設業界は今後も需要がある!解消しなければならない課題やその方法とは

建築業界は我々が快適に暮らしていくためになくてはならない業種です。

AIをはじめとした技術革新が起こり、様々な業界が影響を受けている昨今、建築業界もその例外ではありません。

本記事では移りゆく世の中における建築業界の現状や市場動向、抱えている課題やその際策について述べていきます。

建設業界は未来がない?現状について

建設業界が今後も需要があるといわれている理由

需要がなくなることがきわめて考えにくい建築業界ですが、ネットで「建築業界」と検索しようとすると、「未来がない」といったサジェストキーワードが上位にヒットします。

これは実際に「建築業界 未来がない」という検索ワードで調べているユーザーが多くいることを意味しています。

まずは建築業界の現状について見ていきましょう。

経済的な影響

都市化の進展やインフラの老朽化に伴い、新築やリノベーションの需要が高まっていますが、ここで問題となるのがコストの上昇。

建材や労働力を確保するための価格が上昇しており、建設プロジェクトにかかるコストが増加しています。

また、建築業界のプロジェクトでは多額の資金が動きますが、金利の変動や金融政策といった経済的な影響により資金調達が影響を受けることがあります。

技術革新の推進

AIをはじめとした最新技術は、正確性や安全性が常に求められる建築業界において、いち早く導入が検討されます。

資金力があり、取引先の多い建築会社はそういった技術を取り入れるのにもそれほど苦労しないかもしれませんが、そうではない企業にとっては他の企業に遅れをとる原因になりかねません。

また、仮に導入したとしても、そもそも人手が足りていなかったり、使いこなせる社員がいなかったりで正しく運用できないといったケースも考えられるでしょう。

労働者の保護

建築業界に限らずですが、労働者の安全を確保するための規制が厳しくなっており、特に激務とされる建築業界ではこの影響が大きいと考えられます。

また、終身雇用が当たり前ではなくなり転職が普通となってきた中で企業への帰属意識が薄れ、不正などが容赦なく内部告発される時代です。

時代が平成から令和に移り価値観が変わってきたことを受け入れ、自社の社員の身体的および精神的な健康を第一に考えることが経営者には求められます。

建築業界の市場動向(2023年時点)

建築業界の投資額は2010年以降、右肩上がりで上昇しており、ここ数年では70兆円以上に膨らんでおり、今後数年は同様の傾向となると予想されています。

上昇の理由としては下記が挙げられます。

  • 都市再開発・スマートシティ計画
  • 住宅市場の変化
  • 公共インフラの整備
  • 耐震・防災対策
  • 技術革新
  • グローバル市場の拡大
  • リノベーションとリフォームの需要拡大

若い世代の流出を避けるため、地方都市などの老朽化したインフラの再開発が進んでいます。古い建物の取り壊しや新たな高層ビル、複合商業施設などの計画がこれにあたります。

IoTやAI技術を駆使したスマートシティ開発が進んでおり、これらは運用開始後にはエネルギー効率の最適化や資源の節約につながることが期待されますが、開発自体には膨大なコストがかかります。

技術の進歩とともに予測の精度が向上し、被害が大きくなるリスクの高い地域に予防・対策を講じるための設備が拡充されるのも、災害の多い日本で建築業界の需要が安定する理由のひとつと言って良いでしょう。

昨今は不景気が続いており、既存の建物を活用しようとの意識からリノベーションやリフォームといったニーズが高まりました。

これらの理由により、新築の購入は減ったものの、建築業界全体で見れば総合的には市場規模の拡大につながっています。

建築業界の今後の展望

建築業界の今後の展望について考えてみましょう。

技術革新とデジタル化

AI技術を活用した建設プロジェクトの計画、設計、進行管理の最適化が進みます。これにより、予測分析やリスク管理の精度が向上が期待されます。

また、ドローンによる現場監視やロボットによる自動施工が増加し、これが安全性と生産性の向上に寄与するでしょう。

一方で人件費削減の観点から現場に投入される作業員の数は減ることが予想され、職にあぶれる人が出てくることも考えられます。

SDGsへの配慮

環境に配慮した設計や再生可能エネルギーの利用が増加し、環境認証の取得が一般化すると考えられます。

また、省エネルギー設計とスマートビルディング技術の導入がエネルギー消費の削減を可能とします。

自動車産業などに続き建築業界もカーボンニュートラルを目指し、CO2排出削減のための取り組みが強化されるでしょう。

市場の多様化とグローバル化

国内の開発やインフラ整備はもちろん、アジア、アフリカ、南米諸国などの、建築技術が日本と比べて進んでいない国や地域とのグローバルなプロジェクトが増えており、次々と日本の建築会社が海外へと市場を広げていくでしょう。

リノベーション・リフォームの需要増加

市場動向でも述べたとおり、新築を購入するより既存の建物を改修して長く利用するという考えが浸透しています。

賃金が上がらない中で円安や物価などの高騰が続いており、これらが終わる兆しはいまだ見えていません。

このことから、今後もリフォームやリノベーションの需要は引き続き高いままだろうと予想されています。

建設業界が抱える課題

今後、建設業界が解消しなければならない課題

建築業界は今後も需要が見込めるとはいえ、解決しなければならない課題を抱えているのも事実です。

人材不足

昨今、大きな社会問題のひとつである少子化の影響により、さまざまな業界で若手不足という課題を抱えています。これは建設業界においても同様です。

建設業界では少子化による若手不足に加えて過酷な労働環境により離職する人も少なくありません。また、職人の高齢化も進んでいるため人材不足は深刻な課題です。人材不足が原因で廃業を選択する企業もあります。

長時間労働

建設業界は、他の業種と比べて労働時間が長いという課題も抱えています。

建設業界では、少ない人数で工期に間に合わせるために長時間労働が常態化しているのが現状です。そのため休日出勤や残業などが多く、耐えきれずに離職する人もいます。

少子化により人材の確保が難しい建設業界において、これ以上離職者を増やさないためにも労働環境の改善は火急の課題と言えるでしょう。

3K(きつい・汚い・危険)のイメージ

建築業界の仕事は、3K(きつい・汚い・危険)というイメージが深く根付いていることも課題のひとつです。

実際に建設業界の仕事は体力が必要であり、常に事故のリスクが伴います。そのため、「建設業界の仕事は3Kである」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

こうした3Kのイメージは、新たな人材を確保するならば払拭しなければならない課題です。

建設業界の課題を解消するための対策

建設業界がかかえる課題を解消するための方法

ここでは建設業界が抱える課題を解消する方法について考えていきましょう。

働き方の改善

長時間労働や人材不足などの課題を解決するには、働き方を改善する必要があるでしょう。

近年では、「働き方改革」という施策が出され、建設業界においては2024年から労働時間の上限規制(月45時間、年360時間)が設けられます上限規制を超えてしまうと「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則が科せられるため、長時間労働の抑制につながるでしょう。

また、休日出勤や残業などが改善されることで、離職率の低下や新たな人材の確保も見込めます。

労働者の待遇の見直し

労働者の待遇を見直すことも重要です。

労働環境の改善につながることはもちろん、従業員のスキル向上などにも効果的です。

国土交通省では建設業団体と連携し、「建設キャリアアップシステム」の利用を推進しています。建設キャリアアップシステムとは、建築業界で働いている人の保有資格や実績などを登録し、技術・経験を客観的に評価できるシステムのことです。

建設キャリアシステムの利用には、主に以下のような目的があります。

  • 従業員はキャリアパスや処遇の見通しを持てる
  • 技術・経験に応じて給料を引き上げる
  • 技能者を雇用・教育する企業が伸びていける業界にする

これらが実現すれば従業員は安心して働くことができ、仕事の合間にスキル向上やキャリアアップを目指す余裕を持てるようになるでしょう。

ICTを活用した業務の効率化

ICTとは通信技術を活用したコミュニケーションのこと。これにより、建設機械の自動化やドローンによる測量などを実現することが可能です。ICTを導入すれば業務を効率化できるため、従業員の業務負担の軽減が期待できます

また、国土交通省では建設現場に「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と呼ばれるICTを導入し、生産性向上を目指す取り組みが進んでいます。

建設業界におけるICTの導入が進めば、少ない人数で業務を行えるようになるため、人材不足の解消にもつながるでしょう。

女性や外国人労働者の雇用

これまでは建設業界の仕事には体力が必要であることに加え、先述した3Kのイメージも付きまとい、女性が建築業界を選ぶことはきわめて稀でした。

しかし近年では働き方改革やICTの導入など、労働環境を改善する動きの高まりや効率化のための技術の導入により、女性が働きやすい職場に変化しつつあります

労働環境を整備した上で女性や年々増加傾向にある外国人労働者の雇用を積極的に進めることで、人材不足の解消が期待できます。

建築業界の課題解決にM&Aという選択肢

M&Aとは企業が合併もしくは買収を行い、複数の企業がひとつになることです。

近年、さまざまな業界でM&Aが注目されており、建築業界においてM&Aを実施する企業は増加傾向にあります。ここでは、建築業界におけるM&Aの買い手・売り手側企業それぞれのメリットについて解説します。

買い手側のメリット

M&Aにより買い手側企業が得られる主なメリットは下記の3つです。

・技術・サービスの強化
・人材不足の解消
・事業の拡大

買い手側がM&Aにより得られるメリットとして技術・サービスの強化が挙げられます。建設業界は他社との競争が激しい業界であるため、生き残るには優れた技術・サービスを確保しなければなりません。

しかし、自社のみでこれらを確保するのは難しい場合もあるでしょう。企業を買収すればその企業の技術・サービスを獲得できます。

人材不足の解消につながるのもM&Aのメリットです。建築業界では慢性的な人材不足に加えて、仕事には専門的な知識や技術が必要です。M&Aを実施すれば専門的な知識や技術を既に持った優秀な人材を確保できるため、育成にかかる時間も削減できます。

他にも事業を拡大しやすいというメリットがあります。建築業界の企業は地域密着型が多いため、ターゲットとなる地域の企業を買収すれば事業拡大を有利に進められるでしょう。

売り手側のメリット

M&Aにより売り手側企業が得られるメリットは主に下記の3つです。

・後継者不足の解消
・従業員の雇用維持
・経営安定化

建築業界では後継者不足という課題を抱える企業が多くあります。事業を引き継いでくれる人がいなければ、業績が順調であったとしても廃業せざるを得ません

しかしM&Aを実施すれば第三者に事業を引き継ぐことができるため、後継者不足を解消でき廃業を防げます。

廃業を防ぐことで、従業員の雇用を維持できる点も大きなメリットです。

また、M&Aにより大手企業の傘下に入ればその企業の資金力を活用できるため、自分がリタイアした後も事業が続いていく可能性が高まるでしょう。

まとめ

まとめ

建設業界は老朽化した建物への対応や災害対策の実施などの理由から、今後も需要があることが予想されます。

その一方で、慢性的な人材不足や過酷な労働環境など、解決しなければならない課題も抱えています。

課題解決には様々な方法があり、M&Aは数多くある選択肢のうちのひとつ。

もしM&Aにご興味を持っていただけるようでしたら、ぜひM&Aベストパートナーズまでご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

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