ホテル経営で参考にすべき指標とは?分析や改善に使える指標を詳しく紹介

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ホテル経営で参考にすべき指標とは?分析や改善に使える指標を詳しく紹介

宿泊業は景気動向や外部要因の影響を受けやすいことから、安定経営が難しいといわれます。

利用が落ち込んでも家賃や人件費などの費用はかかります。経営改善を急いでいる人もいるでしょう。

また、繁忙期と閑散期による収益のバラツキに悩んでいる人もいるかもしれません。

この記事ではホテル経営を分析・改善する際に参考とすべき指標について、計算方法や使い方を紹介します。

ホテルの利益構造について把握しておこう

ホテルの利益構造について把握しておこう

ホテル経営に関する指標について知る前に、まずホテルがどのような利益構造になっているのかをあらためて押さえておきましょう。

ここでは利益構造を知るのに必要な要素ならびに、収益最大化のために、特に重要な利益率を改善する方法について解説します。

 

ホテルの利益構造を知るのに必要な要素とは

ホテルの利益構造を知るためには、売上・費用を把握する必要があります。

売上とは、ホテルのサービスを販売して得た収入のことです。純粋に宿泊のみの売上であれば「定員稼働率×客単価」で計算できます。

費用とは、原価に販売費および一般管理費を加えたものです。ホテルの場合、原価には施設の維持費用や家賃、消耗品費などが含まれます。販売費には主に広告宣伝費やホテル予約サイトに支払う販売手数料が含まれるのに対して、一般管理費の例は従業員の人件費や交通費などです。

売上および費用が分かったら、利益率を計算しましょう。利益率が高いほどホテル経営は安定する傾向にあります。シティホテルやビジネスホテルなど、ホテルのタイプにもよるものの、10%以上が目指すべき利益率の水準です。

 

利益率を改善することが収益最大化の近道

利益率が高いほどホテル経営が効率的に行われているといえます。

利益率が低い場合はどこかに無駄があるのかもしれません。利益率を改善することで収益を最大化できるでしょう。

ホテル経営の利益率を改善する方法として「売上を増やす」「費用を減らす」が挙げられます。

売上を増やす方法として一般的なのは「客室稼働率を上げる」「価格を上げる」などです。

ただし、客室稼働率を上げようと価格を下げれば、利益率が低くなることも考えられます。一方で、むやみに価格を上げると稼働率が下がるかもしれません。

新たな宿泊プランを提案したりサービスを拡充したりすることで、顧客満足度を下げずに利益率を高めることが大切です。

また「光熱費や備品費の節約」を通して費用を減らすことも利益率改善につながります。ただし、サービスレベルの低下には注意しましょう。

ホテルの経営分析に使える指標

ホテルの経営分析に使える指標

ホテルは景気による影響を受けやすいです。

また、繁忙期・閑散期で稼働状況に大きな違いも出ることから、安定経営が難しいといわれます。

できる限り経営を安定させて収益を伸ばすためには、ホテル特有の事情に合わせた指標を使って分析することが有効です。ここからはホテルの経営分析に使える12の指標を解説します。

 

指標1:客単価

客単価とは、お客様一人あたりの売上のことです。

以下の方法で計算できます。

客単価(円) = 売上÷客数

客単価は、ホテルがどのような層をターゲットにするかを決める指標となります。高級路線であれば客単価は高く、大衆向けであれば低いのが理想です。狙っているターゲットとずれていないかを確認しましょう。

またホテルで販売できる客室数には限りがあることから、売上を伸ばすためには客単価を上げていく努力も大切です。

 

指標2:宿泊客数

宿泊目的でホテルを利用した客数宿泊客数です。

特に宿泊メインのビジネスホテルで重要な指標といえます。

客単価が上がっていても、宿泊客数が減っていては総合的なホテルの売上は増えません。客室数には上限があります。特に、閑散期に宿泊客数を伸ばす施策を打ち出せるかがポイントといえるでしょう。

 

指標3:客室稼働率(OCC)

販売可能なもののうち、利用された客室の割合客室稼働率といいます。

客室稼働率を求める計算式は、以下の通りです。

客室稼働率(%) = (利用された客室数÷販売可能な客室数)× 100 客室による定員の違いが大きくないビジネスホテルのような業態で使いやすい指標です。

稼働率を見ることにより、繁忙期・閑散期を簡単に区別できます。状況に合わせた価格設定やプランの提供が可能になるでしょう。

 

指標4:客室平均単価(ADR)

客室平均単価(ADR)とは客室が平均していくらで売れたかを示す指標のことです。

以下の計算式で算出できます。

客室平均単価(円) = 全体の売上÷利用された客室数

さまざまな客室タイプがあっても平均を取ることで比較しやすくなります。

 

指標5:RevPAR

販売可能な客室について、1部屋あたりの収益を把握できる指標RevPARです。

以下の計算式で算出できます。

RevPAR(円)=客室稼働率(OCC)× 客室平均単価(ADR)

客室稼働率・客室平均単価は相関関係にあり、いずれかを上げると一方が下がってしまうこともあります。RevPARに注目することで、バランスよく収益を伸ばせるでしょう。

 

指標6:定員稼働率

客室全体の定員に対する実際に宿泊した人数の割合を表す指標定員稼働率です。

以下の計算式で算出できます。

定員稼働率(%) = (宿泊客数÷客室総定員)× 100

4人部屋を1人利用したケースより、4人利用の方が売上は増えます。客室稼働率では分からない情報を把握できるため、ファミリーの利用が多い旅館やホテルで活用したい指標です。

 

指標7:一人あたりの宿泊数

指標7:一人あたりの宿泊数

1人が何泊利用したかを表す指標一人あたりの宿泊数です。

以下の計算式で算出できます。

 一人あたりの宿泊数 = 宿泊数÷宿泊利用者数

一般的に1泊よりも連泊の方が収益性は高くなります。連泊を促すプラン提供のような施策を検討するのも方法の一つです。

 

指標8:リピート率

リピート率とは、ホテル利用者がリピーターとなる割合のことです。

1年以内に再来店した顧客をリピーターとして、以下の計算式を使います。

リピート率 = (再来店者数÷総来店者数)× 100

ホテル経営を安定させるには、リピーター獲得が必要不可欠です。またリピーターになるということは、顧客がサービスに満足している証拠でもあります。ホテル経営で重視したい指標の一つといえるでしょう。

 

指標9:顧客満足度

顧客満足度とは、サービスに対する満足度を数値化した指標のことです。

アンケートやモニター調査などの方法を用いて宿泊や飲食、接客などの項目ごとに調査しましょう。アンケートであれば5段階評価で点数をつけてもらう方法が一般的ですが、自由記入欄を設けることもポイントです。

顧客からの忌憚のない意見は自社のホテルに足りない点を把握したり、強みを認識したりするのに役立ちます。

不満がある顧客は二度と施設を利用しない可能性もありますが、指摘された点を改善することにより他の顧客の満足度を高められるでしょう。調査で得られた顧客の声を将来に活かすことが大切です。

 

指標10:宿泊比率

宿泊比率とは、温泉旅館などで特に重視される指標です。

施設を日帰り利用した客と宿泊で利用した客の割合を示します。

以下の計算式で算出可能です。

宿泊比率(%) = (宿泊客数÷利用客数)×100

宿泊比率は施設利用者の傾向を分析するためのものであり、高い方がよい・低い方がよいという基準はありません。自社の施設利用者に合ったサービスを提供する参考としましょう。

 

指標11:バックオーダー数

バックオーダー数とはキャンセル待ちの件数のことです。

バックオーダー数が多いほど人気があるといえます。

またキャンセルが発生しても客室が埋まる(空室が生まれにくい)ため、経営は安定するでしょう。

 

指標12:原価率

原価率は特に直営レストランの経営分析で使われる指標です。

以下の計算式で算出できます。

原価率(%) = 材料費÷料理の売上 × 100

ホテルの経営改善に使える指標

ホテルの経営改善に使える指標

ここからはホテルの経営改善に使える指標を紹介します。決算資料に当てはめ、改善すべき点がないか確認しましょう。

 

1:固定比率

固定比率とは、自己資本と固定資産の比率のことです。

経営の安全性を表す指標で、低いほど余裕があるとされています。

計算方法は以下の通りです。

固定比率(%) =(固定資産÷自己資本)× 100

ホテル経営における固定資産とは、土地や建物、設備などの有形固定資産や営業権・商標権などの無形固定資産などです。

固定比率が100%以下であれば、固定資産の購入資金が全て自己資本で賄われている状態です。一方で、150%以上の場合は過剰投資の恐れがあります。

返済計画を見直して、問題がないことを確認しましょう。

 

2:負債比率

負債比率とは、自己資本に対して返済すべき資産の割合を示す数値です。

以下のような計算式で算出できます。

負債比率(%)=(負債÷自己資本)× 100

負債比率が100%以下とは、全ての負債を自己資本で返済可能であることを表しています。

なおホテル経営では大規模な設備投資が必要になることがあるため、負債比率が100%より高くなることもあるでしょう。

ただし、300%を超える水準は要注意です。300%以下まで抑えられるよう改善した方がよいといえます。

 

3:労働分配率

労働分配率とは、付加価値と人件費の関係を示す指標です。

以下の計算式で算出できます。

労働分配率(%)= 人件費÷付加価値 × 100

企業活動を通して新たに生み出された価値である付加価値が、どの程度人件費に分配されたかを表しています。労働分配率を抑えすぎると、給与水準が低すぎるとして従業員から不満が出るかもしれません。

企業規模や業種によっても人件費の適正水準は変わるため、平均値と比較して判断するとよいでしょう。

 

4:投資回収期間

投資の意思決定の際に使える指標が投資回収期間です。

投資によって生み出されるキャッシュフローにより何年で元が取れるかを表します。

以下のように計算可能です。

投資回収期間(年) = 投資総額 ÷ 投資対象の年間予測収益

投資回収期間が長いと資金が回収できないリスクが高まります。投資を検討する際は、1~2年程度で回収できることを目安にすると成功確率が上がるでしょう。

まとめ

ホテル経営を安定化させたり、改善したりするためには特有の事情に合わせた指標を用いることが大切です。

この記事で紹介した指標をホテル経営の分析や改善に役立てましょう。

なおホテルの事業継承を検討している人や、経営しているホテルで課題を抱えている人はM&Aベストパートナーズの無料相談の利用がおすすめです。

専門家による信頼度の高いサービスが受けられます。ぜひお気軽にご相談ください。

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