2024年5月7日

リフォームのM&A事例や譲渡で注意すべき点|譲渡を検討する際のガイド

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

Twitter Facebook

リフォームやリノベーションのニーズ拡大に伴い、異業種からリフォーム業界への新規参入とM&Aが活発化しています。

しかし、M&Aと聞くと経営者にとってはネガティブなイメージが根強く、不安に感じられることも多いと思います。

そこで今回は、リフォーム業界におけるM&Aの最新動向や特徴、会社の譲渡にあたって注意すべき点などをご紹介します。

リフォーム業界におけるM&Aの動向

建設に関連する業界のなかでも、リフォーム事業は一定規模以下であれば許認可が不要なため、新規参入がしやすいという特徴があります。

一方、古くからリフォーム事業を運営してきた企業の中には、深刻な人手不足によって若手人材が確保できず、職人や作業員の高齢化が進んでいるケースや、後継者不足に悩む企業も少なくありません。

このように、リフォーム事業によって売上・収益の拡大を見込む異業種企業と、人手不足や後継者不足に悩む既存のリフォーム業者との利害が一致し、リフォーム業界におけるM&Aは活発化しています。

また、長引く不況の影響から新築住宅の注文が伸び悩む一方で、老朽化した住宅のリフォーム需要は安定的に推移していることもM&Aのニーズを押し上げる一因になっています。

リフォーム業界のM&Aの特徴と戦略

ほかの業界・業種と比較した場合、リフォーム業界のM&Aにはどういった特徴が見られるのでしょうか。M&Aを行う企業の戦略もあわせて分析してみましょう。

M&Aによる業界再編

住宅リフォームでは家具や家電などを買い揃えたり、デザイン性にこだわるお客様も多いことから、関連業種の企業が建設・内装業者とM&Aを行い参入してくるケースも少なくありません。

その結果、従来のリフォーム業界といえば建設業者や内装業者が中心となって運営する企業が多くありましたが、現在では異業種からの参入も増え業界再編が進んでいます。

人材獲得と技術の取り込み

異業種が参入しやすいリフォーム業界ですが、参入障壁が低いということはその分ライバル企業も多く、淘汰されていくリスクも秘めています。

M&Aにあたって特に重要になるのが、リフォームに関する高い技術とノウハウをもった人材の取り込みです。

特にリフォーム事業に関する知見と実績がない企業の場合、買収先企業にどのような人材が揃っているのかを十分にリサーチし、技術力や信頼性が高い企業から優先的に交渉が進められていきます。

地域密着型企業の買収

住宅リフォームを依頼するお客様の多くは信頼できる業者に依頼したいと考えるため、新規事業者よりも長年にわたって地域に根ざした経営を行っているリフォーム会社が選ばれる傾向があります。

そのため、特に異業種や関連業種の企業がリフォーム業界へ参入する場合、会社の規模が小さくても実績が豊富で信頼性の高い施工会社をパートナーに選び、M&Aを行うケースが多い傾向も見られます。

リフォーム会社が押さえておきたいM&A後も抱える課題

M&Aはリフォーム会社にとってさまざまな経営課題を解決する手段であることは事実ですが、M&Aを行ったからといってすべてが解決できるとは限りません。

引き続き課題として認識し、取り組んでいかなければならないのが以下の2点です。

職人の採用と育成

リフォーム会社にとって高度な技術をもった職人は不可欠な存在です。

M&Aによって企業が統合されることによって一次的に人手不足を解消できるかもしれませんが、事業規模が大きくなっていくと再び人手不足に陥る可能性もあるでしょう。

そのため、M&Aを行った後も継続的に職人の採用や育成に取り組んでいく必要があります。

IT導入と業務効率化

人手不足は少子高齢化によって深刻化しており、これは日本全体の構造的な問題といえます。

そのため、今後劇的に人手不足が解消できる可能性は低く、企業は限られた人員の中で生産性を維持・向上していかなければなりません。

そのためには、テクノロジーを積極的に活用し省人化を図っていくことが重要です。

たとえば、従来のような対面による営業からオンラインを活用した営業手法に切り替えたり、会計ソフトなどを活用しながらバックオフィス業務を自動化したりといった方法が考えられます。

リフォーム業界の今後の展望

M&Aの相手先企業を選定するためには慎重な判断が求められます。特に重要なポイントとなるのが、リフォーム業界全体の将来的な展望です。

今後需要が高まる見込み

リフォーム業界の市場規模はここ10年で5〜6兆円で推移しています。

新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年は工事需要が低下したこともあり、市場規模は前年の5.8兆円から5.5兆円へとわずかに減少しましたが、2021年は5.9兆円、2022年は6.2兆円まで回復しています。

住宅設備の中でも特に水廻りは定期的な交換が必要であり、内装に比べると工事の単価も高い傾向があります。

また、近年頻発している自然災害の影響もあり、耐震性向上を目的としたリフォームの依頼も少なくありません。

以上のことから、今後もリフォームの需要は高まっていくと予想されます。

リノベーションニーズの増加

現在、多くの自治体において空き家が急増しており、これを有効活用するためにリノベーションが注目されています。

建物の持ち主がDIYでリノベーションを行うケースも少なくありませんが、満足度の高い仕上がりにするためには専門のリフォーム会社に依頼するケースが圧倒的に多いのも事実。

このようなニーズは今後ますます高まっていくと予想されます。

テレワークの普及による住環境への見直し

働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、これまでのようなオフィス出社型の働き方からテレワークへと切り替える企業が増加しました。

自宅で仕事をする機会が増えると、より集中して仕事に取り組めるような間取りや設計に変更したいと考える人も出てくるでしょう。

そこで、テレワークに対応できる住宅リフォームの需要は増加していくと考えられます。

デジタル技術を応用したリフォーム業界の発展

従来のリフォーム営業といえば、膨大な量のカタログや資料を持参し、対面で営業を行うといった方法が一般的でした。

しかし、これからはデジタル技術やオンラインを活用した営業手法が拡大していき、時間や場所を問わず自由度の高いリフォーム営業が可能になると期待されています。

たとえば、WebサイトやSNSを活用した集客はもちろんのこと、ARやVRを活用したリフォームイメージの提案などが考えられます。

そのため、ITやデジタル技術に強みをもつ企業とM&Aを行うリフォーム会社が増えるかもしれません。

リフォーム業界のM&A事例

最後に、リフォーム業界においてM&Aを成功させた企業の事例をご紹介します。

株式会社MIMA

株式会社MIMAは、大阪府八尾市で住宅設備会社として創業した企業でしたが、リフォームのニーズが高まったことを受けリフォーム事業に進出し、地元八尾市においてトップを走り続ける規模にまで成長しました。

しかし、近年になって深刻な人手不足や後継者不足に頭を悩ませるようになり、自社を存続させていくための手段としてM&Aの提案を受け入れることを決意。

当初は先代の社長から強い反対があったり、社長である美馬氏本人もM&Aには良いイメージがなかったといいます。

しかし、M&Aによって両社のシナジーを発揮し成長していくことにこだわり、候補先企業との面談においてもその旨を伝えたところ理解を示してもらえ、資金面でのバックアップを得ることにも成功しました。

多くの経営課題が山積していた状況からM&Aによって経営環境が一転し、今では攻めの経営に転換し積極的な事業展開を行っています。

◆株式会社MIMA◆

リフォーム業界のM&Aについてのまとめ

リフォーム事業は建設業界の中でも将来的なニーズの拡大が期待できる分野であり、異業種からの新規参入もしやすいことからM&Aの注目度が高まっています。

ただし、M&Aをしただけですべての経営課題が即座に解決できるとも限らず、競合が多い業界だからこそ戦略的な事業展開が求められます。

また、M&Aによって一時的に経営課題が改善できたとしても、それを継続していくためには職人の採用や教育を続けていったり、テクノロジーを活用しながら業務の自動化や省人化に取り組んでいくことも大切です。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

M&Aベストパートナーズのマガジン編集部です。

M&Aストーリー

M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

Preview

Next

製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。