設備工事会社のM&A事例や譲渡で注意すべき点|譲渡を検討する際のガイド

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部
設備工事 M&A 注意点

電気設備や水道、空調などの設計・施工を担う設備工事会社は、他業種同様に人手不足や後継者問題を抱えています。

そのため、事業の存続や従業員の雇用維持を目的としたM&Aを検討する企業は少なくありません。

本記事では、設備工事会社がM&Aを検討するときに注意すべき点について、M&Aの専門家が詳しく解説します。

設備工事会社におけるM&Aの概念と重要性

設備工事会社には、電気工事を得意とする企業や空調設備工事を得意とする企業など、対応可能な工事や得意分野は企業ごとに異なります。

そのため、異なる専門領域をもつ設備工事会社同士がM&Aを行うことで対応可能な工事が増え、市場拡大や顧客満足度の向上につなげられることができます。

また、社会問題といっても過言ではない後継者不足も、他社へ事業を引き継ぐことで解決できる可能性も高まります。

このように、設備工事会社の中にはさまざまな経営課題を抱えているケースが多く、これらを解決する方法として、M&Aは有効な選択肢といえるでしょう。

関連記事:M&Aとは?目的や流れ、メリット・デメリットについて解説

設備工事会社がM&Aを行うメリット

企業がM&Aを行う代表的な目的は、「経営課題を解決するため」です。
そこで、M&Aによって解決できる課題とメリットを解説します。

事業拡大ができる

ご紹介したとおり、設備工事会社によって得意分野や対応可能な工事は異なります。

異なる分野の工事を行なっている企業同士がM&Aを行うことで、両社の専門性を活かしながら事業領域の拡大をすることができます。

技術力とサービスの向上

異なる得意分野や領域をもつ設備工事会社がM&Aをすることで、両社が培ってきた技術とノウハウを集約することができます。

たとえば、空調設備工事と電気設備工事、水道管工事を依頼する場合、依頼主は各専門領域の会社に個別に発注するケースが多いです。

しかし、M&Aによって事業領域が拡大することができれば、1社がまとめて受注することで双方にメリットが生まれます。

市場シェアの拡大

地元で長年にわたって事業を続けてきた設備工事会社の場合、地域住民や地元の取引先企業から高い信頼を得ています。

しかし、地元以外のエリアに進出しようとすると新たに市場開拓をする必要があり、必ずしも成功するとは限りません。

異なるエリアで事業を行なっている会社とM&Aをすることができれば、相手企業が開拓した市場を取り込むことでシェア拡大につなげることができます。

経営資源の最適化

資金や人材、モノといった経営資源は限られているため、最適化することによって経営効率が向上します。

特に規模の小さい設備工事会社は、大手企業とM&Aを行うことで、経営資源を有効に活用できるようになるでしょう。

人材不足の解消

会社が生き残っていくためには次世代を担う若手人材の育成が重要で、M&Aを行うことで両社にとって即戦力となる人材が確保できるメリットがあります。

新たに人材を雇用・育成するよりも時間やコストがかからず、早い段階での人材不足解消ができるでしょう。

後継者問題の解決

後継者不足は、多くの企業で課題となっている問題です。

信頼できる企業とのM&Aをすることができれば、相手先企業の経営者に事業を継承し、後継者問題に悩みを抱える必要もなくなります。

関連記事:M&Aとは?M&Aの概要やメリット・デメリットなどを詳しく解説

設備工事会社がM&Aを行う際の注意点

M&Aに対してネガティブな印象を抱いたり、M&Aをしたことに後悔をしたりする経営者の方は少なくありません。

後悔しないためには、事前に注意点を把握しておくことが必要です。

企業文化の不一致

同じ業界・業種の企業であったとしても、企業文化や風土は異なるケースが多いです。

そのため、自社の企業文化と正反対の企業とM&Aをした場合は従業員に戸惑いが生じたり、働きにくさを感じたりすることがあるでしょう。
状況によっては、M&Aがきっかけで退職を考える従業員が出てくる可能性も考えられます。

このような事態を防ぐためには、両社が事前に入念なリサーチを行い、企業文化の違いを把握しておくことが大切です。

簿外債務のリスク​

設備工事会社特有のリスクとして、M&Aの契約締結後に帳簿未記載の債務が発覚するケースが挙げられます。

建設業界は契約の締結から完成・引き渡しまでの期間が長期に及ぶことも多く、会計処理が曖昧になることが企業買収後に簿外債務が発覚する原因となります。

このような事態を防ぐためは、事前にデューデリジェンスと呼ばれる調査をしっかり行うことが重要です。

関連記事:M&Aにおける注意点とは?買い手・売り手の両視点から解説【中小企業向け】
関連記事:M&Aにおけるデューデリジェンスとは?費用や期間についてわかりやすく解説

設備工事会社のM&A事例

実際にM&Aによって経営課題を解決した成功事例をご紹介します。

株式会社日乃出エヤコン

株式会社日乃出エヤコンは、三重県松阪市において空調設備工事や電気設備工事などを手掛けている会社です。

1969年の創業から50年以上の歴史を誇り、多様な建設業許可を取得しながら事業を拡大してきました。

しかし、近年になって深刻な技術者不足と後継者不足に悩まされるようになり、そのための解決策としてM&Aを模索しはじめます。

M&Aを検討するにあたって、自社だけが生き残れば良いという考えではなく、協力会社や地域社会と共に発展し続けていけることを重視し、候補先企業を選定しました。

また、地元である松坂地域をさらに発展させていくといった目的で、東海地方でガス・熱・電気供給事業などを営む会社に絞り込みました。

経営トップ同士の面談を経て100%株式譲渡によるM&Aを決定し、日乃出エヤコンの屋号を残したまま完全子会社として再出発をしています。

◆株式会社日乃出エヤコン◆

設備工事会社のM&Aについてのまとめ

設備工事会社のなかには、事業拡大に限界を感じていたり、深刻な人手不足や後継者不足に悩んだりしている企業が少なくありません。

このような経営課題を解決し、会社を存続させていくためにはM&Aが有効な選択肢として挙げられます。

しかし、M&Aを検討する際は、企業文化がマッチするか、簿外債務はないかといったリサーチが重要で、M&Aに関する深い知識やノウハウが求められます。

抱えている課題の解決策としてM&Aを選択肢に含んでいる経営者の方は、ぜひM&Aベストパートナーズへご相談ください。

M&Aのプロである専任アドバイザーが、課題解決にむけた最適な方法をご提案させていただきます。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

石橋 秀紀

ADVISOR

各業界に精通したアドバイザーが
多数在籍しております。

VIEW MORE

M&Aストーリー一覧へ