M&Aストーリー
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ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
M&Aストーリー
株式会社リアルパートナー
M&A成約事例
譲渡企業
株式会社リアルパートナー
代表取締役社長 宮部 龍一氏 インタビュー
「後継者が見つからない上に、一昨年には脳梗塞で入院して体力の限界も感じるようになりました。そこで、廃業かM&Aを検討していたんです」
そう穏やかに語るのは、都内で不動産業を営む株式会社リアルパートナーの代表取締役社長、宮部龍一(みやべ・りゅういち)氏だ。
今回、M&Aベストパートナーズ(以下MABP)の仲介で、26年間経営してきた会社を譲渡した。
1997年(平成9年)に創業したリアルパートナーは、主に賃貸物件を取り扱う仲介会社だ。
都内に事務所を構え、アパートやマンションを持つ大家と部屋を借りたい入居希望者とをつないでいる。
創業当時は東中野の1店舗から社員4~5人でのスタートだったが、順調に業績を伸ばし、最盛期には大久保、中野、新宿と4店舗まで拡大した。
しかし、事業拡大に人材育成が追いつかず、既存店舗が手薄になって売上も伸び悩み、やむなく2店舗を閉鎖。現在は東中野と大久保の2店舗、社員数は12~13人ほどの規模に落ち着いている。
東京都調布市出身の宮部氏は、自動車部品会社での勤務や父親の会社の手伝いなどを経て、33歳の時に不動産会社へ転職した。
そこでの経験から賃貸仲介業が天職だと感じた宮部氏は、一念発起して自分の会社を作る。
「自分で見つけた物件をお客様に紹介して、決まれば手数料が入る。この『ゼロから売上をつくる』という仕事にやりがいを感じたんですよ。また、大家さんとのつながり作りも楽しかったですね。真摯に取り組めば、本当に面白い仕事ですよ」と宮部氏は仕事の魅力を語る。
自ら立ち上げたリアルパートナーでは、地元の大家を中心に取り扱う物件を開拓していく。
飛び込み営業からスタートし、要望には真面目に一生懸命応えながら地道に大家を増やした。
「中には専任で物件の管理を任せてくれたり、新築物件に名前を付けて欲しいと頼まれたり。信頼してもらえるようになると、そんな大家さんも増えてきましたね」と宮部氏は微笑む。
浮き沈みはあったが、こうしてリアルパートナーは26年間、地域とともに歩んできた。
「後継者が見つからずそろそろ考えようかなという時に、たまたまMABPさんのDMを目にしたんですよ。すごくタイミングがよかったですね」と宮部氏は笑う。
宮部氏には2人のご令息がいるがどちらも不動産業には全く興味がなく、他に会社を引き継げる人材も見つからなかった。
「それならば孫が成長するまでがんばろう」と考えた宮部氏だったが、一昨年に自身が脳梗塞で倒れてしまう。
「とてもそこまで体が保つとは思えませんでしたね。70歳も過ぎたので、引退してゆっくりしたいという思いもありました。実際に周囲を見渡しても、同年代はみんな定年退職や廃業などで第一線から退かれていましたね。そうした要素が積み重なって、会社をたたむか、可能であれば売却したいと考えるようになったんです」と、宮部氏はM&Aのきっかけを打ち明ける。
そんなタイミングで届いたのが、MABPのアドバイザーである黒田が送った1通のDMだったのだ。
さっそくDMを頼りにMABPと連絡を取り、黒田との面会を果たした宮部氏。
初めて会った黒田について、宮部氏は「真面目そうな方だと思ったのが第一印象です。言葉が悪いですが胡散臭さは一切なく、誠実に仕事を進めてくれそうだと感じました」と率直に話す。
一方の黒田は「宮部さんは長年の経験がおありで、この地域の不動産業界をリードしてきた方です。私も不動産会社の勤務経験があり、尊敬の念を持ってお会いしました」という。
黒田はかつてリアルパートナーのあるエリアに住んでおり、通勤で駅に向かう途上には商店街でひときわ目立つ店舗をよく見かけていた。
「実際に譲受候補の会社さんにリアルパートナー様を紹介していく中でも、お相手の方に『東中野のあのお店だよね?』と聞かれることが何度もありました。立地もよく、住民の皆さんが知っているほど地域に密着した会社さんなんですよ」とエピソードを交えて話す。
宮部氏は黒田との面談を通じて、M&Aへの決意を固めていく。
実際にM&Aを進めるにあたり、宮部氏が重きをおいたポイントは既存社員の雇用だ。
「今いる社員をそのまま雇い続けてもらうことが、M&Aの絶対条件でした。また、交渉期間があまりにも長いと私が疲れてしまうので、スピード感も重視しましたね」と宮部氏は力説する。
正式なM&A仲介の依頼を受け、アドバイザーの黒田は相手候補として5〜6社を選び抜き、宮部氏に面談の場を提供していった。
「条件としては素晴らしい会社さんばかりでしたが、宮部さんはスピードを重視されていました」という黒田。
「最終的に譲受企業となった会社さんは、最後に面談したのにもかかわらず5〜6社の中でいの一番に条件を提示されたんです。このスピード感が宮部さんとマッチしたことが、決め手となりました。不動産業はスピード勝負ですからね」と続けた。
宮部氏も「私が決めたというよりも、黒田アドバイザーの『この会社さんからはっきりと意思表示がありましたので』という進言に『分かりました』と応じたのが正直なところです」と譲受企業を決定した経緯を明かす。
ただ、宮部氏が即決できた要因には、黒田との間に築いた信頼関係もある。
「黒田アドバイザーのおかげでスピーディに決まり、私は楽をさせてもらいましたよ」と宮部氏は笑った。
その一方で、M&Aには大きな懸念もあったという。
「依頼にあたって『書類を悪用されるのでは?』という心配はありました。会社に関する全ての書類をMABPさんに渡すわけですからね。経営者としては細心の注意を払わなければならず、手続きの煩わしさ以上に憂虞していました。譲受企業さんも当然『大きな借入金があるのでは?』といった不安があるでしょうから仕方がないとは思いますが、全部をさらけ出すのは心理的な抵抗がありましたね」と振り返る宮部氏。
「ただ、黒田アドバイザーについては、そんな心配は無用だとは思っていましたよ」と微笑んだ。
M&Aを終えた宮部氏は、今後について「とにかくのんびりと、自分の時間を大切にしながら過ごしたいですね」と打ち明ける。
「学生時代にやっていた卓球を50歳を過ぎてから再開しまして。中野区の大会で優勝したこともあります。ただ、今後はほどほどに楽しもうと思っていますよ」とも話す宮部氏。
趣味として50年以上見続けているアメフト観戦も、まだまだ楽しんでいくつもりだ。
宮部氏はまた、リアルパートナーの社員に対しては「今まで通り変わらず、しっかり会社を盛り上げていって欲しい」と願っている。
店長には事前にM&Aのことを伝えていたが、全社員には本決まりになってから説明した。
会社が存続し雇用条件も変わらなかったことから、社内では特に大きな混乱はなかったという。
今はまだ引き継ぎのために出社はしているものの、日を追うごとに部外者になった実感が増してきている様子の宮部氏。
「会社を設立してからの26年間には、本当にいろんなことがありました。それらの出来事を思い出すと、いろいろと胸に迫るものがありますね。まずはゆっくりと今後のことを考えます」とこれまでの軌跡を振り返っていた。
黒田は「以前から存じ上げていた会社さんのM&Aを担当させていただいて、感無量です。リアルパートナー様は街の不動産を守る、まさにシンボル的な会社さんでした。宮部さんにおかれましては26年間、本当にお疲れ様でした」と総括した。
MABP一同も、無事にM&Aを終えた宮部氏の穏やかな日常を願ってやまない。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
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