2023年4月19日

リフォーム事業の現状と今後・市場規模と需要から動向とビジネスチャンスを探る

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

Twitter Facebook

リフォーム事業に興味がある人もいるのではないでしょうか。

日々変化する社会情勢のなかで、さまざまな業界が経営に課題を抱えています。

リフォーム業界に参入を考えるのであれば、現状の市場規模や今後の動向を知っておくことが大切です。

本記事では、リフォーム事業の現状や今後の動向についてお伝えします。

リフォーム事業のビジネスチャンスについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

リフォーム事業の市場規模について

まずは、リフォーム事業現状について把握しましょう。

ここでは、リフォーム事業の市場規模についてお伝えします。

 

国内のリフォーム事業の規模は約6.9兆円

林野庁の「都市等での木材利用・木材輸出の展開」 によると、国内におけるリフォーム事業の市場規模は、2018年時点で約6.9兆円と推計されています。

2009年時点の市場規模が約5.6兆円であることを考えると、1兆円以上の成長が見られます。

(出典:林野庁|都市等での木材利用・木材輸出の展開

ほかに、1兆円以上の成長を見せているのは「設備等の修繕維持費」です。2018年時点で約5.28兆円と、リフォーム事業の市場規模における大部分を占めています。一方、「増築・改築工事」の市場規模は横ばいとなっています。 リフォーム業界全体の市場規模で見れば、成長性は高いといえるでしょう。

 

リフォーム実施者の平均予算は265万円

次に、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の調査結果から、リフォーム事業消費動向についてお伝えします。

令和4年に実施された調査 によると、リフォーム実施者の平均予算は約265万円です。一方で、実際にかかったリフォーム費用の平均は約390万円と、1.5倍近くとなっています。リフォーム費用は予算を上回る傾向があるといえるでしょう。

リフォーム費用を年代別で見ると、50代以上では約286万円であるのに対して、20~40代では約545万円です。この結果を見ると、リフォーム事業において市場規模を支えているのは、主に比較的若い年代であることが窺えるでしょう。

またリフォーム費用の資金源は、年代を問わず大部分が自己資金です。ただし、20~40代だと「両親など親族による援助」も33.1%と高く、複数の資金源により費用をカバーしていることがわかります。

(引用:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会|「住宅リフォームに関する消費者・事業者に関する実態調査」について

リフォーム事業の今後を実施場所・実施者から分析

リフォームの実施場所や実施者の特徴から、リフォーム事業の今後を分析することが可能です。ここでは、前述した一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の調査結果をさらに掘り下げて解説します。

 

リフォームが行われた部分から見る市場

リフォーム工事が行われた箇所から、リフォーム顧客のニーズが分析できます。

実際の工事箇所としては、「トイレ・便所」が53.8%、「浴室・洗面所」が49.5%と特に高いという結果です。リフォームにおいては、水回りを中心に費用をかける人が多い傾向にあることが窺えます。

また前述の通り、リフォームにおいて実際の費用が予算を上回るケースは珍しくありません。同調査によると、リフォーム費用が予算を上回った理由は「リフォーム箇所の追加」や「設備のグレードアップ」が多くなっています。

特に、トイレ・便所のリフォーム検討者は35.8%である一方で、実施者は53.8%と大きく増加しています。計画段階ではトイレ・便所のリフォームを検討していなくても、実際にはリフォームが必要になるケースが多いことがわかるでしょう。

このように、リフォーム工事は実施する過程でその必要性に気づく傾向があるため、実際の予算を上回りやすい傾向にあります。視点を変えれば、リフォームの必要性を認識していない潜在顧客は相当数いると考えられ、訴求の余地は十分あるといえるでしょう。

 

リフォームを検討・実施した人の特徴から見る市場

次に、リフォーム工事を検討・実施した人の特徴から市場を分析しましょう。

リフォーム実施者のうち、初回リフォームを行った人の割合は49.7%です。この割合は例年大きな変動はなく、約半数がリフォーム業界の新規顧客といえます。なお、初回リフォーム実施者の割合が最も高いのは、40代の66.1%です。

一方、リフォーム検討者の71.6%はリフォーム経験者となっています。経験者ほど、再リフォームを積極的に考えている人が多いことがわかるでしょう。

また築年数で見ると、初回リフォーム実施者の割合は15~20年の物件で最も高く、67.5%となっています。築年数が上がるほど、初回リフォーム実施者の割合は低下する傾向があります。 リフォームは新規顧客の流入が盛んである一方で、既存顧客のリピートも期待できる事業といえるでしょう。

リフォーム事業における木製品の需要と今後

昨今のリフォーム事業では、木製品の需要が高まっています。政府が国内需要の拡大に向けて木材利用を推進しているため、今後も需要は高まっていくことが期待できるでしょう。ここでは木製品を中心に、現状需要の高い製品や、今後ねらい目となる製品を紹介します。

 

リフォーム事業において需要の高い製品

昨今のリフォーム事業で需要の高い製品としては、次の3つが挙げられます。

・PET表面処理フローリング

ペットボトルにも使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)により、フローリングの表面をコーティングするものです。PETは耐摩耗性や耐久性に優れており、フローリングの割れを防止できます。

・圧密加工フローリング

木の表面に圧力をかける「圧密加工」により、フローリングの耐摩耗性や硬度を高めるものです。丈夫で傷がつきにくいフローリングを実現できるため、住宅の床面に採用されるケースが増えています。

・床暖房対応フローリング

1本の木から作る「無垢フローリング」を床暖房に対応させるものです。木材の幅や厚みを調整することで、床暖房による温度差が発生しても収縮しにくくなります。高齢者施設や保育施設などで採用されるケースが増えています。

 

リフォーム事業において今後需要の拡大が見込まれる製品

今後のリフォーム事業で需要拡大が見込まれる製品としては、次の3つが挙げられます。

・木製キッチン

木目調のおしゃれなデザインが注目されるなかで、木製キッチンの普及も期待されます。メーカーによっては、間取りに合わせて木製キッチンをオーダーメイドすることも可能です。

・室内空気清浄フローリング/壁板

光触媒により、フローリングや壁板に室内空気洗浄効果をプラスできる技術が開発されました。室内のウイルスを減らす効果も実証されており、新型コロナウイルス対策として普及が期待されます。

・無垢材パネル/タイル

質感のよい無垢材をパネルやタイルにすることで、さまざまな生活シーンに活用しやすくなるでしょう。DIYでの需要拡大も期待できます。

リフォーム事業の今後の動向

新型コロナウイルスを始めとする社会情勢の変化もあり、リフォーム事業今後を不安視している人も多いのではないでしょうか。

最後に、以下ではリフォーム事業の今後の動向について解説します。

政府はリフォーム市場の拡大を目標に掲げている

政府にとっても、リフォーム市場の拡大は重要な目標の1つです。

国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)」 では、目標5に「建替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新」が掲げられています。

(引用:国土交通省|住生活基本計画

具体的には、2018年時点で約6.9兆円のリフォーム市場規模を、2025年までに12兆円へ拡大することを目指しています。この目標数値は、20~30代のリフォームに対する潜在需要を基に設定されたものです。

 

長期優良住宅化リフォーム推進事業によるリフォームの需要拡大

国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」によって、リフォームの需要拡大が期待できます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、寿命の長い優良な住宅を実現するための住宅リフォームに対して、政府が支援する制度のことです。

条件を満たすリフォーム事業者が申請すれば、工事費に補助金が支給されます。令和4年度の申請期限は過ぎたものの、前述した通り、政府はリフォーム事業を推進しています。そのため、今後も同様の支援が行われる可能性は十分あるでしょう。

 

新型コロナウイルスによるビジネスへの影響

新型コロナウイルスにより多くのビジネスが影響を受けていますが、リフォーム事業も例外ではありません。

リフォーム事業でも、資材の不足や高騰といった影響が大きな不安要素となっています。

在宅者が増えたことで、海外でも新築住宅などの需要が拡大しました。それに伴い、木材が不足・高騰する「ウッドショック」が起きています。リフォームでも輸入の木材に頼っている側面があるため、事業に少なからず影響を受けているでしょう。

一方で、接触による感染リスクを回避するために、国内でも在宅者が増えました。テレワーク向けの住宅リフォーム需要が増えるなど、プラスに働く可能性もあります。

 

後継者不足による廃業の可能性がある

リフォーム業界では、人材不足に頭を抱える企業も増えています。

IT化が進み、営業や管理業務は自動化・効率化されても、リフォームの現場作業にあたる職人は欠かせません。実際のところ、若手の職人が育っていないリフォーム会社が多いです。

年齢層の高い職人が引退していくなかで、後継者がおらず廃業を余儀なくされる企業も少なくありません。人材不足を解消する方法として、事業承継を伴う「M&A」の適用拡大が期待されます。

まとめ

リフォーム事業の市場規模は2018年時点で約6.9兆円と推計され、2009年から1兆円以上の成長が見られます。

木製品を中心とした需要の拡大も期待されるため、今後のリフォーム事業はビジネスチャンスが十分期待できるでしょう。

また、リフォーム事業では人材不足が深刻化しています。今後リフォーム業界に参入するのであれば、事業の承継により人材不足の解消にもつながるM&Aが有力な選択肢です。

リフォーム事業のM&Aに興味がある人はM&Aベストパートナーズへぜひご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

M&Aベストパートナーズのマガジン編集部です。

M&Aストーリー

M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

Preview

Next

製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。