2024年7月2日

中小企業のM&Aを成功させるには|メリットや失敗事例を紹介

MABPマガジン編集部

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経営基盤の強化や後継者不足の解消などを目的に、M&Aを行う中小企業も増えています。

しかし、「自社にとってどういったメリットがあるのか」といった疑問や、「本当に成功するのか」といった不安を抱える経営者も多いでしょう。

今回は中小企業にとってのM&Aのメリットや、成功させるためのポイント、参考にしておきたい失敗事例なども合わせてご紹介します。

中小企業における経営上の課題とは?

中小企業ではさまざまな経営課題を抱えているケースが少なくありません。

また、日々の業務で忙しく、抱えている課題そのものを認識できていないこともあります。

中小企業ではどういった課題が多いのか、特に代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

人材不足

業種を問わず中小企業における人材不足は年々深刻化しています。

特に若年層の採用が難しく、求人募集をかけても候補者が集まらないというケースも少なくありません。

さらに、採用できたとしても定着率が低く、計画的な人材育成や安定した経営が難しくなります。

その結果、生産性の低下や企業としての競争力低下にも繋がっていきます。

価格高騰への対応

物価高やエネルギーコストの高騰は中小企業の収益に大きな影響を与えます。

特に原材料の価格上昇は製品やサービスのコストに直接影響し、売上そのものの低下を招くこともあるでしょう。

中小企業は大手企業に比べて価格競争で対抗しにくく、企業としての体力勝負になると圧倒的に不利な状況にあります。

後継者不足

中小企業の多くは、経営者の高齢化に伴い後継者不足に直面しています。

経営を引き継ぐ相手が見つからない場合、それ以上の事業継続が難しいと判断し廃業を余儀なくされるケースも出てくるでしょう。

仮に後継者候補を見つけられたとしても、人材育成には多くの時間と手間がかかります。

DXの推進が難しい

ITシステムやハードウェアの導入には多額のコストがかかり、特に資金力の限られた中小企業にとっては大きな負担となります。

また、DXを進めるうえではITスキルを持つ人材の不足や教育コストの増加も大きな障壁となります。

業務の属人化

限られた人員の中で業務を遂行していると、担当者が固定化されてしまい特定の従業員でなければ業務を遂行できなくなるケースがあります。

このような業務の属人化が生じている中小企業は多く、担当の従業員が不在になると業務が滞ったり、業務効率が低下するといった問題が生じます。

中小企業がM&Aを行うメリット

中小企業のさまざまな経営課題を解決するひとつの手法としてM&Aがあります。

M&Aでは売り手と買い手の企業が存在しますが、それぞれの立場においてどういったメリットがあるのでしょうか。

売り手側のメリット

売り手のメリットとして考えられるのは以下の4点です。

後継者問題の解決

売り手にとって特に大きなメリットとして期待されるのは、後継者問題の解決です。

M&Aでは外部の企業に経営を引き継ぐこともでき、これによって自社で後継者候補を探したり、経営者として育成する手間もなくなります。

また、事業の継続性が確保されることで従業員の雇用を守ることにもつながるでしょう。

事業の成長と拡大

M&Aは事業の成長と拡大を促進するための有効な手段にもなり得ます。

買い手企業の経営リソースや顧客基盤などを有効に活用することで、自社の事業を早い段階で拡大することができるでしょう。

また、自社が持っている技術と買い手企業が持っている技術やノウハウを共有することでシナジーが生まれ、製品やサービスの品質向上や競争力強化にもつながります。

財務の健全化

M&Aによって企業を売却することで資金を得られると、それを負債の返済や経営改善に活用することができます。

これにより、財務状況が健全化し企業の経営基盤も安定化することが期待できるでしょう。

個人保証の解消

中小企業の経営者は個人保証を求められることが多く、経営者自身が負債を負っているケースも珍しくありません。

経営状態が悪化し融資に頼らざるを得ない状況になると、経営者個人が莫大な借金を背負うことになり大きなリスクを伴います。

しかし、M&Aにより会社の買い手が見つかれば、個人保証も解消され経営者自身のリスクが軽減されます。

買い手側のメリット

次に、買い手側から見た場合のメリットをご紹介しましょう。

技術・ノウハウの取得

M&Aを行うことで、売り手企業が持つ技術やノウハウを迅速に取得することも可能となります。

自社の技術力や開発力が向上し、競争力の強化にもつながるでしょう。

長い歴史のなかで培われてきた高度な技術をもつ老舗企業はもちろん、先端技術のノウハウをもつスタートアップ企業を買収できれば市場における優位性を確立できる可能性があります。

優秀な人材の確保

売り手企業には専門知識や実務経験が豊富な即戦力人材が多数在籍しているケースが少なくありません。

特に人手不足が深刻化し採用に苦戦する企業が多い中で、優秀な人材を確保したいと考える企業にとってM&Aは有効な手段ともいえるでしょう。

新規市場への参入

事業の拡大や成長のために、新たな市場への参入や業容拡大を検討している企業も多いでしょう。

しかし、新規参入にはさまざまなリスクを伴うのも事実であり、一定のシェアを獲得するためには多くの時間と手間を要します。

M&Aによって他社を買収できれば、売り手企業がすでに持っている市場シェアや顧客基盤を活用することで、早期に新規市場への参入やシェア拡大につなげられる可能性があります。

複数事業の展開によるリスク分散

特定の事業に経営リソースを集中しすぎると、売上や収益が低下したときに大きな経営リスクとなります。

M&Aにより複数の事業を展開できればリスク分散を図れるほか、経営基盤の安定化も期待できます。

関連記事:M&Aで中小企業が解決できる課題とは?実施に向けた課題やPMIの課題と併せて解説

中小企業のM&Aで用いられる手法・スキーム

一口にM&Aといってもさまざまな手法があり、事業規模や事業内容、会社の状態に応じて使い分けることが大切です。

中小企業のM&Aではどういった手法が用いられることが多いのか、代表的なものをご紹介します。

株式譲渡

株式譲渡は中小企業のM&Aにおいて一般的な手法のひとつです。

その名の通り、買い手企業が売り手企業の株式を購入することで経営権を取得する方法であり、企業そのものを買収するため手続きが比較的簡単です。

事業譲渡

事業譲渡とは、売り手企業が持っている一部または全ての事業や部門、資産などを売却する手法です。

会社そのものを売却する手法ではないため、経営権は残したまま収益性の低い事業や不採算部門など、一部の事業や資産を選んで売却できます。

会社分割

会社分割とは、事業譲渡のように一部の事業を他社に移転させる方法です。

事業譲渡の場合、事業に必要な許認可や契約は取り直す必要がありますが、会社分割の場合は包括承継が可能であるためそのまま引き継ぐことができます。

合併

合併とは、複数の企業を一つに統合する方法です。

経営規模の拡大やシナジー効果を高めるために用いられることが多く、一方の企業が他方を吸収する吸収合併と、複数の企業が解散したうえで新たに会社を設立する新設合併があります。

株式交換

株式交換とは、買い手企業が売り手企業の株式を取得する代わりに、自社の株式を売り手企業の株主に交付する方法です。

株式移転

株式移転とは、新たに設立する会社が複数の売り手企業の株式を取得し、新規設立会社の株式を売り手企業の株主に交付する方法です。

中小企業のM&Aの流れ

中小企業のM&Aはどういったプロセスを経て進められるのでしょうか。

戦略の策定

M&Aを成功させるためには、明確な目的や戦略を策定することが重要です。

なぜM&Aを行う必要があるのか、その他の手法も含めて本当にM&Aがベストな選択肢であるかを検討し、成長戦略や目標を具体的に設定しておきます。

目標や戦略を策定しておくことで、どういった企業をターゲットとしてM&Aを行えば良いのかも見えてきます。

ターゲット企業の選定

策定した自社の戦略にマッチする企業をリストアップし、事業内容や業績、市場におけるポジションなどを分析します。

ターゲット企業の選定には業界知識や市場調査が必須であり、自社だけではリストアップが難しいことも多いでしょう。

そのため、M&A仲介業者をはじめとした専門家のアドバイスを受けることも有効です。

初期接触と意向表明

ターゲットとなる企業が決まったら、初期接触を行いM&Aの意向を表明します。

通常、秘密保持契約(NDA)を締結したうえで情報交換を行います。

相手方に前向きな意向が見られればM&Aの基本条件について大まかな合意を得ます。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、相手先企業についてさまざまな調査を行うプロセスです。

具体的には財務や法務、税務、労務管理など多岐にわたり、M&Aを行ううえでのリスクや価値を評価します。

価格交渉と最終合意

デューデリジェンスの結果に問題がなければ、相手先企業との価格交渉を行います。

買収価格や支払い条件、契約条項について詳細に交渉し、双方が納得する合意を目指します。

価格交渉が完了したら最終合意書を作成し、正式な契約を締結します。

取引の実行

最終合意が得られた後は、株式譲渡や事業譲渡などの手続きを進め必要な許認可を取得します。

PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)

PMIとは取引後の統合プロセスのことを指し、一連の流れの中でも特に重要なプロセスといえます。

M&Aの成否は企業文化の統合や組織再編、システムの統合などが円滑に進み、シナジー効果を最大化できるかどうかにかかっています。

PMIの段階では、コミュニケーションを重視し、従業員の不安や疑問を解消しながら円滑な統合に向けて準備を進めることが大切です。

関連記事:中小企業のM&A 主な種類や注意点、流れをプロが解説

中小企業におけるM&Aの価格の決め方は?

中小企業のM&Aにおいては、適正な方法・評価のもとで売却価格を決めることが大切です。

市場価格から決める

1つ目は、過去の取引事例や株式市場などの相場をもとに取引価格を決定する方法です。

過去に行われた類似企業のM&A取引事例を参考にして価格を決定する「類似取引法」や、株式市場での取引価格を基に企業価値を評価する「市場価格法」などがあります。

収益から決める

2つ目は、現在の業績や収益などをもとに企業価値を評価し、取引価格を決定する方法です。

具体的には、将来予想されるキャッシュフローを現在価値に割引いて企業価値を評価する「DCF法」や、企業のEBITDA(税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた値)に業界平均の倍率を掛けて企業価値を評価する「EBITDA倍率法」があります。

資産から決める

3つ目は、企業が保有している資産をもとに取引価格を算定する方法です。

総資産から負債を差し引いた純資産を基に企業価値を評価する「純資産法」や、企業が解散した場合の資産売却価値を基に算出する「清算価値法」などがあります。

その他の要因

上記3つの決め方以外にも、M&Aによって得られるシナジー効果を考慮したり、業界全体の成長性や市場環境、経済の安定性などをもとに総合的に判断し取引価格を決定するケースも少なくありません。

関連記事:中小企業における事業承継とは|M&Aによって解決できる課題とは

中小企業M&Aの失敗事例

M&Aを成功させるためには、過去の失敗事例を参考にしながら学ぶことも大切です。

どういった失敗事例があるのか、3つのケースをご紹介しましょう。

情報漏えいによって交渉が打ち切りとなった事例

M&Aを進める際には秘密保持契約(NDA)を締結するのが一般的であり、買い手と売り手双方には厳格な情報管理が求められます。

しかし、ある企業ではその重要性を十分に理解しておらず、最終契約の目前で売り手企業の従業員が取引先に対しM&Aを行うことを暴露。

これによって信頼関係が崩れ、買い手企業から交渉が打ち切られてしまいました。

M&Aにおいては相手先企業との信頼関係を維持することが何よりも重要であり、特に情報漏えいには細心の注意を払う必要があります。

M&Aの着手が遅れたことで失敗に終わった事例

中小企業のM&A失敗例として特に多いのが、着手や準備の遅れが原因となるケースです。

ある企業では売上の低迷などによって資金繰りが急速に悪化し、経営者は資金調達のために毎日奔走していました。

やがてM&Aも検討しはじめ弁護士に相談をしましたが、経営状態があまりにも深刻化していたため買い手企業との交渉はまとまらず不成立に終わっています。

このような失敗を防ぐためには、経営状態が深刻化する前の段階で、できるだけ早めに専門家やM&A仲介業者へ相談しておくことが大切です。

不誠実な対応が原因で交渉が打ち切りとなった事例

経営者の中には、実際にM&Aを進める過程で会社を手放すことが惜しくなるケースも少なくありません。

ある企業では基本合意の締結まで進んでいたものの、その後の段階で譲渡条件の変更を要求してきました。

これに対し買い手企業は不信感を抱き、これ以上の信頼関係を維持していくことは難しいと判断し交渉が打ち切りとなってしまいました。

信頼関係を維持するためには、お互いが誠実な態度で交渉を進めていく必要があります。

まとめ

中小企業が抱える人手不足や後継者不足、コスト高に伴う経営環境の悪化など、さまざまな問題を解決するためにM&Aは有力な手段となります。

中小企業のM&Aには株式譲渡や事業譲渡をはじめとして、さまざまな手法・スキームが用いられますが、専門家の意見も踏まえながら自社に合った方法を検討することが大切です。

また、M&Aでは買い手と売り手双方の信頼関係が重要であり、特に情報漏えいや不誠実な対応が目立つと交渉そのものが決裂する可能性もあるため十分な注意が必要です。

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