2024年2月28日

中小企業のM&A 主な種類や注意点、流れをプロが解説

金森 俊亮

監修者

金森 俊亮

公認会計士・税理士・金森俊亮税理士事務所代表

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中小企業のM&A

M&Aは中小企業の後継者不在の解決や事業の拡大など、さまざまな経営課題の解決に有効な手段ですが、成功には慎重な計画と専門知識が必要です。この記事では、M&Aの主な種類や流れ、注意すべきこと、当社を介したM&A成功例など、M&Aを検討する際に押さえておくべきことを解説しています。

中小企業のM&Aとは

M&A(Mergers and Acquisitions/合併と買収)とは、事業の一部あるいはすべてを、第三者の企業・個人に譲渡することです。中小企業の場合、主に後継者が不在で贈与・相続が困難なケースにおいて、事業を存続し継承するための有効な選択肢となります。

日本の中小企業において、また日本経済や社会にとっても、後継者不在問題は非常に大きな課題です。後継者不在の中小企業は廃業せざるを得ず、廃業した事業者のうち黒字廃業の比率が約6割となっています(※)。この課題解決なくして事業の継続は困難で、見通しが立たない場合には事業の存続や発展が望めません。 
※中小企業庁「中小M&Aの意義」

中小企業の廃業は従業員の失業や、取引先などの関連会社の混乱など、地域社会にマイナスの影響を与えます。このような事態を避けるため、官民協力の元中小企業への支援策の充実、施策がさまざまに進められています。国の後押しも追い風となり、中小企業における事業継承を目的とした第三者へのM&Aは、一般的なものと認識されはじめており、活発に行われるようになってきました。近年増加しているM&Aマッチングサイトや、中小企業のM&Aに強い仲介会社などの支援機関・支援事業者の登場も、このような動向の推進力となっています。

また、成長戦略として中小企業のM&Aに意欲的な企業も数多く存在します。既に実績や顧客を持つ事業を継承することは、新たに事業を立ち上げるよりも効率がよく、低リスクである可能性が高いというのがその理由です。更には、会社だけでなく個人が既存事業をM&Aで起業するというケースも増えてきています。事業拡大を目指す企業や、起業したい個人にとっても、中小企業のM&Aは合理的な手法なのです。

中小企業のM&Aが増加する背景

2025年には日本国民の5人に1人が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会を迎えます。超高齢化社会がもたらす諸問題は「2025年問題」と呼ばれ、中小企業の経営者年齢の高齢化・後継者不在の根本的な事由のひとつです。

経済産業省の資料によると「2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人、となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定」と見込まれています(出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者における M&Aの現状と課題」)。

M&A件数の推移

高齢化や後継者不在が中小企業における経営課題として顕在化する中、M&Aが増加する背景にはいくつかの要因があります。

後継者不在の解消 
高齢化が進む中で、多くの中小企業経営者が引退を迎える一方で、事業会社の後継者が不在となるケースが増加しています。このため、事業の存続を望む経営者は、M&Aを通じて事業を第三者に引き継ぐことで解決策を模索します。

就任経緯別推移

経営資源の有効活用 
高齢化や後継者不在により、中小企業の経営資源が有効に活用されず散逸されるリスクがあります。M&Aを適切に実施し事業が引き継がれることで、経営資源を有効に活用した成長が期待されています。

成長戦略の一環としてのM&A 
一部の中小企業は、M&Aを成長戦略の一環として積極的に活用しています。特に、後継者不在や経営課題を抱える中小企業を買収することで、市場シェアの拡大や新たな事業領域への進出を図る企業が増えています。

資金調達とリスク分散 
M&Aは、資金調達の手段としても機能します。例えば、事業売却を目的として、ベンチャー企業を創業するケースです。事業譲渡で得た売却益を原資に、新たなビジネスを興すことも可能です。また、売却資金で引退後の生活を安定させるといった目的も考えられます。譲受側は買収先の中小企業の資産や事業を活用することで、新たな成長機会を得るだけでなく、リスクを分散につなげることも可能です。

これらの要因から、後継者不在や経営課題を抱える中小企業がM&Aを通じて解決策を見出す事例が増えています。また、経済的な企業価値の最大化や持続可能な成長のために、中小企業のM&A活動が増加しているといえるでしょう。

中小企業M&Aの種類 

中小企業のM&Aには、いくつかの種類があります。実務上よく使われる手法として「事業譲渡」「株式譲渡」があるほか、「会社分割」「合併」「業務提携・資本提携」などがあります。

中小企業のM&Aの実施形態を見ると事業譲渡が41.0%と最も多く、続いて株式譲渡が40.8%と、この2つで全体の8割強を占めます。いずれの手法も、譲渡元と譲渡先が合意した条件に基づいて実施されます。目的や戦略に応じて、最適なM&Aの形式を選択することが重要です。

ここからは、主な手法である「事業譲渡」「株式譲渡」について解説します。

中小企業M&Aの割合

事業譲渡 
「事業譲渡」とは、企業が特定の事業部門や資産を売却することにより、事業の一部(土地、建物、機械設備などの有形な資産・負債、また、ノウハウや知的財産権などの無形なものも含みます)を別の企業に譲渡することです。中小企業における事業譲渡は、経営者の後継者不在や経営課題の解決、事業の再編成などの場合に利用されます。事業譲渡の過程では、譲渡される事業の評価、譲渡価格の決定、契約条件の交渉などが行われます。

事業の一部を譲渡するケースでは会社そのものを売却するわけではないため、譲渡(売り手)側の経営者は、M&A後も事業の一部を手元に残すことも可能です。一方、譲受(買い手)側としては、特定の事業・財産などを選択的に継承することが可能となり、簿外債務や偶発債務などのリスクを回避しやすくなるというメリットがあります。

ただし、資産、負債、契約などを個別に移転するため、契約関係の再締結や許認可などの再取得、不動産を含む場合には登記手続など、手続きが煩雑になる面も考慮しておく必要があるでしょう。

株式譲渡 
「株式譲渡」とは、譲渡側(売り手)の株式を、企業や個人など別の譲受側(買い手)へ譲渡することを指します。通常、株式譲渡は株式の売買取引として行われ、譲受側(買い手)が株式の所有権と経営権を得ます。譲渡される株式の割合や価格、及び譲渡条件は、譲渡契約に基づいて取り決められます。ただし、基本的に中小企業の株式譲渡においては、基本的には譲受側(買い手)からすべての株式取得を求められます。

株式譲渡の場合は株主が変わるだけで、会社組織はそのまま継承することになります。したがって、資産・負債・従業員や、社外の第三者との契約、許認可等は原則的に存続します。株式の売買取引によってM&Aが完了するため、他のM&Aの手法よりも工程がシンプルな手続きといえるでしょう。

このような仕組みのため、譲渡側(売り手)としては雇用や取引先に与える影響が相対的に少なく、税負担が約20%(個人株主の場合)と少ない点もメリットといえます。譲受側(買い手)としては、未払残業代などの貸借対照表上ではわからない債務(簿外債務)や、紛争に関する損害賠償債務などの将来的に発生し得る債務(偶発債務)もそのまま引き継ぐことになる点は注意が必要です。

中小企業のM&Aのメリット

双方のニーズが一致することで、M&Aの成約可能性は高まります。ここで、M&Aを活用するメリットについて、売却側と買収側とに分けてみていきましょう。これらのメリットを活用することで、中小企業はM&Aを通じて事業の持続可能性や成長を実現することができます。

1.売却企業側のメリット

M&Aの売り手企業の目的には、会社存続や従業員の雇用継続、リタイア後の生活の安定などがあります。主な会社売却メリットを売却企業側から見ていきます。

後継者問題の解決 
後継者が不在の中小企業が廃業を回避するため、M&Aで経営権の売却をするケースは多くあります。買い手企業に経営を託し、後継者問題を抜本的に解決することが可能です。

リタイアを考える経営者の、金銭不安の払拭 
経営者が高齢などの理由で引退を考えている場合、事業を売却することでリタイアメントの実現がかない、同時に譲渡対価を得て今後の生活資金を調達できます。会社借入金も引き継ぐことにより、自宅などの担保や個人連帯保証が解除されるため、安心してリタイアできます。

従業員の雇用を守れる 
買い手に雇用もそのまま引き継いでもらうことで、働いている従業員の雇用が守れます。失業率が高く、中高年の再就職が厳しいなか、これは大きなメリットといえるでしょう。雇用関係の継続可否は締結する条件によって変わりますが、多くのM&Aのケースにおいて譲渡企業で働いていた従業員の雇用は維持されているとの調査(※)もあります。

※(株)東京商工リサーチ「中小企業のM&Aに関するアンケート調査」

顧客や仕入先との取引が継続できる 
経営者が引退しても会社が存続するため、取引先などの混乱や影響を抑えることができます。

買い手による会社の成長・発展が期待できる 
優良な相手企業に会社を託すことで、ノウハウが継承されたり新しく導入されたりして、会社が成長・発展していくことも期待できます。例えば、IT化の推進、業務の見直し・経営の効率化が図られるといったケースがあります。

2.買収企業側のメリット

買い手にとって、M&Aは事業の成長戦略のための有効な施策です。売り手側の経営資源を獲得し、既存事業の強化や新規事業の立ち上げなど、企業の成長戦略に活用できます。主なメリットを買収企業(者)側から見ていきましょう。

経営資源(人材・技術・ノウハウなど)の獲得 
買い手側は買収によって、売り手側が持つ経営資源を獲得できます。ここでいう経営資源とは、土地、建物、機械設備などのほか、技術、知的財産権、ノウハウ、人材、販路や顧客の基盤、ブランド力など、有形無形の資産を指します。

市場シェアの拡大、事業領域の多様化 
今の事業を大きく成長させたい、あるいは新しい事業を立ち上げたい企業にとって、既存事業を買収することはリスクやコストを抑える有効な施策です。買収によって事業のリスクを分散し、収益の安定化を図れるほか、既存事業とのシナジー効果を生み出すことも可能です。

中小企業のM&Aのデメリット

中小企業がM&Aを活用するデメリットについて、売却側と買収側とに分けて見ていきます。

1.売却企業側のデメリット 

中小企業がM&Aを活用する際には、譲渡(売り手)側にもいくつかのデメリットが存在します。以下に、その主なデメリットを挙げます。

条件によっては譲渡先が見つかりにくい 
事業の魅力や立地、市場状況、売却条件などが合わない場合、適切な買い手が見つけづらい場合があります。また、最悪の場合は見つからないこともあります。

希望条件や価格で売却できないことがある 
会社(事業)を売却する際の価額は、需要と供給のバランス、将来性、交渉力などが影響して、売却価格や条件が下落する可能性があります。その場合、売却企業側が期待していた収益を得られないというケースもあります。

取引先や顧客に不安・不信感を与える可能性 
M&Aによる売却は、取引先や顧客に影響を及ぼす場合があります。新しい所有者や経営者による経営方針の変更や、企業のイメージや信頼度の変化が、顧客や取引先に不安や不満を抱かせる要素になり得ます。このデメリットを軽減するためには、適切なタイミングで顧客や取引先に説明を行うことが非常に重要です。

従業員のモチベーションの低下 
新しい所有者や経営者による経営方針や労働条件の変更が行われる場合、従業員にネガティブな影響を及ぼすことがあります。組織文化や労働環境の変化によって、離職率の上昇や生産性の低下などの問題が懸念されます。

M&Aの交渉中断、白紙になる可能性 
何らかの理由により交渉が中断される、あるいは無効とされる状況が発生することがあります。理由としては、価格や条件の不一致、デューデリジェンス(買収監査)によって発覚した問題やリスク、財務条件の変化、企業文化や経営方針の違いなどが挙げられます。交渉の中断や無効は時間やリソースの大きな無駄となるため、そうしたリスクを最小限にするために、事前の準備や検討を十分に行い、少しでも不安があれば専門家と協議するといった取り組みが求められます。

2.買収企業側のデメリット 

続いて、譲渡(売り手)側の主なデメリットを見ていきます。これらのデメリットは、適切なリスク管理や戦略的な計画を行うことで、最小限に抑えることができます。

投資額が多くなりがち 
M&Aを通じて他社を取得する際、多くの資金が必要です。これは買収対象が中小企業であっても同様で、独自の技術、将来性、取引条件、財務状況などを勘案してみると予想以上の投資額になったというケースもあります。過剰な投資は財務リスクを高めるだけでなく、買収後の収益性や収益成長にも影響を与える懸念があります。

組織文化や環境の変化による、従業員間の摩擦 
経営方針や文化が統合される過程で、従業員間の摩擦が生じることがあります。これによる人材の流出(離職)や、組織の生産性が低下するリスクが生じます。

成立後に簿外負債などの重大なリスクが表面化する 
買収前のデューデリジェンス(買収監査)で見落とされたり、適切に評価されなかったりしたリスク要因が、M&A成立後に未払残業代のような簿外負債や訴訟による損害賠償金のような偶発債務が表面化することがあります。

中小企業M&Aを成功に導くポイント

M&Aにおける成功とは、最終契約の締結・決済ではありません。M&A後に事業が円滑に継続され、企業として更なる成長に向かっていけるかどうかが重要です。以下のポイントを考慮することで、当初に設定したM&Aの目的を実現すること、すなわちM&Aが成功する可能性が高まります。

戦略的な目的の設定 
M&Aの目的が不明確だと、適切な取引相手を選ぶことが難しくなります。M&Aを行う前に、事業継承や拡大などの戦略的目的を明確に設定することが重要です。

売り手側が事業継承を目的とする場合、親族や社内役員などへの承継(相続や贈与)といった、M&A以外の方法も考慮できます。買い手側は、例えば、市場シェアの拡大、新たな技術やノウハウの獲得、業界内での競争力の強化などが目的となるでしょう。

買収前の適切なデューデリジェンス 
M&Aの目的を実現させ、また、円滑な組織融合を行うために、十分なデューデリジェンスを行うことが不可欠です。デューデリジェンスとは、買収先の財務状況やビジネスリスク、法的や労務的な問題などを評価して、隠れた問題やリスクを事前に把握するために行う調査のことで、主に譲受側がファイナンシャルアドバイザー(FA)や士業などの専門家に依頼して実施します。

文化や価値観のマッチング、ステークホルダーとのコミュニケーション 
買収後の統合プロセスにおいて影響を与えることがあるため、両者の文化がマッチングしているかは重要な項目です。従業員や顧客、取引先などのステークホルダーとの適切なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、変化に対する理解を得る必要があります。

中小企業M&Aのおおまかな流れ

M&Aが完了するまでには、買い手・売り手の双方でさまざまな意思決定や手続きが必要です。M&Aの流れをおおまかにつかめるよう、6つのSTEPに分けて解説します。

中小企業M&Aの流れ

STEP1.事前準備 
まずは、事前戦略の決定です。M&Aの目的が定まっていないと、候補の選定や交渉のポイントがぶれやすく、「M&Aは成立したものの思ったような効果は得られなかった」というケースも見られます。当初の目的を達成するためには、専門家の知見に頼るのはもちろんのこと、自社にとっての将来の方向性も確立しておかなくてはなりません。

買い手側は目的、予算(上限・下限)、資金調達の方などを、売り手側は自身の事業の価値評価、譲渡後のステークホルダー(従業員・顧客・取引先など)に対する希望など、決めるべきことを洗い出し、内部で協議を行います。

STEP 2.仲介会社や専門家を選ぶ 
相手候補(買い手・売り手)を見つけるにあたって、中小企業のM&Aの多くは専門家のサポートを受ける必要があります。公的機関や士業への相談のほか、特に近年はM&A仲介会社やM&Aマッチングサイトの利用が盛んです。どこまでサポートしてくれるのか、報酬体系はどうなっているか、報酬支払いが生じるタイミングはどの時点なのかなど、内容を十分に精査して選びましょう。

STEP 3.相手候補の選定 
仲介社(者)が決まったら、要件にかなう相手候補の選定を行います。M&A仲介会社のサポートを受ける場合は、仲介会社とファイナンシャル・マネジメント契約(FA契約)を締結することになります。

売り手は事業情報をまとめた資料を仲介会社に提出します。仲介会社は売り手から提供された情報を、企業が特定されない範囲でまとめた匿名の資料(ノンネームシート)を作成します。買い手はノンネームシートを基に自社が興味のある企業を選定していくことになります。

ノンネームシートには売り手側の最低限の内容が記載されるもので、記載例としては、売り手の業種(業界)・地域・従業員数・売上高・営業利益・譲渡理由・譲渡希望時期などがあります。

STEP 4.基本合意書の作成・締結 
相手先との面談などで、売り手・買い手の双方が条件を出し合い交渉を進めます。話がまとまったところで、基本合意書(MOU)の作成・締結に移ります。

基本合意書にはM&A成立までの手続きの流れ、デューデリジェンスの協力、取引価格や独占交渉権の確認、秘密保持などが盛り込まれます。基本合意書は一部の条項を除き、一般的に法的拘束力を持ちませんが、ここまでの合意内容がお互いの確認の元で残されるため、締結することでM&Aが成立しやすくなります。

STEP 5.買い手側によるデューデリジェンス(DD)の実施 
買い手側によるデューデリジェンス(買収監査)が行われます。これは譲受しても問題がないか、財務・法務・事業内容・労務内容など、あらゆる面において調査するものです。調査には、譲受企業もしくは依頼を受けた専門家が出向きます。

スケジュール内でスムーズに完了させるために、売り手側は資料準備や質疑応答を求められたら積極的に協力する必要があります。

STEP 6.最終合意・クロージング(譲渡・譲受) 
これまでの合意内容と、デューデリジェンスで明らかになったリスクなどを踏まえて、買収条件についてすり合わせを行います。最終交渉の結果、M&Aが成立する場合には、正式に最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書)を締結します。先の基本合意書とは異なり法的拘束力を持つため、締結後の変更は困難になりますので、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めなければなりません。

最終契約書の締結がされても、即座に決済が行われるのではなく、引継手続きのための準備期間を設けるのが一般的です。

中小企業M&Aの成功事例5選

最後に、M&Aベストパートナーズがお手伝いした中小企業のM&A事例をご紹介します。

介護業界の未来を見据えたM&Aへの決断
会社名:株式会社樫の木
業種:グループホーム、有料老人ホームなどの運営
M&Aで達成した内容:更なる事業の成長・拡大、人材確保

五期連続の赤字と債務超過により経営が厳しい状況にあるなか、父親の病気をきっかけに経営を引き継ぐことになった冨樫氏。介護事業についての知識はほとんどなかったにも関わらず、社長就任時から14期連続で増収を続けました。その一方で、自社だけでなく周囲の事業所も含めた介護業界の限界を感じ始めていたそう。現状を打破するためのM&Aを進める中で、氏が大事にしたことと、譲れない条件とは。

https://mabp.co.jp/story/10847

お互いが独立性を保ちつつも、メリットを享受できる関係性の構築
会社名:合資会社真栄田組
業種:とび土工工事(足場工事ほか)、土木工事、建築工事
M&Aで達成した内容:事業の拡大、資材の共有

沖縄県名護市で55年もの歴史を持つ地場の老舗企業。ここ10年ほどで県内における公共工事の予算は減少の一途をたどり、義卓氏は生き残りをかけてM&Aを模索します。100%の株式譲渡も覚悟していましたが、M&Aベストパートナーズが間に入った結果、株式譲渡が35%に留まる「業務提携」を実現。真栄田組の自主性を守られた上で、親和性もあってお互いにメリットが出るような提携となりました。

https://mabp.co.jp/story/8873/

第三者割増増資のM&Aで家族経営の未来が開けた
会社名:株式会社翠豊
業種:大断面集製材加工・建設業、山林及び丸太の売買、植林・育林・除伐・間伐・伐採業務、太陽光発電設備工事及び太陽光発電事業
M&Aで達成した内容:事業拡大・同族経営からの離脱

祖父の代より引き継いだ林業を元に、父と2人で始めた会社は大断面集製材加工で大成。父が引退した年齢に自身が近づいたことで、会社継承に不安を覚えたそうです。当初は100%株式譲渡を検討していた社長でしたが、先方にキーマンとしての経験や技術を買われ、株式の一部を出資してもらう「第三者割当増資」で契約が成立しました。

https://mabp.co.jp/story/5644/

3代続く盤製造の事業拡大、継承M&Aが最適な選択肢に
会社名:松栄電機株式会社
業種:配電盤・分電盤・制御盤の設計/製作
M&Aで達成した内容:事業の継続・従業員の継続雇用、盤製造の取引先拡大及び生産能力増強

父から社長を引き継ぐため、営業部長からスタートし、経営を学んでいった新堀氏。40代半ばから将来について真剣に考えるようになり、事業継承者がいないことや家族のための準備の必要性を感じていました。また、松栄電機には事業規模を拡大する必要性を感じ、従来から起業意識もありました。知人のM&A成功例からインスピレーションを得て、「M&Aなら課題が一気にまとまる」と感じたと、新堀氏は当時のことを語ります。

https://mabp.co.jp/story/6978/ 

これまで通り地域に根づいた調剤薬局であり続けたい
会社名:有限会社アトムメディカル
業種:調剤薬局
M&Aで達成した内容:大手傘下入りによる安定的な経営・薬剤師の雇用確保

神奈川県内で典型的な家族経営の調剤薬局を営んでいた後藤氏。ドラッグストアやOTC医薬品(一般用医薬品及び要指導医薬品)を扱う量販店、大型店の24時間営業化などにより、個人経営・家族経営の調剤薬局に、先行き不安を覚えていました。大企業でありながら社風の近い調剤薬局との出会いがあり、初面談からわずか4ヶ月という異例のスピードで、株式譲渡契約が結ばれました。

https://mabp.co.jp/story/4743/

まとめ

中小企業のM&Aは、現在直面している課題に対応する手段のひとつです。ただし、そのプロセスは専門知識が必要な場面が多いため、優良な仲介会社や専門家のサポートの活用がカギとなるでしょう。当初期待した効果目標を達成するために、また、理想的な相手候補を見つけるため、更にはM&A以外の解決策を模索する上でも、専門家のアドバイスは有効です。

監修者

金森 俊亮

公認会計士・税理士・金森俊亮税理士事務所代表

2009年公認会計士試験に合格。 2020年7月に金森俊亮公認会計士事務所を設立し同年9月には税理士登録が完了。会計監査等で様々なM&Aを経験。現在は農協を中心に非営利法人への会計監査も実施している。 所属団体は、公認会計士協会三多摩会、東京税理士会立川支部、立川商工会議所

M&Aストーリー

M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

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