M&Aストーリー M & A Story
介護業界の未来を見据えたM&Aへの決断。

介護業界の未来を見据えたM&Aへの決断。

会社名
株式会社樫の木
業種
グループホーム、有料老人ホームなどの運営
M&Aで達成した内容
更なる事業の成長・拡大、人材確保
M&Aアドバイザー
菊池 風雅

M&Aに至る背景父の会社を継いで年商5億円に。そんな中で感じた現状維持の限界

M&Aに至る背景
冨樫氏率いる「株式会社樫の木」の歴史は、平成16年11月に始まる。

創業者である冨樫氏の父親は、もともと医療機器の販売や調剤医薬品の事業を手掛けており、医療業界にかかわる中で介護事業への可能性を見出し、この分野に新たに会社を設立して参入することを決断したのだ。

最初は「1ユニット」という小規模な形態からスタートし、翌年には「2ユニット」へと事業を拡大していく中で、平成19年には、有料老人ホームの設立を果たすことができた。

しかし、事業は容易ではなく、五期連続の赤字と債務超過に陥ったことで、経営は非常に厳しい状況に追い込まれていた。その困難な時期に、現社長の冨樫氏が事業を引き継ぐことになり、平成21年12月、父親の病気をきっかけに社長職を継承して、経営者として舵を取っていくことになったのだ。

この当時、冨樫氏は金融機関に勤めていたため、介護事業についての知識はほとんどなかったが、父親からの2度にわたる打診を受け入れ、新たなキャリアへと踏み出すことに対して覚悟を決めたのだと、冨樫氏は振り返った。

冨樫氏が社長に就任した時点で、株式会社樫の木の従業員はわずか30数名という状況だったが、現在の従業員数は約85名にまで増加しているほか、社長就任時から14期連続で増収を続け、令和6年1月現在には年商5億円を超える規模にまで成長を実現したのである。

先述の実績を実現できたのは、「強い当事者意識による現場理解」と「金融機関での経験を生かした事業計画の策定」にあると冨樫氏は分析している。

特に「強い当事者意識による現場理解」においては、従業員と近い距離で毎日のように会話を積み重ね、対話を重視した行動を意識的に行うことや、セミナーへの積極的な参加や施設清掃の徹底などにこだわり続けてきたことを大切にしている点として挙げていた。
その他にも、福祉用具の販売や人材紹介会社の立ち上げなど、付帯事業の展開も積極的に行うことで、事業の多角化を図っていったのである。

社長就任からの大きな成長は、様々な経営努力や従業員の努力の賜物だったが、事業が順調に拡大する一方で、介護業界の報酬が頭打ちになっている点や、人員の確保が難しくなってきていることから、自社だけでなく周囲の事業所も含めた介護業界の限界を感じ始めていた。

また同時に、現状維持は衰退の始まりだという考えのもと、少しずつでも成長していかなければならないという思いも抱いていたのである。

M&Aの経緯事業を売却するだけがM&Aではない。地域のために、そして職員のために。

M&Aの経緯

この状況を打破するための可能性を見出すべく、M&Aを検討することになったのだが、これは「単に会社を売却する」だけではなく、地域社会への貢献のため、そして職員のため、同業を含む「介護業界のさらなる拡大を目指す決断」として進めていくのだと、決意を固めて動いていくこととなる。

冨樫氏がM&Aの検討を始めるきっかけになったのは、会社が年商5億円を超える規模になった頃から増えていた、同業他社からの相談内容に起因している。
社長が高齢化している会社や、後継者不在の会社、業績が伸び悩んでいる会社などから、「うちの事業を買い取ってくれないか」と相談されるのだ。

しかし、「他社を買収すれば、それだけ自社の事業もスケールアップしていかなければならない。」という責任を感じ、助けたい気持ちを抱えつつも、踏み切ることができなかったのだ。

ここから冨樫氏は、自社の未来と地域貢献のために本格的にM&Aの可能性を視野に入れ、その頃連絡のあった複数の会社にアポイントメントを取っていった。
とはいえ、彼がもっとも望んでいたのは、「単に会社を売却するだけ」ではなく、「地域と従業員、そして同業他社のためにより良い選択をする」ことで、「介護業界のさらなる拡大を目指す」ということだった。

当初は「M&A=会社を売って引退する」というイメージが先行して、ためらいがあったものの、M&Aについて調べ、MABPの担当アドバイザー菊池の話を聞くなかで、これらの目標がM&Aを通じても実現可能であることを認識し、M&Aが単なる「会社の売却」ではなく、会社の成長、従業員の生活、そして地域社会を発展させるための手段であると確信した。

本格的にM&Aの検討を進めていく中で、冨樫氏が重視したポイントは、「自社の文化と価値観」を理解し、「尊重してくれるパートナー」を見つけるということだった。
従業員のことを第一に考え、地域社会に貢献することを最優先に考えてくれるような、自らのビジョンと合致できる譲受企業でないと話を進めることは難しいと考えていたのである。

そんな中、担当アドバイザーの菊池が冨樫氏のビジョンと合致する企業を繋ぎ合わせたのである。

M&Aの決断M&Aへの準備はすべて1人で。トップと会話して深く共感できたことが決め手に。

M&Aの決断
いよいよ譲受企業とのトップ面談が行われることになるが、そこに至るまでの準備では、面談までに必要な資料の作成や様々な交渉も、通常の業務の合間を縫うようにすべて冨樫氏が1人で対応していたのだ。
それは今回のトップ面談で「地域と従業員、そして同業他社のためにより良い選択をする」という冨樫氏のビジョンを伝えるという強い意志の表れだった。

迎えた1回目のトップ面談では、主に自社の介護施設を見学してもらい、会社の現状と将来のビジョンを共有する場となった。
双方にとって事業展開に対するイメージをつくる重要な機会となり、特に冨樫氏の経営に対する真摯な姿勢が相手側に伝わる結果となったのである。

しかし、真の共感と理解は、2回目のトップ面談で生まれることとなった。
面談の最中、会話のなかで出てきた「人がなによりも大事」や「現状維持は衰退の始まり」などの言葉が、富樫氏の重視している価値観と一致したのである。

冨樫氏は、「自分の考えと相手方の思いが一致することを実感すると共に、自社の従業員を守り、地域社会に貢献するというビジョンが、M&Aを通じて実現可能であるということも併せて実感し、M&Aという選択をして本当によかった」と当時を振り返りながら語った。

M&Aの決定に至るまでの過程では、富樫氏は菊池を間に挟みながら、相手方とコミュニケーションをとり、自分が譲れない条件については明確に説明し、理解してもらえるように努めた。

その条件とは「今いる従業員の雇用を守ること」「自身が引き続き会社の代表として関わること」という2点だった。
そして、この条件を相手方が受け入れたことで、無事にM&Aが成立した。

また、冨樫氏は新たな役割としてホールディングスの取締役に就任することになり、彼のビジョンと従業員への責任感は、新たな形で継続されていく。

今後は自社のサービスを見守りながら、新たな市場や事業機会を模索していくこととなるが、株式会社樫の木は、信頼のおける管理職に任せる範囲を増やしていく予定だ。

M&Aの振り返りと展望真面目に一生懸命やっていれば結果はついてくる。今後も地域と職員のために事業拡大を目指す。

M&Aの振り返りと展望
冨樫氏は、会社の将来に向けた明確なビジョンを持っており、今後も樫の木を含むホールディングス全体の成長と従業員の充実を重要視しながら、地域社会への貢献を目指している。
そんな彼のリーダーシップのもと、会社は新たな時代への一歩を踏み出し、持続可能な成長を追求し始めている。

また、冨樫氏はM&Aによって、地元山形県酒田市を中心に、近隣地域との連携を強化することに注力していきたいとも語る。

それは、横の繋がりを意識した地域間の連携が、従業員の協力体制を強化し、ホールディングス全体でより効率的なサービス提供を可能にすることで、必要な看護師や有資格者の配置がしやすくなり、地域全体の医療・福祉サービスの質の向上に繋がると考えているからである。

さらには、医療福祉分野を志している地域の若者たちが県外へ流出する問題にも注目し、彼らに安心して働ける環境を提供することで、地域の人口減少問題にも取り組みたいという。

株式会社樫の木は単なるビジネスとしてではなく、地域社会に積極的に貢献する企業としての役割を果たしていく予定だ。
冨樫氏の人柄は、M&Aを通じて出会った多くの関係者から高い評価を受けた。事業に対する彼の誠実さ、真摯な姿勢、そして思い描くビジョンが共感を呼んで、M&Aが決まったきっかけには相手方の「冨樫氏をグループに引き入れたいという想い」もあったという。

そんな冨樫氏の経営哲学は、単純ながらも強いメッセージを持つ。
彼の「真面目に一生懸命やっていれば結果がついてくる」という信念こそが、直面した多くの困難を乗り越え、会社を成長させてきた原動力なのだ。

冨樫氏は「仕事は私1人でできるものではなく、従業員が頑張ってくれているから成り立つもの。だからみんなのためにできることをやっていこうと思う」とも語った。

当社のM&A仲介としての仕事は一区切りついたが、よりスケールした事業のトップ層として活躍する冨樫氏に、今後もサポートを続けていく予定だ。

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