2024年6月17日

化粧品業界のM&Aの動向について|成功事例も紹介

MABPマガジン編集部

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健康や美容への意識が高まる中で、化粧品業界は安定的な成長を遂げています。

しかし、すべての企業の経営が順調とは限らず、先送りできない経営課題を抱えているところも少なくありません。

これらを解決する手段のひとつとしてM&Aが注目されていますが、売り手と買い手にはそれぞれどういったメリットがあるのでしょうか。

化粧品業界におけるM&Aの最新動向や成功事例も含めて詳しくご紹介します。

化粧品業界の現状

化粧品は食料品や生活雑貨などと同様に、社会生活を送るうえで欠かせない品目であることから景気に左右されにくい傾向がありました。

しかし、2020年のコロナ禍により外出の機会が激減し、テレワークが一般的な働き方として定着したこともあり化粧品の需要は低下。

一時的に化粧品業界全体の売上は低下し、化粧品メーカーは大きな打撃を受けました。

一方、ここ数十年の傾向を分析してみると、長引く不況により若年層ほど低価格の化粧品を選ぶ傾向が高く、客単価の低下に悩む化粧品メーカーも少なくありません。

スマートフォンとインターネットの普及によりEC(ネット通販)に力を入れる業界も多いですが、化粧品は肌との相性を確認したり、美容部員と相談しながら選びたいというニーズが高い傾向にあります。

実店舗が売上の主力である以上、人件費や店舗の維持費用も高騰し利益を圧迫するケースも少なくありません。

今後さらなる少子高齢化が予測されている中で、化粧品の需要は低下していく可能性が高く、各メーカーは従来のビジネスモデルからの転換が求められています。

化粧品業界におけるM&Aの動向

化粧品業界では、経営を効率化・安定化させるための手段としてM&Aに踏み切る企業もあります。

中小のメーカーや化粧品販売を手掛ける小売店などが同業他社と手を組み、事業規模の拡大を図るケースはもちろんのこと、近年では異業種と手を組む事例も増えています。

上記でもご紹介した通り、少子高齢化が進む日本において化粧品の需要は今後低下していく可能性が高く、化粧品という商材のみに絞って事業を継続していくことはリスクと考える経営者もいます。

そこで、食品メーカーや飲料メーカー、製薬メーカーなどと経営統合し、事業基盤の安定化と拡大を目指す企業も増えてきました。

化粧品メーカーにとっては化粧品以外の開発・製造を手掛けることで売上の安定化を図れるほか、自社で蓄積してきた製品開発の技術やノウハウを活かせる可能性が高いでしょう。

また、若年層は低価格帯の化粧品のニーズが高いことから、大手小売事業者が化粧品メーカーと手を組み、プライベートブランドの化粧品を開発し安価で売り出したという事例もあります。

関連記事:ヘルスケア業界におけるM&Aの動向とは?実施するメリットや事例についてご紹介

化粧品業界でM&Aを行うメリット

M&Aと聞くと「買収企業に会社を乗っ取られる」といったネガティブなイメージを抱きがちですが、実際には譲渡側と譲受側それぞれにメリットがあります。

譲渡側のメリット

化粧品メーカーや化粧品の小売店などには、人手不足に悩む企業も少なくありません。

従業員の不足はもちろんですが、将来の経営を担う後継者不足も深刻化しており、これを解決できなければ廃業をせざるを得ない企業も増えるでしょう。

しかし、M&Aによってほかの企業に経営を引き継ぐことにより、後継者不足の問題は解決でき、従業員の雇用も守ることができます。

また、譲渡側にとってはM&Aによって経営基盤を強固にし、売上や収益の安定化を図れることも大きなメリットです。

特に大手メーカーの傘下に入ることにより、資金や人材といった経営資源を有効に活用でき、事業のさらなる拡大につながる可能性があります。

譲受側のメリット

譲受側の大きなメリットとして挙げられるのは、既存の化粧品メーカーや小売事業者を買収することで、自社にない高度な技術やノウハウを獲得できたり、新たな販路の開拓がしやすくなる点です。

化粧品開発には多くの知見とノウハウが必要であり、一から技術を確立していくには多くの時間やコストがかかります。

化粧品を販売する小売事業者においても、販路の開拓や新規エリアへの進出は簡単なことではありません。

M&Aによって企業を買収できれば、これらの手間やコスト、時間を大幅に削減し経営の効率化を図れる可能性があるのです。

関連記事:化粧品業界ではM&Aが増えている?スキーム別の事例を紹介

化粧品業界でM&Aを行うデメリット

M&Aにはさまざまなリスクやデメリットがあることも事実であり、慎重な判断が求められます。

具体的にどういったことがデメリットとして考えられるのか、特に注意すべきポイントをご紹介します。

企業風土や文化の違い

企業の規模や経営方針、従業員の年齢・性別などによっても企業風土は異なり、異なる企業が合併することで会社の雰囲気が大きく変化することがあります。

また、合併を機に従業員の待遇が変わったり、働き方や仕事の進め方にも大きな変化が生じることもあるでしょう。

これらを受け入れられず、退職を余儀なくされる従業員も出てくることから、M&Aを行う際には従業員に対する丁寧な説明が求められます。

ブランドイメージの変化

M&Aによって会社を売却した後、自社のブランドを存続するケースもあれば売却先企業のブランドに統合されるケースもあります。

ブランド力が高まり売上アップにつながるケースもありますが、その一方で自社製品に対するイメージが変化し、他社の製品に乗り換えるユーザーも出てくるでしょう。

M&A後のブランド戦略はどう進めるのかも含めて慎重に判断することが大切です。

市場競争の激化

M&Aによって製品開発の方向性や戦略が変化すると、これまでよりもさらに激しい市場競争を強いられることもあります。

たとえば、若年層のユーザーを取り込むためには低価格帯の化粧品開発が有効といえますが、価格だけで勝負すると利益率が低下し、経営効率の悪化を招くリスクもあるでしょう。

M&A後は他社とどう差別化を図っていくのかを検討することも大切です。

法的・規制上のリスク

M&Aには法務や税務など専門的な知識が求められることから、専門家のアドバイスのもとでルールに則って進めていくことが大切です。

また、M&Aの契約が成立した後で簿外債務や取引先との不適切な契約などが発覚するケースもあることから、法的リスクがないかを事前に調査しておく必要があるでしょう。

化粧品事業の売却プロセス

実際にM&Aを進める際には、どのようなプロセスを経て契約を結ぶことになるのでしょうか。

今回は売り手である譲渡側企業の立場から、5つのプロセスに分けて順番に説明します。

1.売却戦略の策定

譲渡側の企業がM&Aを実行するためには、はじめに売却戦略を策定する必要があります。

M&Aを検討する理由や動機はさまざまですが、化粧品事業を売却することが本当に最善の判断なのか、他の選択肢も含めて慎重に検討する必要があります。

そのうえで、どういった企業に売却するのか、会社そのものを統合するのか、化粧品事業のみを売却するのかなどを考えます。

売却戦略は経営者個人で考えるのではなく、取締役も含めた経営陣全体で検討し合意しておくことが大前提となります。

2.バリュエーション

バリュエーションとは自社の企業価値を評価するための方法を指します。

会社または一部の事業を買い取ってもらう際、どの程度の価値があるのかを正確に算出しなければなりません。

バリュエーションでは、自社の純資産や利益などを根拠とし企業価値を割り出します。

会計や税務など専門的な知識が求められるため、バリュエーションは専門家に相談・依頼するケースが多いです。

3.買い手の選定

自社の経営を統合、または事業の引き継ぎ先となる買い手候補の企業を選定します。

売却戦略の中で具体的な買い手候補の企業が挙がっていれば、そこを第一候補として交渉を進めていくことになるでしょう。

もし具体的な企業名が挙がっていない場合には、M&A仲介会社に依頼し候補となる企業を選定してもらいます。

4.デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、買い手候補の企業が売り手企業の資産状況や法的リスク、会計リスクなどを事前に調査することをいいます。

デメリットでもご紹介した通り、M&Aでは契約が成立した後で簿外債務や取引先との不適切な契約などが発覚するケースも珍しくありません。

買い手企業にとっては大きなリスクであるため、これを防ぐためにデューデリジェンスは欠かせないプロセスといえるのです。

5.契約締結

双方の話し合いの結果、条件などがマッチすれば正式に契約の締結となります。

M&Aの方法によっても作成する書類は異なりますが、事業譲渡の場合は取締役会を経てから事業譲渡契約書を作成し契約を交わします。

関連記事:M&Aとは?目的や流れ、メリット・デメリットについて解説

化粧品事業のM&Aの成功事例

化粧品業界においてM&Aを行った企業は数多くありますが、今回は株式会社PDCの事例をご紹介します。

株式会社PDC

株式会社PDCは一般消費者向けのスキンケア製品ブランド「ピュアナチュラル」を展開している化粧品メーカーです。

ドラッグストアなどが主な販路であり、価格帯も手頃なため幅広い層に人気のブランドのひとつです。

2016年、ローヤルゼリーでおなじみの株式会社山田養蜂場がPDCとのM&Aを発表し、株式譲渡による経営統合に至りました。

山田養蜂場は通販での知名度は高い一方で、ドラッグストアなど実店舗の販路開拓に課題が残っていました。

一方、PDCも山田養蜂場がもつ通信販売のノウハウや販路を活用し、さらなる売上・収益の向上が見込めることから合意に至りました。

このように、自社の課題や弱点を解決するための手段としてM&Aを選択する企業も少なくありません。

化粧品業界のM&Aのまとめ

化粧品は日常生活に欠かせないものであり、不景気が続く中でも業界全体では順調な成長を果たしてきました。

コロナ禍によって一時的に市場は落ち込んだものの、現在では売上も回復し元の水準に戻りつつあります。

しかし、中長期的な視点で見ると少子高齢化によって化粧品の需要は低下していく可能性が高く、さらに近年では深刻な人手不足により会社経営そのものが困難になるというケースも増えています。

このような重要な経営課題を解決するために、M&Aは有効な選択肢のひとつに挙げられます。

企業風土や文化の違い、ブランドイメージや市場環境の変化なども慎重に見極めながら、持続的な成長が見込める企業とM&Aを検討してみましょう。

著者

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