2024年6月25日

アパレル業界のM&Aの成功事例や業界の最新動向について

MABPマガジン編集部

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紳士服や婦人服、子ども服など、アパレル業界にはさまざまなブランドやメーカーがあり、取り扱う商品も異なります。

物価高やライフスタイルの変化などもあり、近年のアパレル業界は大きな変革期を迎えています。

そのような中でM&Aに踏み切る企業も多く、事業規模の拡大や経営の安定化につなげた事例も少なくありません。

今回は、アパレル業界におけるM&Aの最新動向や成功事例などを詳しく解説します。

アパレル業界の現状

アパレル業界は数ある業種の中でも市場競争が激しく、時代とともにさまざまなブランド、メーカーが隆盛と衰退を繰り返してきました。

2000年代初頭から2010年代前半頃までは、長引く不況によってファストファッションが流行し、客単価の低迷などもありアパレル業界は苦戦を強いられてきましたが、2015年頃から徐々に売上も回復し安定的に推移していました。

しかし、2020年に入るとコロナ禍が直撃し、外出の自粛が求められたことで実店舗に訪れるユーザーが大幅に減少。

さらに、自宅で過ごす機会が増えたことでアパレル製品そのものの需要も一時的に低下し、業界は大きな打撃を受けることとなります。

2022年にはコロナ禍は収束してきましたが、今度は海外諸国の情勢悪化により物価高と円安に見舞われ、原材料費の高騰によってアパレル業界の利益率は減少傾向にあります。

このような厳しい経営環境を打破しようと、アパレル企業の中にはM&Aに踏み切るケースが増えています。

アパレル業界のM&Aの最新動向

M&Aを行う目的や狙いは企業によっても異なり、同業他社と手を組むケースもあれば異業種とM&Aを行う企業も少なくありません。

業界全体の傾向として、どういったM&Aが多く見られるのか最新の動向を解説します。

EC事業強化のためのM&A

アパレル製品といえば、実店舗に足を運んで商品を見定め、試着をして着心地を確かめたうえで購入したいというユーザーが多い傾向があります。

しかし、コロナ禍を機にネット通販の需要が高まり、その利便性に気づいたユーザーがリピートで購入するというケースも増えています。

そこで、これまで実店舗での販売が中心でEC事業を手掛けてこなかったアパレル企業が、EC事業のノウハウや専門性をもっている企業を対象にM&Aを行うケースがあります。

ターゲット層の転換を目的としたM&A

アパレル製品はユーザーの嗜好や好みが売上にダイレクトに反映される特性があり、性別・年齢層に合わせた製品開発が求められます。

特に昨今では少子高齢化の影響もあり、若年層だけでなくミドルシニアやシニア層を対象としたアパレル製品の需要が高まっていることから、市場の変化に対応するため同業他社とM&Aを行う企業も見られます。

サプライチェーン統合のM&A

深刻な人手不足や原材料価格の高騰など、アパレル企業を取り巻く経営環境は急速に悪化しています。

これを打破するためには経営の効率化が急務であり、サプライチェーンの統合を目的にM&Aを行う企業もあります。

IT化・DXを目的としたM&A

経営の効率化や生産性向上を目的として、IT化・DXに取り組む企業が増えています。

アパレル業界も例外ではありませんが、ITやデジタルといった分野の専門性がなく苦戦する企業も少なくありません。

そこで、M&AによってIT関連企業などと手を組み、DXを積極的に推進していく事例もあります。

異業種とのM&A

事業規模の拡大や経営の安定化を図るために、アパレル企業ではない異業種を対象としたM&Aも進んでいます。

たとえば、大手商社によるアパレルブランドの買収をはじめとして、新たな販路を拡大するために小売業者や流通業者と手を組む事例もあります。

関連記事:M&Aにおける経営統合と合併の違いとは?統合後はPMIが重要?

アパレル業界におけるM&Aの成功事例

M&Aによって事業規模拡大に成功した企業にはどういった事例があるのでしょうか。

株式会社ニッセン

長年にわたってファッション通販事業を展開してきたニッセンは、2016年にセブン&アイホールディングスの子会社となり通販事業の黒字化に向けて経営再建を図っています。

固定費の削減はもちろんですが、ニッセンの主要顧客層は40代から50代の女性が中心であったため、さらなる顧客基盤の拡大に向けて20代から30代の若年層ユーザーの囲い込みが大きな課題となっていました。

そこで、ニッセンでは2019年に株式会社マロンスタイルの株式を取得し子会社化。

マロンスタイルは、若年層女性を対象に大きいサイズのアパレル商品を取り扱う通販サイト「clette」を運営している企業です。

また、アパレル商品の企画・コンサルティング事業も手掛けていることから、新たな顧客層へのアプローチが可能となりシェアの拡大が期待されています。

関連記事:M&Aの目的を買い手・売り手の両視点から解説!課題やポイントも紹介

アパレル企業にとってのM&Aのメリット

M&Aを行うことで、アパレル企業にとってどういったメリットが期待できるのでしょうか。売り手と買い手それぞれの立場から考えてみましょう。

売り手のメリット

アパレル企業の中には、高品質の製品を作る専門的な技術をもっているにもかかわらず、思うように売上が伸びず経営不振が続いている企業もあります。

また、経営そのものは順調であっても、会社を引き継ぐ後継者がおらず将来に不安を抱えている経営者もいらっしゃるでしょう。

このような課題を解決できないと、最悪の場合廃業や倒産に至り、従業員や取引先に迷惑をかけてしまうことになりかねません。

そこで、M&Aによって外部の企業に経営を引き継ぐことにより、経営の立て直しが図れるほか、後継者に頭を悩ませることもなくなります。

買い手のメリット

買い手企業にとってのメリットは、事業規模の拡大や新たな市場への進出、さらには優秀な人材や高度な技術・ノウハウを取得できることなどが挙げられます。

たとえば、これまで紳士服の製造・販売を手掛けてきたアパレルメーカーが、若年層女性をターゲットとした製品を開発しようと考えてもノウハウがなく苦戦することもあるでしょう。

また、実店舗での販売をメインで展開していた企業が、EC事業に参入しようとしてもシステムの構築や運営、物流のノウハウがないというケースも考えられます。

自社が不得意とする分野を補完できるノウハウをもった企業を買収することで、強みを活かしながら共に成長していくことができます。

デメリットについて

M&Aは決してメリットばかりとは限らず、リスクを正しく理解しておかないと経営が悪化するおそれもあります。

たとえば、高度な縫製技術や卓越したデザインなどによって築き上げてきたブランドが、他社に買収されたことで品質が低下し、顧客離れを起こすケースも考えられます。

また、M&Aを機に対象顧客の幅を拡大した結果、ブランドに統一感がなくなったり、ブランドイメージが大きく変化するなどして顧客の信頼を失ってしまうリスクもあるでしょう。

このように、自社の経営を優先するあまり顧客のニーズを無視したM&Aを行ってしまうと、さらに経営を悪化させる要因にもなるため注意が必要です。

関連記事:アパレル業界の現状やM&Aの動向や目的、メリットについてご紹介

アパレル業界のM&Aを成功させるためのポイント

アパレル業界においてM&Aを成功させ経営の安定化を図るためには、どういった点に注意すべきなのでしょうか。

事前準備の重要性

アパレル企業がM&Aを行う目的はさまざまであり、目的に応じて交渉先や交渉の進め方なども変わってきます。

また、経営者の中にはM&Aそのものが目的化してしまい、相手先企業との交渉をまとめることがゴールと錯覚してしまうケースもあります。

そのため、M&Aを進める前の段階では自社が何を目的にM&Aを行うのかを明確化し、経営統合や合併後にどういった経営に取り組むのかを考えておくことも重要です。

仲介業者の選び方

M&Aでは法律に則って手続きを進めなければならず、高度な専門性が要求されます。

また、相手先の企業とも慎重な交渉が要求されることから、M&Aの仲介を行う専門の業者に依頼するケースが一般的です。

一口に仲介業者といってもその数は膨大であるため、過去の実績や対応地域、取り扱っている業種、法務や会計などの専門家が在籍しているか、仲介手数料などの条件を比較しながら選ぶことが重要です。

特にアパレル企業のM&Aでは、過去に同業のM&Aを取り扱ってきた実績のある仲介業者を選ぶのもひとつの手といえます。

企業価値の正確な評価

M&Aを行う際には、対象となる企業の価値を正しく評価することが大前提といえます。

企業価値の評価にはさまざまな方法があり、評価方法を誤ってしまうと不当に高額または安価な金額で買収が進められる可能性もあります。

自社にとって不利な条件でM&Aを行わないためにも、専門家を交えて正確な企業価値の評価を行うことが大切です。

文化の融合の重要性

社内の雰囲気や人間関係、働き方など、企業文化は千差万別です。

企業同士が合併、経営統合するとなると、お互いの文化に馴染めず戸惑う従業員も出てくることが考えられます。

M&Aにおいては経営の効率化や事業規模の拡大といった視点だけでなく、その企業の文化に従業員が馴染めるかを考慮しておくことも重要です。

また、双方の従業員においても、お互いの文化を理解し認め合う姿勢が求められます。

明確な戦略と目標設定

M&Aによって経営を統合した後、どういった方向性で事業を展開していくかを綿密に話し合い、お互いの認識を統一しておくことも大切です。

特にアパレル企業にとっては、自社が長年にわたって築き上げてきたブランド力こそが大きな武器となっているケースも少なくありません。

経営統合の後もブランド力を維持していくためには、従来の製法やコンセプト、デザインなど、引き継ぐべき部分は引き継いでいくことが重要といえるでしょう。

コミュニケーションの徹底

M&Aは両社の信頼関係が成り立ったうえで初めて交渉を進めることができます。

スムーズに交渉を進めるにはコミュニケーションの徹底が基本であり、些細なことでも疑問や不安が生じたら話し合いの場を設け解決していくことが重要です。

また、社内にはM&Aに不安を抱く従業員も出てくることから、経営陣自ら丁寧に説明をし従業員の理解を得ることが大切です。

法的要件の確認

M&Aを行う企業の規模によっては、独占禁止法をはじめとした法律に抵触する可能性もあることから、事前に法的要件も確認しておく必要があります。

公正取引委員会への申請や審査が必要となれば、M&Aが成立するまでに時間を要するため、専門家を交えながらどういった手続きが必要なのかを確認しておきましょう。

まとめ

EC事業の強化やターゲット層の転換、経営の効率化などを背景に、アパレル業界のM&Aは活発化しています。

売り手と買い手の双方にとってメリットが期待できるM&Aですが、同時にリスクやデメリットがあることも事実です。

これらを正しく理解したうえで取り組まないと、経営を悪化させる要因にもなりかねません。

今回ご紹介したM&Aを成功させるためのポイントを参考に、自社の成長に向けて取り組んでみましょう。

著者

MABPマガジン編集部

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