2023年11月27日

農業M&Aとは?メリット・デメリットやスキーム(手法)、事例を紹介

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農業M&Aとは?メリット・デメリットやスキーム(手法)、事例を紹介

昨今では、肥料・飼料の高騰といった社会情勢の変化により、悩みを抱えている農家は多いのではないでしょうか。

こうしたなかで、「農業M&A」を実施する農業法人や個人農家が増えています。

本記事では、農業M&Aとは何か、基本からわかりやすく解説します。

農業M&Aのメリット・デメリットからスキーム(手法)、事例まで幅広くお伝えするため、農業に従事している人や農業を始めたい人は、ぜひ参考にしてください。

農業におけるM&Aとは

農業におけるM&Aとは

農業M&Aとは、農業法人や個人農家が「M&A」を実施することを指します。

M&Aは合併(Merger)・買収(Acquisition)を合わせた言葉であり、企業と企業が統合を図る経営戦略です。つまり、取引に農業関係の法人や個人を含むケースが、農業M&Aといえます。

具体的な農業M&Aの案件はさまざまです。

農業法人同士が統合したり、個人農家が農業以外の企業と統合したりするケースもあります。M&Aにより他社(他者)と統合することで、農業経営者が抱えるさまざまな課題の解決を図れるでしょう。

農業M&Aが増加している理由

先述した通り、昨今では農業M&Aを実施するケースが増えています。

なぜ農業M&Aが増加しているのか、以下の内容を見ていきましょう。

 

高齢化により事業承継の重要性が高まっているため

農業では、高齢化が大きな問題となっており「事業承継(後継者への事業引き継ぎ)」の重要性が高まっています。

農林水産省から公開されている「農業労働力に関する統計」によると、令和4年時点における農業就業者の平均年齢は68.4歳です。一般的な企業における定年を過ぎており、かなり高水準といえます。なお、この値は従業員を含む平均年齢であり、経営者に限ればさらに高齢者が多いでしょう。

(引用:農林水産省|農業労働力に関する統計

農業経営者の高齢化が進めば、事業の継続は困難になります。そのため、後継者を見つけて事業承継が行わなければ、廃業は避けられないでしょう。また、インボイス制度による負担が大きく、廃業を迫られている個人農家も多く存在します。

事業承継を実現する手段として、注目されているのがM&Aです。他社や個人の経営者に農業経営を委ねれば、廃業を防げるでしょう。

 

人手不足が深刻化しているため

農業では、人手不足も深刻化しています。

農林水産省の同調査によると、基幹的農業従事者(農業を仕事にしている人)の数は令和4年時点で122.6万人です。しかし、平成27年時点の農業従事者数は175.7万人であり、実に50万人以上も減少しています。

このまま農業従事者数が減少を続ければ、農業の存続自体が難しくなるでしょう。

そこで、他社の人材を取り込み、人手不足の解消を図れるM&Aが注目されています。

 

他業種からの農業参入が増えているため

他業種から農業へ参入するための手段として、M&Aを実施するケースが増えています。

これは、M&Aであればゼロから事業を立ち上げることなく、手軽に農業を始められるためです。

農林水産省の同調査によると、新規就農者(新しく農業を始める人)は減少傾向にあるものの、令和4年時点でも1年で約46万人が農業に参入しています。このなかには、他業種に従事していた人も含まれるでしょう。

M&Aは事業の多角化を図るうえでも有力な経営戦略であり、農業の参入障壁を下げている側面があります。他業種からの農業参入が増えれば、農業M&Aを選択する人も増えていくでしょう。

農業M&Aを実施する主なメリット

農業M&Aを実施する主なメリット

農業M&Aを実施することで、さまざまなメリットを得られます。

農業M&Aを行う主なメリットは、次の4つです。

 

後継者を見つけやすい

農業では、個人経営や法人でも少人数の行っているケースが多いといえます。

これは、後継者候補がそもそも少ないため、事業承継のハードルが高いことが要因です。

その点、M&Aであれば社外のさまざまな人が後継者候補となります。

選択肢が広がるため、後継者を見つけやすいでしょう。

 

人材確保がしやすい

少人数で農業を継続することは容易ではありません。

しかし、農業従事者や新規就農者は減少していることから、人材確保は難しいといえます。

しかし、M&Aによって人材に余力のある企業と統合すれば、相手企業の人材を取り込めるでしょう。

人材の新規採用を図るよりも、既存人材を取り込む方が人材確保は容易といえます。

 

成長戦略の実現につながる

M&Aは、成長戦略の実現にもつながります。

これは、既存の企業が持つ経営資源を有効活用でき、ゼロから事業を立ち上げるよりも手間やコストがかからないためです。

例えば、農業他社と統合して事業拡大を図ったり、他業種の企業と統合して事業多角化を図ったりできます。そのため、事業承継の優先度がそれほど高くない農業経営者であっても、事業の発展を図るうえで有力な方法といえるでしょう。

 

経営者が利益を得られる可能性がある

経営者が主体となるM&Aスキーム(手法)を採用する場合、経営者が利益を得られる可能性があります。

代表例は、売り手の株式を買い手に譲ることで事業を承継する「株式譲渡」です。株式譲渡では、株式の売却時に売り手が金銭を獲得できます。なお、株式の取得コストよりも高額で売却できた場合、その差額が利益になるでしょう。

また、経営者が債務の個人保証を行っている場合もあります。M&Aの取引次第では、経営者の個人保証を解除できる可能性もあるでしょう。

 

農業M&Aを実施する主なデメリット

農業M&Aには多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

農業M&Aを行う主なデメリットは、次の3つです。

 

手続きのハードルが高い

農業に限らず、M&Aは手続きのハードルが高いことが難点です。

M&A戦略の策定や相手企業選び、交渉、契約締結など、多くのプロセスを進めていく必要があります。相手企業との兼ね合いもあるため、M&Aの完了までに半年以上かかることもあるでしょう。

また、税務や法務などの専門知識も求められるため、M&A未経験で成功させるのは現実的に困難です。そのため、M&Aでは専門家のサポートを受けることをおすすめします。

 

相手選びを誤ると経営悪化につながる

どの企業・後継者をM&Aの相手とするかが、その後の農業経営を大きく左右します。

M&Aを実施後は、買い手側に経営を委ねるため、後継者が大胆な経営方針の転換を図る可能性もあるでしょう。しかし、必ずしも成功につながるとは限りません。

農業と相性の悪い企業を選んだり、農業経営に適していない後継者を選んだりすれば、経営悪化につながる可能性があります。そのため、自ら守り続けてきた農業を存続させるためにも、相手選びを慎重に行わなければなりません。

 

従業員や取引先との関係が悪化するリスクがある

M&Aの実施内容に理解が得られない場合、従業員や取引先との関係が悪化するリスクもあります。

M&Aによって組織体制や経営方針が変わることは、農業経営者だけでなく全てのステークホルダーにとって大きな影響を与えるでしょう。

例えば、従来の企業風土が失われたことで従業員の不満が高まり、離職につながるケースもあります。M&Aの実施後もステークホルダーとの関係を維持するには、事前に説明する場を設けることが大切です。

農業M&Aの代表的なスキーム(手法)

農業M&Aの代表的なスキーム(手法)

M&Aには、多くのスキーム(手法)があります。

農業M&Aの実施にあたっては、どのスキームを選ぶかが重要です。

農業M&Aを実施する際の代表的なスキームとして、以下で紹介する3つを理解しておきましょう。

 

株式譲渡

「株式譲渡」とは、買い手に株式を売却することで、売り手の経営権を引き継ぐスキームです。

買い手は、株式の過半数を取得するとともに売り手の経営権を獲得します。一方で売り手は、株式と引き換えに買い手から金銭を得ることが可能です。

前提として、売り手が自社株を保有していなければなりません。そのため、株式譲渡は農業法人がM&Aを実施する際に採用されることが多いスキームです。

株式譲渡では、資産や権利を個別に移転せずに済むので、手続きがシンプルといえます。ただし、買い手は売り手の負債も引き継ぐリスクがあるため、慎重な事前調査が必要です。

 

事業譲渡

「事業譲渡」は、売り手が保有する事業の一部および全部を、買い手に譲渡するスキームです。

買い手には、対象の事業に関わる資産や権利などが個別に承継されます。一方で売り手は、事業を譲渡するのと引き換えに、買い手から金銭を受け取ることが可能です。

事業譲渡であれば株式が必要ないため、個人農家がM&Aを実施する際によく採用されます。なお、農業法人であっても事業譲渡の採用は可能です。

事業譲渡では、移転する資産や権利を選択できるので、買い手は負債を引き継がずに済みます。ただし、個別に移転手続きを行う必要があるため、手続きが煩雑になりやすいのが難点といえるでしょう。

 

農業M&Aの成功事例

農業M&Aに対する理解は深まっても、具体的なイメージが湧かない人が多いのではないでしょうか。

以下では、農業M&Aの成功事例を2つピックアップして紹介します。

 

A社とB社のM&A(株式譲渡)

幅広いITサービスを手掛けているA社は、農業の高度化による事業機会の創出を図っていました。そこで、ミニトマト栽培を行っている農業法人B社と、株式譲渡によるM&Aを実施しています。

A社は、B社のノウハウやネットワークに自社のテクノロジーを組み合わせ、農業の高度化を実現しました。また、B社も農業の高度化により、生産性向上や作物の品質向上といった恩恵を受ける結果につながっています。

C社とD社のM&A(事業譲渡)

農薬や肥料の開発・製造・販売を行うC社は、農業分野へ積極的に事業を展開しています。

同社は、事業が拡大するにつれて経営資源が分散し、主力事業に注力できない問題を抱えていました。そこで、主力でない商品の販売権をD社に譲渡し、経営のスリム化を図る決断をしています。

D社も農薬事業を手掛けている企業であり、C社が持て余している商品に魅力を感じていました。同社は、商品の販売権を得ることで、事業の早期拡大を実現しています。

農業M&Aを成功につなげるポイント

買い手・売り手に限らず、農業M&Aの成功率を高めるには、押さえておくべきポイントがあります。

以下では、農業M&Aを成功につなげるポイントについて見ていきましょう。

 

【買い手】売り手の実態をしっかり確認する

買い手が、農業法人や個人農家をM&Aにより買収する場合、売り手の実態をしっかり確認しましょう。

前述した通り、株式譲渡のようなM&Aスキームでは、売り手の負債を引き継ぐリスクがあります。そのため、売り手に隠れ債務がないか、といった財務状況を確認すべきです。

また、農地や農機具といった物的な経営資源の問題は、現物を確認しなければ気づくことが困難といえます。M&A実施後に問題が発覚しないためにも、実際に目で見て確認するようにしましょう。

 

【売り手】資産価値を高めておく

売り手が農業法人や個人農家をM&Aにより売却する場合、資産価値を高めておきましょう。

これは、引き継ぐ資産や権利がM&Aの取引金額に直結するためです。M&A前に資産価値を高めておくことで、農業経営者の利益が大きくなります。

また、売り手に債務があるために敬遠されてしまい、買い手が見つからないケースも多くあります。そのため、債務はできる限り整理しておきましょう。

 

【共通】信頼できるM&Aの専門家に依頼する

農業のM&Aは実施ハードルが高いため、専門家のサポートが不可欠です。

M&Aに必要な法務や税務といった専門知識がないと、M&Aが成立しないどころかコンプライアンス違反となってしまう可能性もあります。

M&Aのさまざまなプロセスを適切に進めるには、信頼できるM&Aの専門家に依頼することが確実でしょう。実績が豊富なM&Aの専門家であれば、農業M&Aの成功につながる的確なアドバイスを提供できます。

まとめ

まとめ

農業M&Aには、株式譲渡や事業譲渡といったスキームがあります。

それぞれ特徴が異なるため、農業経営者の事情にあわせて適切なスキームを選択しましょう。また、農業M&Aにはメリットだけでなく、デメリットがあることも把握しておくべきです。

農業M&Aのメリットを最大化するには、成功のポイントを押さえて適切にプロセスを進めていくことが求められます。とはいえ、農業M&Aには多くの専門知識が要求されるため、経験のない農業経営者だけで成功させることは難しいでしょう。

農業M&Aで失敗しないか不安がある場合は、M&A・事業承継の実績が豊富な「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。

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