2023年10月31日

調剤薬局の概要や課題とは?M&Aを成功させるためのポイントも解説

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調剤薬局の概要や課題とは?M&Aを成功させるためのポイントも解説

近年、調剤薬局業界の需要は拡大しつつあります。

その一方で調剤薬局業界では、M&Aを実施する動きが活発化しています。

具体的にどのようなM&Aが増えているのか気になる人もいるでしょう。

この記事では、調剤薬局業界におけるM&Aの動向やメリット、実施するリスクについて解説します。

また、M&Aの事例も紹介するため、調剤薬局におけるM&Aを検討している人は参考にしてください。

調剤薬局業界の概要につい

調剤薬局業界におけるM&Aの解説をする前に、まずは調剤薬局とはどのようなものなのか確認しましょう。

ここでは、調剤薬局の概要について解説します。

 

調剤薬局とは

調剤薬局とは、医師の診断に基づいた処方箋に従って、薬を調合し処方する薬局のことです。また、調剤薬局のなかでも地方厚生局から指定を受けた薬局のことを「保険薬局」といいます。

近年、厚生労働省では 「かかりつけ薬局」への移行を推奨しています。かかりつけ薬局が増えれば、患者はどの医療機関を利用しても身近にあるかかりつけ薬局に行くことが可能です。

かかりつけ薬局は、患者が受診したことがある全ての医療機関の処方箋を把握し、薬の重複や副作用などの継続的な確認が求められます。また、夜間・休日などの24時間体制での対応や、在宅患者への対応なども求められるでしょう。

 

調剤薬局業界の課題

調剤薬局業界は、高齢化が進むにつれて、需要の拡大が見込まれる業界ですが、いくつかの課題をかかえているのが現状です。

調剤薬局業界がかかえる課題として、調剤報酬や薬価の引き下げにより利益が減少していることが挙げられます。この背景には、国による「医療費削減」の取り組みがあるでしょう。

医療費は年々増加し ており、国は医療費を削減するためにさまざまな政策を行っています。このなかの一つが調剤報酬や薬価の引き下げです。特に、複数の店舗を持っている大手調剤薬局や、門前薬局などは、この取り組みにより利益が減少しています。

また、慢性的な薬剤師不足も課題の一つです。この原因として、薬剤師が必要な薬局やドラッグストアなどの増加していることが挙げられるでしょう。

薬剤師自体の数は、増加傾向にあるものの、薬局やドラッグストアなども増えているため、薬剤師が不足してしまうという現状です。

調剤薬局業界におけるM&A動向

調剤薬局業界におけるM&A動向

近年、調剤薬局業界ではM&Aを実施する企業が増えています。

ここでは、調剤薬局業界におけるM&Aの動向について解説します。

 

調剤報酬や薬価の引き下げに対応するためのM&Aが増えている

先述の通り、調剤報酬や薬価の引き下げは、複数店舗を持つ大手調剤薬局に大きな影響を与えているのが現状です。

このような状況を受け、大手調剤薬局では、M&Aにより事業拡大し、スケールメリットを得ようとしている企業が増加傾向にあります。

また調剤薬局業界は、大手調剤薬局の占有率が低く、小規模の調剤薬局が多いのが特徴です。そのため、経営難に陥ってしまった小規模の調剤薬局は、M&Aにより大手調剤薬局の傘下に入ろうとする動きも活発化しています。

 

かかりつけ薬局に移行するためのM&Aが増えている

近年では、かかりつけ薬局に移行するためにM&Aを実施する企業も増えています。

厚生労働省は、地域の医療を強化するためにかかりつけ薬局への移行を推進し、2025年には、全ての調剤薬局 をかかりつけ薬局に移行するとの方針を打ち出しました。

かかりつけ薬局に移行するには、ICTの導入や24時間体制で対応するための薬剤師の確保など多くの準備が必要です。こうした準備を自社のみで行うのが難しい企業も多く、M&Aにより資金や薬剤師を確保しようとする動きが活発化しています。

 

後継者不足を解消するためのM&Aが増えている

調剤薬局業界では、後継者不足を解消するためにM&Aを実施する企業が増加しています。

「後継者不足」という課題は、さまざまな業界で深刻化しており、これは調剤薬局業界においても同様です。特に中小規模の調剤薬局では、後継者不足の課題を解消できず廃業を選択した企業もあるでしょう。

また、厚生労働省が2020年に調査した「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 」によると、薬局の開設者もしくは法人の代表者の平均年齢が59.9%という結果が出ました。この結果から今後も、後継者不足の課題が続くと予測され、M&Aにより第三者に事業承継する企業が増えると考えられるでしょう。

(引用元:厚生労働省│医師・歯科医師・薬剤師統計の概要

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

調剤薬局業界におけるM&Aのメリット

調剤薬局業界におけるM&Aでは、どのようなメリットがあるのか気になる人もいるでしょう。

ここでは、調剤薬局におけるM&Aのメリットを売り手側・買い手側に分けて解説します。

 

売り手側のメリット

売り手側となる調剤薬局のメリットとして以下が挙げられるでしょう。

・後継者不足の解消による会社の存続
・安定した経営
・創業者利益を得られる

先述の通り、中小規模の調剤薬局は、後継者不足の課題が深刻化しています。そのため、M&Aにより後継者不足を解消し、会社を存続できることは大きなメリットといえるでしょう。会社を存続させることで、従業員の雇用を継続させることも可能です。

また、資金力のある大手調剤薬局とM&Aを実施した場合、その資金力を活用し、安定した経営ができることもメリットといえます。資金だけでなく薬剤師の補充や、設備の導入などさまざまなメリットを得られるでしょう。

経営者は、自社を売ることで創業者利益をもらえる点もメリットの一つです。

調剤薬局は需要が高く、条件によっては高額で売却できる可能性があります。そのため、まとまった金額を受け取り、引退後の生活費や新規事業の立ち上げなどさまざまな使い方があるでしょう。

 

買い手側のメリット

調剤薬局業界におけるM&Aでは、買い手側に対しても多くメリットをもたらします。

具体的には以下のようなメリットが挙げられるでしょう。

・人材の確保
・事業規模の拡大
・仕入れ額を抑えられる

慢性的な薬剤師不足の課題をかかえる調剤薬局業界において、優秀な人材を確保できることは、大きなメリットといえるでしょう。調剤薬局業界では、慢性的な薬剤師不足に加えて、かかりつけ薬局に移行するためには、さらに薬剤を確保する必要があります。M&Aにより薬剤師を確保できれば、かかりつけ薬局への移行もスムーズに行えるでしょう。

また、事業規模が拡大できることもM&Aのメリットの一つとして挙げられます。調剤報酬や薬価の引き下げにより、収益が減っている調剤薬局業界で経営を続けるには、事業規模の拡大が重要です。M&Aを実施すれば、事業規模の拡大をスムーズに行え、スケールメリットを得られるでしょう。

事業規模の拡大により、製薬会社や卸売業者からの仕入れ額を抑えられるというメリットもあります。1回で多くの医薬品を仕入れることができれば、流通にかかる費用を抑えられるでしょう。

 

調剤薬局業界におけるM&Aのリスク

調剤薬局業界におけるM&Aのリスク

調剤薬局業界におけるM&Aでは、多くのメリットがある一方で、リスクもあります。

ここでは、調剤薬局業界におけるM&Aのリスクについて買い手側・売り手側に分けて解説します。

 

買い手側のリスク

調剤薬局業界におけるM&Aの買い手側のリスクとして、以下が挙げられます。

・薬剤師が離職する可能性がある
・買い手側・売り手側の従業員同士が反発する可能性がある
・簿外債務が発生する可能性がある

上記は、M&A成立後のPMIが計画通りに進まないことで発生しやすいリスクです。PMIとは、M&A成立後の統合プロセスのことです。PMIでは、リスクを最小限にし、統合効果を最大化させるために、新経営体制の構築や経営ビジョン実現の計画などを行います。

PMIは、統合後のリスクを想定して慎重に進めることが大切です。

 

売り手側のリスク

調剤薬局業界におけるM&Aの売り手側のリスクとして、以下が挙げられます。

・従業員の人員整理が実施される可能性がある
・顧客や取引先、従業員との関係性が悪化する可能性がある

上記のリスクは、相手企業の選定に失敗したときにおこりやすい傾向にあります。売り手側にとって、相手企業の選定は重要な項目です。しかし、自社のみで希望にあう相手企業を見つけるのは難しいでしょう。

そのため、M&Aを実施する場合は、検討段階でM&Aの専門家に相談することが大切です。M&Aの専門家に依頼すれば、独自のネットワークから自社の希望にあう相手企業を紹介してくれます。

調剤薬局業界におけるM&Aの成功事例

ここからは、M&Aベストパートナーが担当した、調剤薬局業界におけるM&Aの成功事例について解説します。

 

大手に傘下入りによる安定的な経営を実現するためのM&A

有限会社アトムメディカル様は、2001年に神奈川県鎌倉市に調剤薬局を開業しました。さらに、JR「大船駅」「北鎌倉駅」のそれぞれの駅前で、2つの店舗を運営しています。有限会社アトムメディカル様の調剤薬局は、家族経営しており、従業員も10名足らずでした。

M&Aを検討するようになる背景には、厚生労働省が推進しているかかりつけ薬局への移行がありました。かかりつけ薬局では24時間営業が求められ、家族経営の調剤薬局では生き残りが厳しいと考えM&Aの実施を考えます。さらに、ジェネリック医薬品の普及による収益の減少や、薬剤師の人材確保が難しくなったことなども要因です。

その後、店舗数が100店舗以上あり、売り上げ規模が200億を誇る株式会社エスシーグループ様とのM&Aを行うことになります。

 

事業の継続・従業員の継続雇用を実現するためのM&A

株式会社ファルマシア様の古林氏は、49歳のときに宮崎県で調剤薬局の経営をしていました。その後、福岡県久留米市にある病院の院長から「調剤薬局を開業してほしい」との強い要望を受け、福岡県久留米市でも調剤薬局を始めます。

宮崎県と福岡県久留米市で2つの調剤薬局を経営していた古林氏は、体調に不安をかかえ、67歳のときに宮崎県の調剤薬局をM&Aにより手放しました。しかし、70歳を目前に福岡県久留米市の調剤薬局もM&Aにより事業承継しようと検討し始めました。

古川氏は、これまで通り病院とのよい関係を保て、従業員の雇用を守れる相手企業を条件として提示し、同じ地域で複数の調剤薬局を経営している会社を紹介されます。

その後、株式会社ファルマシア様は、M&Aにより事業承継を実現しました。

まとめ

まとめ

調剤薬局とは、医師の診断に基づいた処方箋に従って、薬を調合し処方する薬局のことです。

調剤薬局業界では、厚生労働省によるかかりつけ薬局の推進や、調剤報酬・薬価の引き下げなどに対応するためにM&Aを実施する企業が増えています。また、中小規模の調剤薬局では、後継者不足を解消するためのM&Aが活発化しているという状況です。

調剤薬局業界におけるM&Aでは、薬剤師の確保や事業の拡大などさまざまなメリットがありますが、リスクも存在します。リスクを最小限に押さえるためには、M&Aの専門家への依頼が不可欠でしょう。

「M&Aベストパートナーズ」では、調剤薬局業界におけるM&Aの事例を多数持っています。

調剤薬局業界におけるM&Aを検討している人は、M&Aベストパートナーズにご相談ください。

著者

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