2023年10月23日

デイサービスの特徴や課題、M&Aを利用した際に得られるメリットとは?

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

Twitter Facebook
デイサービスの特徴や課題、M&Aを利用した際に得られるメリットとは?

高齢化が進むにつれてデイサービスの重要性が高まりつつあります。

近年、デイサービスを含めた介護サービス業界では、M&Aを実施する業者が増加傾向にあります。

今後、介護サービス業界への参入を考えている人にとって、M&Aの動向は気になることでしょう。

そこでこの記事では、デイサービスにおけるM&Aの動向や実施するメリットについて解説します。

また、M&Aの事例についても解説するため、デイサービスのM&Aについて知りたい人は参考にしてください。

デイサービスの概要について

デイサービスの概要について

そもそもデイサービスとは、どのような職業なのでしょうか。

ここでは、デイサービスの概要について解説します。

 

デイサービスとは

デイサービスとは、高齢者や介護が必要な人を対象とした日帰りの通所介護サービスのことです。

このサービスの目的は、介護者の日常の負担を軽減し、生活の質を向上させることが挙げられます。

主に、身体機能の維持や向上を目的としたリハビリテーションや、日常生活のサポートなどが行われています。専門家がそれぞれの介護者のニーズを的確に捉え、最適なサポートを行うことで、利用者の日常をより充実したものにするサービスです。

日本では高齢化が急速に進んでおり、それに伴い介護の需要は増加しています。デイサービスは今の社会で欠かせない存在となりました。

 

デイサービスの市場規模

日本のデイサービスの市場は、高齢者人口の増加とともに拡大しています。

厚生労働省の「介護給付費等実態統計(令和3年度)」によると、2021年のデイサービスを含めた介護サービス業界全体の市場規模が10兆7494億400万円です。昨年の市場規模は、10兆5078億2900万円であり、拡大しています。

サービス別でみた場合、最も高いのは介護福祉施設サービスで2兆79億1900万円でした。次いで介護保健施設サービスが1兆3484億4900万円、通所介護(デイサービス)が1兆2799億4300万円、訪問介護が1兆562億1900万円です。

(引用元:厚生労働省│令和3年度 介護給付費等実態統計の概況

 

デイサービスの現状

先述の通り日本の高齢化が進むにつれて、介護が必要な高齢者の数は増加しています。

厚生労働省の「介護給付費等実態統計(令和3年度)」によると、2021年の1年間において一度でも介護予防サービスまたは介護サービスを受けたことのある人の数は、638万1700人という結果になっています。2020年よりも2.6%増加しています。

(引用元:厚生労働省│令和3年度 介護給付費等実態統計の概況

また、高齢化は今後も続くと予測されるでしょう。総務省統計局の「高齢者の人口」によると、2022年時点で総人口の29.1%の人が65歳以上であり、2040年には35.3%まで上がると見込まれています。

(引用元:総務省統計局│高齢者の人

こうした現状により、介護が必要な高齢者の数は今後も増え続けるでしょう。

デイサービスの課題

高齢化の影響により、デイサービスの市場規模の拡大が見込まれていますが、いくつかの課題をかかえているのが現状です。

ここでは、デイサービスがかかえる課題について解説します。

 

人材不足

デイサービスにおいて、人材不足は深刻な問題です。

介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査結果」によると、2022年は介護サービス全体の、約66%の業者が人材不足を感じているという結果が出ました。この結果からデイサービスを含めた介護サービス全体で人材不足という課題をかかえていることが分かるでしょう。

(引用元:介護労働安定センター│令和4年 介護労働実態調査結果

この背景には、ほかの業界と比較して労働条件の厳しいことによる、離職率の高かさが原因と考えられます。少しずつ改善されていますが、まだ十分ではありません。そのため、人材不足を解消するにはこれらを改善する必要があるでしょう。

 

施設の増加による競争の激化

デイサービスは、今後も市場規模の拡大が見込めることから、参入してくる業者の数が増加しており、激しい競争を生んでいます。

例えば、同じ地域に複数の施設が存在する場合、サービスの質や料金、施設の設備といった点で差別化を図らなければなりません。しかし、こうした激しい競争に生き残れず、廃業した業者もあります。

他社との競争の激化は、特に小規模の業者が影響を受けており、生き残るためにもこの課題を早急に解決する必要があるでしょう。

デイサービスにおけるM&A動向

デイサービスにおけるM&A動向

人材不足や競争の激化などの課題をかかえるデイサービス業界では、M&Aを実施する業者が増加傾向にあります。

具体的にはどのようなM&Aが増えているのでしょうか。

ここでは、デイサービス業界におけるM&Aの動向について解説します。

 

人材不足を解消するためのM&Aが増加している

M&Aは、課題を解決するために実施されることもあります。

先述の通りデイサービスを含めた介護サービス業界では、人材不足が深刻化しており、特に生活相談員や介護職員、看護師が不足している状況です。

こうした課題を解決するため、同業者間のM&Aが増加しています。同業者間のM&Aの目的は、人材を効率的に配置し、サービス品質を高めることです。これにより新しいサービス展開が可能になり、地域での競争力も向上するでしょう。

また、今後も高齢者人口の増加が見込める日本において、人材不足を解消するためのM&Aは増えていくと予測されています。

 

新規参入するためのM&Aが増加している

近年では、介護サービス業界の将来性に注目した異業種からの新規参入が増えており、その際の戦略として選ばれるのがM&Aです。

M&Aにより、既に介護サービスを展開する業者を買収すれば、短期間で業界特有のノウハウや人材、顧客基盤を獲得できます

加えて、異業種が持つリソースを活かし、サービスの多角化や品質向上に期待できるでしょう。

 

デイサービスにおけるM&Aのメリット

デイサービスにおけるM&Aのメリット

近年、介護サービス業界では、課題解決や新規参入などの目的でM&Aを実施する業者が増加していますが、実施することでどのようなメリットがあるのでしょう。

ここでは、デイサービスにおけるM&Aのメリットについて買収側・売却側に分けて解説します。

 

買収側が得られるメリット

デイサービス業界におけるM&Aは、買収側に多くのメリットを提供します。

その一つが効率的な新規事業への進出です。デイサービスに必要な施設や顧客基盤などを既に持った業者を買収することで、新規参入のリスクとコストを大幅に削減できます。

また、同業者の買収は業績拡大とスケールメリットを生む可能性が高いです。共通の業務プロセスを統合することで、運営効率が向上し、結果としてコスト削減やサービス品質の向上につながります。

さらに、人材を確保できるのも大きなメリットです。デイサービス業界全体での人材不足が問題とされているなか、M&Aによって優秀な人材やそのノウハウを即座に取り込むことができます。

総じて、新規事業展開、業績拡大、人材確保など、M&Aは買収側に多くの利点を提供できるでしょう。

 

売却側が得られるメリット

デイサービスにおけるM&Aでは、売却側にも多くのメリットがあります。

まず、後継者不足や人手不足を解消できる点です。これは、高齢化が進み人材確保が厳しくなる介護サービス業界において、重要な要素でしょう。

次に、経営者は売却益を得られるという点です。この売却益は、新規事業への投資や資本として活用できるため、経営者にとって大きなメリットでしょう。

さらに、経営が厳しい場合でも、M&Aによって状況を改善する機会が得られるというメリットもあります。買収側が持つ資本力や運営ノウハウを活用することで、経営の安定化が期待できます。

このように、売却側がM&Aで得られるメリットは多岐にわたります。これらを総合的に考慮することで、売却側も戦略的に企業価値を高められるでしょう。

デイサービスにおけるM&Aの事例

ここでは、デイサービスにおけるM&Aの事例について解説します。

 

デイサービス・老人ホーム事業A社と老人ホーム事業B社によるM&A

A社とB社のM&A事例は、老人ホーム業界において注目されました。

買収側であるA社は、IT技術・多職種人材を活用した介護付き有料老人ホームや、住宅型老人ホーム、高齢者向けの賃貸住宅事業などを展開している会社です。一方の売却側であるB社は、介護付き有料老人ホームやデイサービスなどを展開していました。

M&Aを実施する目的は、介護サービス業界の人材不足が深刻化するなかで、A社の経営資源を活用してIT技術の導入や人材確保を図ることです。

その後、株式譲渡によりB社はA社の完全子会社となりました。

 

デイサービス・訪問介護事業C社と介護総合事業D社によるM&A

C社とD社のM&Aにより、介護サービス事業の拡大に成功しました。

買収側であるC社は、介護訪問やデイサービスなどをはじめとする総合的な介護事業、障害福祉サービス、高齢者向けの住宅事業などを展開している会社です。

一方、売却側であるD社は、地域密着型のデイサービスや訪問介護、サービス付きの高齢者住宅事業などを展開していました。

M&Aの目的は、C社の介護サービスの拡充や地域包括ケアへの対応力の向上です。その後、C社は株式譲渡により、D社を完全子会社にしました。

まとめ

まとめ

デイサービスとは、高齢者や介護が必要な人を対象とし日帰りの介護サービスを行うことです。

近年、デイサービスを含めた介護サービス業界全体の市場規模が拡大しており、今後も続くと見込まれています。その結果、新規参入してくる企業が増え、他社との競争が激化したり、人材不足になったりなどの課題をかかえているのが現状です。

こうした課題を解決すべく、同業者同士でM&Aを実施する業者が増加傾向にあります。また、新規参入するために異業種からのM&Aも増えています。

デイサービスにおけるM&Aでは、多くのメリットはありますが、必ずしも成功するとは限りません。成功するためにはM&A専門家への依頼が不可欠でしょう。

デイサービスにおけるM&Aを検討している人は、「M&Aベストパートナーズ」にご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

M&Aベストパートナーズのマガジン編集部です。

M&Aストーリー

M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

Preview

Next

製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。