人と住まいや施設をつなぐ不動産業界は、社会に欠かせない存在です。
一方で、感染症の流行や世界的なイベントの開催など、さまざまな出来事に影響を受けやすい業界でもあります。不動産業界に携わるうえで、今後に不安を抱えている方も多いでしょう。
本記事では、不動産業界における今後の動向・展望をデータに基づきお伝えします。
不動産業界で今後生き残るための解決策も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産業界における今後の動向・展望
不動産業界に携わる人にとって、今後の動向・展望は気になるでしょう。
まずは、各機関で公開されているデータを基に、不動産業界の今後についてお伝えします。
コロナ禍の落ち着きで景気回復傾向
2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、不動産業界は苦戦を強いられていました。
しかし、2022年以降はコロナ禍が一定の落ち着きを見せたことで、徐々に景気が回復傾向にあります。
帝国データバンクで公開されている「TDB景気動向調査」によると、不動産業界における景気動向指数(DI)は、2023年1月から5ヶ月連続で上昇しています。これは、景気が徐々に回復していると捉えられるでしょう。そのため、今後も徐々に回復していくことが期待できます。
(引用元:帝国データバンク|TDB景気動向調査)
土地取引件数・新築住宅着工数は安定している
不動産業界にとって、土地の取引件数や新築住宅の着工数は重要な指標です。
新型コロナウイルス感染症の影響は少なからずあるものの、これらの数値は安定しています。
国土交通省で公開されている「令和4年版土地白書について」によると、令和1~3年の土地取引件数は約130万件です。ここ数年は同程度の水準で推移しており、土地取引の需要は安定しているといえるでしょう。
(引用元:国土交通省|令和4年版土地白書について)
また、政府統計の総合窓口である「e-Stat」によると、住宅着工数は例年80~90万戸ほどです。コロナ禍に突入した2020年にはやや減少が見られるものの、2021年には回復しています。この結果から、こちらも安定しているといえるでしょう。
(引用元:政府統計の総合窓口|e-Start)
ただし、2008年のリーマンショックでは、土地取引件数・新築住宅着工数ともに急落しました。近年の推移は比較的安定しているものの、リーマンショック以前の水準は程遠いのが現状です。
オフィス賃貸の需要も徐々に回復する見通し
オフィス賃貸の需要も徐々に回復する見通しです。
2020年以降はコロナ禍の影響もあり、オフィス賃貸の需要が落ち込んでいました。しかしコロナ禍が落ち着きつつあることで、テレワークの実施率が徐々に減っています。そのため、落ち込んでいたオフィス賃貸需要も徐々に回復が期待できるでしょう。
都市部と地方で需要の二極化が今後も進む
不動産業界の傾向として、都市部と地方で需要が二極化していることが挙げられます。
国土交通省で公開している「令和5年地価公示の概要」では、令和4年から令和5年にかけての地価変動率が都道府県別に公表されています。東京や福岡といった都市部の地価は変動率プラスである一方で、地方では大半が変動率マイナスとなっているのが現状です。地価が高いほど需要は高いと考えられるため、都市部の需要だけが高まっているといえます。
(引用元:国土交通省|令和5年地価公示の概要)
不動産業界で懸念される今後の問題
景気が回復傾向にある不動産業界には、懸念事項も多く存在します。
不動産業界で懸念される今後の問題は、主に次の3つです。
2023年問題:世帯数減少に伴う不動産の価値下落
直近の日本社会では、「2023年問題」が懸念されています。2023年問題とは、世帯数が減少することにより不動産の価値が下落してしまう懸念のことです。
少子高齢化が進んでいる日本の労働人口は、減少の一途をたどっており、日本全体の人口も減少が続いています。人口減少が続けば世帯数も減るでしょう。世帯数が減れば住宅需要が減少し、不動産の価値低下は避けられません。
結果として不動産業界全体の低迷につながりかねないため、政府だけでなく各不動産会社にも対策が求められます。
2025年問題:空き家・空きオフィスの急増
2023年問題の後には、「2025年問題」の懸念もあります。
2025年問題とは、「団塊の世代」が後期高齢者となることで、空き家・空きオフィスの急増につながる懸念のことです。
団塊の世代(1947年~1949年)は、出生数にして800万人を超えています。この世代に生まれた人が後期高齢者になれば、相続に伴い空き家が増えることは容易に想像できるでしょう。また、リタイア(定年退職)する人が増えれば労働人口の減少にも拍車がかかり、空きオフィスが増加します。
団塊の世代が日本全体の人口に占める割合は高いため、日本社会への影響も大きくなるでしょう。空き家・空きオフィスの増加にどう対処するかも、不動産業界の大きな課題です。
マンションの供給過多による価値低下
特に、都市部を中心に新築マンションが増加しています。
二極化により都市部の住宅需要が高まっているとはいえ、人口減少が続けば供給過多となるでしょう。
マンションが供給過多となれば価値の低下は避けられません。
現時点でも、マンションの売れ残りが散見されます。2025年問題により需要が低下すれば、限られた入居希望者を多くの不動産業者で奪い合う構図になるでしょう。マンションを扱う不動産業者にとっては死活問題といえます。
これらの問題に対処するため、URUHOMEを運営するドリームプランニングは、底地・再建築不可・市街化調整区域・共有持分などの収益不動産の買取を行っています。日本全国で高値買取が可能で、買取から再生、販売まで自社で対応しています。お困りの不動産があれば、ドリームプランニングに相談してみましょう。
関連サイト:底地・再建築不可・市街化調整区域・共有持分・一棟収益物件の買取|URUHOME
不動産業界で期待される今後の変化
不動産業界には懸念事項も少なくないものの、今後期待される変化もあります。
不動産業界で期待される今後の変化は、主に次の3つです。
少人数世帯向けの住宅需要の拡大
日本全体の世帯数は減ってゆく一方で、少人数世帯の比率は増えることが予想されます。
これには、高齢化だけでなく晩婚化や未婚化の影響もあるでしょう。これによって、少人数世帯向けの住宅需要の拡大が期待されます。
2023年8月時点でも、少人数世帯向けの注文住宅やシェアハウスが増えつつあります。少人数世帯のニーズに応える不動産事業を展開できれば、大きな需要の獲得につながるでしょう。
大阪万博の開催に伴う特需
2025年には、大阪万博の開催が予定されています。大阪万博の開催に伴う特需景気により、大阪や近隣地域の不動産需要が大きく伸びることが考えられるでしょう。
実際、東京オリンピック2020の開催が決まってから、東京周辺の不動産市場は活発化しました。同じように、大阪万博によって宿泊施設やマンションなどの需要が高まることは十分に考えられます。
ブロックチェーン技術の普及
不動産業界において、「ブロックチェーン技術」の活用が期待されています。
ブロックチェーン技術とは、データを細かいブロックに分割し、それぞれを紐づけて管理する技術のことです。
従来は1つのサーバーに依存する「中央集権型」のデータ管理が主流でした。しかし、ブロックチェーン技術を活用すれば、複数のサーバーで断片化したデータを管理する「分散型」の実現が可能です。
ブロックチェーン技術はセキュリティ性が高いだけでなく、1つのサーバーに依存しないより柔軟なデータ活用を可能にします。これを不動産業界に応用することで、不動産取引や不動産登記などのオンライン化・効率化が可能です。海外ではすでに不動産業界での活用が始まっており、日本でも今後普及することは考えられます。
不動産業界が今後も生き残るにはどうすればよい?
前述した通り、不動産業界には懸念事項が多く存在します。
適切な経営戦略を実行しなければ、経営が立ち行かなくなることも考えられるでしょう。
不動産業界において、今後も生き残るために実施すべきことは、主に次の3つです。
人手不足・後継者問題の解消
少子高齢化による人口減少の影響を受けるのは、不動産を利用する消費者だけではありません。
不動産業界のビジネスを担うスタッフや役員も、今後は減少していくことが予想されます。
実際、人手不足や後継者問題に頭を抱える不動産会社は多いでしょう。
経営に欠かせない人材が確保できない不動産会社は、廃業に迫られることも考えられます。不動産会社を存続させるには、人手不足や後継者問題は必ず解決しなければならない課題です。
IT化やレインズの活用による効率化
労働人口が減り続けるなかで十分な人材を確保することは、現実的に容易ではありません。
限られた人材でビジネスを維持するには、業務効率化も重要な課題といえます。解決策として、ITシステムの導入により、アナログ作業の無駄を減らすといったことが必要でしょう。
また、「REINS(レインズ)」の活用も検討することをおすすめします。
レインズとは、全国の不動産に関するデータを一元管理するオンラインシステムです。
レインズに登録した全ての不動産会社は、共通の不動産情報を閲覧できます。業務効率化につながるだけでなく、特定の不動産会社による囲い込みを防げるため、適正な取引を行う意味でも重要です。
海外進出の実現
海外進出の実現も1つの選択肢として検討すべきでしょう。
例えば、東南アジアのように発展が盛んな地域へ事業展開することで、多くの不動産需要を取り込める可能性があります。
初期投資は多くかかるものの、適切な戦略で海外進出を果たせば、企業の飛躍的な成長が期待できます。
今後の不動産業界を活性化するには「M&A」が有効?
今後の不動産業界を活性化するうえでは、「M&A」が有力な解決策といえます。
不動産会社がM&Aを実施するメリットは、主に次の3つです。
人手不足の解消につながる
M&Aを実施することで、買い手企業と売り手企業の人材が統合されます。
そのため、人材に余力のある企業と統合すれば、人手不足の解消につながるでしょう。
また、買い手企業の経営者に自社の経営権を委ねることで、後継者問題の解消も可能です。
集客力・ブランド力の向上につながる
M&Aによって、拠点や商圏の統合も可能です。
別の地域で事業展開する不動産会社と統合すれば、拠点・商圏の拡大により集客力を向上できるでしょう。
また、信頼性の高い企業の傘下に入れば、ブランド力の向上も期待できます。
海外進出のハードルが下がる
海外進出するには、拠点の設立や人材の確保、現地でのマーケティングなど、多くのタスクを実施しなければなりません。
言語や文化の差も大きな障壁となるため、ハードルは高いといえます。
しかし、海外企業とM&Aを実施すれば、現地の拠点や人材を取り込むことが可能です。
現地の人材を活用することで、マーケティングも容易となるでしょう。現地での立ち上げにかかるコスト・期間を削減できるため、海外進出のハードルが大幅に下がります。
まとめ
コロナ禍が一定の落ち着きを見せ、不動産業界の景気は回復傾向にあります。
しかし、不動産業界には、世帯数の減少による需要低下といった懸念事項があります。そのため、不動産会社が今後も生き残るには、早めに対策を講じることが大切です。
不動産会社が懸念事項を払拭し、今後も存続するための解決策としては「M&A」が有力といえます。ただし、M&Aにはさまざまな専門知識が要求されるため、未経験の経営者が円滑に進めるのは困難といえるでしょう。
M&Aを成功させたいのであれば、専門家にサポートを依頼することをおすすめします。
M&Aに関して不安がある人は、不動産業界におけるM&Aのサポート実績が豊富な「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。