2023年9月12日

旅館業の厳しい経営状況とは?原因や課題、打開策として有力なM&Aも紹介

MABPマガジン編集部

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旅館業の厳しい経営状況とは?原因や課題、打開策として有力なM&Aも紹介

旅館業は、後継者問題や人手不足で悩むケースが多く、安定経営の実現が厳しいといわれています。

厳しい経営を立て直したいのであればM&Aを検討し、優秀な人材を確保しましょう。

本記事では、旅館業が経営難に陥る理由から、経営再建につながるM&Aのメリットまで解説します。

M&Aで厳しい経営を打開した事例も紹介するため、旅館業における経営難に悩んでいる経営者はぜひ参考にしてください。

旅館業における厳しい経営の現状

旅館業における厳しい経営の現状

近年では、旅館業の倒産件数が増加傾向にあり、人手不足や資金繰りの難しさを理由に、廃業を視野に入れる旅館も多く存在します。

以下では観光庁のデータを基に、旅行業における厳しい経営の現状を解説します。

 

毎年100件前後の旅館・ホテルが倒産

2000年以降、旅館やホテルの倒産件数は毎年100件前後となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大やオリンピック特需の終了により、旅館・ホテル業の経営難が加速しているのが現状です。

昨今では、新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことで、観光客が戻りつつあります。さらに、全国旅行支援や水際対策の緩和により急激に宿泊需要が増えたことで、人手不足の問題は深刻度を増すばかりです。

宿泊客が増えたとしても、十分な人材の確保ができていない場合、宿泊客に高いサービスの提供ができないでしょう。人手不足によって思うような利益が得られないことが続けば、経営が厳しくなります。

 

借入金依存度が他業種と比べて高い

旅館業の資金調達は借入がメインです。

他業種と比較しても、借入金依存度が高い傾向にあります。

特に、1,000万円以下の中小規模の旅館の借入金依存度は、95%と極めて高いのが現状です。

小規模の旅館のなかには、多額の借入をしているケースがあり、与信枠が少なくなっていることが考えられます。借入金に依存しているため、資金繰りが難しくなると経営難に陥りやすくなるでしょう。また、毎期の元利払い額が大きな負担となる点もデメリットです。

安定経営が見込まれる旅館だとしても、一時的に資金繰りが困難になるケースがあります。そのような場合は、返済条件の緩和といった支援の活用が必要です。

 

約1割の旅館・ホテルが廃業を検討

観光庁が実施した「事業承継等の検討状況」のアンケート結果を見ると、旅館・ホテル業者の約3割が「事業承継をしたいが進んでいない」、約1割が「事業承継をせずに、廃業を検討している」と回答しています。

廃業する理由として「事業に将来性がない」と回答している人が約2割いるようです。また、後継者が見つからないことを理由に事業承継が実行できず、廃業を考える旅館も増えています。

(引用元:観光庁|事業承継等の検討状況

 

廃業を検討する旅館・ホテルの約3割は後継者問題に直面

同じく観光庁の「事業承継等の検討状況」のアンケート結果によると、廃業を検討している旅館・ホテル業者のうち、約3割が後継者問題を抱えていることが明らかになっています。後継者問題の詳細は、以下の通りです。

子供に継ぐ意思がない
子供がいない
適当な後継者が見つからない

少子高齢化が問題視されている昨今は、子供がいないことを理由に廃業を検討している宿泊業者が多く存在します。子供に後継者になる意思がなかったり、経営者としての知識やスキルを持った人材がいなかったりなど、後継者にふさわしい人物が見つからないケースもあるのが現状です。

(引用元:観光庁|事業承継等の検討状

なぜ旅館業の経営が厳しいのか

旅館業の経営が厳しいといわれる原因は、集客の難しさや人手不足による顧客離れの拡大などが挙げられます。

ここからは、旅館業が経営難に陥る理由を詳しく解説します。

 

高価格イメージによる集客の難しさ

旅館=高価格というイメージが強いことから、旅館業は集客が難しいとされています。

そのため、ビジネスホテルなど低価格で宿泊できるホテルに比べると、競争力が低い点もデメリットといえるでしょう。

観光庁が公開している「観光を取り巻く 現状及び課題等について」を見ると、旅館よりもホテルの利用者が多いことがわかります。このような問題を解決するには、顧客ニーズの理解を深めることが大切です。

(引用元:観光庁|観光を取り巻く現状及び課題等につい

 

資金繰りの厳しさ

旅館業の運営には多額の費用がかかります。初期費用だけでなく、建物のリフォーム代や備品のメンテナンス代などの維持費も必要です。

必要な資金を確保できない場合は、資金を調達しなくてはなりません。前述の通り、旅館・ホテルは金融機関の借入金に依存する傾向があります。金融機関から借入を行えば、利息の支払いが増えるため、経営を圧迫しやすい点もデメリットです。

また、金融機関から借入をするには事業計画書の作成を行い、審査を受ける必要があります。多額の場合は審査が厳しくなるため、希望通りの融資を受けられない可能性があるのが難点です。

 

人手不足による顧客離れ・競争力低下

帝国データバンクが2023年1月に実施した、人手不足についての調査によると、旅館・ホテル業の約8割が人手不足を感じていることが明らかになっています。

人手が足りなくなることで、従業員1人あたりの業務量が増えるため、ミスが多発することも考えられるでしょう。作業効率が悪くなると、サービスの品質が低下し、顧客離れや競争力の低下につながります。従業員の労働条件が悪化し、退職が相次ぐケースもあるでしょう。

(引用元:帝国データバンク| 人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 4 月)

旅館業の厳しい経営を立て直すための課題

旅行業の厳しい経営を立て直すには、Webマーケティングの強化や雇用の拡大が求められます。

具体的にはどういった行動が必要なのでしょうか。

ここからは、旅館業の経営再建につなげるために必要となる、2つの課題を解説します。

 

Webマーケティングの強化

旅館業の経営再建は、Webを導線にして集客・売上の拡大を図ることが求められます。

集客力アップにつなげるために、Web広告やSNSを活用しましょう。旅館側から積極的に情報発信することで、注目を集めやすくなります。

予約数を増やすには、オンライン予約システムの構築も欠かせません。かつての旅館の予約方法といえば、旅行代理店の利用が主流でした。しかし、近年では利用者が自らWebサイトを使用して予約するのが一般的です。

 

役員・従業員の雇用拡大

旅館業の厳しい経営を立て直すには、雇用を拡大させる必要があります。

業務を効率化できるように、経営手腕のある役員や能力が高い従業員を確保することが大切です。新たな人材を採用する場合、スキルの有無だけでなく「長く働いてくれるか」「自社に適応できるか」なども視野に入れながら、優秀な人材かを判断しましょう。

また、従業員の離職を防ぐには、労働環境の見直しが欠かせません。有給休暇を取得したとしても業務に影響が出ないようにするには、従業員一人ひとりが取り組んでいる業務をメンバー同士で共有する必要があります。

 

旅館の経営再建につながるM&Aのメリット

旅館の経営再建につながるM&Aのメリット

近年は、旅館でもM&Aを実行して経営再建につなげるケースが増えつつあります。

なお、M&Aとは、2つ以上の企業が1つになることです。

ここからは、旅館業がM&Aを実施する3つのメリットを解説します。

 

優秀な人材を取り込める

M&Aを実施すると、役員や従業員を他社から取り込めるため、高いスキルを持った優秀な人材を獲得できるでしょう。

同時に、人手不足の解消につながる点もメリットです。売上に直結するようなノウハウ経営資源が手に入る場合もあります。

「事業の後を継ぐ人材を確保できない」と悩んでいる旅館であれば、後継者問題を解決しやすくなるでしょう。後継者不在による廃業を防止できるため、従業員の雇用を守れます。

 

資金調達がしやすくなる

ほかの企業の傘下に入れば、資金繰りが容易になります。

業績が低迷している場合でも、資金調達力ブランド力のある企業を選ぶことで、経営基盤の安定につながるでしょう。

M&Aによって資金調達がしやすくなると、売上アップ集客数の増加が期待できます。

Webマーケティングに力を入れたり、設備投資をしたりなど、買い手側の資金の有効活用が可能です。

 

コスト削減につながる

新規事業をスタートさせてから軌道に乗るまでには、膨大な時間が必要です。

同業社と経営資源を統合することで、コスト削減につながる可能性があります。買い手側が、売り手側が持つブランド力や資本力をそのまま承継できるためです。

新たな事業に参入する場合、新規事業の立ち上げに必要となるノウハウが手に入ります。設備時間や費用を削減できるうえに、よりスピーディーに利益を獲得できるでしょう。事業のベースが整っていることで、失敗やトラブルも防げます。

旅館の厳しい経営を打開したM&Aの事例

以下では、旅館業の厳しい経営を立て直したM&Aにおける成功事例について紹介します。

 

投資ファンドによる旅館の買収:資金調達力の向上

1点目は、温泉施設を営むA社と世界でも最大規模の投資会社として有名なB社のM&A事例を紹介します。世界でも最大2015年3月にA社を買収し、すべての株式を獲得しました。

過去の売上アップの施策に関する経験を活かしながら、宿泊料金の引き下げに取り組んでいます。見込みのある施設に優秀なCEOやCFOを配置することで、よりスピーディーな事業の立て直しを実現させました。

 

旅行会社による旅館の子会社化:シナジー効果の創出、事業拡大

2点目は、C社とD社のM&A事例を紹介します。クルーズ旅行に特化した旅行会社であるC社は、2018年12月に旅館業を営むD社の株式を手に入れました。D社は、ホテル運営やオンライン予約サービスに関する豊富な知識を持っています。

自社のサービス利用者に対し、宿泊先を用意することでシナジー効果の獲得につなげています。インバウンド向けのホテル・旅館業への展開を実現させることを目的に、D社を買収しました。

 

旅館がM&Aにより厳しい経営状況を打開するには

旅館業においてM&Aを成功させるには、専門家への相談が欠かせません。

M&Aにはさまざまなプロセスがあるため、法律や税などのあらゆる専門知識が必要です。旅館経営者がM&A未経験の場合、プランの策定から交渉に至るまで自力で進めることは困難でしょう。

公認会計士や税理士、仲介業者などの専門家にサポートを依頼することで、M&Aをスムーズに進めやすくなります。なお、M&A仲介業者であれば、売り手と買い手の双方に対して専門家の立場からアドバイスを行います。実績のある仲介者が間に入ることで、交渉や契約時のトラブルの回避につながるでしょう。

まとめ

まとめ

昨今の旅館業の多くは、後継者問題や人手不足などを理由に厳しい経営状況にあります。

経営再建を目指そうと考えている場合は、M&Aを検討しましょう。

M&Aを行うことで、優秀な人材の確保やコスト削減が可能となり、集客率の上昇が期待できます。

M&Aを円滑に進められるか不安であれば、M&A・事業承継のサポート実績が豊富な「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。

M&Aベストパートナーズでは蓄積されたノウハウを基に、的確なアドバイスを行います。

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