2023年7月7日

M&Aの種類とは?スキーム(手法)の選び方や注意点を初心者向けに解説

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M&Aの種類とは?スキーム(手法)の選び方や注意点を初心者向けに解説

業種や規模を問わず、複数企業における統合や再編を伴う経営戦略「M&A」を行うケースが増えています。ただし、個々のケースで採用されるスキーム(手法)はさまざまです。M&Aの実施を考えるのであれば、スキームの種類を把握し、適切なものを選ぶことが大切です。

本記事では、M&Aの主な種類やスキームを紹介します。また、スキームの選び方や注意点についてもお伝えするため、M&Aについて知識を深めたい人はぜひ参考にしてください。

M&Aの主な3種類

「M&A」は、企業間における権利の移転を伴うことです。権利の移転方法や企業の関係性によって、大まかに「買収」「合併」「分割」の3種類に分けられます。まずは、これら3種類の特徴やメリットを押さえておきましょう。

買収

「買収」とは、売り手企業の一部または全てを、買い手企業が買い取ることです。買い手企業は対価(買収資金)を支払う代わりに、売り手企業の経営権や事業の運営権を取得します。売り手企業は、対価と引き換えに買い手企業の傘下に入りますが、法人格は消滅しません。

買い手企業は、売り手企業の人材や技術を取り込めるため、人材不足の解消や早期の事業拡大が可能です。売り手企業は、買い手企業に自社の経営を託せるため、後継者問題の解決につながります。

合併

「合併」とは、2つ以上の企業を統合して1つの企業にすることです。統合元となる企業の法人格は消滅し、統合先の企業に権利・義務が引き継がれます。法人格の消滅を伴うことが買収との大きな違いです。法人格を失う企業の株主には、存続する企業から対価が支払われます。

両社のリソースを統合して活用しやすくなるため、業務効率化やコスト削減を図ることが可能です。また、他社を吸収する場合は株式を対価にすることで、高額な資金を調達せずに済むでしょう。

分割

「分割」とは、企業が自社の一部事業を切り離して、他社に承継することです。切り離された事業の権利・義務は、分割先となる企業に引き継がれます。

自社の手に余る事業を他社に託せるため、不採算事業の切り離しによる経営のスリム化が可能です。また、事業単位で柔軟なM&Aが行えるため、組織の再編を図る際にも有効といえます。

ここからは、買収・合併・分割のそれぞれについて、順番に代表的なスキームを紹介します。

M&Aにおける買収の主なスキーム5種類

M&Aにおける買収の主なスキーム5種類

M&Aにおける「買収」の主なスキームとしては、次の5種類が挙げられます。買収のスキームは多く存在しますが、代表的なものの特徴やメリット・デメリットについて正しく把握しておくことが大切です。

事業譲渡

「事業譲渡」は、売り手企業が抱える事業そのものを買い手企業に譲るスキームです。対象事業の資産や権利・義務を全て買い手企業に移転させ、その代わりに売り手企業は対価を受け取ります。対象となる事業は一部だけでも、企業における全事業でも構いません。

契約時に負債や不要資産を譲渡対象から除外できるため、買い手企業はリスクを回避しながら買収を行えます。一方で手続きは複雑になりやすく、ステークホルダーとの関係に悪影響が生じるリスクがあるのが難点です。

株式譲渡

「株式譲渡」は、売り手企業の株式を買い手企業に譲渡することで、経営権を移転するスキームです。買い手企業は株式の所有権とともに企業の経営権を取得し、売り手企業は対価を受け取ります。事業譲渡とは異なり、資産や権利・義務の全てを個別に移転させる必要はありません。

多くの場合、株式譲渡契約の締結や株主名簿の更新だけで済むため、手続きがシンプルです。また、事業譲渡と比べて目に見える変化が少ない分、ステークホルダーとの関係に悪影響が生じにくいでしょう。ただし、売り手企業の負債を引き継いでしまうリスクがある点に注意が必要です。

株式交換

「株式交換」は、買い手企業・売り手企業がお互いの株式を譲り合うスキームです。買い手企業は新株や資金と引き換えに、売り手企業の株式・経営権を取得します。これによって買い手企業は親会社となり、売り手企業を子会社化することが可能です。

自社が新規に発行した株式を対価にすることで、買い手企業は資金を調達せずに済みます。ただし、売り手企業の経営者や役員が新たな株主となるため、買い手企業の既存株主から理解が得られないケースもあるでしょう。

株式移転

「株式移転」は、新設した企業に株式を譲り、経営権を移転するスキームです。新設した企業は株式を取得することで親会社となり、元の企業は親会社から株式を取得して子会社となります。

株式の交換を伴う点で株式交換と似ており、メリット・デメリットも概ね同じです。企業間の親子関係を構築できる株式移転は、持株会社(ホールディングカンパニー)の設立によく使われます。ただし、子会社が増えると連携が図りづらくなり、業績の低下につながるリスクもあります。

第三者割当増資

「第三者割当増資」は、企業が新株を特定の第三者(投資家や企業)に売却するスキームです。買い手となる第三者は売り手企業の新株を取得し、その代わりに資金を提供します。

第三者割当増資は、株式会社が資金を調達する手段として使われることが一般的です。売り手企業は返済義務なしに資金を調達でき、買い手側は売り手企業の経営に関与しやすくなります。ただし、売り手企業の経営に対する影響力が弱まる点に注意が必要です。また、買い手側は経営権を完全に取得できるわけではありません。

M&Aにおける合併の主なスキーム2種類

M&Aにおける合併の主なスキーム2種類

次に、複数企業が1つに統合される「合併」のM&Aにおけるスキームを紹介します。合併で用いられるスキームは、主に「吸収合併」「新設合併」の2種類です。なお、3社以上で合併するケースもありますが、ここでは2社間の合併として解説します。

吸収合併

「吸収合併」は、片方の企業をもう片方の企業に吸収させる形式で引き継ぐスキームです。吸収される企業(売り手企業)は法人格を失い、吸収する側(買い手企業)の企業に権利・義務が移転します。売り手企業は、対価として買い手企業の株式を取得することが一般的です。

例えば、A社が吸収合併でB社を吸収する場合、B社の法人格は消滅してA社だけが存続することになります。

新設合併

「新設合併」は2つの企業を、新設した企業へ統合するスキームです。元の2社はともに法人格を失い、新しい企業に権利・義務が移転します。新しい企業の株式は、対価として元の2社の株主へ割り当てられることが一般的です。

例えば、A社とB社が新設合併を行う場合、新たに設立したC社へ統合され、A社とB社の法人格は消滅します。双方が新しい企業へ統合されるため極端な上下関係が生じにくく、公平なM&Aを実現しやすいでしょう。その反面、合併における影響範囲が大きく、手続きは複雑になりやすいといえます。

M&Aにおける分割の主なスキーム2種類

次に、企業の一部事業を切り離して他社に承継する「分割」のM&Aにおけるスキームを紹介します。分割で用いられるスキームは、主に「吸収分割」「新設分割」の2種類です。

吸収分割

「吸収分割」は企業が事業を切り離し、既存の別企業に吸収させる形式で引き継ぐスキームです。事業が抱える権利・義務は、吸収する企業に移転します。事業を分割した企業は、株式といった対価を受け取ることが可能です。

前述の事業譲渡と似ていますが、事業譲渡では事業の権利・義務を個別に移転させなければなりません。一方の吸収分割では、元の企業から権利・義務を完全に切り離し、包括的に承継するのが大きな違いです。吸収分割のほうが、承継に伴う手続きの負担を減らしやすいでしょう。ただし、吸収する側の企業が債務を引き継ぐリスクがある点に注意が必要です。

新設分割

「新設分割」は企業が切り離した事業を、新設した企業へ引き継ぐスキームです。事業が保有する権利・義務は、新設した企業に移転します。企業が不採算事業を切り離す際に使われることが多い手段です。手続きの負担を抑えやすいものの債務を引き継ぐリスクがある、という点は吸収分割と変わりません。

M&Aの種類・スキームを比較する際のポイント

M&Aのスキームにはさまざまな種類があり、どれを選ぶべきかわからない人も多いでしょう。ここでは、M&Aのスキームを選ぶにあたって、比較する際のポイント3つを紹介します。

自社の目的に合致しているか

自社がM&Aを実施する目的を明確にしたうえで、目的に合致したスキームを選びましょう。M&Aのスキームによって、達成できる目的は異なります。例えば、株式譲渡であれば後継者問題を解決でき、株式移転であればグループ体制の構築が可能です。

M&Aの目的は多く存在し、スキームによって異なります。M&Aの目的について詳しく把握したい人は、次の記事を参考にしてください。

M&Aの目的

シナジー効果が期待できるか

シナジー効果が期待できるM&Aのスキームを選びましょう。シナジー効果とは、2つの要素を掛け合わせることで、単独の場合よりも多くの成果が得られることです。つまり、M&Aによって自社の成果も、相手企業の成果も高まるようなスキームが求められます。

M&Aの契約は、2社間の合意によって始めて成立します。両社にとってメリットがなければ、相手企業からの合意は得られないでしょう。スキームを選ぶ際には、自社の成果アップだけでなく、相手企業の成果アップにもつながるか考えることが大切です。

必要な資金・資産を確保できるか

M&Aにおける多くのケースでは、相手企業の資産と引き換えに資金を支払う、といった構図になります。そのため、M&Aにあたっては資金・資産の確保が重要です。

ただし、M&Aのスキームによって承継する資産や、対価とするものは異なります。スキームを選ぶ際には、自社がM&Aに必要な資金・資産を確保できるかも考えましょう。

M&Aを行う際の注意点

M&Aを行う際の注意点

スキーム選びだけでなく、M&Aにはさまざまなプロセスがあります。M&Aを成功させるために、ここで紹介する2つの注意点を押さえておきましょう。

M&Aの種類によって契約書や流れは異なる

M&Aの種類によって契約書や流れは異なるため、選んだスキームに合わせて確認しましょう。例えば、株式譲渡だと「株式譲渡契約書」や「株式名義書換請求書」が必要になります。しかし株式譲渡以外のスキームでは、別の書類を用意しなければなりません。

また、M&Aの対象となる資産や対価も異なるため、手続きの流れもさまざまです。スキームごとの正しい流れを把握し、手続きの漏れ・誤りによるコンプライアンス違反に注意しましょう。

不安があればM&Aの専門家に相談する

スキーム選びだけでなく、手続きの進め方や相手企業との交渉など、M&Aには多くの専門知識が求められます。M&Aの経験が少ない経営者が、適切に進めることは現実的に難しいでしょう。

そのため、不安があればM&Aの専門家に相談することが大切です。信頼性の高い専門家であれば、適切なM&Aの進め方に関するアドバイスだけでなく、相手企業探し・交渉といった支援も受けられます。M&Aでの失敗を避けたいのであれば、自社だけで悩まず相談するとよいでしょう。

まとめ

M&Aには「買収」「合併」「分割」の3種類があり、それぞれにさまざまなスキーム(手法)が存在します。M&Aのスキームによって目的や対象となる資産、対価、手続きの流れが異なります。M&Aを成功につなげるには、自社に合ったスキームを選ぶことが大切です。

ただし、M&Aにはスキームだけでなく相手企業の選定・交渉、契約書作成など、幅広い専門知識が欠かせません。M&Aの経験が少ない場合は、専門家にアドバイスを求めるようにしましょう。

M&Aに関してサポートが必要と感じている人は、M&A・事業承継のプロフェッショナルである「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。

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