M&Aストーリー
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
昨今では、他企業との統合により経営課題の解決を図れる「M&A」を実施する企業が増えています。
M&Aの実施にあたって、重要な役割を果たすのが弁護士です。弁護士の仕事内容はイメージできても、M&Aとの関係性がイメージできない人は多いのではないでしょうか。
この記事では、M&Aで弁護士が果たす役割とは何か、わかりやすく解説します。
M&Aの実施にあたって弁護士に依頼するメリットや費用相場もお伝えするため、ぜひ参考にしてください。
目次
M&Aは、買い手企業・売り手企業間での契約や資産の移転、対価の支払いなどを伴います。これらの過程では、さまざまな法務(法律や司法に関わる業務)を行わなければなりません。こうしたM&Aの法務全般をサポートするのが、弁護士の重要な役割です。
M&Aで弁護士が提供する具体的なサポート内容としては、主に次の4つが挙げられます。
M&Aを実施する企業には、計画・戦略の策定から契約後の統合に至るまで、さまざまな意思決定が必要です。このとき、判断を誤れば法律に抵触してしまうリスクがあります。実際に法律違反を犯せば、罰金や訴訟だけでなく、企業の信頼失墜は避けられないでしょう。
弁護士は、M&Aを実施する企業を法的リスクから守るべく、法務上のアドバイスを提供します。
考えられる法的リスクを提示したり、法的に問題のない対応方法を助言したりすることで、企業のM&A成功への後押しが可能です。
M&Aにおいて「デューデリジェンス(DD)」が欠かせません。
デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業のリスクを調査・分析するプロセスのことです。
デューデリジェンスは財務や税務、法務といった複数の観点から実施しなければなりません。
弁護士は法律のプロとして、買い手企業の法務デューデリジェンスを支援します。法的な観点を持ち合わせているため、調査や分析を実施したうえで考えられるリスクを買い手企業に提示してくれるでしょう。
例えば、売り手企業に訴訟の経験がないか、知的財産権を侵害していないかなどの観点から調査・分析します。
M&Aでは、さまざまな書類を適切に扱わなければなりません。書類の内容や手続きに不備があれば、法律に抵触するリスクもあります。また、相手企業と交わす契約書では、自社に不利な条件が記載されるケースも考えられるでしょう。
弁護士は、法的な観点からM&Aに関する書類作成や手続きを支援します。自社で作成する書類に不備がないか、相手企業からの書類に不利な記載がないか、などのチェックが主な内容です。
適切な書類により手続きを進めることは、M&Aにおいて重要といえます。
M&Aでは、買い手企業・売り手企業の交渉が必要です。
取引金額や譲渡する資産など、さまざまな条件を両社で擦り合わせる必要があります。お互いの方向性が完全に一致することは稀であり、交渉が難航するケースが多いでしょう。
また、弁護士は企業に代わって交渉の代理を務める場合もあります。法律を遵守しつつ、クライアント企業が不利にならないように相手企業と直接交渉してくれるでしょう。
弁護士への依頼には費用がかかるものの、得られるメリットは大きいといえます。
M&Aの実施にあたって弁護士に依頼する主なメリットは、次の3つです。
法律のプロである弁護士に依頼すれば、専門家の観点から適切なアドバイスを受けることが可能です。法務の専門家が自社にいない場合、M&Aのプロセスにおける判断を誤り、法律に抵触してしまう可能性があります。
その点、弁護士は法的な観点から警告や助言を行ってくれるため、法的リスクを大幅に低減可能です。法律違反による罰金や訴訟に伴う損失を考えれば、弁護士への依頼費用は価値ある投資といえるでしょう。
M&Aの交渉において弁護士に代理を依頼すれば、不利になりにくいといえます。
弁護士は法律のプロという立場から、相手企業と対等以上の交渉が可能です。
相手企業の提示条件や交渉手段に法的な問題があれば指摘できるため、自社が不利になる取引を防げるでしょう。
また、法務デューデリジェンスの結果をもとに取引金額を調整する、といった交渉も行えます。
M&A実施経験のない企業がプロセスを進める場合、多くの期間を要するでしょう。
その点、弁護士に依頼すれば交渉や書類作成・手続きといった幅広いサポートを受けられます。M&A未経験の企業でも適切な判断のもと、プロセスをスムーズに進められるでしょう。
M&Aを経営課題の解決策として実施するのであれば、プロセスの効率化は課題解決を早めることにつながります。
M&Aの実施にあたって弁護士に依頼する際には、さまざまな費用が発生します。
依頼先の弁護士によっても変動しますが、主な費用の種類と相場は下表の通りです。
費用の種類 | 概要 | 費用相場 |
相談料 | 依頼の相談時に生じる対価 | 無料~数万円 |
着手金 | サポートの着手開始時に生じる対価 | 無料~数百万円 |
顧問手数料 | 弁護士との顧問契約の締結時に生じる対価 | 数万円~/月 |
DD費用 | 法務デューデリジェンス実施・支援の対価 | 数万~10万円/時間 |
成功報酬 | M&Aの契約成立時に生じる対価 | レーマン方式で算出 |
費用は種類によっても、依頼先によっても大きく前後します。
弁護士に依頼する際には、必ず依頼先に費用の内訳を確認しましょう。
なお、上記の「レーマン方式」とは、(取引金額)×(取引金額に応じて決まる手数料率)のように成功報酬を算出する方式です。取引の規模が大きいほど成功報酬が上がるため公平感があり、M&Aの成功報酬を算出する際に広く採用されています。
M&Aにおけるレーマン方式について詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。
M&Aにおけるレーマン方式とは?種類や計算方法、メリットについて解説
M&Aの実施にあたって弁護士への依頼は賢明な選択肢ですが、注意点について正しく把握しておきましょう。M&Aのサポートを弁護士に依頼する際の注意点は、次の2つです。
弁護士のサポート範囲を確認し、明確にしておきましょう。
弁護士のサポート内容は前述のようにさまざまですが、必ずしも全てのサポートを提供しているとは限りません。期待するサポート内容を依頼先がカバーしていない場合、自社だけで実施したり、別の依頼先を探したりする必要があります。
どのようなサポートを提供しているのかを事前に確認しておくことで、追加依頼・費用の発生を防ぐことが可能です。
また、前述のデューデリジェンスのように、特定のサポートに対して費用が発生する場合もあります。予算を超えないためにも、サポート範囲に加えて、各サポートに対する費用も確認しておきましょう。
弁護士は、M&Aにおいて有用なサポートを行ってくれますが、全プロセスをカバーできるわけではありません。
M&Aの実現には、会計や税務といった多くの専門知識が求められます。そのため、実際には公認会計士や税理士など、さまざまな専門家のサポートが必要です。弁護士の依頼に加えて、ほかの専門家への依頼が発生することを把握しておきましょう。
とはいえ、さまざまな専門家に依頼するとプロセスの進行管理が煩雑になる懸念があります。可能であれば、依頼先は1社に集約したいところでしょう。
そのような場合には、M&A仲介会社といったM&A支援機関の利用がおすすめです。
M&A支援機関では、法務以外も含めた包括的なM&Aサポートを受けられるため、自社の管理負担を軽減できます。
弁護士は、M&Aの法務全般をサポートする重要な役割を果たします。
法務上のアドバイスやデューデリジェンスの支援、書類作成・手続きの支援など、幅広いサポートを受けることが可能です。法的リスクを低減し、M&Aのプロセスをスムーズに進めるうえで、弁護士への依頼は欠かせません。
ただし、M&Aには弁護士だけでなく、公認会計士や税理士といった多くの専門家のサポートが必要です。M&Aの経験がない企業が成功させるには、M&Aに関する包括的なサポートを提供するM&A支援機関へ依頼することが望ましいといえます。
「M&Aベストパートナーズ」では各業界の豊富なM&A成功実績があり、相談であれば無料で行えます。M&Aに関する幅広いサポートを受けたい場合は、弊社へお気軽にご相談ください。
こちらのページは片山法律会計事務所に監修していただきました。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。