M&Aストーリー
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
さまざまな業界において、「後継者不足」の課題が深刻化しているでしょう。こうした状況のなか、近年では後継者のいない会社を買う動きに注目されています。
この動きは、売り手側にとって、廃業せずに後継者が見つかるというのが最大のメリットですが、買い手側にはどのようなメリットがあるのか気になる人もいるでしょう。
今回は、後継者のいない会社を買うメリットや、注意点について解説していきます。また、買収方法についても解説するため、後継者のいない会社の買収を検討している人は、参考にしてください。
目次
近年、後継者のいない会社を買う動きが注目されています。その背景には、日本の経営者層の高齢化が進むなか、後継者を見つけることが難しくなっていることがあるでしょう。
この問題は、コロナ禍による経済の変動と相まって、事業承継の重要性を一段と高めています。そして、この動きは大手企業だけでなく、個人レベルでも見られるようになりました。
日本の中小企業界において、経営者の高齢化が進行中です。中小企業庁の「令和元年度(2019年度)の中小企業の動向」によると、70代以上の経営者が年々増加しており、2018年には全ての経営者のうち30%は、70代以上という結果が出ています。
※引用元:中小企業庁│令和元年度(2019年度)の中小企業の動向
また、帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると、経営者が70代になって後継者がいない企業は、全体の約33%という結果です。さらに経営者が80代以上で後継者がいない企業は、全体の約26%という結果が出ています。
※引用元:帝国データバンク│全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)
この背景には、親族内で事業承継をする会社が減っている影響が考えられるでしょう。かつては家族経営が主流でしたが、現代の若者たちは異なるキャリアを選択することが多く、家業を継ぐことに消極的な傾向が見られます。このような状況から、後継者のいない会社を買う動きが注目されています。
新型コロナウイルスの影響は、多くの企業にとって厳しい状況をもたらしました。経済全体の停滞や消費者の行動変化、供給網の混乱など、多岐にわたる影響が出ています。特に後継者のいない企業や経営資源が不足している企業は、経営の継続が困難となりました。
このような状況により、経済水産省は2021年に「中小M&A推進計画」を取りまとめ、第三者へ事業承継するM&Aを推進しました。これにより、M&Aによる事業承継が広く認知され、さまざまな企業が後継者不足の解消のためにM&Aを実施するようになります。
後継者のいない会社の増加は、個人にも新しいビジネスのチャンスをもたらしています。多くの企業が後継者を持たずに業績を悪化させているなか、個人がこれらの企業を買収する動きが見られるようになりました。
後継者がいない会社のなかには、買収価格が「0円」となるようなケースもあり、個人での買収を考えている人にとって大きなチャンスです。しかし、企業の買収は簡単ではありません。事業の将来性や方向性をしっかりと見極め、計画的に進めることが重要です。
このような機会をうまく活用できれば、新しい市場やビジネスの展開や企業の資産の取得といったメリットを享受できるでしょう。
後継者のいない会社を買収する動きが高まっていますが、買収することで買い手側はどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、後継者のいない会社を買うメリットについて解説します。
会社を買収することで、その会社が長年にわたり築き上げてきた資産を吸収することが可能です。これらの資産を活用すれば、市場での競争力を一気に高めることができるでしょう。
例えば、すでに確立されたブランドや顧客は、引き継ぐことでビジネスの基盤を強固にする要素となります。また、独自の技術・ノウハウを持つ人材は、新たな事業展開の際の品質向上に貢献するでしょう。
このように、会社の買収は、事業の継続性や新たな成長の機会をもたらす大きなメリットを持っています。
新規事業を始める際、初期投資や事業計画の策定、人材の確保など多くの時間とコストがかかります。しかし、既存の会社を買収することで、これらの大幅に緩和できるでしょう。
例えば、新規事業を立ち上げる場合、市場調査や適切な物件探し、設備の導入、人材の確保・教育などが必要です。これに対して、すでにその事業を行っている会社を買収すれば、事業を始めるのに必要なものがそろっています。そのため、新規事業への参入にかかるコストを大幅に削減できるでしょう。
後継者のいない会社を買うことは、事業拡大の観点でも効果的な選択といえるでしょう。買収した会社の顧客、技術、人材を活用すれば事業規模の拡大を低リスクで実現できます。
さらに、自社の事業と買収先の事業が補完関係にある場合、シナジー効果に期待できるでしょう。例えば、製品ラインナップの拡充や新たな顧客層の獲得、効率的な業務運営など、両社の強みを組み合わせることで、利益の増大が見込めます。
このように、後継者がいない会社を買収することは、事業の規模を拡大するうえでの大きなメリットをもたらします。
事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継やM&Aの実施による、中小企業の継続的な発展を支援する制度のことです。具体的には、事業の再編やM&Aなど、新たな取り組みを行う際の費用の一部を、補助することで経済を活性化させます。
しかし、すべての企業が補助を受けられるわけではありません。補助金の対象となるには、下記の要件を満たしている必要があります。
・中小企業であること
・事業承継が近い将来予定されている、またはすでに計画されていること
・事業継続の意志が明確であること
・各自治体や補助金提供機関による独自の条件がある場合もある
ただし、具体的な補助内容や条件は、実施している自治体や機関によって異なります。詳細や申請方法については、事業承継・引継ぎ補助金の公式サイトを確認しましょう。
事業承継は単なる経済活動ではなく、社会貢献の一環としても重要です。後継者がいなくなり廃業してしまうと、その企業がもつ技術や伝統が失われます。M&Aによりこうした技術や伝統を継続させることで、文化の承継が可能です。
特に、長い歴史を持つ伝統産業では、後継者不足のリスクが高まっており、これらの事業の存続は地域のアイデンティティーや日本の伝統を守るという観点でも有益といえるでしょう。事業承継は、日本の伝統や歴史を次世代に繋ぐ文化の架け橋としても貢献します。
後継者のいない会社を買収する際には、多くのメリットがありますが、同時に注意すべきポイントも存在します。ここでは、後継者のいない会社を買う際の注意点について詳しく解説します。
経営者が変わることは、従業員や取引先との信頼関係に影響を及ぼす可能性があります。そのため、この変化を乗り越え、新たな信頼関係を築くための努力が必要です。新経営者は、長年の関係が一変するリスクを考慮して、従業員や取引先とのコミュニケーションを増やしたり、取引条件を見直したりなどの行動が求められます。
これらのアプローチを行うことで、企業は安定的な成長を実現できるでしょう。後継者のいない会社を買収する際は、こうしたポイントを念頭に置くことが重要です。
後継者のいない会社を買収する際、簿外債務の存在は、買い手側にとって大きなリスクとなり得ます。この債務は、事業の引き継ぎとともに新たな経営者に移されるため、予期せぬ経費やトラブルの原因となる可能性があるためです。
こうしたトラブルを防ぐためには、デューデリジェンスを適切に実施することが求められます。デューデリジェンスとは、M&Aプロセスの一つであり、買い手側が売り手側に対して、事前調査を行うことです。
デューデリジェンスが適切に実施されていれば、これらのリスクを早期に発見し、適切な対策を講じられます。後継者のいない会社を買うときは、デューデリジェンスによりその会社の実態をしっかり把握しておきましょう。
後継者がいない会社を買う際は、特定のサービスや機関を駆使することで、スムーズに実施できます。ここでは、これらの利用方法について詳しく解説していきます。
M&A仲介サービスを利用すれば、後継者のいない会社を買うことが可能です。
M&A仲介サービスは、M&Aを希望する企業同士を結びつける役割を果たします。このサービスの特徴は、売り手を迅速に探してくれる点と、専門家のサポートを受けられる点です。専門家は、M&Aの流れや価格交渉、契約内容の確認など、さまざまなアドバイスを提供しており、活用することでM&Aを円滑に進められるでしょう。
特に、後継者がいない会社の買収を検討している企業にとって、役立つサービスです。
事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継やM&Aに関する専門的なアドバイスを提供する公的機関です。全国に展開しており、無料で相談を受け付けています。事業承継・引継ぎ支援センターを活用すれば、後継者がいない企業とのマッチングや、事業承継を円滑に行うための情報・ノウハウを入手できるでしょう。
初めて事業承継を検討する企業には、事業承継・引継ぎ支援センターの専門家の助言が役立ちます。事業の継続や、新しいビジネスの機会を追求する際は、このサポートを活用しましょう。
後継者のいない会社を買収することは、新たなビジネスの機会を開くものの、成功するためはしっかりとした下準備が求められます。買収の狙いや対象企業の実態を深く理解することが、成功へのかぎとなるでしょう。この段階で、買収先の財務や業績、従業員の意欲などをしっかり確認し、正確な評価を下すことが大切です。
また、買収を進めるにはさまざまな専門知識が求められるため、M&A専門家のアドバイスは欠かせません。専門家のサポートを受けることで、リスクを最小限にしながら効率的に買収を実行できます。後継者のいない会社を買収することは、新たな事業の機会となりますが、その成功のためには十分な情報と専門家との緊密な連携が不可欠です。
近年では、後継者のいない会社を買う動きが活発化しています。買い手側は、後継者のいない会社を買うことで、売り手側の資産の承継や新規事業への参入コストの削減などの利点があります。
M&A仲介サービスや事業承継・引継ぎ支援センターをうまく活用すれば、効率的に買収を進められるでしょう。しかし、買収を成功させるためには専門的知識や経験が求められるため、専門家のサポートが必要です。
後継者のいない会社を買うことを検討している人は、「M&Aベストパートナーズ」にご相談ください。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
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