2023年9月26日

住宅業界におけるM&Aの動向とは?実施するメリットや事例について

MABPマガジン編集部

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住宅業界におけるM&Aの動向とは?実施するメリットや事例について

住宅業界において、M&Aはさまざまな課題を克服するために有効な方法です。住宅業界でM&Aを検討している人のなかには、M&Aの動向について気になる人もいるでしょう。

また、M&Aを成功させるにはどうすればよいのか知りたい人もいるかもしれません。

今回は、住宅業界におけるM&Aの動向やメリット、事例について解説します。

また、買い手側・売り手側企業それぞれの観点からM&Aを成功させるポイントについても解説しているため、住宅業界におけるM&Aの実施を検討している人は参考にしてください。

住宅業界の概要について

住宅業界の概要について

ここでは、住宅業界の概要や抱えている課題について解説します。

 

住宅業界とは

住宅業界は、分譲住宅や注文住宅などの一戸建て住宅の設計・建築・販売を行う企業のことです。住宅業界には、建設会社工務店ハウスメーカーなどが含まれます。

また、住宅業界の企業は大きく「ゼネコン」と「サブコン」の2つに分かれているのが特徴です。ゼネコンとは、総合建設業のことを指し、施主から工事を請け、専門業者を使いながら工事全体を取りまとめる役割があります。

一方のサブコンは、元請けであるゼネコンから、専門的な工事を請け負うのが役割です。サブコンには、工務店電気工事業者空調工事業者などが含まれます。

 

住宅業界がかかえる課題

住宅業界では、人材不足と後継者不足が課題となっています。しかし、近年では少子高齢化の影響により、住宅業界に限らずどの業界でも人材不足や後継者不足などの課題をかかえている状況です。

住宅業界の場合は、少子高齢化の影響に加えて、仕事内容が「3K(きつい・汚い・危険)」とイメージしている人が多いため、人材の確保がさらに難しいでしょう。

特に、中小企業では、人材不足や後継者不足などの課題が深刻化しています。こうした課題を解決できずに、廃業を選択した企業も存在するでしょう。

住宅業界におけるM&Aの動向

近年の住宅業界において、M&Aを実施する企業が増加傾向にあります。

M&Aを実施する主な目的は、人材不足・後継者不足の課題解消や、事業エリアの拡大などです。これは、少子高齢化や人口減少などの影響により、住宅業界の市場規模が減少しているのが要因になっていると考えられるでしょう。

また、国内企業と海外企業との「クロスボーダーM&A」を実施する動きも見られます。例えば、国内の大手企業が海外企業を買収して、海外市場に参入しようとする動きです。

反対に、海外企業が国内企業を買収し、国内市場に参入するという動きもあります。これは、海外の技術を取り入れられることで、他社との差別化を図るというのが目的です。

 

住宅業界におけるM&Aのメリット

住宅業界におけるM&Aの実施は増加傾向にありますが、M&Aを実施することでどのようなメリットを得られるのでしょうか。

ここでは、住宅業界におけるM&Aにより買い手側・売り手側企業が得られるメリットについて解説します。

 

買い手側企業のメリット

買い手側企業は、M&Aを行うことで、以下のようなメリットを得られます。

・優秀な人材を確保できる
・スケールメリットを得られる

先述の通り、住宅業界では人材不足の課題が深刻化しています。こうした状況のなかM&Aにより新たな人材を確保できるというのは、買い手側企業にとって大きなメリットといえるでしょう。また、住宅業界の仕事に必要な技術や経験を既にもっている優秀な人材を確保できるため、即戦力として従事してもらえます。

住宅業界におけるM&Aにより、スケールメリットが得られる点もメリットの一つです。スケールメリットとは、同業種同士が集まり、生産量や事業規模などを拡大したうえで利益率もしくは生産性を向上させることです。実際に、大手の住宅建設企業は、スケールメリットにより、高い利益率を上げているという事例もあります。

 

売り手側企業のメリット

売り手側企業は、M&Aを行うことで以下のようなメリットを得られます。

・後継者不足を解消できる
・大手のブランド力を活用できる

先述の通り、住宅業界では後継者不足という課題をかかえています。なかには後継者が見つからず廃業を選択した企業も存在するというのが現状です。M&Aを実施し、第三者に事業承継すれば、後継者不足を解消できるため、企業を存続できます。

企業を存続させることで、従業員の雇用を維持できるという点もメリットといえるでしょう。

さらにM&Aにより大手の住宅建設企業の傘下に入れば、そのブランド力を活用して事業ができるという点もメリットの一つです。大手のブランド力を活用できれば、事業のさらなる発展につながるでしょう。

住宅業界におけるM&Aの事例について

住宅業界におけるM&Aの事例について

ここでは、住宅業界におけるM&Aの事例を紹介します。

 

パワービルダーA社と工務店B社のM&A

売り手側企業であるB社は、埼玉県の中央・東・西エリアを中心に注文住宅事業や不動産売買などを展開していました。

一方の買い手側企業A社は、分譲住宅開発・販売事業を中心に関東全域で注文住宅やリノベーション、不動産仲介事業を展開している会社です。

B社がもつ、分譲住宅開発・販売に関する経営ノウハウをA社に移転し、グループとしての調達力の強化やコストダウンを図る目的でM&Aが実施されました。

その後、A社はB社の全株式を取得して、完全子会社化となっています。

 

大手ハウスメーカーC社とアメリカ企業D社のM&A

買い手側企業のC社は、IT技術を使ってエネルギー消費を最適化する住宅である「スマートハウス」の開発を行う会社です。

一方の売り手側企業であるD社は、アメリカ・カルフォルニア州で一戸建て住宅販売事業を展開していました。

C社は、アメリカ市場におけるスマートハウスの販売を促進する目的でM&Aを実施しました。

その後、吸収合併によりC社はカルフォルニア州のD社を完全子会社化にしています。

 

大手ハウスメーカーE社と建設業F社のM&A

買い手側企業であるE社は、木材・自然に関する幅広い知見をもつ大手ハウスメーカーです。新規住宅の需要が減少するなか、住宅以外の分野や不動産開発に事業を広めるために、ゼネコンの企業を必要としていました。

一方の売り手側企業F社は、土木・建設業分野に加えて、地熱やバイオマスなどの再生エネルギー事業の強化を掲げている会社です。再生エネルギーを実現するために、木材や自然などについての幅広い知識をもつE社とのM&Aを実施しました。

その後、大手ハウスメーカーのE社と建設業のF社は、M&Aにより業務資本提携しています。

 

【買い手側】M&Aを成功させるためのポイント

M&Aは、必ず成功するとは限りません。成功するにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。

ここでは、買い手側企業がM&Aを成功させるために押さえておくポイントについて解説します。

 

デューデリジェンスをしっかり行う

M&Aプロセスの一つとして「デューデリジェンス」があります。デューデリジェンスとは、買い手側企業が売り手側企業に対して、企業や事業などの実態を調査することです。

デューデリジェンスは、M&Aを成功させるためにも必要となるプロセスになるため、漏れがないように徹底的に行いましょう

また、デューデリジェンスでは法務や財務、税務などの専門的な側面から調査します。こうした調査には、各分野に関する専門的な知識が必要であり、自社のみで実施するのは困難でしょう。そのため、M&Aの専門家に依頼することがおすすめです。

 

PMIを慎重に行う

M&Aを成功させるには、PMIを慎重に行うことが大切です。PMIとは、M&A成立後に行うプロセスを指します。

M&A成立後には、これまで違う環境で仕事をしてきた2つの企業同士が業務内容をすり合わせ、体制を整えることが必要です。統合プロセスがうまくいかないと、従業員の離職や反発などさまざまなリスクが発生します。

PIMの具体的な内容としては、社名の変更や取締役会、経営会議などのプロセスの明確化が挙げられるでしょう。ほかにも給与水準の変更といった、M&A実施後にトラブルになりそうな点を事前に解消しておくことが重要です。

M&Aで得られる効果を最大限に発揮するためにも、PMIは慎重かつ計画的に行わなければなりません。

【売り手側】M&Aを成功させるためのポイント

【売り手側】M&Aを成功させるためのポイント

M&Aを成功させるには、買い手側企業だけでなく、売り手側企業もいくつかのポイントを押さえたうえで実施することが大切です。

ここでは、売り手側企業が押さえておくべきポイントを解説します。

 

M&Aの目的を明確にする

M&Aを実施する際には、事前にその目的を明確にさせておくことが重要です。

目的があいまいなまま進めると、M&A実施後に利益が見込めなかったり、自社にとって損益が発生したりなど、失敗に終わる可能性があります

また、目的を明確に定めていなければ、M&Aを実施すること自体が目的となってしまうケースもあるでしょう。そうなれば、M&A後に発生する問題に対応できなくなってしまいます。

 

自社の強みを把握しておく

売り手側企業にとってよい成約を結びつけるには、よい買い手側企業と取引する必要があります。

よい買い手側企業とのM&Aを成立させるには、交渉時にいかに効果的にアピールできるかが重要です。こうした場面で、自社の強みを把握しておけば的確にアピールできるでしょう。

その際には、買い手側にとってメリットとなる自社の強みを選んでアピールすることが大切です。買い手側の視点に立って交渉すれば、より相手企業に自社の魅力が伝わるでしょう。

 

M&Aの専門家へ依頼する

M&Aには、会計や財務、税務などの専門知識が必要です。

また、M&Aは複雑な手続きも多いため、専門家へ依頼することをおすすめします。

M&Aの専門家に依頼すれば、M&Aの成功に向けた的確なサポートを受けられるでしょう。また、M&Aを実施するうえで最も重要な相手企業の選定の際には、M&Aの専門家がよい条件の相手企業を紹介してくれます。

このように、M&A実施するにはさまざまな知識や経験などが必要となるため、M&Aの実施を検討している場合は、専門家へご相談ください。

まとめ

まとめ

住宅業界では、人材不足や後継者不足が大きな課題となっています。特に、中小企業ではこれらの課題が深刻化しており、なかには廃業した企業も存在するのが現状です。

近年ではこれらの課題を解消するために、M&Aを実施する企業が増加傾向にあります。

M&Aを成功させるには、デューデリジェンスやPMIを丁寧に行うことが大切です。これらを漏れなくスムーズに行うには、M&Aの専門家に依頼する必要があるでしょう。

「M&Aベストパートナーズ」では、住宅業界におけるM&Aのさまざまな実績や知識をもったアドバイザーが、自社の状況に適したサポートを行います。

住宅業界におけるM&Aを検討している人は「M&Aベストパートナーズ」へご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

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