2023年7月21日

建材卸売業界が抱える課題とは?解決策として有力なM&Aのメリットも解説

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建材卸売業界が抱える課題

近年、建材卸売業界はリフォームの需要が伸びています。

しかし、建材卸売業者には、人材不足や後継者問題といったさまざまな課題があるため、解決できずに廃業するケースもあるでしょう。建設卸売業界が抱えている課題は、どうすれば解消できるのでしょうか。

この記事では、建材卸売業界が抱えている課題や、克服が難しい理由などについて解説します。

また、課題解決に有効なM&Aについても解説しているため、建材卸売業界の課題や解決策であるM&Aのメリットについて知りたい人はぜひご一読ください。

建材卸売業界の存続に向けて解決すべき課題

建材卸売業界の存続に向けて解決すべき課題

建材卸売業界には、後継者問題や人材不足など存続するために解決しなければならない課題がいくつかあります。

これらの課題を解決できず、廃業を選択した企業が存在するほど重要な問題です。

ここでは、建材卸売業界が存続に向けて解決しなければならない課題について解説していきます。

 

後継者問題の解消

建材卸売業界では、後継者問題が深刻化しています。

建材卸売業者は、家族で経営していることが多く、子どもや親族などの身内に事業継承することが一般的です。

しかし、設備への投資資金における借入の負担増加や、社会情勢の影響を受けやすいことが理由で、事業継承を身内で行うことに消極的な人が多い傾向にあります。

なお、身内に事業継承がする人がいない場合は、従業員や役員などから後継者になる人材を探す必要があるでしょう。そのため、建材卸売業界が存続するには、後継者問題を解消する必要があります。

 

人材不足の解消

近年では、建材卸売業界だけでなく、さまざまな職業で人材不足は深刻化しています。

これは、人口の減少や少子高齢化などにより、就業率が安定しないためです。

また、高齢従業員のリタイアが続出しているなか、新しく入社する若者が少なくなっています。

改善するためには、働く環境の改善や、若者を積極的に採用するための組織作りなどが必要です。

このように、人材不足の解消は、建材卸売業界の存続において早急に改善すべき課題といえるでしょう。

 

資金調達の安定化

建材卸売業界では主に木材を使用します。建築・輸出するために、木を仕入れたり、管理したりする費用が必要になるでしょう。

しかし、建材卸売業界の多くは中小企業のため、法人に比べると潤沢な資金力があるとはいえません。

また、木材は各国から輸入していることや、新型コロナウイルスや円安などの影響で、建材価格が高騰しています。

そのため、さまざまな費用が高騰し続けている状態では、中小企業は事業が成り立たなくなるでしょう。

 

IT化による生産性向上

建材卸売業界が抱える人材不足は、IT化を行うことで改善できる可能性があります。

建材卸売業は、さまざまな素材や形状の建材を取り扱うため、種類別の管理が難しく、在庫管理や種類別採算管理などに時間がかかります。加えて、仕入れ先が多くなれば、仕入れ先管理にも時間がかかるでしょう。

このような管理業務は、IT化を導入することで、作業の効率化が可能です。そのため、一人あたりの生産性向上を実現し、少ない人材でも経営できるようになる可能性があります。

しかし、建材卸売業界では、受発注の電話や紙での在庫管理などのアナログ文化が深く根付いており、IT化が進んでいません。そのため、これらをIT化することが求められます。

IT化が遅れているのは建材卸売業界だけでなく建築業界も同様です。

建材卸売業者がITを活用した技術で受発注を行ったとしても、建築業界が対応できなければ意味がありません。そのため、ITに関する知識がない人でも気軽に活用できるシステムの導入が求められるでしょう。

建材卸売業界のIT化を阻む課題

建材卸売業界にとって、さまざまな課題解決に期待できるIT化は導入すべきといえます。

しかし、建材卸売業界におけるIT化を阻む課題はいくつか存在するため、正しく把握し、解決策を練っておく必要があるでしょう。

ここでは、IT化を阻む課題について詳しく解説していきます。

 

煩雑なプロセスの移行が困難

IT化を図るためには、時間とコストがかかります。

取り扱っている商品が多く、顧客層も幅が広い建材卸売業界では、IT化を実現するには膨大なデータの管理が必要になります。

在庫や受注数などを端末で管理できるようになれば容易といえますが、実現するまでには時間がかかるでしょう。

何も計画がないままITシステムを導入した場合には、既存業務が滞ったり、事業が成り立たなくなったりするリスクがあります。そのため、日々の業務を行いながらITシステムを導入することはおすすめしません。

 

システム導入の予算確保が困難

建材卸売業界の多くは中小企業であるため、システムを導入したくても予算の確保が困難な場合があります。そのため、検討段階であきらめてしまう企業も多いでしょう。

人手不足や少子高齢化などを改善したいという気持ちはあっても、IT化まで手が回らないことが現状です。

 

深く根付いたアナログ文化

建材卸売業界は受注を伝票で行い、紙で管理するといったアナログな経営が続いています。

実際に在庫管理も全て紙で管理している企業も多いでしょう。

また、アナログで仕事を続けてきた人が多いため、ITに関する知識が浅く、IT化に踏み切る決断ができない建材卸売業者もあります。

改善するためには、アナログ文化を払拭する必要があるでしょう。

課題解決を阻む建材卸売業界の難しさ

建材卸売業界では、後継者不足や人手不足、資金の用意などが難しいことに加え、IT化ができていないといった、さまざまな課題があります。

このような課題を早急に解決しなければ、事業の継続は難しいでしょう。しかし、これらの課題を把握したからといってすぐに解決できるとは限りません。

ここからは、課題解決が難しい理由について紹介します。

 

板挟みで価格転嫁しづらい

建材卸売業界は、サプライヤーと呼ばれる小売店や建材メーカーと、ハウスメーカーといった建築業者の間に板挟みになります。

そのため、建材価格が上がったからといって容易に値上げすると、小売店やハウスメーカーからクレームが入る可能性があります。

また、建材卸売業者は建材の加工を行わない企業も多く、建材の付加価値による差別化が困難です。そのため、建材卸売業者は競合他社との価格競争を行う必要があるでしょう。

建材の安易な値上げは競争から外されるリスクがあります。

アフターサービスやリードタイム(発注から納品までの期間)の短縮などで差別化を図る企業も増えていますが、従業員の負担が増えるため、売上総利益率は低い傾向にあります。

 

輸入依存で世界情勢の影響を受けやすい

国内でも建材は手に入りますが、半分以上は輸入に頼っているのが現状です。

そのため、世界情勢や円安、円高などの影響を受けやすくなります。

林野庁のデータでは、令和3年の木材自給率は41.1%です。そのため、約60%は海外からの輸入に頼っています。

(引用元:林野庁|「令和3年木材需給表」の公表について

また、近年では世界的に建材価格が高騰する「ウッドショック」と呼ばれる現象が発生しています。新型コロナウイルスの感染拡大により、建築の需要は一時停滞していましたが、急激な景気回復に伴い、リフォームや新築の需要が一気に上昇しました。これにより建材の数が足りず、建材価格が急激に高騰します。

そのため、半分以上を海外からの輸入に頼っている日本は、ウッドショックの影響を受け、国内の建材ではまかなえきれないため、建材価格が高騰しています。

 

地域密着型で販路拡大・事業展開が難しい

ハウスメーカーや工務店は、地域密着型の企業であることが多い傾向です。そのため、販売先や仕入れ先が地域密着型の工務店となる建材卸売業者も地域ごとに存在します。

また、このような状態はどの地域でも同様であるため、別の地域への販路拡大や事業展開を行うのは困難です。

そのため、建材卸売業者はその地域の状況によって市場が左右されます。例えば、その地域のリフォーム件数や新設住宅着工数が増えれば、建材卸売業者の注文数も増えるでしょう。

反対にリフォーム件数や新設住宅着工数が減ってしまえば、建設卸売業者の注文数も減ります。

このように、地域密着型によってほかの地域への販路拡大や事業展開が難しいことは、資金調達が安定しない原因といえるでしょう。

 

建材卸売業界の課題解決につながるM&Aのメリット

建材卸売業界の課題解決につながるM&Aのメリット

建材卸売業界が抱えるさまざまな課題の解決は、既存の企業だけでは困難です。

しかし、M&Aを行えば、抱えていた課題を解消できる可能性があります。

ここからは、M&Aを実施することで得られるメリットについて詳しく解説していきます。

 

後継者・従業員を他社から取り込める

M&Aを行えば、後継者不足を解消できます。

また、人材不足の問題も、M&Aをすることによって解消可能です。

売り手側企業は、人員不足や後継者不足などの原因による廃業がなくなるため、既存の従業員を守ることができます。

また、買い手側は、自社で新しく従業員を雇って育成するよりも、その分野に精通した従業員を確保したほうが効率的といえるでしょう。

 

短期間で販路拡大・事業展開を図れる

M&Aを行えば、売り手側企業が抱えている取引先や販路での事業展開が可能です。

新規事業として開始しなくても、短期間で新しい販路の確保ができることは、買い手側企業にとってメリットになります。また、売り手側企業においても買い手側企業の取引先や販路での事業展開が可能です。

建材卸売業の企業は、地域密着型である場合が多く、顧客との関係性も強いため、その地域での基盤がしっかり作れるでしょう。

 

大手傘下に入れば資金力を高められる

M&Aを地方の同業者や異業種などの中小企業同士で行った場合、資金面で不安が残る可能性もあるでしょう。

しかし、大手企業の傘下にM&Aを通して参入できれば、資金の手助けを行ってくれるため、コスト問題を解決できる場合があります。

費用の調達に悩んでいる場合は、大手企業の傘下に入ることや、資金調達を手助けしてくれる企業とのM&Aを検討してみましょう。

 

プロセス統合すれば生産性が向上する

工事業や資材メーカーなどのサプライチェーン内に位置する企業とM&Aを行う場合もあります。

隣接している企業同士でM&Aを行えば、建材の仕入れから卸売りまでの一貫のプロセスを自社内で完結することが可能です。

そのため、生産性の向上やコストの削減、簡略化など、多くのメリットに期待できます。また、価格競争が激化している建材卸売業界では、サプライチェーン内の企業とM&Aを行うことで、他社との差別化にもつながるでしょう。

建材卸売業界ではM&Aにより統合する企業が増えている

建材卸売業界ではM&Aにより統合する企業が増えている

建材卸売業界は、過去5年の間に、事業所が約1,000件減っていますが、従業員の数はそれほど減っていません。これは、M&Aにより統合することで、人材不足を解消した企業が増えている証拠です。

建材卸売業界では、幅広い種類の建材を持ち、多くのニーズに応えることが求められています。そのため、同業者同士でM&Aを行い、それぞれの強みを補い合い事業の幅を拡大することが必要です。また、サプライチェーン内に位置する異業種の企業とのM&Aも活発化されています。

建材卸売業者のM&Aにおける買い手・売り手企業の業種と目的は以下の通りです。

買い手側企業 業種売り手側企業 業種目的
建材卸売業建材卸売業地域拠点、経営基盤の拡大
建材卸売業建材製造業、建築業、施工業市場や業容拡大
調達や販売の安定化
建材卸売業商材卸売業商材種類の増加
建材卸売業リフォーム業事業の多角化
調達や販売の安定化
建材卸売業非建築分野商材卸売業事業の多角化
建築業、施工業、リフォーム業建材卸売業市場や業容拡大
調達や販売の安定化
商材卸売業建材卸売業商材種類の増加

このように他社との差別化が難しい建材卸売業界では、価格競争を回避するために同業種・異業種間でのM&Aは活発に行われるでしょう。

まとめ

建材卸売業界は、後継者問題や人材不足などの課題を抱えています。

このような課題を解決するために、IT化を取り入れる方法がありますが、予算の確保が難しかったり、導入に多くの時間がかかったりなどの理由でなかなか普及していません。

後継者問題や人材不足などの課題を解決するには、M&Aが有効です。

M&Aを行うことで、後継者問題や人材不足を解消できます。しかし、M&Aを成功させるためには専門の知識が必要です。知識がないままM&Aを実施しても多くのメリットは得られないでしょう。

M&Aベストパートナーズでは、建材卸売業界のM&A実績も多く取り揃えています。

専門家によるアドバイスやサポートが受けられるため、M&Aに不安を感じている人はぜひ一度ご相談ください。

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