日本における食品業界の市場規模や企業数の推移について解説

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

少子高齢化や人口の減少などの課題は、食品業界にさまざまな影響を与えています。さまざまな課題を解決するため、近年ではM&Aが活発に行われています。

この記事では、食品業界の市場規模やおかれている現状について、詳しく解説します。併せて、実際に行われているM&Aの内容もご紹介します。

さまざまな課題に頭を悩ませっている食品業界の経営陣の方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

食品製造業の市場規模

経済産業省が2020年に発表した「工業統計調査」によると、2015年以降の食品製造業の製造品出荷額等(従業員4人以上の事業所)は増加を続け、2019年には約29兆8,571億円という結果となっています。

一方で、事業所数(従業員4名以上)は減少を続け、2019年の食品製造事業所数は23,648社となっています。

参考:政府統計の総合窓口|工業統計調査 確報 2020年確報

食品製造業の現状

売り上げは増加傾向である一方で、事業所数は減少している食品製造業の現状は、どのようになっているのでしょうか。
食品製造業界が直面している現状について解説します。

食品製造業は成長傾向

食品製造業の市場は成長傾向にあり、なかでも健康食品への需要が増加しています。原因としては、高齢化や健康志向が広がり、健康に関心を持つ人が増加したことが挙げられます。

健康食品に対する需要の増加は、食品製造業にとって追い風といえるでしょう。新商品の開発に加えて、既存製品のリニューアルも積極的に行われています。

また、新たな市場への参入を目指す企業が増えることも予想されます。


近年では、栄養素など付加価値のある食品が好まれる傾向があるため、高い品質と安全性のある食料品に付加価値をつけることで、新たな市場への参入がしやすくなるでしょう。

同じ食品業界のなかでも、外食産業の成長は全体的に伸び悩んでいます。人手不足、新型コロナウイルスによる売り上げや店舗の減少などが原因です。

海外に展開する企業が増えている

海外での日本食ブームに伴い、海外進出を目指す企業が増えてきています。外食産業だけでなく、食品製造業界も海外市場への参入を目指し、新たな拠点の確保に力を入れています。

新型コロナウイルスの流行収束に伴うインバウンドの影響もあり、今後ますます日本食へのニーズは高まるでしょう。

食品製造業界の今後の課題

成長傾向にある食品製造業界ですが、以下のような理由から今後は国内市場の縮小が懸念されています。

  • 少子高齢化により市場が縮小する
  • 他社との競争が激化する

それぞれの原因について、解説します。 

少子高齢化により市場が縮小する

少子高齢化の影響を受け、日本の人口減少はさらに加速しています。

人口の減少は食料品の総消費量減少に直結するため、市場規模の縮小につながります。

総務省統計局による2024年「人口推計」10月報によると日本人口は約1億2,029万人で、前年同月と比較して約89万人(-0.74%)減少しており、13年連続で減少幅が拡大しています。


さらに、15歳未満の人口が前年と比較して約34万人減少しているのに対して、65歳以上の人口は1.7万人増加していることから、少子高齢化も数字として顕著に現れています。 

他社との競争が激化する

少子高齢化による市場の縮小は、食品業界内での競争激化にもつながります。他社との差別化を図るために価格を下げた結果、価格競争を引き起こしているのが現状です。

また、売上獲得のために新商品の開発が早いペースで行われており、商品のライフサイクルが短期化しています。
多額のコストと労力が必要な商品開発を短期間で開発することは、企業にとって大きな負担となるでしょう。

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食品製造業界におけるM&Aの動向

消費者が食品に求める品質は年々高くなっており、ニーズを満たすための施策として、M&Aを活用する企業が増えています。

食品製造業界におけるM&Aの動向を解説します。 

海外展開をするために海外企業とのM&Aが増加傾向

日本国内での食品市場規模の縮小に伴い、市場が飽和状態となった日本から、海外市場への参入を目的として海外企業と手を組むクロスボーダーM&Aが積極的に行われています。

海外企業とのM&Aは、主に資金に余裕のある大手企業が行うことが多く、自社の技術を生かした製品を提供し、食生活に変革をもたらすといった市場拡大を目的として参入します。

多角化に向けた同業者とのM&Aが増加傾向

事業規模の拡大を目的とした同業他社とのM&Aにより、スケールメリットを得る企業が増えています。

特に、商品の差別化が難しい「製粉・製油・製糖」などの食品製造業者が行うケースが多いです。

食品加工メーカーに原料として供給する場合、事業規模の大きさを活かし、生産性の向上が得られることがメリットといえるでしょう。

企業同士を統合することで、原材料の調達や業務の効率化、工場の統廃合などができます。コスト削減だけでなく、販売先に向けた価格交渉時の条件改善も可能になるでしょう。

異業種とのM&Aが増加

異業種からM&Aにより新規参入する場合、健康食品の製造やバイオ分野などを扱っている企業に対して行う傾向があります。

昨今の健康志向の高まりにより、相乗効果を期待した参入といえるでしょう。

関連記事:M&Aとは?M&Aの概要やメリット・デメリットなどを詳しく解説

まとめ

食品製造業は、少子高齢化による市場の減少や他社との価格競争など、さまざまな課題を抱えています。

課題を解決し、競争力や経営基盤強化を目指してM&Aを行う企業が増えています。M&Aの対象企業は同業種間にとどまらず、異業種や海外企業なども含まれます。

食品製造業のM&Aは、今後も活発に行われるでしょう。

さまざまな課題の解決を行うためにM&Aを検討してする際は、M&Aベストパートナーズへぜひご相談ください。

食品業界に特化した専任のアドバイザーが、M&Aによる課題解決のサポートをさせていただきます。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

石橋 秀紀

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