2023年4月14日

ホテル事業を承継して経営者になるには?仕事内容と必要な資格を解説

MABPマガジン編集部

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ホテルの経営者になるにはどうすればよいか」と疑問を抱えている人もいるでしょう。

ホテルの経営者になる手段として近年注目されているのが、既存ホテルの経営者から事業を受け継ぐ事業承継」です。

ホテル事業を承継して経営者になるうえでは、まず基本事項の理解が欠かせません。

本記事では、ホテルの経営者になるために知っておくべき仕事内容や必要な資格について解説します。

ホテル経営をするうえで注意すべきことも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

ホテルの経営者になるために仕事内容を理解しよう

ホテルといっても、その規模はさまざまです。

経営者になる場合、ホテルの規模によって仕事内容や役割が異なります。

まずは、規模ごとの仕事内容について把握しましょう。

 

【大規模なホテル】経営者の仕事内容

大規模なホテルの場合、経営者が現場を含めたすべてを取り仕切ることは簡単ではありません。

そのため、こうしたホテルの運営(実務)は「総支配人」に一任することが一般的です。

大規模なホテルの経営者は、文字どおり「経営」に専念するケースが多いでしょう。

具体的には、レストランや宿泊といった部門ごとの売り上げを管理したり、利益拡大につながる経営戦略を立案・実行したりします。運営を取り仕切る総支配人とのコミュニケーションも欠かせません。

 

【小規模なホテル】経営者の仕事内容

個人経営などの小規模なホテルだと、経営者がホテルの「所有者」であり、「運営者」でもあるケースが多いです。こ

うしたホテルの経営者には、経営と運営を共に指揮する立ち回りが求められます。

つまり、ホテルの現場が適切に運営されるようにマネジメントしながら、ホテル全体の経営も考えなければなりません。経営・運営の両方のスキルが要求されるため、難度が高いといえるでしょう。

ホテルの「経営」において役に立つ資格

ホテルの経営者になるには、必ず資格が必要というわけではありません。しかし、資格があると経営者になるうえで役立つことが多いため、積極的な取得をおすすめします。

ここからはホテルの経営者に関する資格を、種類別に紹介していきます。まずは、ホテルの「経営」において役に立つ資格を把握しましょう。

 

経理に役立つ資格

経理に役立つ資格は、主に次の4つです。

 

【税理士】

税理士は、税務処理に関する専門的な知識を証明する国家資格です。

ホテル経営にも税務処理は欠かせないため、税理士の資格があれば適切な納税を行えるでしょう。

 

【公認会計士】

公認会計士は、財務諸表をはじめとする財務書類の監査に欠かせない国家資格です。

上場している大規模なホテルで経営者を務める場合、経営成績を適切に報告するうえで役立ちます。

 

日商簿記検定】

日商簿記検定は、お金の流れを正しく管理するための簿記に関する資格です。

決算書や帳簿などからホテルの経営状況を把握しやすくなるでしょう。

 

【IFRS検定(国際会計基準検定)】

IFRS検定(国際会計基準検定)は、会計に関する専門的な知識を証明する国際的な資格です。

グローバルな会計知識を経営に活かせるため、ホテルの海外進出を図りやすくなります。

 

ホテル経営に役立つ資格

ホテル経営に役立つ資格は、主に次の4つです。

 

【中小企業診断士】

中小企業診断士は、企業の経営診断や戦略立案を行うための知識を証明する国家資格です。

ホテル経営で困難に直面した際に、自ら有効な戦略を立てやすくなるでしょう。

 

【社会保険労務士(社労士)】

社会保険労務士(社労士)は、人事労務管理に関する専門的な知識を証明する国家資格です。

労働問題の解決・防止に活かせる資格で、従業員との距離が近い小規模なホテルの経営において役に立つでしょう。

 

【経営士】

経営士は、経営管理の専門的な知識を証明する資格です。

経営管理の実務経験が求められますが、経営の高度な知識を活かしてホテルの利益拡大を図りやすくなるでしょう。

 

【MBA(経営学修士)】

MBA(経営学修士)は資格ではなく、経営学の経験・知識を証明する学位です。

経営学の大学院修士課程を修了する必要がありますが、経営学の体系的な知識をホテル経営にも活かせます。

 

ホテルの経営者として取得しておきたい資格

経営者に求められるのは、ホテル経営だけではありません。ホテルの経営者としては、次のような資格も取得することをおすすめします。

 

ホテルビジネス実務検定】

ホテルビジネス実務検定は、ホテルの実務からマネジメントまで幅広い知識を証明する資格です。

ホテル経営者に必要な知識が詰め込まれているため、取得して損はありません。

 

食品衛生責任者】

食品衛生責任者は、食品を提供する事業・店舗などに欠かせない資格です。

レストランやルームサービスがあるホテルでは、最低1人以上の食品衛生責任者が欠かせません。小規模なホテルの場合、経営者が取得していると融通が利きやすいでしょう。

ホテルの「施設管理」において役立つ資格

次に、ホテルの「施設管理」において役立つ資格を4つ紹介します。

施設管理とは、ホテルの設備を管理し、快適に利用できる施設をつくる業務のことです。

 

【消防設備士】

消防設備士は、消火器やスプリンクラー、火災警報器といった消防設備を扱うための国家資格です。

ホテルでの火災に備えて消防設備を配置する場合、点検や整備の際に役立ちます。ホテルの規模が大きくなると消防設備が必須となり、消防設備士の有資格者が欠かせません。

 

【危険物取扱者(乙種4類)】

危険物取扱者は文字通り、危険物を取り扱うための国家資格です。

種類が多くありますが、ホテル経営者は引火性液体を取り扱う「乙種4類」を取得するとよいでしょう。ホテルでボイラーの燃料に重油を用いる場合、貯蔵タンクの点検に従事するスタッフが最低1人は必要となります。

 

【ボイラー技士(二級)】

ボイラー技士は、高温を伴うボイラーの取り扱いに欠かせない国家資格です。

サウナや浴場などのためにボイラーを用いる場合、操作や点検に従事するスタッフが最低1人は欠かせません。小規模なボイラーであれば、経営者としては二級でも十分でしょう。

大規模なボイラーの作業主任者(現場リーダー)を務める場合は、一級や特級レベルの資格が必要です。

 

【防火管理者】

防火管理者は、火事を防ぐための管理業務を行うための国家資格です。

ホテル経営者に限らず一定規模の施設の責任者は、防火管理者を選任・配置しなければなりません。ホテル経営者が取得していれば、自ら防火管理を行ったり、担当者をサポートしたりできます。

 

ホテルの「接客」において役立つ資格

続いて、ホテルの「接客」において役立つ資格を5つ紹介します。

 

【サービス接遇検定】

サービス接遇検定は、接客に関する幅広い知識を証明する資格です。言葉づかいや立ち振る舞い、心構えなど、お客様を心地よくさせるための知識が幅広く身につきます。自身の接客だけでなく、従業員の教育にも役立つでしょう。

 

【ホテル実務技能認定】

ホテル実務技能認定は、ホテル業界の実務に関する幅広い知識を証明する資格です。ホテルの宿泊や飲食に関する知識だけでなく、ホテル経営の知識も問われます。

【ユニバーサルマナー検定】

ユニバーサルマナー検定は、さまざまな人と関わるうえでのマナーに関する資格です。インバウンドが重要となるホテルにおいては、外国人観光客への接客に役立つでしょう。また、障害を持つお客様に対しての接客サービス向上にもつながります。

 

【レストランサービス技能検定(HRS検定)】

レストランサービス技能検定(HRS検定)は、レストランにおける料理や飲料の提供に関する技能を証明する国家資格です。「レストランサービス技能士」とも呼ばれます。食品衛生から料理・食材、接客まで幅広い知識をホテルのレストランに生かせるでしょう。

 

【接客サービスマナー検定】

接客サービスマナー検定は、業種を問わず接客力の高さを証明する資格です。経営者自身の接客品質向上や、従業員の教育にも役立つでしょう。1~3級の区分に分かれており、上級の資格だと実技試験もあります。

ホテルを経営するうえで注意すべきこと

ここからは、ホテル経営を始める前に把握しておきたい注意点について紹介します。

 

ホテル業界は時勢に影響を受ける

ホテル業界は、時勢に影響を受けやすいことが不安要素といえます。

ホテルの売り上げは常連客だけでなく、インバウンドや一見の国内旅行客にも支えられています。こういったお客様のホテル利用は流動的であるため、時勢によっては大幅な客数・売り上げの減少につながることもあるでしょう。

例えば、2020年以降には新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、国内外の旅行者が減少しています。それによってホテルの利用者も大幅に減少し、休業に追い込まれるホテルも多くありました。ホテルの経営は、こうした時勢の影響により立ち行かなくなるリスクもあることを理解しておきましょう。

ホテル経営では、こうした不測の事態にも集客できるような対策を考えなければなりません。

 

何となくでホテル経営を行わない

ホテル経営の成否は、人員の配置やデータの分析に大きく左右されます。これらが正しく行われないと、経営に失敗する可能性があるため注意が必要です。

レストランや宿泊など多くの部門があるホテル経営者は、さまざまな従業員を雇用・配置することになります。ポジションに合った人員配置ができないと、生産性が上がらず人件費だけが増加する可能性もあるでしょう。

また、勘や経験に頼った経営判断は不確実であり、時勢に対応できず失敗するリスクを高めます。そのため、市場や宿泊客などの数値から現状把握・分析し、データに基づいた経営判断を行うことが大切です。

 

ホテルの稼働率を上げるための安易な値下げは行わない

ホテルの稼働率を上げるために、空き部屋の宿泊料金を下げるケースもあるでしょう。

しかし、安易な値下げは売り上げが伸びない要因につながるため、おすすめできません。値下げ料金で宿泊したお客様は、元の値段では宿泊しない可能性が高いためです。

リピーターを増やしたいのであれば、安易な値上げを行うよりも品質向上に注力しましょう。

お客様のニーズをつかみ、また予約したくなるようなホテルを目指すことが大切です。

まとめ

ホテル経営者になるには、仕事内容や資格について知ることが大切です。

税理士や中小企業診断士、ホテルビジネス実務検定など、ホテル経営者に役立つ資格は多く存在します。必ずしも資格が必要とは限りませんが、今回の内容を参考に取得を検討してみてはいかがでしょうか。

また、ホテル経営者になるうえでは事業承継が有力な選択肢です。しかし事業承継の経験がないと、正しい進め方がわからず不安も多いでしょう。

ホテル業界の事業承継に興味がある方は、事業承継のエキスパートである「M&Aベストパートナーズ」へぜひご相談ください。

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