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所得税には、分離課税という特別な計算方法が存在します。これは、特定の所得に対して一律の税率を適用し、他の所得とは合算せずに税額を求める方法です。さらに、分離課税には「申告分離課税」と「源泉分離課税」の2種類があり、それぞれ異なる所得が対象となります。この制度を利用することで、税負担を軽減することが可能です。この記事を通じて、税の仕組みと確定申告の扱いを学び、賢い納税者となってください。
目次
所得税の計算方法には「総合課税」と「分離課税」があります。この記事では、分離課税について詳しく解説します。
所得税では通常、すべての所得を合算して税金を計算します。しかし、分離課税では特定の所得に限り、他の所得とは合算せずに独立して課税されます。対象となる所得には、退職所得、山林所得、利子所得(※)、譲渡所得(※)、配当所得(※※)があります。
例えば、利子所得には一律20.315%の税率が適用され、所得額に関わらず同じ税率で税額が計算されます。
また、退職所得の計算方法は以下の通りです。
退職所得 = (収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2
退職所得控除額は以下に基づきます:
勤続年数が20年を超える場合、退職所得控除額が増加し、結果的に支払う税金が減少します。これは、退職金に対する所得税が所得が多いほど高くなる累進課税のためです。控除額が大きくなると、税の負担が軽減され、より多くの退職金が手元に残ります。長く勤めた人々への慰労として、より多くの退職金が手元に残るようにこの控除が設けられています。
このように、分離課税では固定税率を用いるため、所得税が抑えられるというメリットがあります。
※ 一部、総合課税。
※※ 原則、総合課税だが申告分離課税も選択可能
総合課税は、年間に得たすべての所得を合算して税額を計算する方法です。この方法では、所得が増えるにつれて適用される税率が上昇する累進課税制度が用いられます。税率は5%から45%までの7段階に設定されており、所得が多いほど税金が増加します。一方で、分離課税は特定の所得にのみ固定税率を適用し、他の所得とは独立して税額を計算します。総合課税の主な利点は、高額所得者からより多く税金を徴収することにより、経済的公平性を図り、社会資源の再配分を促進することです。このシステムは全体の所得に基づいて税率を調整し、より公正な負担を目指しています。
この章では、分離課税と総合課税の対象所得について説明します。
前章で説明した分離課税には、「申告分離課税」と「源泉分離課税」の2種類があります。どちらも他の所得と別に課税されますが、納税方法に違いがあります。
申告分離課税は、税額を自分で計算し、確定申告を通じて納税する方式です。この方式で課税される主な所得には、株式や不動産の売却による譲渡所得、先物取引による雑所得、山林所得などがあります。
一方、源泉分離課税は、所得を支払う者が税金を源泉徴収し、その時点で納税が完了する方式です。源泉分離課税の対象となる主な所得には、利子所得や一定の配当所得があります。これらの所得は受け取る側が確定申告をする必要がないため、例えば、銀行の預貯金から生じる利子所得は源泉徴収され、口座名義人は自ら納税する必要がありません。
所得税の基本形式である「総合課税」では、さまざまな所得を合算して確定申告を行い、税金を納めます。総合課税の対象となる主な所得の種類は以下の通りです。
総合課税制度
No.2220 総合課税制度|国税庁 (nta.go.jp)
まず、総合課税の計算を行い、その後で分離課税の計算に進みます。分離課税には「申告分離課税」と「源泉分離課税」の二種類が存在しますが、この記事では特に断りがない場合、申告分離課税を単に「分離課税」と呼びます。
分離課税では、各種所得ごとに固定の税率が適用されます。例えば、申告分離課税で山林所得を計算する場合は、以下の計算式を使用します。
山林所得 = 収入金額 - 必要経費 - 特別控除額(50万円)
山林の維持に必要な伐採などの行為にかかる費用は必要経費として扱われ、収入から控除されます。さらに、特別控除額で所得を減らします。課税対象となる山林所得金額が確定したら、「5分5乗方式」という特有の計算式で税額を算出します。
税額 = 課税山林所得金額 × 1/5 × 税率 × 5
総合課税では累進課税制度が適用されます。ただし、所得の単純な合算後に税率を適用するわけではありません。まず、8種類の対象所得を合算し、その後、通常の所得控除を適用します。
所得控除一覧:
これらの控除を適用した後、残る金額が課税所得となります。特に、基礎控除はすべての人が受けられる基本的な控除であり、国民年金や社会保険料の支払いにより適用される社会保険料控除や、医療費控除も多くの人に影響を与えています。
つまり、所得税額の計算は以下の通りです。
※最終的に計算された税額からさらに差し引ける税額控除という制度があります。例えば、寄附金特別控除などが該当します。
No.1100 所得控除のあらまし|国税庁 (nta.go.jp)
所得税では、その年分の所得を10種類に区分し、それを「総合課税」と「分離課税」に分けます。
確定申告には「確定申告書B第一表」と「第二表」が必須です。一般的にはすべての所得を合算して税金を計算しますが、特定の所得は総合課税に含めずに個別に計算されます。分離課税が必要な場合、または分離課税と総合課税を選択する必要がある場合が含まれます。
一律20.315%の税率が適用される申告分離課税の対象は以下の通りです:
また、分離課税または総合課税を選択する必要がある所得には以下があります:
上場株式などの配当所得は申告分離課税、総合課税、または源泉徴収から選択可能です。
分離課税と総合課税の選択は納税者によって決定されます。特に、上場株式等の配当所得は、申告分離課税、総合課税、または源泉徴収の中から選ぶことができます。
具体的には、年間所得が900万円を超える人は分離課税を選択することが有利です。これは、総合課税が累進課税であるため、所得が高いほど税率も高くなるからです。しかし、900万円未満の場合、分離課税を選択しても特に節税効果は見込めず、逆に割高になることがあります。
所得税の確定申告は、すべての所得を合算して総所得金額を算出し、それに基づいて税額を計算します。このプロセスは総合課税として知られており、基本的な申告方法です。ただし、状況に応じて申告分離課税が適切な場合もあります。
確定申告書が完成したら、e-TAXを利用して電子申告を行うか、紙の申告書を郵送または税務署に持ち込んで手続きを完了させます。e-TAXでの申告は、マイナンバーカードがあればスマートフォンから簡単にできます。マイナンバーカードを持っていない場合は、税務署で本人確認後に発行されるIDとパスワードを使用してe-TAXが利用可能です。
この章では分離課税と総合課税のメリット・デメリットをご紹介します。
総合課税と分離課税は、所得税計算において重要な二つの方式です。総合課税では、所得が増加するとともに税率も上がる累進税率が適用され、結果として高所得者はより多額の税金を支払うことになります。一方、分離課税では特定の所得に固定の税率が適用され、他の所得とは別途計算されます。この方式の主な利点は、税率が固定されているため所得が増えても税率が上がらない点です。
ただし、分離課税の欠点は、他の所得との損益通算が不可能であることです。例えば、不動産を売却して損失が出た場合、その損失を他の所得から差し引くことは許されません。これらの課税方式を理解し、適切に活用することで、税負担を適正に管理できます。総合課税と分離課税の選択は、個人の所得状況や資産管理戦略を考慮して慎重に行うべきです。
総合課税は、個人のさまざまな所得を一つにまとめて計算する課税方式です。この方式では、所得が増えるほど税率が上がる累進課税が適用され、所得の多い人ほど高い税率で税金を納めます。
特に、「一億円の壁」と称される現象は注目に値します。これは、年収1億円以上の高額所得者が、最高税率45%の総合課税よりも、約20%の税率が適用される分離課税の金融所得を選択することで、大幅に税額を節約し、一億円を超える収入で税額が逆に下がる現象を指します。
しかし、総合課税の主な利点の一つは、損益通算が可能であることです。例えば、事業で発生した損失を給与所得など他の所得と相殺することが可能で、結果的に納税額を減少させることができます。
総合課税と分離課税の違いを理解することは、効果的に税金を節約するための重要なステップです。税制の理解を深めることによって、自身の所得に合わせた最適な課税方法を選択でき、不必要な税金の支払いを避け、個人資産を守ることが可能になります。したがって、税金計算方法や節税戦略を学ぶことは個人の財政管理において極めて重要です。
確定申告の制度、分離課税と総合課税の理解が重要です。総合課税は、すべての所得を合算し、累進税率に基づいて税額を計算します。一方、分離課税は特定の所得に対して固定税率を適用し、他の所得とは別に申告します。これにより、税率の上昇を抑制することが可能です。これらの制度を理解し、適切に申告することで、税金の負担を軽減し、経済的な利益を最大化することが可能です。節税のカギは、これらの制度の理解にあります。あなたのお金、あなたの未来を守るために、適切な申告を行いましょう。
【監修】この記事は福留聡国際会計アドバイザリー株式会社様に監修して頂きました。
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