M&Aに注目が集まるなか、近年では不動産会社を買収するケースが増加傾向にあります。
そこで本記事では、不動産会社が買収される背景について詳しく解説します。
あわせて、不動産会社を買収する際のチェックポイントもご紹介するので、これから不動産会社を買収しようとご検討されている方はぜひ参考にしてください。
↓ こちらから知りたい情報へ移動できます ↓
目次
不動産会社の買収が行われる背景
不動産会社が買収されるようになった背景として、次のようなことが挙げられます。
事業エリアの拡大
新たな事業エリアを開拓するためには多くの時間とコストを必要としますが、すでに開拓されている地域の不動産会社を買収することができれば、スムーズにエリア拡大を目指すことが可能になります。
そのため、すでに飽和状態となった自社の営業エリアをさらに広げることを目的とした買収が、不動産業界では多く行われています。
取扱物件の拡充
不動産会社が保有する取扱物件には限界があり、手持ちの物件が減ると営業スピードが鈍化する原因となります。
そこで不動産会社を買収し、保有している物件も手に入れて営業利益の拡大を目指す企業は少なくありません。
人材の確保
少子高齢化に伴う労働人口の減少を背景に、人材不足は社会問題ともなっています。
そのようななかで不動産会社の買収に成功すれば、異なる事業エリアだけでなく相手企業の従業員も引き継ぐことができます。
不動産に携わるためには専門的な知識やノウハウを要するため、すでに経験豊かな人材を確保できることは不動産会社を買収するうえで大きなメリットです。
不動産事業への新規参入
異業種から不動産業界へ新規参入するための買収も活発です。
本来、不動産業を営むためにはさまざまな許認可や資格が必要です。また、開業エリアの新規開拓も必要とします。
しかし、すでに不動産業を営み、地域に根付いた営業スタイルを構築している不動産会社の買収に成功すれば、買収スキームによっては許認可を引き継ぎ、営業エリアも獲得することができます。
不動産会社を買収するときの注意点
不動産会社の買収を検討する際は、次の2点に注意して検討するようにしましょう。
宅建資格保有者の人数
宅建資格保有者は、法律によって「事業所ごとに、5人に1人以上の配置」が義務付けられています。
買収によって事業拡大を目指しても、新たな事業所の数と宅建資格保有者の人数が合わないと、事業を行うことはできません。
そのため、特に買収に伴い新たな事業所の開設を検討する場合は、宅建資格保有者の人数を必ず確認するようにしましょう。
宅地建物取引業者免許の更新回数
買収先企業の宅地建物取引免許の更新回数も、買収するうえでは非常に重要です。
更新かしううが多いほど、地域に密着し、長年事業を営んできた証となるため信頼性が高まります。
ただし、「更新回数が少ない=信頼できない」ということではないため、買収を進める際は入念なデューデリジェンスが大切です。
不動産会社の買収事例
実際に、不動産会社が買収された事例をご紹介します。
ハウスコム株式会社による買収
2020年、不動産賃貸業を主軸とするハウスコム株式会社は、関西圏を中心に不動産業を展開する宅都ホールディングスから株式会社宅都の株式を取得、完全子会社化しました。
この買収に伴い両社は業務提携を締結。
ハウスコム株式会社は「将来的なスケールメリットが見込めると判断して買収を、事業のシナジー効果創出を期待して業務提携を行った」と発表しています。
株式会社カヤックによる買収
「つくる人を増やす」を経営理念とし、鎌倉という地に根差して貢献することを目指す株式会社カヤックは、2017年に同じく鎌倉で不動産業を12年営んできた稲村ガ崎三丁目不動産を買収、不動産事業も手掛ける企業へと成長を果たしました。
この買収をきっかけに、株式会社カヤックは自社の企業価値を高めるとともに、今後さらに地域の充実を目指すとしています。
M&Aベストパートナーズでお手伝いした不動産会社のM&A事例
私たちM&Aベストパートナーズは、不動産業界に特化したM&A仲介会社として、これまで数多くのM&Aを成功させるためのお手伝いをしてまいりました。
弊社がお手伝いさせていただいたM&Aの事例をご紹介いたします。
株式会社リアルパートナー様
株式会社リアルパートナー様は、1997年創業。都内で賃貸物件を取り扱ってきた不動産会社です。
地元の大家さんからの信頼を得ながら営業を続けてきましたが後継者問題に直面してM&Aを検討。
これまで会社を支え続けてくれた大切な従業員の継続雇用を第一条件として相手企業を探し始めます。
そして交渉は進み、第一条件である従業員の雇用を維持しながら会社の譲渡が実現できました。
長く会社とともに過ごしてきた代表取締役社長の宮部氏は、学生時代にやっていた卓球、そして50年以上続けてきたアメフト観戦を今後も楽しみたいと語られています。
株式会社HOUSE BUILDホールディングス様
東京23区内で新築の戸建てやデザインハウスの分譲などを手掛けてきた株式会社HOUSE BUILDホールディングス様は、中目黒に本社ビルやショールームを構えるなど、対応エリアを順次拡大してきた企業です。
順調に事業規模を拡大してきましたが成長は鈍化。売上や利益、従業員数も停滞してしまいます。
そこで、代表取締役である宇都氏は課題解決に向けた方法としてM&Aを選択。
MABPから紹介された、農林中央金庫の子会社で、プライベート・エクイティ(以下PE)ファンドを運営する農林中金キャピタル株式会社(以下NCCAP)を株式の売却先としてTOP面談を行います。
初回の面談でお互いにマッチするとすぐ実感し、宇都氏が保有する株式をNCCAPへ譲渡しました。
宇都氏はご自身が旅好きということもあり、忙しくて連休が取れない方に向け、「1泊だけでも非現実的な空間を提供できる」といったコンセプトの宿泊業を展開したいと目標を掲げています。
株式会社Liv-up様
2003年、東京都港区から始まった有限会社アーバンビジョンから商号変更した株式会社Liv-up様は、収益用不動産の開発分譲事業やリノベーション事業を手掛けてきました。
しかし、時代の変化とともに求められるDXの導入に行き詰まりを感じ、外部の力を借りることを決意。M&Aを検討し始めます。
明確となっている目的を解決するためのマッチングは難航したものの、2年近い歳月をかけてCRE(企業不動産)や不動産および未上場企業への投資などを行う株式会社グリッドパートーナーズと株式譲渡契約を結びました。
最初に打ち立てたM&Aの目的と希望を曲げず、建設的な話し合いができたことが成功の礎となったM&Aの成功事例です。
株式会社JYU-KEN様
不動産事業以外にも、一般建設業や飲食事業、介護事業など多角的に事業を手掛ける株式会社JYU-KEN様は、代表取締役の小泉氏がご自身の働き方や生き方を見つめ直した結果として始まった企業です。
しかし、さまざまな事業を展開するなかで、事業の切り離しを決意。ご自身が立ち上げたヘルスケアのブランド「MUKU」の事業譲渡を検討し始めます。
そして、一般用医薬品や化粧品、医療機器の製造販売を手掛けるイワキ株式会社へ事業を譲渡しました。
この事業譲渡が成功した背景として、MUKUブランドを継続してもらえるだけの規模はもちろんのこと、原材料も取り扱っていることからより大きなシナジー効果の創出が期待できたことが挙げられます。
ココチ不動産株式会社様
2008年に代表取締役社長である原氏によって設立されたココチ不動産は、賃貸管理や販売仲介業などの不動産事業のほか古民家ダイニングや地域情報ポータルサイトなども手掛ける企業です。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、大きな打撃を受けることとなりました。
その結果、以前からM&Aの選択肢を持ち合わせていた原氏はM&Aを決意し、展開している不動産事業・飲食事業・メディア事業を一括で譲渡できる相手を探し始めます。
しかし、新型コロナウイルスの収束もわからない状況下であったため飲食事業とメディア事業に対して難色を示されてしまい、MABPは「譲受企業にとってすぐに利益につながるものを」として賃貸管理事業のみの譲渡を打診。
そして原氏は、従業員や管理物件のオーナーの理解のもとでM&Aを締結しました。
今後、飲食事業を展開する「ココチキッチン奈良狐井」を拠点として不動産売買の仲介事業と、運営するポータルサイト「PRtree(ピーアールツリー)」に注力したいと原氏は語っています。
まとめ
不動産会社の買収は、成功させることができれば買い手側にとってさまざまな利益をもたらしてくれます。
しかし、成功させるためには相手企業とのマッチングや事前調査など、M&Aの専門家によるサポートが重要です。
私たちM&Aベストパートナーズは、事例でもご紹介したようにこれまで多くの不動産業におけるM&Aを成功に導いてきた豊富な実績がございます。
買い手側だけでなく売り手側にも寄り添い、両社にとって高いシナジー効果が創出できるよう精一杯お手伝いさせていただきますので、まずはお気軽にお問い合わせください。