M&Aストーリー M & A Story
“同志”とともに、未来を描き、未来につなげる。

“同志”とともに、未来を描き、未来につなげる。

会社名
ココチ不動産株式会社(代表取締役社長 原 和彦 氏)
業種
不動産賃貸・売買・リノベーション
M&Aで達成した内容
経営の波を解消し、新事業育成の資金を確保
M&Aアドバイザー
松尾 直樹

MOVIE

M&Aに至る背景事業の多角化と、コロナ禍における決断。

M&Aに至る背景
原和彦氏は、2008年3月にココチ不動産株式会社を設立した。賃貸管理や売買仲介などの不動産事業を展開しながら、2015年に古民家ダイニングを開業、2018年には地域情報ポータルサイトをリリースし、事業の多角化を図っていた。

古民家ダイニング「ココチキッチン奈良狐井」は元々、顧客が所有する住居だった。「庭園とともに、この家を未来に残したい」という家主の願いを、原氏が引き継ぐことになったのだ。築70年の伝統的な日本家屋で本格イタリアンのコース料理が楽しめ、地元だけではなく関西全域から常連客が訪れている。また、地域情報ポータルサイト「PRtree(ピーアールツリー)」は、不動産事業や飲食店などが気軽に情報発信できる媒体だ。全国で1,800店舗以上が登録し、月間70万ページビューを超えるサイトに育っている。
M&Aに至る背景
不動産事業の中でも、賃貸管理は比較的手堅いビジネスだと言える。管理物件さえ確保できれば、毎月安定した収入を得ることができるからだ。しかし昨今、記録的な豪雨や台風が管理物件に甚大な被害を与える事例が増え、その補償問題等で原氏は頭を悩ませていた。また一方で、売買仲介は手数料商売のため、どうしても売上に波が生じてしまう。売上が落ち込めば、当然経営は厳しくなる。ただ、売上が上がりすぎると、今度は税負担が大きくなるというジレンマがあった。ココチ不動産くらいの企業規模だと、それでは安定経営の継続が難しい。

顧客に価値を提供し、従業員の雇用を守りながら、ココチ不動産を未来に向かって前進させる。そのために、原氏は新たな会社の形を日々模索していた。不動産事業に加えて、飲食事業とメディア事業を展開するのは、経営リスクの分散・軽減が目的である。「ココチキッチン奈良狐井」はリピート客が多く、店内で販売しているハンドメイド雑貨も好評だ。また「PRtree」は、登録店舗数やユーザー数の増加に伴い、ある程度の広告収入を獲得できている。しかしながら、それらふたつを事業の柱とするには、もう少し時間が必要だった。

そんな折、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるい、特に飲食店は大打撃を受けることになった。先の見えない状況はしばらく続くことになるだろう。それでも、顧客に迷惑をかけるわけにはいかない。もちろん、従業員を見捨てるつもりもない。未来を切り拓くために、いよいよ大きな決断をするときが来たと、原氏は感じたという。

M&Aの決断信じてくれた従業員や顧客、みんなが幸せになれるように。

M&Aの決断
新型コロナウイルス感染症の流行が本格化する少し前、原氏はMABPの松尾直樹とコンタクトをとっていた。

M&Aに対して、「会社が乗っ取られる」「会社を売り払う」といったネガティブなイメージを持つ人は多いかもしれない。 しかし、原氏の頭の片隅には以前からM&Aの選択肢があった。知人の経営者が実際にM&Aで会社を譲渡しており、M&Aが会社躍進のきっかけになるケースは多いと聞いていたのだ。ただし、M&Aの仲介会社の中には、クライアントの財務状況と個人の成績にしか興味のない担当者が少なからずいることも事実である。事業への思い入れや今後の展望は、なかなか聞き入れてもらえない。

しかし、松尾は違った。ココチ不動産が展開する不動産事業・飲食事業・メディア事業についてじっくりヒアリングし、原氏と同じ目線、同じ熱量でココチ不動産の未来を考えようとしてくれた。そのスタンスに、原氏は好感を抱いた。そして、「この人ならきっと大丈夫だ。包み隠さず情報開示して、すべてをお任せしよう」と、直感的に思った。M&Aで会社を譲渡することは、大切に育てあげた子どもを手放すようなものだ。当然、経営者には並々ならぬ覚悟がとなる。その経営者の覚悟に共鳴してくれるパートナーがいることが、原氏にとっては何より心強かった。
M&Aの決断
松尾もまた、原氏の経営手腕や人間性を肌で感じ取っていた。ココチ不動産は競争の激しいエリアで確かな実績を上げ、地域住民からの評判もいい。また、経営状況をオープンにして透明性を高めるなど、従業員との間には確固たる信頼関係があることがうかがえた。もっとこの会社を深く知りたい。そう思った松尾は、飲食事業の店舗で実際に食事をし、また、地域情報ポータルサイトについても徹底的に研究した。

原氏は松尾に対し、「会社全体をM&Aできる譲受企業」を要望。そして、そこに大事な条件を付け加えた。「従業員の雇用と管理物件の契約内容については、現状に近い形で引き継いでほしい。会社を売ったら終わりで、後のことは知らない。そんなM&Aではなく、私を信じてくれた従業員や顧客、みんなが幸せになれるように」と。

M&Aの振り返りと展望大切に育ててきたものを、未来へ持続させていく道づくり。

M&Aの振り返りと展望
松尾は譲受企業であるダイキチカバーオールに対し、ココチ不動産の不動産事業・飲食事業・メディア事業の一括買収を提案した。しかし、飲食事業とメディア事業については、投資回収の面で難色を示される。譲受企業にとって「すぐに利益につながるかどうか」は、最も重要な判断材料だ。そこで松尾は、全社ではなく賃貸管理事業のみの譲渡を、原氏に打診した。

ダイキチカバーオールはIPOも視野に入れ、順調に収益を伸ばしている。また、代表取締役の小田吉彦氏は情熱を持って従業員を率いるタイプだと、原氏には見受けられた。ダイキチカバーオールであれば、小田氏であれば、これまでココチ不動産が伸ばしきれなかった事業を“攻めの経営”で発展させてくれるのではないか。そして、全幅の信頼を置く松尾が推してくれるのであれば、まず間違いはない。原氏は事業売却の話を進めることにした。

従業員も、管理物件の家主も、M&Aを好意的に受け入れてくれた。関係者の理解を得られたことは、原氏にとって大きな救いとなった。そしてM&A合意締結後の原氏は、「ココチキッチン奈良狐井」を拠点に、不動産の売買仲介と「PRtree」の拡充に邁進する日々だ。資金的な余裕が生まれたことで、現状維持ではなく、未来に向けて着実に前進するための仕事ができている。

順風満帆な会社経営なんてものは、まず存在しない。山もあれば、谷もある。とんでもない嵐に巻き込まれることだってある。しかし、事業が立ち行かなくなったら、はい終了、というわけではない。会社を存続させるための、あるいは再生・発展させるため方法は、実はまだたくさん残されているのだ。M&Aもその一つ。だから、最後の最後まで決して諦めてはいけない。原氏はMABPと出会い、松尾とは、M&Aアドバイザーとクライアントの関係性を超えて、 “同志”となった。ともに未来を描くからこそ、山も、谷も、嵐も乗り越えていくことができるのだろう。成長につながるM&A。それは、大切に育ててきたものを未来へ持続させていく道づくり、と呼べるかもしれない。

お客様プロフィール

お客様プロフィール

ココチ不動産株式会社

代表取締役社長原 和彦 氏

2008年3月設立。大手賃貸仲介・管理会社から独立起業し、大阪市上新庄で賃貸管理や売買仲介などの不動産事業を展開。2015年に古民家ダイニング「ココチキッチン奈良狐井」を開業し、ハンドメイド雑貨も展示販売。2018年に地域情報ポータルサイト「PRtree」をリリース。事業売却後も、古民家ダイニング併設のオフィスで不動産売買仲介ビジネスを継続。資本金300万円。奈良県香芝市狐井613

M&Aストーリー

M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。

電話で相談 WEBで相談