2024年6月27日

砕石業界のM&Aのメリットや成功・失敗事例を紹介

MABPマガジン編集部

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砕石業界は、建設や土木作業の現場において欠かせない資材を製造しています。

道路や橋、トンネルなどのライフラインを支える重要な役割を果たしている砕石業界ですが、近年では業界再編が進みM&Aが活発化しています。

本記事では、砕石業界においてM&Aを行うメリットは何か、M&Aの参考にしておきたい成功事例と失敗事例も含めて解説します。

砕石業界の現状・市場動向

アスファルトやコンクリートなどは、岩石を細かく砕いたものが原料となっています。

品質の高いアスファルトやコンクリートに仕上げるためには、採掘した岩石を一定の大きさに揃えて粉砕し土砂にする必要があり、これを担っているのが砕石業者です。

砕石業は建設工事や土木工事を支える重要な産業のひとつですが、公共工事や企業の設備投資が抑制されると経営にも影響が及びやすく、近年では日本国内における砕石業界の市場は減少傾向にあります。

また、地下から岩石を採掘することで地盤沈下や土砂災害のリスクが増大する可能性も指摘されており、砕石業界では環境保護の観点から再生アスファルトなどの代替品の研究開発が進んでいます。

このように、建設・土木業界の景気動向を受けやすいことと環境問題への指摘などもあり、砕石事業を専門に経営している企業は少なく、大手鉄鋼メーカーなどではリサイクル事業のひとつとして運営されています。

砕石業界におけるM&Aの動向

近年、砕石業界ではM&Aによる企業買収や合併などが盛んに行われるようになりました。

特に、地域に根ざした経営に取り組んできた地場の企業が、経営基盤の強化と従業員の雇用を守るために同業他社と手を組むケースや、大手企業との合併を選択する事例も少なくありません。

また、昨今では途上国を中心とした海外における建設ラッシュも見られるようになり、砕石業の需要が急増しています。

しかし、砕石業を海外で展開するには大規模な設備投資が必要であり、現地に生産拠点を構築しなければなりません。

資金力に乏しい中小規模の砕石業者にとってはハードルが高く、自社だけでは事業展開が難しいことから、グローバルに展開する国内企業や海外企業と提携する動きも多く見られるようになりました。

関連記事:M&Aにおける経営統合と合併の違いとは?統合後はPMIが重要?

砕石業界のM&Aによる具体的なメリット

M&Aと聞くとネガティブなイメージをもつ経営者も少なくありませんが、実際にはさまざまな経営課題を解決するための有力な手段になり得るものです。

砕石業者にとってどういったメリットがあるのかをご紹介しましょう。

資金調達の容易化

採石業には大規模な設備投資が必要であり、導入費用はもちろん機械を維持管理していくためにも多くの資金が必要となります。

しかし、中小規模の砕石業者の中にはキャッシュフローが良好ではなく経営が逼迫しているところも少なくありません。

M&Aによって大手の傘下に入ることができれば、資本力を活かし資金調達がしやすくなり、経営規模の拡大にもつなげられるでしょう。

事業効率化の期待

多くの業界において人手不足が深刻化しており、砕石業界も例外ではありません。

限られた人員で事業を運営していくためには、最新の設備や高性能の破砕機などの導入が求められます。

M&Aを行うことで、売り手企業はもちろんですが買い手企業にとってもこれらの設備と専門人材を引き継ぐことができ、事業効率化が期待できます。

経営基盤の強化

建設・土木業界の景気動向に左右されやすい砕石業界は、規模の小さい企業ほどわずかな需要の変化でも経営に大きな影響が及びます。

景気や需要の変化がある中でも企業が生き残っていくためには、経営基盤の強化が大きな課題であり、M&Aはこれを実現するための現実的な手段となり得ます。

関連記事:M&Aの事業買収とは?手法からメリット、注意点、成功事例などを徹底解説

砕石業界におけるM&Aのプロセスと注意点

砕石事業を運営する企業をM&Aによって取得する場合、どういったプロセスで進めるのでしょうか。

また、M&Aを成功させるために押さえておくべき注意点も解説します。

適切なデューデリジェンス

デューデリジェンスとは買収を予定している企業の経営状況や資産状況、法務的・税務的リスクなどを詳しく調査することをいいます。

特に中小規模の企業を対象としたM&Aでありがちなのが、買収後に簿外債務や決算の粉飾などが判明するケースです。

買収後にこれらが判明してしまうと、買い手企業は重大な経営リスクを背負ってしまうことになるため、事前に適切なデューデリジェンスを実施しておくことが重要です。

また、売り手側としても適正な企業価値を評価したうえで買収額を協議することが重要であり、自社の資産や経営状況を正しく評価するためにもデューデリジェンスは欠かせないプロセスといえます。

文化の融合

大手企業と中小企業では社内の文化や雰囲気、仕事の進め方なども異なり、環境が大きく変わることで戸惑う従業員も出てくるでしょう。

経営層や管理職が十分なフォローを行わないと、M&Aによって経営統合をした後に離職者が増えるリスクもあります。

そのため、自社の文化や価値観とマッチするかを十分検討したうえで、従業員に対する十分な説明やフォローを行うことが大切です。

専門家の活用

M&Aのプロセスは法務や税務などに関する高度な知見が求められるほか、相手先企業とどのように交渉を進めていくかも重要なポイントとなります。

円滑にM&Aを進めていくためには専門家のアドバイスが不可欠であり、M&A仲介を専門とする企業に依頼するのが一般的です。

仲介業者によっても得意分野や実績は異なるため、砕石業者を対象としたM&Aの実績が豊富な専門家が在籍しているかを調べてみましょう。

コミュニケーションの重要性

砕石業界に限ったことではありませんが、M&Aの後に「イメージしていたような企業ではなかった」、「自社が目指す方向性と違っていた」ということが判明するケースもあります。

このような失敗を防ぐためには、両社の経営トップが十分にコミュニケーションをとり、どういった会社にしていきたいのかを理解しておくことが大切です。

また、M&A仲介業者に依頼する場合でも、どういった企業と交渉を進めていきたいのかをしっかりと伝え、不安や迷いなどがあればそれも含めて相談しておく必要があるでしょう。

リスク管理

砕石事業を行ううえでは、環境に関する法的規制や土地取得などの問題をクリアする必要があります。

また、M&Aの契約にあたっては自社に不利な契約内容になっていないかを十分に調べたうえで合意する必要があります。

法的リスクを十分検討しないまま買収を進めた結果、自社がリスクを負うことのないよう細心の注意を払うことが大切です。

関連記事:砕石業界における今後の動向とは?課題の解決策としてM&Aが有力?

砕石業界のM&Aの事例

M&Aを成功させるためには、過去の事例を参考にしてみるのも有効です。

今回は経営規模の拡大や成長につながった企業の事例と、思うような成果が得られなかった事例をそれぞれご紹介します。

グローバル展開に成功した事例

国内を中心に砕石事業を展開していたある企業では、日本における継続的な成長と事業拡大に限界を感じ、グローバル展開へと大きく舵をとりました。

海外で砕石事業をスタートさせるためには莫大な投資はもちろん、現地での事業のノウハウも必要であったことから、M&Aによって海外企業との提携を決定。

現地での法的規制をクリアすることは決して簡単ではありませんでしたが、現在では建設ラッシュが続く現地において需要が高まり、売上や利益の拡大に成功しています。

また、従来は国内の市場に依存し景気の動向に左右されやすい経営環境にありましたが、グローバルに市場が拡大したことで経営基盤が安定し企業価値の向上にもつながっています。

ビジネスモデルの違いにより異業種参入に失敗した事例

経営基盤を立て直すために、M&Aによって砕石事業以外の業種に参入する事業者も少なくありません。

ある砕石事業者は、新たな収益の柱を確保するとともに砕石事業の安定化を図る目的で建設会社を買収しました。

ところが、砕石業界と建設業界は関連性が深いとはいえビジネスモデルが異なる部分も多く、市場動向の違いなども十分に調査することなくM&Aを進めたことから買収後に業績を悪化させることとなりました。

砕石業界のM&Aについてのまとめ

砕石業界は公共工事の減少や企業による設備投資の抑制などが影響し、苦しい経営を強いられている企業も少なくありません。

そこで、不安定な国内市場の依存を減らし経営基盤を強化するために、海外に活路を見いだす企業も増えています。

M&Aは経営基盤を強化するために有効な選択肢のひとつではありますが、十分な準備とリサーチ、リスク対策を講じておかないと失敗する可能性もあります。

円滑なM&Aを進めるためにも、豊富な実績のあるM&A仲介業者を選ぶことが大切といえるでしょう。

著者

MABPマガジン編集部

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