2023年6月15日

M&Aで中小企業が解決できる課題とは?実施に向けた課題やPMIの課題と併せて解説

MABPマガジン編集部

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M&Aで中小企業が解決できる課題とは?実施に向けた課題やPMIの課題と併せて解説

昨今では、M&Aによってさまざまな課題の解決を図る中小企業が増えています。

しかし、M&Aには実施にあたっての課題や、実施後の「PMI」といった課題もあることをご存じでしょうか。中小企業がM&Aを成功につなげるには、M&Aにまつわるこうした課題を把握することが大切です。

本記事では、M&Aで中小企業が解決できる課題や実施に向けた課題、実施後の課題まで幅広くお伝えします。

M&Aによる中小企業・経営者の課題解決例

M&Aによる中小企業・経営者の課題解決例

M&Aによって中小企業や経営者が解決できる課題は多く存在します。

まずは、どのような課題を解決できるのか把握することが大切です。

ここでは、解決できる課題の代表例を5つ紹介します。

 

人材の確保

業種を問わず、人材不足に頭を抱える企業は多いでしょう。労働人口が減り続けるなかで、自社に合った人材を探して雇用するまでには、多大な苦労を伴います。

しかし、M&Aの買収(Acquisition)を行えば、人材確保の課題を解決可能です。

M&Aの買収では、買い手企業が売り手企業の経営権を獲得し、人材を取り込めます。業種の近い企業を買収すれば、自社に合った人材を容易に確保できるでしょう。

また売り手企業も、自社よりも大きな企業の傘下に入ることでブランド力のアップが期待できます。大企業ほど人が集まりやすいため、買収によって人材の確保は容易になるでしょう。

 

後継者問題の解消

企業における経営者の高齢化も進んでおり、後継者探しの重要性が高まっています。

しかし、人材が不足しているのは従業員だけでなく、経営者も同様です。自社の経営を任せられる後継者が見つからず、廃業に陥る企業も多いのではないでしょうか。

しかし、M&Aの買収を行えば、後継者問題を解消することが可能です。

自社が売り手企業となり、買い手企業の経営者に事業を承継することで、自社の経営を相手企業へ引き継げます。自社を新しい形で存続できるだけでなく、従業員の雇用を守れることも大きなメリットです。

 

資金の調達

中小企業において、資金の調達に苦労している経営者も多いでしょう。

資金調達の課題も、M&Aの買収によって解決が可能です。

自社よりも大きな企業の子会社となることで、グループ会社間の貸付が受けられる場合があります。ただし税務上の問題が生じるリスクもあるため、税理士のアドバイスを受けるとよいでしょう。

また、大企業の傘下に入ることで社会的な信用度が向上します。その結果、投資家からの出資や、金融機関からの融資を受けやすくなるでしょう。

 

事業の拡大・多角化

事業の拡大や多角化は、企業の成長戦略として多くの経営者が考えているのではないでしょうか。

新しい市場に販路を拡大するには、マーケティングや物流ネットワークの整備など多大なコストがかかります。そのため、未経験の新事業を始める場合は、技術や設備の調達に多大なコストを費やさなければなりません。

しかし、M&Aの合併(Merger)や買収を行うことによって、こうした事業の拡大や多角化が容易となります。

別地域・同業種の企業と合併すれば、自社の製品・サービスを新しい地域で販売しやすくなるでしょう。また別業種の企業を買収すれば、技術や設備、人材を取り込み短期間で新事業を始められます。必要なコスト・時間を抑えつつ、事業の拡大や多角化を図れることが大きなメリットです。

 

業務効率化・コスト削減

業務効率化やコスト削減は、業種を問わず企業にとっての重要な課題です。

なかでも取引先との交渉や材料調達など、他社が関わる業務に多くの手間・コストをかけている企業は多いでしょう。

M&Aの合併や買収によって、業務効率化やコスト削減の課題も解決可能です。

サプライチェーンにおいて隣接する企業と合併すれば、物流ネットワークの統合によって業務効率化につながるでしょう。また競合他社を買収することで、業務プロセスや設備などの統合的な管理が可能となり、コスト削減が期待できます。

M&Aの実施に向けた課題

M&Aの実施に向けた課題

M&Aは、多くの課題を解決できる一方で、実施する際には注意すべき課題も存在します。

M&Aの実施に向けた主な課題は、次の5つです。

 

費用の見積もり・確保

M&Aを実施するにあたって、さまざまな費用の発生が避けられません。

一般的に、M&Aで必要となる多くのプロセスを、自社だけでカバーすることは困難です。そのため、M&Aアドバイザリーや会計士、税理士といった各分野の専門家への依頼費用が発生することになるでしょう。

また、自社で手続きをある程度行うとしても、書類準備・作成に多くの人件費がかかります。こうした費用がどれだけ必要となるのかを見積もり、予算を確保しておくことが重要です。

 

適切な戦略の策定

M&Aによる成果は、適切な戦略を策定できるかで大きく変わってきます。

適切なM&A戦略を策定できないと、自社の課題を解決することは難しいでしょう。

M&Aには買収・合併・分割といった複数の手法があります。さらに細分化すれば、買収だけでも株式譲渡や事業譲渡、株式交換とさまざまです。どの手法が企業に適しているかは状況次第であるため、数多くの手法から最適なものを選ばなければなりません。

そのため、M&Aに精通する人材がいなければ、適切な戦略の策定は困難といえるでしょう。

 

相手企業の選定・交渉

M&Aを行う場合、相手企業の存在があります。

企業にとって重要な資産や経営権の移転が2社間で発生するため、相手企業の選定もM&Aにおいて重要なポイントといえるでしょう。自社に合わない企業とM&Aにより統合した場合、経営方針の違いから事業に支障をきたす場合もあります。

また、自社にとって最適な相手企業が見つかったとしても、先方の合意が得られなければM&Aは実施できません。M&Aの目的は買い手企業・売り手企業で異なることが多く、お互いが提示する条件が合わないケースも散見されます。

例えば、中小企業だと、相手企業との交渉が上手くいかず、合意に至らないケースもあるでしょう。

 

従業員との認識合わせ

経営者の意向だけでM&Aを進めると、従業員の不満が大きくなり離職率の上昇につながる可能性もあります。M&Aの実施によって従業員が離職しないように、事前に認識合わせを行うことも重要です。

資産や経営権の移転を伴うM&Aは、経営者だけでなく従業員も多大な影響を受けます。前提として、組織体制の変更は避けられないでしょう。

相手企業の傘下に入る場合は、経営方針も大きく変わります。こうした変化によって従業員の不満が高まりやすいため、M&Aの実施前に理解を得ることが求められるでしょう。

 

取引先との関係維持

M&Aを実施することは、社外の取引先にとっても大きな変化をもたらします。

社名やサービス方針、取引条件、担当者など、多くの変化によって先方の不満が生じるケースも考えられるでしょう。M&Aによって取引先との関係性が崩れないように、維持していくことも重要な課題といえます。

M&A後に取引先との友好な関係性を続けるには、実施前に、どのような変化が生じるのかを共有するとよいでしょう。取引先にとって懸念事項がある場合は、M&Aの条件を見直すことも考えるべきです。

M&A実施後の「PMI」における課題

M&A実施後の「PMI」における課題

M&A実施後も「PMI」という課題が存在します。

PMIは「Post Merger Integration」の略称であり、M&Aを実施した後の経営統合プロセスのことです。つまり、相手企業と自社の「経営」を上手く統合させなければなりません。

PMIにおける具体的な課題は、主に次の2つです。

 

システム統合

自社のシステムと相手企業のシステムを、どのように統合するかが大きな課題です。

日本企業は独自の基幹システムを採用していることが多いため、2社間のシステムには大きな差異があるでしょう。データ形式、サーバー、アプリケーションなど、統合が必要なシステムの要素は多く存在します。

システム統合には、多くの期間・コストを費やすことになるでしょう。システム統合が不完全な状態では、事業に支障をきたすこともあるため、PMIにおいて悩ましい課題の1つといえます。

 

人事や財務などの制度見直し

M&Aを実施する場合、人事や財務などの制度にも見直しが求められます。

人事部門や財務部門といった部門・チームの体制だけでなく、人事評価や給与体系などの制度面も両社で統合しなければなりません。しかし、自社の制度に満足していた従業員にとっては、急な制度変更は大きな不満を生む要因となります。

従業員の離職率上昇を引き起こさないように、制度の見直しは慎重に行いましょう。とはいえ、細かい制度の変更が発生することは避けられないため、両社の従業員が納得できる折衷案を見つける必要があります。

PMIを実施する際のポイント

ハードルが高いPMIの課題をいかにして解決するかが、M&Aを成功させるうえで重要です。

ここでは、M&AにおけるPMIを実施する際の3つのポイントについて解説します。

 

PMIの対策案を事前に練っておく

PMIの課題を解決するにあたっては、さまざまな対策案を用意しておくことが求められます。

しかし、M&Aの最終契約を締結した後に検討を始めるのでは、PMIで生じる問題・リスクに対処できません。

相手企業に合わせて対策案を考える必要があるため、相手企業が決まり次第できる限り早めにPMIの対策案を練っておきましょう。

 

ステークホルダーへの説明に備える

M&Aは経営者や従業員だけでなく、顧客や株主など多くの人々に影響をもたらします。

そのため、統合後に生じる不安や不満を払拭できるように、ステークホルダーに説明できる体制を整備しましょう。

納得してもらうには、情報を整備するだけでなく、説明責任を果たせる経営者や役員を確保することも重要です。

 

相手企業と密なコミュニケーションを行う

買い手企業・売り手企業がM&Aの実施後に上手く事業を進めていくには、2社間のコミュニケーションが欠かせません。

お互いの成長戦略や目標などが合わないと、統合後に内部分裂を起こしてしまいます。統合前から密なコミュニケーションを取り、お互いの意思疎通を図っていきましょう。

まとめ

人材確保や後継者問題の解消、資金調達など、M&Aによって中小企業や経営者が解決できる課題は多く存在します。

一方で、費用面や戦略・相手企業選び、従業員・取引先への対応など、実施に向けた課題は山積みです。M&Aを実施するのであれば、こうした課題について把握し、1つずつ解決していくことが求められます。

とはいえM&Aの経験がないと、今回紹介した課題をすべて解決することは難しいでしょう。M&Aを成功させたいのであれば、M&Aの専門家に依頼することをおすすめします。

M&Aに関してお困りであれば、豊富な支援実績があり、各分野に特化した専門家がサポートを行う「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。

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