
ヘルスケア業界は成長産業といわれ、近年さまざまな企業が参入しています。
ヘルスケア業界へ新たに参入したり、人気あるヘルスケア事業の売却を考えている方は少なくありません。
この記事では、ヘルスケア業界内の現状や課題について解説します。
当社がお手伝いをさせていただいたM&Aの事例についても紹介するので、ヘルスケア業界に興味のある方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
ヘルスケア業界の現状・今後の展望
人気の高いヘルスケア業界は、どのような状況に置かれているのでしょうか。
ヘルスケア業界の市場規模が拡大している理由や現状、今後の展望について解説します。
注目を集める新しい技術
ヘルスケア業界の市場規模が拡大している理由として、新しい技術の導入が挙げられます。
最新のIT機器やIoT機器を活用したウェアラブルデバイスは、ヘルスケアの新たな方法として注目を集めています。
スマートウォッチによって心拍や呼吸・脈拍の確認できるなど、ウェアラブルデバイスによる健康管理は、一般的なものになってきました。
今後、ヘルスケアに関するIT技術のさらなる発展により、さらに変化を続けていくと考えられます。
遠隔医療の普及
従来の医療体制では、対面による医療サービスが一般的でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で遠隔医療サービスが急速に普及しました。
その結果、健康管理をサポートするウェアラブルデバイスによる健康管理情報を活用し、遠隔医療を行う医療機関の数は今でも増えています。
遠隔医療の普及は、ヘルスケア関連事業の拡大が貢献したともいえるでしょう。
ヘルスケア業界におけるM&Aの活発化
製薬業界ではバイオテクノロジー企業の買収が進み、新たな治療法や製品の開発が進んでいます。また、健康維持のためのフィットネス事業やサプリメント事業のM&Aも活発化しています。
より資本力のある企業がヘルスケア業界関連の企業を買収することで、さらなる発展が見込めるでしょう。
ヘルスケア業界の市場規模
成長産業とされているヘルスケア業界は、今後さらに市場規模が拡大する可能性のある業界です。
経済産業省が2021年に作成した「第1回新事業創出WG事務局説明資料」によると、2016年のヘルスケア業界の市場規模は約25兆円、2020年は約28兆円、2025年には約33兆円になると予測されています。
こうした背景には、高齢化に伴う予防サービスや介護サービスの拡大が挙げられます。
厚生労働省の調査では今度も高齢化は進み、全人口に対する65歳以上の割合は以下のとおりです。
2020年(実績) | 29% |
2040年(予測) | 35% |
2070年(予測) | 39% |
高齢者の増加に伴って予防サービスや介護サービスはさらに発展し、ヘルスケア業界の底上げの理由となるでしょう。
ヘルスケア業界が抱える課題
今後の成長が魅力的なヘルスケア業界ですが、解決すべき課題も抱えています。
健康意識の低い人がいる
健康意識が高い方の場合、フィットネスへ通ったりサプリメントを服用したりするなど、病気にならないための行動をします。
病気など体の不調を予防することは、ヘルスケア業界の市場規模拡大につながります。
一方で健康意識が低い方の場合、不調を感じて医療機関へ行くケースが多く、医療費の圧迫につながっています。
医療費の圧迫は社会問題となっているため、ヘルスケア業界だけでなく社会全体で向き合う必要があるでしょう。
人手不足
ヘルスケア業界に限らず、人手不足はさまざまな業種で深刻な問題となっています。少子高齢化の影響は大きく、労働人口の減少にもつながっています。
職種によっては業務内容に対して賃金が適正でなかったり、長時間浪だったりするケースもあります。ヘルスケア業界の市場規模が拡大していくうえで、人材不足の解消は大きな課題といえます。
ヘルスケア業界に求められる人材とは
人手不足という課題を抱えているヘルスケア業界では、どのような人材が求められているのでしょうか。
ヘルスケア業界が必要としている人材の特徴をご紹介します。
デジタルリテラシーが高い
ヘルスケア業界ではAIの活用やウェアラブルデバイスによる健康管理など、デジタル技術の導入が進んでいます。これらを理解し、活用できる能力が今後は求められるでしょう。
導入されるシステムや機械は、あくまでも健康管理のサポートをするものです。適切なデータ分析や健康管理をするうえで、デジタルリテラシーの高い人材の確保は重要です。
技術革新に対する柔軟性と適応力
ヘルスケア業界に限らず、ITやAI技術は常に新たな進歩を遂げています。
基本業務をしながら新たな技術を身につけることは難しいです。身につけられても、慣れるまでは運用に手間取り、むしろ効率が悪化してしまう可能性もあるでしょう。
しかし、新たな技術を取り入れない場合、生き残れる可能性が低くなります。そのため、日々進歩する技術に素早く適応し、柔軟に対応できる能力が求められます。
コミュニケーション能力がありチームワークを保てる
ヘルスケア業界には、製品の提供だけでなくフィットネスや介護サービスなど、さまざまな分野があります。自社の同僚だけでなく、利用者様と接する機会の多い業界といえるでしょう。
利用者様と円滑なコミュニケーションをとることはもちろん、チームでサービス提供を行うことが多い場合はチームワークが保てることも大切です。
高い倫理観がある
ヘルスケア業界では、製品やサービス利用者様に関する情報管理の徹底が求められます。
そのために、個人情報や人権を尊重し、最良のケアを提供するための高い倫理観が求められます。
ヘルスケア業界の課題解決に向けたM&A
事業を拡大したり、人材不足の解消や不足部分を補ったりする方法として、M&Aがあります。
ヘルスケア業界でM&Aが行われる背景をご紹介します。
大手企業によるM&A
近年、大手企業によるM&Aが増加しています。ヘルスケア市場の規模が拡大し、競合他社との競争激化に備えていることが理由として考えられます。
例えば、特定の地域に特化した中小企業を買収することは、大手企業にとってメリットが大きいです。既に地域でのシェアを確立している中小企業を買収すれば、短期間で地位位に根付くことができ、競争力強化にもつながります。
一方の中小企業は、大手企業のシェア拡大の影響で厳しい状況におかれるでしょう。しかし、大手企業とのM&Aができれば、事業の継続が可能になります。
経営基盤の維持を目的として、大手企業からのM&Aに応じる中小企業も増加しています。
異業種からのM&A
異業種からヘルスケア業界へ参入する企業も増えています。
異業種企業からのM&Aは、ヘルスケア業界の市場規模拡大に魅力を感じ、新たな事業として取り入れることを目的としているケースが多いです。
M&Aによってヘルスケア企業を買収することで、新規参入にかかる時間やコストを削減し、経営資源やノウハウを持った状態でスタートすることができます。
ヘルスケア業界におけるM&Aのメリット
ヘルスケア業界でM&Aを行うことで、4つのメリットを得ることができます。
- 事業拡大や多角化による市場シェアの拡大
- 新しい技術やノウハウの取得
- 経営効率の向上
- リスク分散
それぞれのメリットについて解説します。
事業拡大や多角化による市場シェアの拡大
ヘルスケア業界でM&Aを行うメリットの一つとして、事業拡大や多角化による市場シェアの拡大が挙げられます。
特定の分野のみを展開してきた企業が異なる分野を展開する企業と統合することで、事業の拡大や多角化を実現できるでしょう。
また、M&Aを実施した企業の顧客や取引先なども引き継ぐことができるため、シェア拡大をすることもできます。
事業の拡大や多角化によって競争力が向上し、ヘルスケア業界内での地位を確立することは、企業にとって大きなメリットです。
新しい技術やノウハウの取得
新たな技術やノウハウを取得できる点も、M&Aで得られるメリットです。
特定の分野での技術やノウハウを蓄積し続けた場合、事業に偏りが出る可能性があります。事業に偏りが生じた場合、同業他社との競争力が低下する恐れがあり、注意が必要です。
そのほかに、他業種から新たにヘルスケア業界へ参入する企業が、技術やノウハウを取得するためにM&Aを行うケースも多いです。
同業他社との競争激化が予想されるヘルスケア業界において、M&Aによって新しい技術やノウハウを取得できることは、とても大きなメリットといえるでしょう。
経営効率の向上
M&Aは、経営効率の向上も期待できます。
売り手側企業は経営状況が不安定ケースがあり、事業を安定させるためにM&Aを検討するケースは少なくありません。
資本力のある大企業の傘下に入ることで、その資本力を活かして経営効率を向上できる可能性が高まります。
M&Aという言葉で乗っ取りや買収と悪いイメージを抱く方は今でも少なくありません。しかし、安定した経営基盤のもとで事業を継続することで、廃業リスクを回避し、従業員の雇用維持もすることが可能になります。
リスク分散
買い手側が得られるメリットとして、M&Aによって事業を多角化することは、リスクの分散にもつながります。
特定の事業に注力したとき、事業に綻びが生じると経営に影響が出ます。しかし、さまざまな事業を展開することで経営難というリスクの分散が可能です。
関連記事:M&Aとは?M&Aの概要やメリット・デメリットなどを詳しく解説
ヘルスケア業界のM&A事例
M&Aベストパートナーズでは、ヘルスケア業界におけるM&Aの仲介もさせていただいております。
本記事で紹介する事例は株式会社JYU-KEN様です。株式会社JYU-KEN様は、一般建設業や不動産仲介業、飲食事業、コンサルティング事業、ヘルスケア事業など、さまざまな事業を展開する会社です。
ヘルスケア事業では、通販オリジナルブランド「Muku」を立ち上げました。Mukuでは、アレルギー性皮膚炎や皮膚疾患で悩む人に向けた完全無添加の美容液を開発・販売しました。
美容液の売上は順調に伸びていましたが、さらに販路を広げて全国にこのブランドを浸透させるには、現状の会社の規模や資本力では厳しいと感じM&Aを検討し、譲渡先としてイワキ株式会社様を紹介されました。
イワキ株式会社様は、アステナグループの一員であり、一般用医薬品・化粧品・食品材料の販売、医療機器の製造・販売などを展開する会社です。
イワキ株式会社様は、最終製品だけではなく原材料も取り扱っているため、Mukuブランドとのシナジー効果に期待できました。さらに会社規模や資本力も大きく、Mukuブランドの販路を拡大するために申し分ない会社でした。
その後、株式会社JYU-KEN様とイワキ株式会社様は、M&Aによりヘルスケア事業の事業譲渡契約が締結されました。
M&A成約事例:ブランドを廃れさせないために。 顧客の信頼を裏切らないために。
まとめ
ヘルスケア業界は成長産業といわれ、今後も市場規模の拡大が見込まれています。
さまざまなデジタル技術を駆使しながら発展していくことが考えられ、ノウハウや技術を短期間で取り込む方法としてM&Aを検討するケースが増えています。
不足している分野の補填や市場への新規参入、業界での競争力強化を検討されている方は、M&Aによる事業拡大を検討してみてはいかがでしょうか。
私たちM&Aパートナーズは、M&Aのプロとして、これまでさまざまな企業のM&Aを成功に導いていきた実績があります。
ヘルスケア業界でM&Aを検討されている方は、まずはお気軽に「M&Aパートナーズ」へご相談ください。
抱えている悩みに寄り添い、最適なM&Aのご提案をさせていただきます。