2023年10月6日

事業継承を失敗させてしまう理由とは?対策法を理解して成功率を高めよう

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事業継承を失敗させてしまう理由とは?対策法を理解して成功率を高めよう

事業承継の失敗は、業績悪化や従業員の離反、資金繰りの困難さを引き起こし、最終的には廃業に陥ってしまう可能性があります。

事業承継の成功を目指すのであれば、直前に準備を始めるのではなく、事業承継予定期から遡って計画的に進める必要があるでしょう。

この記事では、事業継承を失敗させてしまう理由や対策法について詳しく解説します。

事業継承を失敗した場合に考えられるリスクについて

事業継承を失敗した場合に考えられるリスクについて

事業継承に失敗した場合、企業はどのような影響を受けるのでしょうか。

以下では、考えられるリスクについて解説します。

 

退職者が増える

事業継承に失敗した場合、退職者が増える可能性があります。

従業員は経営悪化を懸念し、安定した職場を求めて転職する可能性があるでしょう。そのため、事業継承に成功すれば従業員の雇用が守れますが、失敗してしまえば、退職者が増えてしまいます。

 

業績が悪化する

事業継承に失敗した場合、業績が悪化する可能性があります。

事業継承は企業の経営において重要な局面であり、失敗すると経営の不確実性が高まります。

業績の安定や改善を狙っている場合、事業継承の失敗による影響が顕著に出やすいため、収益や利益に影響を及ぼすでしょう

 

資金繰りが難しくなる

事業継承の失敗により、資金繰りが難しくなるケースも考えられるでしょう。

事業の成長が見込めずに収益が減少する場合には、早急な経営資金の確保が必要になります。その結果、資金繰りへの対応が必要となります。


事業継承が成功すれば、新たな経営者に引き継がれるので、事業の持続性が保たれ、資金繰りに追われるリスクが低減します。そのため、経営者交代を検討する際は、資金繰りの側面も注意深く考慮することが大切です。

 

廃業する

事業継承に失敗した場合、企業は廃業に追い込まれる可能性が高まります。

廃業に至る前に業界特化型のM&A仲介業者に相談すれば、課題の改善を図れるだけでなく、事業継承の成功率が向上するかもしれません。弊社であれば、再建や事業譲渡の道筋を明確にし、企業が存続できるようにサポートします。

なお、事業承継を失敗させないためには「3つの事業承継の種類」も理解してることが重要です。事業承継の種類については、下記の記事が参考になるはずです。

<参考 > 事業承継の5つの失敗事例|事業承継に失敗しないポイントも徹底解説

事業継承を失敗させてしまう8つの理由とは

事業継承を失敗させてしまう8つの理由とは

次に、事業継承が失敗する主な8つの理由について解説します。

 

理由1:事業継承の知識が不足したまま計画を進めている

事業継承の失敗の一因として、事業継承に関する知識不足が挙げられます。

継承者が事業継承について深い理解を持たずに経営権を引き継ぐと、正しい選択ができずに失敗に陥るリスクが高まります。特に、親族内継承従業員継承M&Aなどを施行する際に、適切な選択ができない場合があります。

事業継承を成功させるには、「準備と計画」が欠かせません。自社で行っている事業の強みを明確にしたうえで企業を選定するなど、慎重な準備が必要といえるでしょう。

 

理由2:経営者の突然の引退により事業継承を実施している

経営者が事業継承の必要性を軽視し、慢心している場合、経営者の突然の不在に適切に対応できなくなります。

特に、経営者の急な体調不良が発生すると、事業継承が困難になるだけでなく、経営が立ち行かなくなる危険性があるでしょう。

現時点で事業継承が考えられないとしても、将来的には必要になるかもしれません。そのため、事前にM&Aの専門家に相談するといった、事業継承の準備を整えることが大切です。

 

理由3:後継者への事業の引き継ぎができていない

引き継ぎが不十分であると、事業継承後に企業が業績不振に陥るリスクが高まります。

継承者が従業員・顧客からの信頼を得られずに、離職や顧客離れが起こる可能性があるでしょう。さらに、経営者の説明不足により、新たな融資を受けたい場合でも金融機関からの信用が得られないケースもあります。

そのため、事前に綿密な計画を立てたうえで引き継ぎに取り組むことが大切です。

 

理由4:後継者への相続ができていない

後継者への相続が円滑に行われていない場合、企業経営に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

特に、経営者の遺産分割に対する反発や争いが発生すると、経営に必要な株式を後継者に集中できなくなってしまいます。この場合、経営者が議決権の過半数を持たないため、会社経営が複雑化し、意思決定が難しくなるでしょう。

 

理由5:派閥争いが深刻化している

後継者が決まっても、派閥争いが続くと経営の舵取りが困難になる場合があります。

派閥争いによって経営資金が流出し、従業員同士の対立が生じると、経営に支障をきたす可能性があるでしょう。

このような状況では、企業の内部の調和が乱れ、意思決定が滞りやすくなります

 

理由6:相談をせずに事業継承を進める

役員や従業員などの意思確認が必要な人に対して、相談せずに事業継承を進めると、周囲から不満の声が発生するケースがあります。

事業継承を成功しても、一緒に働く仲間が賛成しなければ離職者が増えてしまうでしょう。その結果、廃業に追い込まれる可能性が高まります。

相談を怠ることで、重要なステークホルダーの意見やサポートを得られなくなり、経営の安定性が損なわれる危険性があるでしょう。事業継承の過程では、関係者からの協力を得ることは、成功に近づけるために重要な要素といえます。

 

理由7:親子間でトラブルが起きている

経営権の継承に成功しても、親族間の不和が続くと、最終的には廃業に追い込まれる場合があります。

事業継承が完了したとしても、親族間での不満や対立があると、経営方針がまとまらず、企業の業績が傾くかもしれません。

親子間のトラブルが事業継承に悪影響を与える場合、経営者と後継者は対話と調停の重要性を認識し、問題解決に取り組む必要があります。これにより、家族間の関係を修復し、持続的な事業継承を成功させる基盤を築けるでしょう。

 

理由8:引退した経営者の影響力が残っている

経営者が引退後も経営に介入したり、経営権を速やかに譲渡しなかったりするケースがあります。

この場合、継承者の運営を妨げるため、企業の発展を阻害することになるでしょう。また、引退した経営者が決定権を持っていると認識されると、継承者は従業員の信頼を失う可能性があります

経営者の影響力が残る状態では、継承者が経営を率先することが難しく、企業の方向性や戦略の実施が困難になります。このような場合、後継者と経営者との円滑なコミュニケーションと役割分担が重要になるでしょう。

事業継承における失敗事例について

事業継承における失敗事例について

事業継承において、他社がどういったところでつまずいたのか、事前に把握しておくと未然に回避できるでしょう。

以下では、他社が失敗した事例について紹介します。

 

事前準備なしの事業継承により廃業した

A社は、事業継承について一度も考えたことがなく、経営が安定していると思われていました。しかし、経営者が突然の病に倒れ、事業の継続が困難な状況に陥っています。

役員に事業を引き継いだものの、事前の準備が不足しており、経営判断にミスが生じる事態が発生しました。その結果、業績が急速に悪化し、廃業を余儀なくされています。

この事例から、事業継承計画や事前準備の重要性が理解できるでしょう。そのため、経営者は万が一の事態に備えて、継承プロセスを計画的に進めることが重要です。

 

継承者に経営者の資質がなかった

B社は、金属加工業を営んでいます。親族内での事業継承が行われ、長男に経営権が譲渡しています。

しかし、長男は業界に対する理解が浅く、従業員に対する横柄な態度が目立ちました。その結果、従業員たちから不満が溜まり、多数の離職者が出る事態に陥っています。この人材の流出により、B社の業績は急速に悪化しました。

この事例から、継承者の経営者としての資質や業界知識の重要性が理解できるでしょう。単に、血縁関係であるだけでなく、経営者としての適性やリーダーシップが必要です。適切な継承者の選定が、事業の持続と発展にとって重要といえます。

 

事業継承後に親族トラブルが起きた

C社では、経営者が引退したため、継承者に経営権の相続が行われました。その結果、長男が経営権を、次男が株式の一部を引き継いでいます。

しかし、経営権が長男に譲渡された後、企業の業績が急速に悪化する事態に陥りました。さらに、次男はその後も配当を要求し、長男は会社の経営を続けられなくなっています。

この事例から、事業継承後に親族間でのトラブルが起きる可能性があることが理解できるでしょう。事業継承の際には、明確な契約や取り決めを行い、家族間の円滑なコミュニケーションが重要です。

 

多額の相続税により経営が傾いた

D社は、建設業を営んでいます。企業を継承した際、オーナーが所有していた株式の相続税の評価額が高額でした。この高額な相続税を支払えずに、死亡退職金で補填しています。

しかし、企業の損益が悪化したことから、債務超過となり入札資格を失いました。

この事例は、相続税の高額評価が事業継承に与える影響を示しています。事前の相続対策や財務計画が重要であると理解できるでしょう。

 

事業継承者が見つからず失敗した

E社は、事業継承を検討していました。経営者は、長男に事業を引き継ぐ予定でしたが、長男が拒否したため、社内や親族に適任者を探しましたが、後継者をみつけられずに事業継承を諦めています。

このような状況では、事業継承を諦める前に、業界特化型のM&A仲介業者に相談することが重要です。M&Aベストパートナーズであれば、適切な後継者探しなどのM&Aを成功に近づけるサポートを行います。

事業継承の失敗を防ぐコツとは

事業継承の失敗を防ぐコツとは

ここからは、事業継承の失敗を防ぐコツについて解説します。

 

周囲と相談し戦略を練る

事業継承を検討する際には、従業員や役員などのステークホルダーとの綿密な相談が欠かせません。

相談で得られた意見やアイデアを取り入れることで、事業継承の成功率を飛躍的に高められます。なお、関係者全員が一丸となり、協力を得たうえで事業継承を進められれば、成功率をさらに高められるでしょう。

また、事業継承の計画を細部まで練ることも重要です。例えば、リスクの予測や対策など、計画の徹底が安心感のある事業継承につながります。

 

後継者に企業を引き継ぐ意思があるか確認をする

後継者を仮決定後は、事業を引き継ぐ意思があるか確認しましょう。

特に、従業員への継承では、率直なコミュニケーションが欠かせません。従業員が本音を話しづらい可能性もあるため、普段から積極的に対話することが重要です。

なお、従業員の本音を聞き出す際は、経営者が直接聞き出すようにしましょう。経営者が継承の意思を直接確認することで、後継者のやる気が高まる可能性があります。

もし、親族内や社内での継承者が見つからない場合は、M&Aを検討することをおすすめします。

 

経営理念を的確に継承する

経営理念を継承者が正しく理解していると、事業継承後の経営がスムーズに進む可能性があります。

経営理念は、企業の核となる価値観や方針を内包しているため、正しく引き継がれることで企業の方向性が明確になるでしょう。なお、従業員や顧客なども経営理念に共感すれば、自社を選ぶ動機となり得ます。

そのため、経営理念の的確な継承は、企業文化の維持と発展に必要な要素といえるでしょう。

 

後継者に株式を集中させる

事業の継承において、経営者に株式を集中できない場合、議決権の行使が難しくなり、企業内での派閥争いの原因となります

後継者が事業をスムーズに進めたうえで、的確な経営判断を行うには、株式の集中が効果的です。そのためには、事業の方向性を統一し、決定的な権限を持つ者が迅速な判断を下せる環境を整える必要があります。

 

納税資金を念頭に対策をする

親族内での事業継承を行う場合、相続税がかかります。そのため、事業継承を行う際には、相続税を納付するための資金を確保しておくことが重要です。

また、相続時精算課税制度の活用や不動産の購入など、節税対策も有効になるでしょう。これらの対策を行うことで、納税資金に関するリスクを事前に回避できるため、事業継承の成功に近づきます。

 

事業継承のリスクを理解する

事業継承にはさまざまなリスクが伴います。これらのリスクを理解することで、より確実な経営権の移行が行えるでしょう。

例えば、事業継承後には、従業員や顧客から批判される可能性があります。また、経営者として信頼関係を築く必要があり、個人保証や負債も引き継ぐことを念頭に置かなければなりません。さらに、相続で事業を引き継ぐ場合、遺留分の支払いが発生する可能性もあります。

このように、事業継承にはさまざまなリスクが伴うため、正しく理解しておくことで未然に防ぐ対策を練られるでしょう。

 

M&A専門の仲介会社に相談をする

自社の力だけでM&Aを進めると、自社の経営に関する課題や強みを把握しきれない可能性があります。

そこで、M&Aの仲介会社に相談することで、事業継承の成功率が高まるだけでなく、継承後の運営もスムーズに行えるでしょう。

M&Aを通じた事業継承には多くのメリットがあります。例えば、安定した経営が可能になるほか、大手企業の傘下に参入できる可能性もあります。

まとめ

事業承継の失敗は、どの企業にも起こり得るリスクです。だからこそ、失敗事例を理解し、対策を講じることが重要となります。

後継者が見つからない場合は、M&Aを検討するのも一つの手段です。他社に売却することで安定的な経営が可能になるメリットがあります。

弊社では、各業界に特化した専門家がお客さまの状況に合わせたサポートを提供します。

疑問やお悩みがあれば、「M&Aベストパートナーズ」までお気軽にご相談ください。

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