ホテル業界における人手不足の現状を紹介!M&Aを実施すれば解決できる?

ホテル業界における人手不足の現状を紹介!M&Aを実施すれば解決できる?

昨今のホテル業界では、慢性的な人手不足が問題視されています。

この状況を放置すると、サービス品質の低下や従業員の負担増大といった問題が発生するでしょう。そこで、M&Aによる他企業との統合を行うことで、人手不足を解消できます。

本記事では、ホテル業界で人手不足が深刻化する理由や、解決策としてM&Aを行うメリットを解説します。

ホテル業界におけるM&Aの成功事例も紹介するため、人手不足に悩む経営者はぜひ参考にしてください。

データから見るホテル業界における人手不足の現状

データから見るホテル業界における人手不足の現状

以下では、帝国データバンクが実施した調査を基に、ホテル業界における人手不足の現状を解説します。人手不足が深刻化しつつある、ホテル業界の現状について把握しましょう。

(引用元:帝国データバンク|特別企画:人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 4 月)

 

全業種のなかで「正社員」の人手不足が最も深刻化している

帝国データバンクが実施した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、2023年4月時点での「旅館・ホテル」の人手不足割合は75.5%となっています。正社員の推移を見てみると、全業種のなかで最も人手不足が深刻化している状況です。

2023年8月現在は、コロナ禍で抑制されていた人の流れが復活したことに加え、旅行支援の効果やイベントの正常化によって、ホテル業の稼働率が上昇傾向にあります。こうしたなかで、人手不足が原因で利用客への対応が不十分となるケースも発生しています。

ホテル業の離職率の高さは、人手不足を加速させる主な懸念事項です。将来的にリーダーとして活躍するはずの若い層が離職することで、人手不足に陥ってしまう可能性も考えられます。

 

「非正規社員」の人手不足も78.0%と高い

帝国データバンクの調査によると、ホテル業における非正規社員の人手不足割合も78.0%と高いことが明らかになりました。

水際対策の緩和により外国人観光客が戻りつつあるなか、各都道府県の観光地では特に非正規社員の人手不足が加速しています。宿泊需要が高まっているにもかかわらず、人手が足りないことを理由に利用客を受け入れられないケースもあるようです。

ホテル業界において人手不足が深刻化している4つの原因とは

ホテル業界で人手不足が加速している背景には、過酷な労働環境や競合ホテルの増加などがあります。

そのため、経営者は人手不足の要因を整理したうえで、解決策を考案することが大切です。

ここからは、ホテル業界において人手不足が深刻化している4つの原因を解説します。

 

原因1:需要の乱高下による人材確保の難しさ

ホテル業界は、オリンピックの開催といった特需景気による影響を受けやすいのが特徴です。しかし、人材需要の波は激しいため、常に適切な人材の供給を維持することが難しいとされています。

宿泊需要が少ない時期をベースに運営していくと、需要が急激に拡大した際に対応できなくなるでしょう。なお、人材を確保しすぎると、特需景気の終了後に余る可能性があります。そうなると、労働人口の減少や少子高齢化によって人手不足が加速するため、採用コストも増加してしまうでしょう。

 

原因2:労働条件に起因する離職率の高さ

離職率を高める労働環境も、ホテル業界の人手不足の原因として挙げられるでしょう。ホテル業界は低賃金・長時間労働・休日が少ないなど、労働条件が過酷になる傾向にあります。

例えば、数時間の休憩を挟みながら長時間働く「中抜け勤務」、丸一日の休みが取れない「たすき掛け勤務」などの慣習も従業員にとって負担になっているでしょう。長期休暇を取得しにくいうえに、長時間働いても十分な給与を貰えず、離職してしまう従業員が多く存在します。

 

原因3:競合ホテルの増加による人材の分散

ホテルの開業ラッシュにより人材が分散していることも、人手不足が加速する要因の1つです。東京オリンピックの開催やインバウンド再開に合わせて、外国人観光客向けのホテルが増加したことで、人材の取り合いが生じています。

また、ホテル業は離職率が高く、入れ替わりが激しい業種です。従業員の定着率が低いため、新たな人材を確保しても早期に退職してしまうケースもあります。

 

原因4:働き方の多様化やコロナウイルスによる接客業の敬遠

新型コロナウイルスの拡大や働き方の多様化も、ホテル業の人手不足が深刻化する原因となっています。近年では、在宅ワークや時短勤務などの働き方が増えていることから、接客業を志す人が少なくなっています。

また、新型コロナウイルスの影響もあって、対面のサービスを控える流れも加速しているといえるでしょう。なお、新型コロナウイルスは、2023年5月より2類から5類感染症に移行しました。これによって、感染対策が緩和され宿泊需要が復活したことで、現場の人手不足がより深刻化しています。

ホテル業界で人手不足を対策しない場合に想定されるリスク

ここからは、ホテル業界において人手不足を解消しないまま放置した場合に起こりうる、3つのリスクについて解説します。

 

サービス品質の低下

人手不足が加速すると、本来のサービスを提供することが困難になるでしょう。本来であれば専門外の業務でも、人手が足りなくなると担当しなくてはならないケースが増えます。慣れない業務を行うと業務ミスが多発し、サービスの品質低下につながるでしょう。

また、時間に追われることが多くなると、スタッフのストレスが溜まります。その結果、笑顔がなくなったり丁寧な対応が難しくなったりなど、ホテル利用者への対応が疎かになる可能性もあります。

 

競争力の低下

サービスの品質が低下すると、対応に不満を感じた宿泊客からのクレームが増えるでしょう。人手不足によりサービスの改善に十分なリソースを割けないため、リピート率顧客満足度の低下につながる点もデメリットです。

この状況を放置すると、ホテルの評価が下がってしまう可能性があります。SNSや口コミサイトなどに悪い口コミが書き込まれることで、ホテルに対するネガティブなイメージが広がるでしょう。

 

従業員の負担増大

ホテル業は、繁忙期に長時間労働を強いられるケースが多いため、過酷な労働環境といえるでしょう。また、人手不足に陥れば既存従業員に負担が強いられます。

従業員1人あたりの負担が大きくなることで業務効率が悪化するため、残業が増える可能性もあるでしょう。過酷な労働環境に耐えられなくなった従業員が次々に離職してしまうと、人手不足がより深刻化します。

 

ホテル業界で人手不足の対策として「M&A」を行うメリット

ホテル業界で人手不足の対策として「M&A」を行うメリット

以下では、ホテル業界が人手不足を解消させるために「M&A」を行うメリットについて解説します。

M&Aは企業の合併・買収を指し、2つ以上の企業を1つに統合することです。

ホテル業界でも人手不足の対策としてM&Aが注目を集めています。

 

相手企業の人材を取り込める

M&Aを実行して従業員数に余裕がある企業と統合すれば、人手不足を解消できます。

相手企業の人材を取り込むことで、経験やスキルを持った人材を確保できるため、人材育成にかかる手間を削減できるでしょう。なお、業務の効率化も期待できます。

 

人材を集めやすくなる

市場での知名度が高いホテルと統合することで、ブランド力の上昇が期待できます。世間からのイメージがよくなることで、人材を集めやすくなるでしょう。

求職者は、就職活動を行う際に労働条件だけでなく企業が持つブランド力も重視する傾向にあります。その企業に勤務することによって、周囲からどういったイメージを抱かれるのかを視野に入れながら企業選びをしているためです。

働きたい企業」として世間に知れ渡ることで、優れた人材が手に入りやすくなるうえに、従業員のモチベーション向上にもつながります。

 

人手不足対策に投資しやすくなる

M&Aによって経営資源を共有してコストを削減できれば、人材不足対策に投資しやすくなります。

自社が求める能力を持った人材を獲得するには、オンラインの活用がおすすめです。応募から選考に至るまでのプロセスを効率よく進めることで、広い範囲にアプローチできます。

労働条件の見直しが必要な場合は、環境の改善にも投資が可能です。労働環境がよくなれば従業員の満足度が高まり、人材流出の防止にもつながります。

ホテル業界におけるM&Aの事例3選

ここからはホテル業界におけるM&Aの3つの事例について、手法を交えて紹介します。

 

ホテル業界2社のM&A

売り手側であるA社は、東京・神奈川を中心に鉄道事業・不動産業を行う会社の子会社でした。一方の買い手側であるB社は、主にホテル運営や買収再生業に取り組んでいます。

A社の業績の悪化を理由に、株式譲渡によるM&Aが実施されました。その結果、B社はA社の全ての株式を保有し、子会社化に成功しています。

 

ホテル業界と不動産業界のM&A

買い手側であるC社は、不動産賃貸を行っている企業です。一方のD社は、ホテルや遊園地などの施設運営に取り組んでいます。

外国人観光客の増加や旅行需要の高まりによって宿泊・観光業の需要が変化したことで、ホテル事業の拡大を目指すためにM&Aを実施しました。C社は、D社のホテル・施設運営のノウハウや市場でのブランド力を活用することで、ホテルサービスの充実と顧客の満足度向上を期待しています。

 

ホテル業界と交通業界のM&A

買い手側であるE社は運輸業をメインとして、物流・流通・不動産などさまざまな事業に取り組む企業です。売り手側であるは、主にホテルの経営や運営に携わっていました。

2018年10月にE社を消滅会社、F社を存続会社とする吸収合併を行いました。F社は、M&Aによって継続的に投資できる体制づくりを目標に掲げています。

まとめ

まとめ

ホテル業は過酷な労働環境により離職率が高いため、人手不足が深刻化しています。

解決策として、M&Aでほかの企業と統合することで、スキルのある人材を確保できるうえに、人手不足対策に投資しやすくなるでしょう。

「M&Aベストパートナーズ」には、各業種に精通した専門家が在籍しています。

各業界の市場を網羅しているため、的確なサポートが可能です。M&Aのことで不安があれば、お気軽にご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

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