M&Aにおける注意点とは?買い手・売り手の両視点から解説【中小企業向け】

M&Aにおける注意点

昨今では、M&Aを行う中小企業が増えています。

相手企業を自社に統合できるため、人材不足や後継者問題の解決につながることがM&Aの大きなメリットです。

一方でM&Aの実施にあたっては、さまざまな注意点が存在します。買い手企業・売り手企業のどちらであっても、注意点を押さえたうえでM&Aの取り組みを進めることが大切です。

本記事では、M&Aにおける注意点を買い手・売り手の両視点から解説します。

M&Aにおける買い手・売り手が共通して把握すべき注意点

共通して把握すべき注意点

まずは、買い手企業・売り手企業を問わず把握すべき5つの注意点をお伝えします。

これらが欠けているとM&Aの成功は難しくなるため、必ず把握しておきましょう。

 

M&Aの目的を明確にする

M&Aの目的を明確にすることは最も重要といえます。

人材不足・後継者問題の解決、事業の拡大・多角化、経営基盤の強化など、M&Aの目的は企業によってさまざまです。達成したい目的によって適したM&A手法は異なるため、目的が不明確なままでは、効果的なM&A戦略を策定・実行することは難しいでしょう。

M&Aの先にある目的は何か考え、それに合わせてM&A戦略を考えます。ただし、M&Aの実施自体が目的となってしまうと、M&A後のリスクに備えられないため注意が必要です。

なお、M&Aの目的について詳しく把握したい人は、次の記事をご覧ください。

関連記事:M&Aの目的を買い手・売り手の両視点から解説!課題やポイントも紹介

 

慎重に相手企業を選ぶ

M&Aを実施する相手企業選びにも慎重さが求められます

相手企業を選び間違えれば、業績が悪化する可能性も考えられるでしょう。

M&Aの成否は、自社と相手企業との関係性に大きく左右されます。両社間でシナジー効果を生み出せれば大きな利益につながりますが、必ずしも上手くはいかないでしょう。

相手の利点を有効活用できない、自社の欠点をカバーしてもらえない、といった関係性ではM&Aの効果は得られません。

それどころか、M&Aによる体制変更で生じたコストだけが残ってしまう可能性もあります。相手企業によってM&Aの成果は大きく異なるため、慎重に選びましょう。

 

必要資金の見積もり・確保を行う

M&Aの実施には、ある程度まとまった資金が必要です。そのため、買い手企業・売り手企業に関わらず、必要資金の見積もり・確保は事前に行いましょう。

買い手企業であれば、相手企業を買収するための資金調達が欠かせません。また、M&Aのプロセス・手続きは複雑であるため、専門知識が求められます。そのため売り手企業においても、専門家への依頼費は発生することを理解しておきましょう。

相手企業の価値や、自社の状況によって必要資金は異なります。予算を大幅に超過する事態を防ぐためにも、できる限り早期に必要資金の見積もりをとることが大切です。

 

秘密保持契約(NDA)を締結する

M&A候補企業との交渉を行う前に、秘密保持契約(NDA)を締結しましょう。

NDAを締結せずに交渉を行ってしまうと、機密情報の漏えいや悪用のリスクが高まります。

買い手企業と売り手企業の交渉において、機密情報のやり取りは避けられません。NDAを締結していれば、交渉決裂後に機密情報の漏えいや悪用が発覚した場合でも法的な手続きが可能です。

自社の機密情報を保護するために、NDAを締結することをおすすめします。

 

ステークホルダーとの意思疎通を図る

M&Aには、従業員や取引先、株主など、さまざまなステークホルダーが存在します。

M&Aの手続きを本格的に進める前に、ステークホルダーとの意思疎通を図りましょう。理解が得られないままM&Aを実施すると、人材の流出や取引先との関係悪化など、さまざまな問題に発展する可能性があります。

2つの異なる企業が1つに統合されるM&Aは、経営者のみならず多くの関係者に影響を及ぼします。そのため、経営者の一存で意思決定することは避けるべきでしょう。

ステークホルダーにM&Aの狙いや必要性を周知し、事前に理解を得ることが求められます。

M&Aにおいて買い手企業が特に把握すべき注意点

次に、「買い手企業」が特に把握すべき3つの注意点を紹介します。

買い手企業は資金投入が前提となるため、しっかり確認しておきましょう。

 

相手企業のリスクを十分に調査する

買い手企業は、最終契約の締結前に十分な「デューデリジェンス(DD)」を行いましょう。デューデリジェンスとは、売り手企業の価値やリスクに関して調査を行う、買い手企業側のプロセスです。

例えば、売り手企業に高額な債務があった場合、M&A戦略によっては買い手企業が引継ぐことになってしまいます。デューデリジェンスを行えば、こうしたリスクを検出可能です。

デューデリジェンスを行う際は、売り手企業の設立当時の状況から綿密に調査する必要があります。

なお、M&Aにおけるデューデリジェンスについて詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:M&Aのデューデリジェンスとは?進め方や注意点、費用感について徹底解説

 

コンプライアンスを遵守する

M&Aを実施するにあたって、コンプライアンス違反とならないように注意が必要です。例えば、M&Aを実施することで生じる税金について把握していないと、払い漏れにつながる場合があります。

コンプライアンス違反となれば、罰則を受けるだけでなく、企業への信頼感を失ってしまうでしょう。

コンプライアンスを遵守するには、M&Aを熟知した専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

 

M&A実施後のPMIに備えておく

M&Aの実施後には、両社間の経営統合プロセスである「PMI」を行わなければなりません。

PMIへの準備が不足していると、自社と相手企業のシステムが上手く統合できない、といったトラブルが多発してしまいます。

そのため、最終契約を締結する前に、PMIに備えておくことが求められます。具体的には、システム統合や体制変更などの計画を事前に立てておくとよいでしょう。

M&Aにおいて売り手企業が特に把握すべき注意点

売り手企業が特に把握すべき注意点

次に、「売り手企業」が特に把握すべき3つの注意点を紹介します。

売り手企業だからと受け身にならず、注意点をしっかり押さえておきましょう。

 

可能な限り企業価値を高めておく

売り手企業は、可能な限り企業価値を高めておくことが大切です。

売り手企業の価値が低ければ、自社に合った買い手企業を見つけることは難しくなります。

企業価値を高めることで、相手企業の選択肢が増えるでしょう。また、自社を売却する際の利益の増加も期待できます。

 

不利な情報でも隠さない

M&Aの契約締結前には、買い手・売り手間でさまざまな情報を共有します。

このとき、不利な情報を隠したり、偽ったりすることはしないようにしてください

不利な情報をごまかしてM&Aの契約締結に至ったとしても、後で発覚すれば訴訟に発展するリスクもあります。

また、十分なデューデリジェンスを行う買い手企業が相手であれば、すぐに気づくでしょう。不利な情報でも隠さず開示することがリスク低減につながります。

 

適正な価格を提示する

売り手企業は、適正な価格を提示しましょう。

買い手企業はできる限り少ない資金でM&Aを実現しようと考えます。売り手企業がただ受け身になっているだけでは、買い手企業に低価格で買い叩かれてしまうでしょう。

自社の価値を正確に算出し、その根拠を示せるようにすることが大切です。

中小企業がM&Aの専門家を選ぶポイント

M&Aの専門家を選ぶポイント

未経験の経営者がM&Aを成功させるうえでは、専門家選びが重要です。

ここでは、中小企業がM&Aの専門家を選ぶ際のポイント2つを紹介します。

 

各業界に特化した専門家がいるか

M&Aとひと言でいっても、業界によって事情は異なります。例えば、建設業界と製造業界では、市場規模や課題などが異なるでしょう。

そのため、各業界に特化した専門家がいるサービスを選ぶことをおすすめします。

求める相手企業の業界が自社と異なる場合でも対応でき、マッチングの精度も上がります。

 

確かな実績があるか

確かな実績があるM&Aの専門家を選びましょう。

実績が豊富であれば信頼性が高く、M&Aの成功につながりやすいといえます。

また、自社が想定するM&Aと類似した成功事例を参考にしやすいでしょう。

まとめ

M&Aはメリットの大きい経営戦略ですが、買い手・売り手の双方にさまざまな注意点が存在します。

M&Aの実施を考えるのであれば、今回紹介した注意点を正確に把握しておきましょう。

また、経験の少ない経営者がM&Aを成功させるには、専門家のサポートが必要になります。豊富な実績があり、各業界に特化した専門家がいるM&Aサービスを選ぶことが理想といえるでしょう。

M&Aに関して安心して任せられる専門家をお求めの人は、M&A・事業承継のプロフェッショナルである「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

VIEW MORE

M&Aストーリー一覧へ