中小企業における事業継承問題とは?解決策と併せて紹介します

中小企業における事業継承問題とは?解決策と併せて紹介します

企業を後継者へ引き継ぐ「事業継承」の必要性を感じている中小企業の経営者は多いでしょう。

しかし、日本の中小企業では「事業継承問題」が深刻となっています。

中小企業が今後も存続していくには、事業継承問題について理解を深めることが大切です。

本記事では、中小企業における事業継承問題とは何か、わかりやすく解説します。

事業継承にあたっての問題や解決策も紹介するため、事業継承を検討している中小企業の経営者は、ぜひ参考にしてください。

事業継承問題とは

事業継承問題とは

事業継承問題とは、事業継承にあたって企業が直面する問題や、事業継承できないことで生じる問題の総称です。

事業継承は、事業規模を問わず企業の存続に欠かせません。しかし、事業継承にまつわる問題は多いため、政府は問題の解決に向けて対策を推進しています。

特に、日本企業の99%以上を占める中小企業が事業継承できるかは、今後の社会にとって重要です。政府の対策にも限界はあるため、それぞれの中小企業が問題解決に向けて取り組むことが大切といえます。

まずは事業継承問題の現状や、事業継承できないことのリスクについて確認しましょう。

事業継承問題の現状

中小企業では経営者の高齢化が深刻となっており、事業継承が喫緊の問題といえます。

中小企業庁の「中小M&Aガイドライン」によると、2025年までに70歳を超える中小企業の経営者は、約245万人にものぼる見込みです。さらに、そのうち約127万人は後継者が未確定と予測されています。

(引用元:中小企業庁|中小 M&A ガイドライン

経営者の平均引退年齢が70歳前後であることを考えると、中小企業の約半数は事業継承の実現が難しいのが現状です。そのため、リタイアが近づく中小企業の経営者は、自社に適した後継者を早期に見つけることが求められます。

 

事業継承できないことによるリスク

中小企業が事業継承できないことの問題は、自社だけにとどまりません。

事業継承できないことで懸念される主なリスクは、次の3つです。

  • 負債への対応
    多くの中小企業が、金融機関から借り入れを行っているのではないでしょうか。廃業するにあたって、このような債務を整理しなければなりません。企業の資産を売却しても債務を返済しきれない場合、借り入れの条件によっては経営者が負債を抱えることになるでしょう。また、廃業にあたって設備や在庫の処分を行う際にもコストは発生します。廃業においては想像以上のコストがかかるケースも多く、負債の増大が懸念事項です。
  • 従業員の失業
    中小企業が廃業を選択すれば、従業員は職を失うことになってしまいます。高齢の従業員がいる場合、年齢的に再就職が難しいケースも考えられるでしょう。自社に尽くしてくれた従業員の雇用を守れないことは、経営者にとって本意ではありません。
  • 国家的なGDPの低下
    財務局の「事業承継問題にかかる現状と課題」によれば、事業継承問題が解決できない場合、約22兆円のGDP(国内総生産)が2025年までに失われると予測されています。これだけGDPが低下すれば、日本の国力は著しく低下するでしょう。事業継承問題は、日本全体としても大きな懸念事項です。

(引用元:財務局|事業承継問題にかかる 現状と課題

 

中小企業における事業継承の問題点

中小企業における事業継承の問題点

中小企業が事業継承を行うにあたって、さまざまな問題点が存在します。

中小企業における事業継承の主な問題点は、次の4つです。

 

後継者の選定・育成が困難

まず、後継者を確保することの難しさが挙げられます。

日本では労働人口の減少が進み、業種を問わず人材不足が深刻化しています。現役の経営者・役員も、今後は高齢化に伴いリタイアする人が増えていくでしょう。

中小企業の経営を担える後継者候補が今後より少なくなるため、後継者を選定することが難しくなっていくと予測できます。

また、若い人材を後継者にする場合、少なくとも数年単位の育成期間が必要です。経営者のリタイアが近い中小企業では育成が間に合わず、未熟な後継者に事業継承せざるを得ないことも考えられます。

 

従業員や取引先の関係維持が困難

事業継承では経営者が代わるだけでなく、それに伴う経営方針の転換や企業文化の刷新も行われます。

こうした変化は経営陣のみならず、従業員や取引先にも大きな影響を与えるでしょう。従業員や取引先の理解が得られず、事業継承に踏み切れないケースも多くあります。

そのため、ステークホルダーとの関係を維持できなければ、後継者に事業を継承できたとしても中小企業の存続は困難です。

 

ステークホルダー間でのトラブル

事業継承にあたって、ステークホルダー間でのトラブル発生も懸念されます。

例えば、経営者の長男を後継者に決めた場合、ほかの兄弟が納得しないケースも考えられるでしょう。親族間で経営権や相続をめぐった争いが起きることは避けたい事案です。

事業継承は権利や資産の移転を伴うため、ステークホルダー間でのトラブルを誘発しやすい側面があります。

 

相談できる専門家がいない

事業継承に関して相談できる専門家がいないために、経営者が1人で抱えてしまうこともあります。

事業継承にあたっては、後継者探しだけでなく財務や法務など、さまざまな専門知識が必要です。

事業継承に必要な知識をすべて兼ね備えた人材が、経営者の周りにいることは稀でしょう。

また、感情的・精神的な要素も関わってくるため、周りに話すことを躊躇する経営者も多いです。

中小企業における事業継承問題の解決策

中小企業における事業継承問題の解決策

中小企業が事業継承を成功させるには、多くの問題を解決しなければなりません。

事業継承問題の有力な解決策として、次の2つを把握しておきましょう。

 

「事業承継ガイドライン」に沿って対策する

中小企業庁の「事業承継ガイドライン」に沿って対策することで、事業継承に向けて取り組みやすくなります。

事業承継ガイドラインは、中小企業の円滑な事業継承を後押しするためのガイドラインです。事業継承の重要性や進め方、課題、対応策といった有用な情報が体系的に記載されています。

また、具体的な成功事例も紹介されているため、経営者が取り組みをイメージしやすいでしょう。信頼性の高いノウハウがつまった事業承継ガイドラインの有効活用をおすすめします。

なお、事業承継ガイドラインについてより詳しく知りたい人は、次の記事をご参照ください。

事業継承 ガイドライン

 

M&Aの専門家にサポートを依頼する

事業継承のために親族や社内から後継者を探しても、適任者が見つからないケースもあります。

そこで有力な選択肢となるのが「M&A」による社外の後継者への事業継承です。M&Aは、合併(Merger)や買収(Acquisition)により、複数の企業を統合する経営戦略を指します。

M&Aによって自社を別の企業と統合し、相手企業の経営者に事業継承することが可能です。ただし、M&Aには継承先選びや事前調査、契約手続きなどが必要となります。

専門知識を要するこれらのプロセスを、未経験の経営者が適切に進めるのは困難です。そのためM&Aにあたっては、専門家にサポートを依頼することが確実といえます。

まとめ

事業継承問題とは、事業継承にあたって企業が直面する問題や、事業継承できないことで生じる問題の総称です。

日本企業の大多数を占める中小企業が事業継承できない場合、負債への対応や従業員の失業に加えて、GDP低下という国家的なリスクも生じます。

中小企業が事業継承する場合の特に有力な解決策は、M&Aを実施することです。

ただし、M&Aにはさまざまな専門知識が求められるため、未経験の経営者が進めることは容易ではありません。

M&Aにより事業継承を成功させたい人は、M&A・事業継承のプロフェッショナルである「M&Aベストパートナーズ」へお気軽にご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

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