消費者の価値観が「モノ」から「コト(体験)」へと劇的に変化するなか、商業施設開発・運営業界はかつてない転換期を迎えています。
建設コストの高騰や人手不足といった外的要因に加え、施設そのものの付加価値向上が求められる今、自社のリソースのみで成長を維持することは容易ではありません。
そこで注目されているのが、戦略的M&Aです。
本記事では、まず開発・運営それぞれの市場動向を整理したうえで、なぜ今M&Aが加速しているのか、その背景を詳しく解説します。
あわせて、M&Aによって得られる具体的なメリットや、失敗を避けるための成功のポイントもご紹介するので、変化の激しい業界において次の一手を模索する際の参考にしてください。
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目次
商業施設開発業界の市場動向
はじめに、商業施設開発業界の市場動向を解説します。
開発ラッシュの一服と質への転換
商業施設開発業界では、都市部の大規模再開発は継続しているものの、資材高騰や人件費上昇により新規着工は精査される傾向にあります。
そのため、今後は単なる物販拠点から、体験型施設や職住近接型の複合施設への転換が進むでしょう。
参考:国土交通省|建築着工統計調査報告(令和6年計分)
参考:国土交通省|資材費や人件費上昇により金額当たり建設資材使用量の減少が継続
環境配慮(ESG)への対応が不可欠
SDGsに対する注目の高まりを受け、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化や木造ハイブリッド構造など、環境負荷を低減した開発が投資呼び込みの評価要素になりやすいです。
そのため、今後の商業施設開発にはESG※1(Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)への対応が不可欠となります。
※1:企業が環境・社会・企業統治に配慮するという考え方。ESGの観点で配慮ができていない企業は、投資家などから企業価値毀損のリスクを抱えているとみなされる可能性がある。
参考:国土交通省|不動産分野の社会的課題に対応するESG投資促進検討会
参考:株式会社野村総合研究所|用語解説 ESG(環境・社会・ガバナンス)
商業施設運営業界の市場動向
続いて、商業施設運営業界の市場動向を解説します。
EC普及によるリアル店舗の役割変化
ネット通販の拡大により、単に商品を売る場所としての価値は低下しています。
特に、「ショールーミング」や「体験」を重視した運営へのシフトが進み、MD(商品構成)の再構築の重要性が高まっている状況です。
参考:経済産業省|令和6年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
人手不足を背景に、AIを活用した人流解析や無人決済システムの導入など、運営の効率化投資の導入・実証が進んでいます。
そのため、今後も商業施設運営を続けるためには、早急にDX化を推し進める必要があります。
商業施設開発・運営業界のM&A動向
商業施設開発や運営を行う業界では、さまざまな課題を抱え、自社のリソースだけでは対応が難しいものも多いです。
このような状況を打破するための選択肢として、近年ではM&Aが注目を集めています。
商業施設開発・運営業界におけるM&Aの動向を解説します。
大手不動産・デベロッパーによる運営会社の買収
商業施設の開発だけでなく「管理・運営(PM)」の内製化を進め、収益の安定化を図ることを目的としたM&Aが活発に行われています。
特に、大手不動産会社やデベロッパーによる運営会社の買収が多い状況です。
地方スーパーや百貨店の再編に伴う譲渡
地方の核となっていた商業施設の老朽化や業績不振を受け、再生能力のある企業が買収する再編の動きが多く見られます。
異業種(IT・物流)からの参入
ラストワンマイル物流の拠点確保や、リアルな接点を持つことによるデータ活用を目的としたM&Aも活発化しています。
商業施設開発・運営業界でM&Aを行うメリット
さまざまな目的で活発になっている商業施設開発・運営業界でのM&Aですが、具体的にどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。
事業を譲渡する側と譲受する側、それぞれの立場から見たメリットをご紹介します。
譲渡側のメリット
事業を譲渡する側が得られる主なメリットは、以下のとおりです。
- 資金繰り・老朽化対策:
大手資本の傘下に入ることで、施設の改修費用やDX投資の資金を確保できる - 雇用の継続:
運営スタッフやテナント関係者の雇用・営業権を守ることができる - 個人保証の解除:
経営者が連帯保証から解放され、ハッピーリタイアや新規事業へ集中できる
譲受側のメリット
商業施設開発や運営事業を譲受する側が得られる主なメリットは、以下のとおりです。
- 優良立地の即時確保:
新規開発が困難な好立地の物件や拠点を短期間で獲得できる - 運営ノウハウ・人材の獲得:
経験豊富なPM(プロパティマネジメント)チームをそのまま引き継ぐことが可能 - テナント網の共有:
既存のリーシングネットワークを活用し、他施設への相乗効果を生み出せる
商業施設開発・運営業界でM&Aを成功させるポイント
商業施設開発や施設運営業界でM&Aを行う場合、ただ譲渡・譲受をするだけでは成功させることはできません。
M&Aを成功させるための具体的なポイントを解説します。
テナント構成(MD)の競争力分析
譲渡する側、譲受する側、それぞれがまずすべきこととして、テナント構成の競争力分析が必要です。
現在のテナント契約状況や賃料水準が適正か、将来的な入れ替えが可能かを早期に精査することで、適正な売却価格の算出や、将来見込まれるシナジー効果の可視化をすることが可能になります。
施設管理(BM)・運営(PM)体制の可視化
独自の運営ノウハウや属人的なスキルをマニュアル化し、引き継ぎ後の運営精度を担保することも大切です。
この作業により、M&A成立後の統合プロセス(PMI)をスムーズに進めることが可能になります。
建物診断の徹底
将来的な修繕リスクやアスベスト、耐震基準などの瑕疵(かし)を正確に把握し、しっかり価格に反映させましょう。
この結果、譲受する側は目に見えにくい簿外債務の発覚リスクを極限まで減らすことができます。
まとめ
消費者の価値観が「モノ」から「コト(体験)」へと劇的に変化するなか、商業施設開発・運営業界はかつてない転換期を迎えており、生き残りやさらなる発展を目的としたM&Aが活発に行われています。
しかし、M&Aを成立させるためには多くの時間、そしてM&Aに関する専門的知識が必要であり、M&A仲介会社など専門家によるサポートが必要不可欠です。
商業施設開発や施設運営業界でM&Aをご検討中の方は、まずはお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。
これまで数多くのM&Aを成功に導いてきた専任アドバイザーが、検討から成約までの全てのプロセスを、全力でサポートさせていただきます。
