フィットネスジム・スポーツクラブの業界動向とM&Aが活発化する背景を解説

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

近年、フィットネスジム・スポーツクラブ業界は大きな転換期を迎えています。

これまでの総合型スポーツクラブに加え、24時間営業の特化型ジムやピラティススタジオなど、消費者のニーズは多様化し、市場競争はかつてないほど激化しています。

こうした経営環境の変化を背景に、新規参入や事業拡大、あるいは後継者不在の解消を目的としたM&Aの成約件数が急増しています。

本記事では、最新の業界動向を整理したうえで、「なぜ今、フィットネス業界でM&Aが活発化しているのか」、その具体的な背景とメリットを詳しく解説します。

この記事でわかること

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フィットネスジム・スポーツクラブ業界の動向

はじめに、フィットネスジム・スポーツクラブの業界動向を解説します。

市場規模の拡大と多様化

フィットネス業界は、健康志向の高まりと共に成長しています。

2023年の日本のフィットネス市場規模は、前年比8.5%増の約4,886億円に達しました。

特に、パーソナルトレーニングやオンラインフィットネスなど新しい形態のサービスが急成長しています。

また、スポーツクラブの多様化が進み、従来型の施設に加え、24時間営業や低価格で手軽に通えるジムなど、さまざまなニーズに対応したモデルが登場しています。

参考:Fitness Business日本のフィットネス市場

コロナ後の回復と新たな需要

コロナ禍において、フィットネス業界は一時的に縮小しましたが、2023年からは回復傾向にあります。

新型コロナウイルス感染拡大以前のピーク時(2019年、4,939億円)にはわずかに及ばず、2022年の市場規模が前年比9.5%と比較すると伸び率は落ち着きつつあるものの、だいぶ回復してきたという状況です。

特に、健康維持や免疫力向上を目的としたフィットネスの需要が急増しており、オンラインフィットネスプログラムやグループレッスンの参加者が増加しています。

また、エクササイズを通じて「心身の健康」を重視するライフスタイルの普及が見られます。

参考:株式会社帝国データバンクフィットネスクラブ・スポーツジム」業界動向調査(2023年度)

競争の激化と価格競争

フィットネスジム業界では、価格競争が激化しています。

低価格の24時間営業ジムが増えており、価格を抑えつつ、利用者数を増加させる動きが進んでいます。

これに対して、従来型のスポーツクラブは、付加価値サービス(例:パーソナルトレーニング、グループレッスンの多様化)で差別化を図る必要があります。

また、大手チェーンによる吸収合併(M&A)が増えており、規模の経済を活かしてコスト削減やブランド力強化を目指しています。

参考:株式会社矢野経済研究所フィットネス施設調査データ

フィットネスジム・スポーツクラブ業界でM&Aが活発な背景

近年のフィットネスジム・スポーツクラブ業界では、次のような理由を背景にM&Aが活発に行われています。

  • 競争激化と規模の経済
  • サービスの多様化と付加価値の提供
  • 高齢化社会とリハビリテーションニーズの増加
  • デジタル化とオンライン市場の拡大
  • 経営者の高齢化と後継者不在

それぞれ詳しく解説します。

競争激化と規模の経済

競争が激化する中、フィットネスジムやスポーツクラブ業界では、規模の経済を活かすためにM&Aが活発になっています。

特に、規模拡大によるコスト削減、広告・マーケティング費用の効率化を目的として、大手が中小規模のジムやスポーツクラブを買収し、全国的なチェーン化を進めています。

サービスの多様化と付加価値の提供

パーソナルトレーニングやヨガ、ピラティス、クロスフィットなどの新たなフィットネスサービスの需要が高まり、これに対応するために業界内でM&Aが進んでいます。

そのため、これら新たな市場に進出するために、異業種との提携や買収を通じて、多様なサービスを提供する動きが加速しています。

高齢化社会とリハビリテーションニーズの増加

高齢化社会が進む中で、フィットネスジムやスポーツクラブはリハビリテーションや健康維持を目的としたサービスを強化しています。

特に、シニア向けの運動プログラムや医療と連携したサービスが増加しており、これに対応するためのM&Aが進んでいます。

デジタル化とオンライン市場の拡大

コロナ禍を経て、オンラインフィットネスやデジタル化されたトレーニングプログラムの需要が高まりました。

この新たな市場に参入するため、オンラインフィットネス企業やアプリを持つ企業とのM&Aが活発です。

特に、デジタルプラットフォームを持つ企業との提携により、オフラインからオンラインへのシームレスなサービス提供を目指す動きが進んでいます。

経営者の高齢化と後継者不在

多くのフィットネスジムやスポーツクラブの創業者は高齢化が進んでおり、後継者問題が深刻化しています。

このため、経営資源が限られる中小規模のジムやクラブが、大手企業に譲渡するケースが増加しています。

フィットネスジム・スポーツクラブ業界でM&Aを行うメリット

フィットネスジム・スポーツクラブ業界でM&Aを行うことにより、譲渡企業と譲受企業、それぞれにさまざまなメリットをもたらします。

それぞれの立場から見たメリットをご紹介します。

譲渡企業(売り手)のメリット

  • 後継者問題の解決:
    経営者不在や後継者不足に対する解決策の一つとして、M&Aが選ばれています。
  • 従業員の雇用維持と運営施設の存続:
    第三者へと事業譲渡をすることにより、従業員の雇用、そして運営してきた施設の維持が可能になります。
  • 個人保証の解除:
    経営者が背負っていた個人保証を解除し、財務的負担から解放されることができます。
  • 大手リソースでの成長:
    大手企業の販路や資本力を活用し、自社のフィットネスジムをより広範囲に展開できます。

譲受企業(買い手)のメリット

  • 顧客リストの即時獲得:
    顧客基盤を即時に獲得することができ、新規顧客獲得にかかるコスト(CPA)を抑えることができます。
  • 規模の経済とリソースの統合:
    複数のジムを買収することで、規模の経済を活かし、効率的な運営が可能となります。特に、運営コストや広告費を削減し、利益率を改善できます。
  • 未開拓エリアへのスムーズな参入:
    新規参入を目指す地域にすでにある施設を買収することにより、コストを抑えつつスムーズなエリア拡大を目指せます。
  • 新規事業の展開:
    異業種から参入する場合、スタッフの雇用や施設の準備だけでなく、業界特有のノウハウなども必要です。既存事業を買収することにより、これらを包括的に獲得することが可能です。

フィットネスジム・スポーツクラブ業界で実際に行われたM&A事例

実際に、フィットネスジム・スポーツクラブ業界で行われたM&A事例を幾つかご紹介します。

ルネサンスによるM&A

全国でのスポーツクラブ・介護リハビリ施設などの運営や、企業・健康保険組合の健康づくり支援、全国の地方自治体の介護予防事業や地方創生事業の受託など、さまざまな事業を手掛ける株式会社ルネサンスは、全国24ヶ所でアウトドアフィットネス施設を運営・運営受託を行う株式会社BEACH TOWNの株式を過半数取得しました。

このM&Aにより、ルネサンスがBEACH TOWNのマネジメント支援を行い、アウトドアフィットネスの事業拡大、ルネサンス自身の企業価値も向上するとしています。

この他にも、ルネサンスは株式会社東急スポーツオアシスの株式を追加取得、その後吸収合併しています。

参考:株式会社ルネサンスアウトドアフィットネスを展開する株式会社BEACH TOWNの 株式取得について基本合意書を締結したことに関するお知らせ
参考:株式会社ルネサンスフィットネス業界最大規模の企業グループへ ルネサンスとスポーツオアシス、パートナーシップを結んだ新たなスタート
参考:株式会社ルネサンス連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

SOMPOホールディングスとRIZAPグループの資本業務提携

2024年、SOMPOホールディングス株式会社とRIZAPグループ株式会社は、両社が掲げている「誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現」に向けた資本業務提携を締結しました。

保険・介護事業等を通じて培った強固な顧客基盤・販売網を有し、安心・安全・健康に資する保険商品やサービスをグループで提供しているSOMPOホールディングス。

そしてフィットネスや医療連携サービスを通じて健康を増進させるソリューションに強みを有するRIZAPグループ。

両社が提携することにより、双方の顧客が他方のサービスにアクセスしやすい環境を構築するとともに、長期的には双方が有するデータの利活用を通じて新商品及び新サービスを提供。

健康寿命を延伸し、年を重ねることをポジティブに捉えられる社会の実現を目指すとともに、業務を拡大することを目的とする、としています。

参考:SOMPOホールディングス株式会社RIZAPグループ株式会社SOMPOホールディングスとRIZAPグループが 資本業務提携契約を締結 ~誰もがウェルビーイングを実感できる社会の実現に向け~

まとめ

近年のフィットネスジム・スポーツクラブ業界では、高齢化社会とリハビリテーションニーズの増加や市場競争激化、後継者問題などを背景に、生き残り戦略の一つとしてM&Aが活発に行われています。

M&Aは、譲渡企業・譲受企業それぞれに多くのメリットをもたらしますが、デメリットもある点を理解しておかなければ、M&Aは失敗し、求めるシナジー効果を創出できなかったり、企業の信頼低下につながる恐れもあります。

可能な限りリスクを回避し、M&Aを成功させるためには、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けることが必要不可欠です。

私たちM&Aベストパートナーズは、「ただ企業をマッチングさせるだけ」「事業を未来の残すだけ」ではなく、「企業のさらなる成長を目指すため」に全力でM&Aのサポートをさせていただきます。

M&Aをお考えのフィットネス・スポーツクラブ業界の方は、ぜひお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。

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