近年、健康意識の高まりやセルフケアの浸透により、健康食品・サプリメント業界は堅調な成長を続けています。
市場が拡大を続ける一方で、原材料費の高騰や機能性表示食品制度への対応、さらにはD2Cブランドの乱立など、企業を取り巻く環境は急速に複雑化しています。
このような激しい変化を勝ち抜く戦略として、いま注目されているのが「M&A」です。
本記事では、健康食品・サプリメント業界の業界動向を紐解くとともに、なぜM&Aが加速しているのか、その背景を詳しく解説します。
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目次
健康食品・サプリメント業界の動向
はじめに、健康食品・サプリメント業界の業界動向を解説します。
市場規模は拡大傾向だが規制は厳格化
健康意識の高まりにより、健康食品業界の市場規模は8,945億1,000万円規模、サプリメント市場も1兆876億円規模(2025年見込み)へ成長しています。
一方で「紅麹問題」を受け、機能性表示食品の受理ルールや品質管理(GMP)が厳格化。
そのため、特に中小メーカーにはコンプライアンス維持のコストが重荷となっています。
広告コスト高騰による収益性の低下
D2C(直接販売)が主流となるなか、SNS広告の獲得単価(CPA)が上昇しています。
薬機法による表現規制も強化され、単独での新規客獲得が困難な状況といえます。
参考:株式会社矢野経済研究所|健康食品市場に関する調査を実施(2025年)
参考:株式会社インテージヘルスケア|健食サプリ・ヘルスケアフーズレポート2025
参考:富士経済グループ・市場調査レポートサイト|サプリメント市場を調査。2025年の国内市場を1兆876億円(2024年比0.4%増)と推計。市場をけん引した機能性表示食品は拡大続くも伸びは鈍化
健康食品・サプリメント業界でM&Aが活発な背景
近年の健康食品・サプリメント業界では、立ちはだかる壁を乗り越えるためにM&Aが活発に行われています。
なぜいまM&Aが活発に行われているのか、その背景を解説します。
薬機法・GMP対応コストの増大
法規制の厳格化が大きな要因となっており、特に「機能性表示食品」の届出ガイドライン改正により、製造工程におけるGMP(適正製造規範)準拠が強く求められるようになりました。
品質管理や安全性試験にかかる人的・金銭的コストの増大は、経営資源の限られた中小メーカーにとって、大手グループの傘下に入る強い動機となっています。
広告費高騰とD2Cモデルの限界
ネット広告の競争激化により、顧客獲得単価(CPA)が損益分岐点を上回るケースが増えています。
SNSやインフルエンサーを活用した従来のD2Cモデルだけでは収益維持が難しくなっており、強力な資本力を持つ企業と提携することで、ブランド認知度の向上や多角的なマーケティング展開を図る動きが活発です。
異業種による新規参入の加速
食品、製薬、化粧品業界に加え、ITや物流業界からの参入が相次いでいます。
健康食品は「在庫管理が容易」「定期購入による安定収益(ストック型ビジネス)」という利点があるため、自社の既存顧客へ新たな価値を提供したい異業種企業にとって、M&Aは最短でノウハウを獲得する手段となっています。
海外市場(越境EC)への展開
国内市場の成熟を見据え、アジア圏を中心とした海外展開を急ぐ企業が増えています。
特に「メイド・イン・ジャパン」のサプリメントは海外で高い信頼を得ています。
海外販路や輸出ノウハウを持つ企業と手を組むことで、独力で数年かかる海外進出を短期間で実現しようとする戦略的なM&Aが目立ちます。
経営者の高齢化と後継者不在
他業界と同様、創業社長の高齢化と親族内承継の断念が大きな課題です。
特に健康食品業界はトレンドの移り変わりが激しく、将来の舵取りを不安視する経営者が、「従業員の雇用継続」と「ブランドの存続」を確かなものにするために、信頼できる大手企業への譲渡を選択しています。
健康食品・サプリメント業界でM&Aを行うメリット
活発に行われているM&Aは、譲渡企業と譲受企業、それぞれにさまざまなメリットをもたらします。
立場ごとに得られるメリットをご紹介します。
譲渡企業(売り手)のメリット
M&Aによって事業を譲渡する側が得られる主なメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 後継者問題の解決:
第三者への承継で、従業員の雇用と技術を維持。 - 個人保証の解除:
経営者としての心理的・財務的負担からの解放。 - 大手リソースでの成長:
大手の販路・資本力を使い、自社ブランドを全国へ。
譲受企業(買い手)のメリット
譲受側が得られる主なメリットは、以下のとおりです。
- 顧客の即時獲得:
獲得コスト(CPA)をかけずに定期購入者を確保。 - 製造拠点・技術の内製化:
OEMメーカー買収による垂直統合で収益率を改善。 - 健康食品・サプリメント業界への新規参入:
新規事業立ち上げコストや時間を大幅に削減。
健康食品・サプリメント業界で実際に行われたM&A事例
キリンホールディングスによるM&A
2019年、キリンホールディングス株式会社(以下、キリンHD)は、協和発酵キリン株式会社の連結子会社である協和発酵バイオ株式会社の株式を取得しました。
このM&Aにより、相互の強みや経営資源のさらなる有効活用、健康領域を始めとした事業開発スピードの向上を実現するとしています。
なお、キリンHDは、2024年に協和発酵バイオのアミノ酸及び人ミルクオリゴ糖事業を新会社として分社化。中国の大手バイオ企業の子会社である特定目的会社に売却しています。
参考:協和発酵キリン株式会社|連結子会社の異動を伴う株式の譲渡及び譲渡益の発生(見込み)に関するお知らせ
参考:キリンホールディングス株式会社|協和発酵バイオの一部事業譲渡及び事業構造改善費用等計上について
ポーラ・オルビスホールディングスによるM&A
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(以下、ポーラ・オルビスHD)は、2019年にパーソナライズスキンケアブランド「FUJIMI」を展開、サプリメントやフェイスマスクを販売するトリコ株式会社の全株式を取得、子会社化しました。
ポーラ・オルビスHDはビューティケア事業や不動産事業を中心に事業展開位をするグループ企業全体の経営管理をしており、このM&Aによって研究開発技術やエビデンスの活用、生産・物流面におけるシナジー効果創出とともに、トリコの成長をさらに加速させるとしています。
参考:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス|トリコ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
小林製薬によるM&A
2019年、小林製薬株式会社は「梅丹」「古代梅肉エキス」を主力ブランドとして90年余りにわたって販売してきた株式会社梅丹本舗の全株式を取得、子会社化しました。
小林製薬が保有するマーケティング力、販売力、研究開発力と、梅丹本舗が保有するブランド力を融合させ、食品分野において新たな価値を提供できると判断しM&Aに至ったとしています。
参考:小林製薬株式会社|株式の譲り受けに関するお知らせ
参考:小林製薬株式会社|完全⼦会社の吸収合併(簡易合併‧略式合併)に関するお知らせ
まとめ
薬機法の改訂、広告宣伝費やD2Cの限界などを背景に、近年の健康食品・サプリメント業界ではM&Aが活発に行われています。
特に、中小企業が生き残りをかけて大手企業の傘下に入ったり、異業種企業がスムーズな新規参入をするために健康食品やサプリメント事業を展開する企業の買収が増加しています。
確かに、M&Aは市場競争に打ち勝ち、生き残るためには有効な選択肢ですが、M&Aを成功させるためには専門的な知識やノウハウが必要であり、M&A仲介会社などsn右衛門化によるサポートが必要不可欠です。
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