EC市場の急激な拡大や車両関連の法改正の影響など、物流倉庫を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。
本記事では、物流倉庫を取り巻く環境や抱えている課題、また課題解決に必要とされている取り組みについて解説します。
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目次
物流倉庫を取り巻く環境
はじめに、物流倉庫を取り巻く環境はどのようになっているのかを解説します。
物流事業全体のなかでも市場規模は高水準
物流事業には倉庫業やトラック輸送業、海運業など複数の業種がありますが、なかでも倉庫業収入は2023年度で2兆6,000億円と、業界内で第3位となっています。
また、事業者数・従業員数ともに第2位となっていることからも、市場規模が高い水準で推移していることがわかります。
参考:一般社団法人 日本倉庫協会|営業倉庫の現状と課題について
2000年以降の保管料は変化がみられない
2000年以降、多少の浮き沈みはあるものの保管料に大きな変化はなく、代わりに設備の維持費といったコストは高騰しているため、営業利益は縮小傾向にあると考えられます。
しかし、簡単に保管料の値上げ交渉ができるわけではないため、価格転嫁に悩む企業が増加しています。
物流倉庫が抱える課題
物流倉庫では、以下のような課題を抱えているケースが多いです。
長引く2024年問題の早期解決
大きな社会問題となった2024年問題は、未だ解消の目処が立たず、いつまで影響が続くのかわからない状況となっています。
2024年問題はトラックドライバーに関するものと捉えられがちですが、物流に関わる全ての事業に関係しているため、早期解決が多くの企業の重要な課題となっています。
深刻化する労働人口の減少
多くの企業において労働人口の減少が問題となっていますが、物流倉庫でも同じ問題を抱えています。
帝国データバンクの調査では、2024年に人手不足を原因とした倒産件数は全産業で350件となっており、過去最多の件数が倒産しています。
このうち、倉庫業を含む物流業の倒産は42件と、建設業の111件についで第2位となっています。
この数字からも、労働人口の不足が企業に与える影響は非常に大きなものとなっていることがわかります。
参考:帝国データバンク|人手不足倒産の動向調査(2024年)
後継者不足による事業存続への不安
後継者不足による倒産も増加しており、2024年には507件と、2年連続で500件を超える企業が後継者不足によって倒産しています。
後継者問題は、経営者の親族が会社を引き継ぐことを拒否したりするほか、既存従業員に後継者となりうる人材がいないなどさまざまな要因がありますが、一生懸命守ってきた会社を引き継ぐことができないということは経営者にとって非常に辛い選択となっています。
参考:帝国データバンク|後継者難倒産の動向調査(2024年度)
課題解決に向けた具体的な取り組む
さまざまな課題を抱える物流倉庫は、具体的にどのような取り組みをしていけばよいのでしょうか。
代表的な取り組みを3つ、ご紹介します。
荷主との協力体制の構築
倉庫内での荷物の保管業務を効率化するためには、荷主企業の協力は必要不可欠です。
現状の入庫や出荷、ピッキングといった荷主の要望に応えて対応している業務の問題点を洗い出し、荷主と改善に関する話し合いの場を設けるなど、業務効率や生産性の向上を目指すための工夫が必要です。
DX化の推進
さまざまな業種でも課題となっているDX化も、物流倉庫の課題解決には必要です。
具体的には、入出庫のために倉庫へ来るトラックの予約システムを導入してスムーズな対応を行うことで、効率のよい人員配置が可能となります。
また、ピッキングに伴う検品業務のデジタル化、AIの活用など、物流倉庫で導入できる技術は多いです。
導入コストがかかるといった問題はあるものの、デジタル技術を倉庫業務へ活用している企業は増えてきています。
人材獲得と後継者の育成
最悪の場合は倒産の可能性もある人手不足・後継者不足の解決に向けた取り組みも重要です。
人材獲得の具体的な取り組みとしては福利厚生や労働時間、給与形態などの見直しなどが挙げられます。
人材が増えることで既存従業員の負担が削減できたり、倉庫へ出入りする車両の回転効率の向上といったメリットを得ることができます。
後継者問題への取り組みは既存従業員のなかから経営能力のある人材を見出すほか、外部から後継者候補を招待するといった方法が具体策として挙げられます。
市場での生き残りにはM&Aも有効
物流倉庫の市場で生き残るための施策としてM&Aも有効な手段となり、次のようなメリットを得ることが可能です。
事業エリア拡大による収益の拡大
物流倉庫が事業エリアを拡大しようとした場合、新たな拠点や人材、フォークリフトといった設備などの確保が必要で、長い時間がかかるケースは少なくありません。
しかしM&Aによって対象となる企業の拠点や設備、人的リソースを手に入れることができれば、スムーズに事業エリアを拡大し、収益増につなげることができます。
売り手となる企業側も、買い手企業の拠点や物流網を活用し、取り扱い物量アップを目指すことが可能です。
シナジー効果による業務効率・生産性の向上
M&Aを行う売手側・買手側それぞれが保有するノウハウや物流網などを統合することで、シナジー効果を創出することが可能です。
統合を円滑に行うことができれば、業務効率や生産性の向上、事業のさらなる拡大などさまざまなシナジー効果が期待できます。
不足する人材の確保
労働人口の減少が深刻化するなかで、人材の確保は急務ともいうべき課題です。
M&Aによって対象企業の人材も引き継ぐことができれば、すでに倉庫業務のノウハウや経験を身につけた即戦力を確保することができます。
その結果、新規雇用者に必要な教育時間やコストの削減も可能です。
事業の存続と従業員の雇用維持
特に売り手となる経営者にとって、必死に守ってきた会社をたたむことは非常に苦しい決断です。
また、会社をたたむことにより、これまで共に頑張ってくれた従業員の生活も守れなくなってしまいます。
しかし、M&Aによって事業を引き継ぐことができれば、事業はもちろんのこと、従業員の雇用も守ることができます。
その他にも、自社を信頼して荷物を預けてくれた取引先との関係も維持でき、引き続き物流インフラを支えていくことができます。
まとめ
物流業界を取り巻く環境は非常に深刻化しており、物流インフラの拠点である倉庫も、抱えている課題の解決が急務となっています。
課題によっては自社だけで対応できる可能性もありますが、全てを解決するためには、長い時間と労力を必要とします。
課題を解決したうえで事業をさらに発展させ、長期的な事業の存続を目指したいという方は、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。
M&Aであれば、売手側と買手側、それぞれが抱える課題を包括的に解決できる可能性があります。
物流倉庫をM&Aによって存続させ、「今後も物流インフラを支えたい」「事業をさらに発展させていきたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にM&Aベストパートナーズへご相談ください。
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