M&Aで物流会社を買収する目的|買手側が得られるメリットも紹介

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

時間外労働や拘束時間の規制強化、労働人口の減少などさまざまな課題を抱える物流業界では、近年M&Aが活発な動きを見せています。

本記事では、M&Aによって物流会社を買収する主な目的、そして買収することで得られるメリットについて解説します。

あわせて、実際に物流業界で行われたM&Aや物流効率の改善を目的としたM&Aの事例をご紹介するので、物流業界におけるM&Aを検討されている方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

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M&Aで物流会社を買収する主な目的

M&Aによって物流会社を買収する主な目的は以下のとおりです。

加速するドライバー不足への対応

労働人口の減少による人手不足はさまざまな業種で問題となっていますが、物流業界も例外ではありません。

物流業界では、2027年頃から多くのドライバーが定年退職を迎える「2027年問題」が取り沙汰されています。

また、経営コンサルティング会社の調査により、2027年にはおよそ24万人のドライバー不足に陥ることが以前から問題となっています。

このように、今後さらに加速するドライバー不足の解消を目的としたM&Aが活発化している状況です。

参考:ボストン コンサルティング グループ|2017年プレスリリース

新規路線の拡大

通常、新たな路線を獲得する場合、多くの時間と営業コストが必要です。

しかし、M&Aによって物流会社を獲得し、対象企業が保有する既存路線を取り込むことでスムーズな路線拡大を目指せることも、M&Aが行われている理由の一つとして挙げられます。

車両台数の拡充

車両台数を増やそうとした場合、物価の上昇や環境対策の設備を導入するなどの理由から以前にも増して多くの費用が必要です。

このような車両に関する問題の解決策としてM&Aを行い、車両を拡充する企業も増加傾向にあります。

物流事業への新規参入

異業種から物流業界へ新規参入することを目的としたM&Aも行われています。

特に、製造業を営む企業が物流会社を買収し、物流コストの削減や流通体制の見直しを行う企業が増えています。

物流会社を買収して得られるメリット

さまざまな目的で行われる物流会社へのM&Aですが、目的達成以外に以下のようなメリットも得ることができます。

新規雇用者の教育コスト削減

ドライバー不足が深刻な問題となっている物流業界ですが、未経験者を雇用する場合は雇入教育を実施し、独り立ちできるまでに多くの時間とコストを必要とします。

しかし、物流会社の買収によってドライバーとしてすでに活躍している人材を引き継ぐことができれば、教育にかかる時間やコストを削減しつつ、さらに即戦力として業務を任せることが可能です。

スムーズな事業拡大

すでに地域へ根付いた物流サービスを提供している企業を獲得することで、スムーズな事業エリアの拡大が実現できます。

事業エリアの拡大は、企業としてのさらなる成長につながります。

車両購入コストの削減

保有している車両の種類は企業によって異なりますが、新規路線の獲得に伴い新たな車種の購入をする場合、多くのコストがかかります。

しかし、自社後は異なる車両を保有している企業を買収することで車両購入コストを削減できるだけでなく、対象企業が持つ車両の運行ノウハウも手に入れることができます。

経営基盤の強化

物流業界に限らず、経営基盤の強化はM&Aによって得られる大きなメリットです。

新規事業エリアや顧客、車両、人材など、M&Aによって引き継ぐことができるさまざまな経営資源を活用することで営業利益を増やし、経営の基盤をより強固なものにすることができます。

スムーズな事業参入の実現

新たに物流事業へ参入しようとした場合、部署の立ち上げや人員配置の変更、車両の購入、顧客の獲得など解決すべき課題が山積します。

M&Aをすることによってこれらを全て引き継ぐことに成功すれば、時間やコストを抑えたうえでスムーズな事業参入を実現できます。

実際に行われた物流業界でのM&A事例

これまで、物流業界では多くのM&Aが行われてきました。

なかでも代表的なM&Aの事例、そしてその目的をご紹介します。

トナミホールディングスによるM&A事例

2023年、総合物流企業の純粋持株会社であるトナミホールディングス株式会社は、静岡県でトラック輸送や倉庫事業を展開し、トラックを中心とした自動車整備事業を行う子会社も保有する山一運輸倉庫株式会社の全株式を取得しました。

このM&Aにより、経営資源の連携や情報システムの共有などを進め、生産性の拡大を図り、企業価値の向上に取り組むとしています。

なお、トナミホールディングス株式会社は、2025年に日本郵便株式会社の傘下であるJWT株式会社によるTOB(株式公開買付け)により、日本郵便株式会社の孫会社となりました。

参考:トナミホールディングス株式会社|「山一運輸倉庫株式会社」の株式取得に関するお知らせ
参考:日本郵政株式会社・日本郵便株式会社|日本郵便の子会社(JWT株式会社)による トナミホールディングス株式会社の株式に対する公開買付けの結果について

センコーホールディングスによるM&A事例

国内外で物流事業や商事、ビジネスサポートなど多角的な事業展開を行うセンコーグループホールディングス株式会社は、インドでの事業基盤や顧客拡大を目的として現地で輸送事業や倉庫事業などを手掛けるPDS International Pvt. Ltd.の株式を取得、グループ化しました。

今後、両社は協業を通じてインド国内でのモーダルシフトや冷凍冷蔵物流といった新事業の実現を目指すとしています。

参考:センコーグループホールディングス|インドでフォワーディング事業の拡大を目指す ~インドの物流会社をグループ化~

大王製紙によるM&A事例

製紙業界大手の大王製紙株式会社は、組織体制の見直しやグループにおける販売体制の強化を目的とし、株式会社EBSを存続会社、東京紙パルプインターナショナル株式会社を消滅会社とした連結子会社同士の合併を行いました。

この合併により、特に輸出入業務の拡大や物流コストの削減などが期待されるとしています。

参考:大王製紙株式会社|連結子会社間の合併及び特定子会社の異動に関するお知らせ

まとめ

さまざまな課題を抱えている物流業界において、M&Aによる買収は近年活発な動きを見せています。

買収の目的はさまざまですが、成功することができれば多くのメリットを得ることができます。

しかし、M&Aを成功させるためには専門的な知識を必要とし、目的に合った対象企業や手法の選定が必要です。

M&Aによって物流会社を買収し、目的を達成したいとお考えの方は、ぜひお気軽にM&Aベストパートナーズへご相談ください。

今後目指す展望をしっかりヒアリングし、対象企業の選定から手法のご提案、実施に至るまでの一連のプロセスを、一貫してお手伝いさせていただきます。

こちらのサイトでは、物流会社が抱えている課題解決に向けたサービスをご提案しております。外部委託によって業務効率向上などを目指したいという方はぜひ参考にしてください。

関連サイト:東亜物流株式会社チャーター便のメリットは?混載便との違いや活用シーンを解説

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

石橋 秀紀

ADVISOR

各業界に精通したアドバイザーが
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