2023年9月22日

内装工事業界におけるM&Aの動向や実施するメリットとは?

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内装工事業界におけるM&Aの動向や実施するメリットとは?

内装工事業界では、人材不足や後継者不足などの深刻な課題をかかえています。

こうした課題を解消させるためにM&Aを検討している人もいるでしょう。また、M&Aにより内装工事業界に参入したい人もいるかもしれません。

今回は、内装工事業界の現状やM&Aの動向、実施するメリットについて解説します。

また、内装工事業界におけるM&Aの事例や、M&Aを成功させるためのポイントなども解説するため、M&Aを検討中の人は参考にしてください。

内装工事業界の現状について

内装工事業界の現状について

内装工事業界のM&Aの動向を把握するには、まず内装工事業界の現状を理解する必要があるでしょう。

ここでは、内装工事業界の現状について解説します。

 

新築住宅の着工数が減少している

ここ数十年の間、新築住宅の着工数は減少傾向にあり、それに伴う内装工事の依頼も減少しています。

国土交通省の「新設住宅着工戸数の推移」によると、2006年には新築住宅の着工数が約128万戸ありましたが、2021年には約86万戸と減少しているようです。

(引用元:国土交通省|新設住宅着工戸数の推移

新築住宅の着工数が減少した原因として考えられるのは、少子高齢化による「人口の減少」です。また、30代・40代で結婚しない人が増えていることも原因と考えられます。独身で一人暮らしの場合は、新しく家を建てたいと考える人は少ないでしょう。

こうした人口の減少未婚者の増加は社会問題となっており、今後も続くと予想されています。そのため、新築住宅の着工数は、さらに減少する可能性が高いでしょう。

 

リフォーム事業は需要が高まっている

新築住宅の着工数が減る一方で、リフォーム事業の需要は高まりつつあります。

その背景には、新型コロナウイルス高齢化の影響を受けていると考えられるでしょう。

新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務といった「おうち時間」が増え、「リフォームを行ってより快適な住まいにしたい」と考える人が多くなりました。そのため、2020年から現在にかけてリフォーム件数は増加しています。

また、高齢化が進むにつれて、バリアフリーに対応するためのリフォーム件数が増加すると予想されているため、今後も需要の増加が見込めるでしょう。

リフォーム市場の需要増加に伴い、内装工事業界では、新築住宅を専門としていた内装工事業者が、リフォーム市場に参入する動きも見られます

 

人材不足・後継者不足が深刻化している

内装工事業界では、人材不足や後継者不足が深刻化しています。

その原因として、少子高齢化の影響が大きく、少子化により若手の確保が難しい一方で、既存の従業員の高齢化が進んでいる状況です。

国土交通省の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、内装工事業界を含めた建設業就業者のうち、55歳以上が約36%であるのに対し、29歳以下が約12%と高齢化が進んでいると発表されています。

(引用元:国土交通省|最近の建設業を巡る状況について【報告】)

こうした状況では、後継者を見つけることは難しいでしょう。業績は安定していても、事業を引き継いでくれる人が見つからず、廃業に追い込まれた企業もあります。

内装工事業界で生き残るためには、人材不足や後継者不足という課題を早急に解消する必要があるでしょう。

 

参入する企業が多く競争が激化している

近年の内装工事業界では、参入する企業が多く、競争が激化しています。

内装工事は、少人数で対応可能であり、設備投資も少なく済むため、参入へのハードルが低いといえるでしょう。そのため、異業種から参入してくる企業も多いです。

また、内装工事業者は年々増加しており、競争がさらに激化すると予想されます。このような競争が激しい状況のなかで内装工事業界を生き残るには、他社との差別化が求められるでしょう。

内装工事業界におけるM&Aの動向

内装工事業界におけるM&Aの動向

先述した通り、内装工事業界はリフォーム事業の需要が高まりつつありますが、人材不足や後継者不足などの問題をかかえているというのが現状です。

こうした現状のなか、内装工事業界におけるM&Aの動向について気になる人もいるでしょう。

ここでは、内装工事業界におけるM&Aの動向について解説します。

 

後継者不足を解消する目的のM&Aが増加

近年の内装工事業界では、後継者不足を解消する目的のM&Aが増加傾向にあります。

これまでは、経営者が高齢となり後継者が見つからない場合は、廃業することが一般的でした。しかし、近年では、M&Aにより第三者へ事業承継する方法が認知され始めています。そのため、後継者不足を解消する目的でM&Aを実施する企業が増加しているのが現状です。

人材不足が深刻化している内装工事業界において、後継者不足を解消するためのM&Aは今後も増えていくでしょう。

 

元請けが下請けを買収するケースが増加

元請け会社が下請け会社を買収するというケースも増えています。

これは、元請け会社が下請け会社に依頼していた業務を自社内で完結させるのが目的です。

これまで下請け会社に依頼していた業務を、自社内で一貫して対応できるようにすることで、利益率の向上や、業務の品質向上を図れるでしょう。

 

大手建設会社によるM&Aが増えている

大手建設会社が内装工事業者を買収する動きも増えています。

トータルリフォーム事業や総合新築事業などを行っている大手建設会社は、M&Aによって人材・技術を確保している状況です。

そのため、内装工事業者だけでなく、外装工事業者も同様に買収されています

 

内装工事業界におけるM&Aのメリット

内装工事業界におけるM&Aでは、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは、買い手側・売り手側企業のメリットについて解説します。

 

買い手側企業のメリット

内装工事業界におけるM&Aの買い手側企業の主なメリットは、下記の3つです。

・優秀な人材の確保
・事業拡大
・自社内での内装工事受注

人材不足が深刻化している内装工事業界において、M&Aを行うことで解消できるのは買い手側企業にとって大きなメリットでしょう。専門的な知識や技術を持った優秀な人材を確保できるため、教育にかかるコストの削減が可能です。

また、M&Aにより、売り手側企業が展開している地域での事業拡大がスムーズに行えるため、受注増加が見込めるというメリットもあります。

そのほかにも、建設会社は下請け会社である内装工事業者を買収すれば、受注から施工まで自社内で完結できるでしょう。その結果、業務の効率化が期待できます。

 

売り手側企業のメリット

内装工事業界のM&Aにおける売り手側企業のメリットは、主に下記の3つです。

・後継者不足による廃業防止
・従業員の雇用維持
・新たな市場への参入

先述の通り、内装工事業界では、後継者不足を解消する目的のM&Aが増加しています。M&Aによって第三者へ事業継承し、廃業を回避できることは、売り手側企業にとって大きなメリットでしょう。

廃業を回避できれば、従業員の雇用を維持することにもつながります。これは、売り手側企業の従業員も買い手側企業へ引き継げるためです。

また、新築住宅専門の内装工事業者の場合、リフォーム事業を行っている業者に売却すれば、リフォーム市場へ参入できます。新築住宅市場が縮小するなか、今後も需要増加が見込めるリフォーム市場へ参入できることは、売り手にとって大きなメリットといえるでしょう。

内装工事業界におけるM&Aの事例

内装工事業界におけるM&Aの事例

内装工事業界におけるM&Aは増えていますが、具体的な事例について知りたい人も多いでしょう。

ここでは、内装工事業界におけるM&A事例を2つ紹介します。

 

建材販売及び内外装工事A社と不動産B社のM&A

譲渡企業であるA社は、建材販売や内装工事などの事業を展開していました。

一方の譲り受け企業であるB社は、注文住宅や不動産の売買に加えて、カフェ、レンタルスペース運営、アパレル、雑貨などの事業も展開している会社です。

M&Aの目的は、B社のリフォーム事業の拡大にあります。今後、少子高齢化に伴う新築住宅の着工数が減少すると予想されるなかで、M&Aにより建材の仕入れや技術力を強化し、リフォーム事業を拡大することが狙いです。

株式譲渡により、B社がA社の全株式を取得したため、A社は完全子会社化されました。

 

建築造作及び内装工事C社と内外装工事D社のM&A

譲渡会社であるC社は、商業施設もしくは宿泊施設などの木造専門建築造作や内装工事の事業を展開していました。

一方の譲り受け企業であるD社は、大手ゼネコンの子会社として事業を展開している会社です。伝統的な建築物を含めた広範囲な建物の内外装工事を請け負っています。

M&Aを行う背景には、グループ建設事業の拡大と木造建築分野の強化がありました。

D社は、C社の株式を譲り受けたため、C社は完全子会社化されています。

M&Aを成功させるには

ここまで、内装工事業界におけるM&Aのメリットや事例などを紹介しましたが、M&Aは必ずしも成功するとは限りません。

M&Aを成功させるには、以下で紹介するポイントを押さえる必要があります。

ここからは、M&Aを成功させるためのポイントについて確認していきましょう。

 

M&Aを実施する目的を明確にする

M&Aを実施する際には、実施する目的を明確に定めましょう。

目的が曖昧のまま進めると、単に「M&Aを実施すること」が目的となってしまい、十分な効果を得られない可能性があります。

また、目的が曖昧なままM&Aを行うと、相手企業との相性が悪かったり、自社にとって不利な条件で実施したりなど、失敗に終わる可能性があります

M&Aを成功するためにも、目的を明確にしたうえで実施するかを検討すべきといえます。

 

相手企業の選定をしっかり行う

M&Aを実施する際は、相手企業の選定をしっかり行うことが大切です。信頼できない相手企業とM&Aを行った場合、実施後にトラブルが発生する可能性があります。

こうした状況を防ぐには、条件面だけでなく信頼できる相手かを慎重に見極めたうえで選ぶことが大切です。信頼できる相手を見極めるには、相手企業の経営方針や事業内容、収入状況などをしっかり分析しましょう

また、自社にふさわしい相手企業が見つかった場合は、他社に先を越されないように早めにアプローチすることが大切です。

 

M&A専門家へ依頼する

M&Aには、法務や財務、税務などの専門的な知識が求められます。

また、相手企業との交渉力も必要でしょう。しかし、これらを自社のみで進めるのは困難です。

そのため、M&Aを実施する際は、M&Aの専門家へ依頼しましょう。

M&Aには、準備から統合までさまざまなプロセスがあります。M&Aを成功させるには、これらのプロセスを漏れなく進めなければなりません。

M&Aの専門家に依頼すれば、準備から統合までのプロセスを全面的にサポートしてくれるため、成功率が格段に上がるでしょう

まとめ

まとめ

内装工事業界は、人材不足や後継者不足などの問題をかかえています。

こうした課題を解決するために、M&Aを実施する業者が増加しています。

M&Aを実施することで、優秀な人材の確保や廃業の回避、事業拡大などさまざまなメリットを得られるでしょう。ただし、M&Aを成功させるには、M&A専門家への依頼が不可欠です。

弊社では、各業界に特化した専門家が担当します。市場の状況を理解しているため、的確なアドバイスを行うことが可能です。

内装工事業界におけるM&Aを検討中の人は、「M&Aベストパートナーズ」へご相談ください

著者

MABPマガジン編集部

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