ベンチャーキャピタルは、スタートアップ企業やベンチャー企業の成長をサポートする資金調達方法として、近年注目を集めています。
しかし、「言葉は知っていても具体的な内容や種類は知らない」という方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ベンチャーキャピタルの概要や仕組み、用いられる種類について詳しく解説します。
あわせて、ベンチャーキャピタルを活用するメリット、活用時の注意点も解説するので、新たな資金調達方法を模索している方はぜひ参考にしてください。
目次
ベンチャーキャピタルとは
ベンチャーキャピタル(Venture Capital)は、成長段階にあるスタートアップ企業やベンチャー企業へ向けて出資をする組織の総称です。
企業の成長を支え、成長によって創出された成果から利益を受け取ることを目的としています。
ベンチャーキャピタルの仕組み
ベンチャーキャピタルは、専門の投資ファンドを設立し、機関投資家や個人投資家、金融機関などから募った資金を投資することが一般的です。
また、大手のベンチャーキャピタルの場合は、自己資金で投資を行うケースもあります。
集めた資金を将来が有望な企業へ出資して株式を取得。その後、投資した企業が上場した際、または他企業へ買収された際に株式を売却します。
その後、株式の売却で得られた利益を出資者へ配分し、残りをベンチャーキャピタルが成功報酬として受け取ること行った流れが代表的な仕組みです。
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ベンチャーキャピタルの種類
ベンチャーキャピタルは大きく7つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
各種類とその特徴は以下のとおりです。
独立系ベンチャーキャピタル | 独自の資本で運営している。 特定企業に属していないため、しがらみや影響を受けにくい。 |
金融機関系ベンチャーキャピタル | 豊富な資金力により、多額の投資案件にも対応可能。 銀行以外にも証券会社や生保系のVCもある。 |
大学系ベンチャーキャピタル | 大学の技術や研究結果を活かした産業創出を目的としている。 |
政府系ベンチャーキャピタル | 国や自治体が主導となっているVC。 日本国内の産業活性化を目的としている。 |
事業会社系ベンチャーキャピタル | 事業会社を親会社としたVC。 投資だけでなく、自社ビジネスとのシナジー効果を目的としている。 |
地域系ベンチャーキャピタル | 特定地域の企業・事業へ投資を行うVC。 地域産業や資源を活用して地域の活性化を目指す。 |
海外系ベンチャーキャピタル | 海外企業を親会社としたVC。 国内系VCと比較して投資額が高額なケースが多い。 |
ベンチャーキャピタルから資金調達をするメリット
企業の成長を支えるベンチャーキャピタルから資金調達をするメリットを解説します。
資金調達がしやすい
ベンチャーキャピタルは、対象企業の成長性や収益力といった将来を見据えたうえで出資を行います。
そのため、創業して間がなく金融機関からの融資が受けにくい企業でも資金調達がしやすいです。
原則として返済義務が発生しない
ベンチャーキャピタルは、出資された資金の対価として株式を譲渡します。
そのため、一般的な借入とは異なり、出資された資金は原則として返済義務が発生しません。
返済に悩むことなく事業へ集中できることは、企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
企業の信用力向上
ベンチャーキャピタルが出資する際の主な判断基準は、対象企業の将来性です。
第三者から将来性を評価されることは、企業の信用力向上が期待できます。
企業の信用力が向上すれば、取引先からの信頼獲得にもつながり、企業のさらなる成長を後押ししてくれるでしょう。
また、ベンチャーキャピタルによる資金調達の実績を作ることができれば、その後に金融機関から融資を受けやすくなる可能性もあります。
経営支援を受けられる
ベンチャーキャピタルによっては、ただ出資をするだけでなく経営面のサポートも行います。
事業計画の策定や財務面の課題解決、マーケティング戦略などのサポートを受けることができれば、企業の成長スピードを加速させ、事業拡大を目指すことができます。
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ベンチャーキャピタルから資金調達をする際の注意点
多くのメリットがあるベンチャーキャピタルですが、活用する際は注意すべき点もあります。
持株比率が低下する
ベンチャーキャピタルから出資された資金の対価として、対象企業は自社株式を譲渡します。
その結果として持株比率が低下し、経営判断に影響を及ぼす可能性があるため、持株比率の変動には注意が必要です。
経営へ干渉される可能性がある
自社株式を譲渡するため、株式の比率によっては過度な経営への干渉、場合によってはベンチャーキャピタルの方針に従った経営判断を求められるリスクがあります。
早い段階での成果を求められる可能性がある
ベンチャーキャピタルの大きな特徴として、短期的なリターンを求める傾向があります。
早い段階で成果が出せなかった場合、株式買取請求と呼ばれる保有株式の買取を求められるケースがあります。
株式買取請求を行使された場合、多額の株式買取資金が必要になるため、財務負担が大きくなり企業の成長やその後の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達をするうえで、ベンチャーキャピタルの活用は有効な方法です。
しかし、短期的な成果を求められたり経営に干渉されるなどの注意点を理解しておかなければ、その後の経営に大きな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
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