M&Aにおける交渉のポイントや一連の流れを詳しく解説

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M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

事業承継や経営規模の拡大などを目的にM&Aを実施する企業が増えています。

M&Aにはさまざまなプロセスがありますが、特に慎重に進めなければならないのが相手先企業との交渉です。

本記事では、M&Aの交渉はどのような流れで進められるのか、交渉を円滑に進めるためのポイントや注意点などもあわせてご紹介します。

M&Aにおける交渉の内容

M&Aにおける交渉では、取引に関するさまざまな条件を買い手と売り手の双方が納得できる形で合意することが求められます。

どのような内容について合意が求められるのか、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

価格交渉

価格とは、会社を買収する際の取引価格を指します。

取引価格は会社の価値を正当に評価したうえで双方が納得する価格に設定する必要があり、企業の財務状況や将来の収益予測、資産価値などさまざまな情報が評価の基準となります。

支払条件

M&Aでは現金や株式交換などさまざまな方法で支払いが行われるほか、一括や分割など支払条件も多様です。

企業によっても希望する支払方法や支払条件は異なるため、買い手と売り手がそれぞれ要望を出し合い交渉を行います。

負債と資産の取り扱い

売り手企業の中には、資産のほかに多額の負債も抱えているケースが少なくありません。

M&Aの交渉にあたっては、これらをどのように取り扱うかが大きなテーマとなることがあります。

具体的には、買い手企業が資産とともに負債もまとめて引き継ぐケースもあれば、売り手企業が負債を清算してから買収の手続きに入るというパターンもあります。

また、事業譲渡の場合は資産の価値を評価したうえで、どの資産が買収対象に含まれるかも交渉のうえ決定します。

保証・補償

M&Aでは一連のプロセスを終え統合が完了した後に、さまざまなリスクが顕在化することがあります。

たとえば、簿外債務の発覚をはじめとした財務リスクや、取引先との間で結ばれた一方的に不利な条件による契約などの法務リスクが代表的です。

このような買収後のリスクに対し、売り手企業はどこまで保証するのか、補償の条件なども設定しておく必要があります。

運営に関する条件

M&Aによる統合後、どのような体制で経営を続けていくのか、会社運営に関する条件も取り決めておかなければなりません。

たとえば、売り手企業の現経営陣は残留もしくは退任するのか、従業員の処遇および雇用条件、経営方針や経営戦略の確認などが挙げられます。

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M&Aにおける交渉の一連の流れ

M&Aの交渉は実際にどのような流れで進められるのでしょうか。一連のプロセスを4つのフェーズに分けて解説します。

トップ面談

M&Aの交渉において欠かせないのが、買い手企業と売り手企業双方のトップ面談です。

買い手は売り手に対し買収の意思があることを伝え、買収の意図や目的などを丁寧に説明し信頼関係を構築します。

また、M&Aでは売り手から買い手に対してアプローチを行うこともあり、その場合においてもM&Aの意図や目的はしっかりと説明しなければなりません。

交渉をスムーズに進めるためにはお互いの信頼関係が構築されていることが前提であり、交渉の土台作りとしてトップ面談は有効な手段といえます。

基本条件の交渉

トップ面談を経て双方がM&Aに前向きな姿勢を確認できたら、基本条件の交渉に移ります。

基本条件とは、大まかな買収金額や支払方法といった買収の条件のことですが、従業員の継続雇用や待遇など特に譲れない条件があればそれもあわせて打診します。

これらの基本条件について双方が合意できれば、基本合意書(LOI:Letter of Intent)を作成します。

なお、基本合意書は法的拘束力を持つものではありませんが、契約を反故にされた場合に備え損害賠償請求をできるよう一部の条項に規定しておくケースも多いようです。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは、M&Aの取引において生じ得るさまざまなリスクを調査・分析するプロセスです。

一口にデューデリジェンスといっても調査内容は多岐にわたり、財務の健全性やキャッシュフローを分析する財務デューデリジェンスや、訴訟リスクやコンプライアンスの遵守状況を調査する法務デューデリジェンス、労務管理が適正に行われているかを調査する人事デューデリジェンスなどがあります。

デューデリジェンスは買い手企業が売り手企業に対して行うのが一般的ですが、企業同士の立場では実情を正確に把握することが難しく、専門的な知識やノウハウも求められることから、弁護士や税理士、コンサルタントといった専門家に依頼するケースが多いです。

最終条件交渉

デューデリジェンスの結果に問題がなければ、最終条件交渉に移行します。

このフェーズでは取引価格や支払条件、保証・補償内容に問題がないかをあらためて確認し、基本条件以外の細かい条件についても決めていきます。

なお、デューデリジェンスによってさまざまなリスクや問題点が判明した場合、取引価格など当初の基本条件が見直されるケースもあります。

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M&Aにおける交渉を成功させるためのポイント

M&Aの交渉を成功させるためには、綿密な準備と戦略的なアプローチが求められます。特に押さえておきたいのが以下の6つのポイントです。

相手企業の本音を引き出す

M&Aに対してネガティブな印象を抱いている経営者も少なくありません。

先方に対してM&Aの打診をした際に、難色を示されたり警戒されたりすることもあるでしょう。

しかし、先方がどのような点に不安を抱いているのかが分かれば、それに対する解決策や対応策を提示し円滑な交渉を進められる可能性もあります。

そのためにも、相手企業の率直な意見や考えを引き出すことが大切です。

十分な情報収集を行う

売り手企業の立場で考えると、自社のポジションや業界のことを熟知した相手に経営を任せたいと考えるのは当然のことです。

そこで、M&Aの交渉にあたっては相手先企業の決算情報や業界の動向、トレンドなども含めて十分な情報収集を行っておくことが大切です。

交渉戦略の策定

M&Aの交渉にあたっては、相手先企業の要望や意見を可能な限り受け入れる姿勢も大切ですが、自社にとってもさまざまな条件があるはずです。

そこで、交渉で譲歩できるポイントと譲れないポイントを事前に決めておき、交渉の方向性を明確にしておくことが重要です。

専門家の活用

価格交渉にあたっては、対象となる企業の財務状況を適切に分析し公平な企業価値を評価する必要があります。

また、条件面においても自社が一方的に不利な契約とならないよう、対等な立場で交渉を進めていくことも求められるでしょう。

そのためには法務や会計といった専門的な知識も求められるため、専門家を交えながら交渉を進めていくのが効果的です。

誠実な対応を心がける

M&Aの交渉において何よりも重要なのは、買い手と売り手双方が信頼関係を築くことです。

自社が求める条件ばかりを押し付けるのではなく、相手の立場や状況を理解しながら柔軟な対応を心がけることが大切です。

また、当然のことながら自社が抱えるリスクやM&Aに不利となる情報があったとしても、嘘をついたり情報を隠したりすることは厳禁です。

交渉プロセスの流れを理解して臨む

M&Aのプロセスは案件によって多少変わることもありますが、基本的にはトップ面談を経て基本条件の交渉を行い、その後デューデリジェンスと最終条件交渉という流れで進められます。

各フェーズではどのような交渉が進められるのか、一連の流れを理解しておくことで事前に用意すべき情報や必要な準備が見えてくるはずです。

M&Aの価格交渉について

M&Aの取引価格は、買い手と売り手双方の合意によって決定されますが、いくつかのプロセスを経て最終的な価格決定に至ります。

たとえば、M&Aのサポートや仲介を行う専門業者から案件が持ち込まれた場合、打診の段階では具体的な企業名は提示されておらず、「ノンネームシート」という匿名情報をもとに概算価格を算定します。

買い手企業がその案件に対し前向きな姿勢を示した場合には、「案件概要書」として売り手企業の詳細が開示され、あらためて企業価値を評価し価格を算定します。

その後、トップ面談を経て基本合意に至ればデューデリジェンスが実施され、各種リスクなども考慮したうえで価格を算定し、これをもとに正式契約のフェーズへ移行していきます。

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M&Aの交渉における買い手側の注意点とは?

M&Aの交渉にあたって、売り手企業だけでなく買い手企業にとっても注意すべき点は多くあります。

企業価値の正確な評価

買い手企業にとってのリスクとして考えられるのは、割高な価格によって買収に至ることです。

M&Aの交渉においては適正な買収価格を決定し、自社にとって妥当性のある投資であるかを慎重に判断することが求められます。

売り手企業の資産価値や負債の状況を正確に把握することはもちろんですが、将来期待される収益やキャッシュフローの予測や、同業他社と比較しながら価格を算定する方法もあります。

リスクの洗い出しと最小化する努力

財務や法務、人事、IT、環境などさまざまな分野で徹底的にデューデリジェンスを実施し、統合後のリスクを洗い出しておくことも重要です。

また、それらのリスクを最小化するための方法を専門家とも相談したり、あまりにもリスクが大きすぎると判断した場合には交渉から撤退することも検討しなければなりません。

企業文化の統合への配慮

企業文化の統合はM&Aの成功を左右する重要なプロセスです。

M&Aでは異なる文化をもった企業が統合することになるため、お互いの文化や価値観を受け入れ理解する姿勢が求められます。

たとえば、経営陣や従業員同士のコミュニケーションを強化することでお互いの文化を理解するきっかけにもなるでしょう。

法的拘束力のある契約内容の確認

M&Aの際に交わす契約書には法的拘束力をもつ条項が数多く含まれているため、弁護士などの専門家を交えながら契約書の内容を詳細に確認し、自社にとって一方的に不利な条件の条項がないかなどリスクを特定しておきましょう。

また、保証・補償条項もしっかりと確認し、買収後に発生する可能性のあるリスクにも備えておく必要があります。

まとめ

M&Aはトップ同士の面談や担当者レベルでの交渉などを経て成立しますが、一連の流れを円滑に進めるためには信頼関係の構築が不可欠です。

また、交渉を円滑に進めていくためには相手先企業の要望や意見を聞き入れる姿勢も大切ですが、自社にとって譲れない条件や優先すべき条件があればそれも明確に伝えることが求められます。

M&Aの交渉に不安がある、あるいは専門的な知識やノウハウがなく、どのように交渉を進めていけば良いか分からない場合には、M&Aのサポートを行っている専門業者に相談してみるのもおすすめです。

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