サイトM&Aは成功すれば、買い手と売り手の双方に利益をもたらします。
企業が事業を見直す際に、Webサイトの運営を行っている場合は、まず「サイトM&A」を検討しましょう。
Webサイトの運営には、専門的スキルを有した人員を確保する必要があり、人件費などのコストがかかります。
収益が見込めない場合は、まずはサイトの売却を検討しましょう。
その結果、今までかかっていたコストを削減できるため、企業の再構築を計画できるようになります。
目次
サイトM&Aとは
まずは、サイトM&Aとはどのようなことを指すのか解説します。
サイトM&Aの概要
サイトM&Aとは、企業が外部からWebサイトを買収する、もしくはウェブサイトを運営する事業主が別の企業に売却する行為を指します。これは2005年頃から始まり、Google社の「YouTube」買収などが有名な例です。
なお、サイトM&Aには、個人間の直接取引と仲介業者を介した、2種類の方法があります。
サイトM&Aの目的
サイトM&Aの主な目的として、以下の2つが挙げられます。
・大きな資金を獲得できる
・既に実績のあるWebサイトを獲得できる
企業や事業主が所有するウェブサイトを他の企業に売却することで、即座に資金を調達できます。
この資金は、新規事業の立ち上げや既存事業の拡大、借金の返済など、さまざまな用途に活用できるでしょう。
また、Webサイトを買収することで、既に実績のあるウェブサイトを手に入れ、1からコンテンツの構築やアクセス数を増やす手間と時間を省けます。買収先のWebサイトが持つユーザーベースや信頼性を利用すれば、市場進出や競争力の向上を迅速に達成することが可能です。
サイトM&Aは、資金効率の向上と市場での立ち位置の強化を目指す企業戦略の一環として、幅広い業種で活発に行われています。
サイトM&Aの譲渡対象
サイトM&Aにおいて、譲渡対象となるのは主に個人や企業が運営するWebサイトです。
この取引において、具体的な対象は以下の要素が含まれます。
・ドメイン名
・コンテンツ
・デザイン
・Webサイトに関する契約や権利義務
まず、Webサイトのドメイン名が挙げられます。これはサイトの識別子であり、ブランド価値やオンラインプレゼンス（ネット上の存在価値）の向上の一環として重要な要素といえるでしょう。
次に、Webサイトのコンテンツが対象となります。具体的には、記事、画像、動画など、サイトが提供する情報やメディアが含まれるでしょう。
また、Webサイトのデザインも取引において引き継がれる要素であり、UX（ユーザーエクスペリエンス）やブランドイメージに関わる重要な要素といえます。
さらに、Webサイトに関連する契約や権利義務も取引の対象です。これは広告契約、コンテンツ提供契約、ライセンスなどが含まれ、事業の円滑な継続に関わる重要な要素といえるでしょう。
サイトM&Aは、さまざまな要素を包括的に取り扱うため、譲渡に関わる全ての権利と責任を明確に定義することが重要です。
サイトM&Aにおける買い手・売り手のメリット
次に、サイトM&Aを行うことで得られるメリットについて、買い手と売り手のそれぞれの視点でわかりやすく解説します。
【買い手】サイトM&Aのメリット
1からWebサイトを立ち上げると、顧客やファンを獲得するまでに多大な労力や時間を要します。
しかし、サイトM&Aを通じて、安定した知名度や収益性のあるWebサイトを買収することで、手間や時間をかけずにインターネットを活用した事業規模拡大が図れます。
また、市場での存在感をすぐに確立できるため、効率的なビジネス展開が期待できるでしょう。
1からWebサイトを構築する場合、顧客を獲得できる保証はなく、失敗に終わってしまうリスクが存在します。しかし、サイトM&Aを利用して既存のサイトを買収すれば、そのサイトが有する顧客層や信頼度を引き継げるため、リスクを回避できると同時に、事業の安定性の向上が期待できるでしょう。
そのため、サイトM&Aは事業運営に伴うリスクを避けつつ、成熟した事業を迅速に取り込む手段として有益な手法といえます。
【売り手】サイトM&Aのメリット
一定の顧客を獲得しているWebサイトやコンテンツは高い資産価値が認められるため、サイトM&Aによって高額で売却できる可能性が高いです。
オンラインでの影響力を持つサイトを売却できれば、企業や事業者はその価値を現金として手に入れられるでしょう。
サイトM&Aで得た現金は新規事業の始動や既存の中核事業に注力する資金源として活用できます。その結果、事業の拡大や改善、競争力の向上が実現できるため、経営の柔軟性が向上するでしょう。
また、複数のサイトを所有している場合、不要なサイトを売却することで、十分な売上を確保できる事業を残すといった、効率的な経営が可能となるでしょう。
そのため、サイトM&Aは戦略的な資産運用や事業ポートフォリオの最適化において、有益な手段といえます。
サイトM&Aにおける買い手・売り手のデメリット
ここでは、サイトM&Aのデメリットについて、買い手と売り手のそれぞれの立場から解説します。
【買い手】サイトM&Aのデメリット
買収したWebサイトは、変更を加えることが難しいケースがあります。
これは、既存のファンやユーザー層の期待に応えるために、ある程度のコンティニュィティ（継続性）を保つ必要があり、新しい方針やデザインの導入が制約されるケースがあるためです。
さらに、サイトM&Aに関する十分な知識がない場合、詐欺などのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そのため、契約内容や買収先の実態を正確に把握できなければ、期待した成果を得るどころか、経済的な損失を被る可能性があるでしょう。慎重かつ専門的なアプローチが必要とされるため、サイトM&Aに取り組む際には、慎重な調査や専門家の助言が必要です。
【売り手】サイトM&Aのデメリット
売却により、これまで得ていたWebサイトからの収益が失われます。
新しい所有者が運営を引き継ぐと、サイトの収益構造や広告収益の分配などが変更されるため、収益の継続が保証されません。
さらに、契約内容によっては、特定の期間内に同様の事業に従事することを禁じるノンコンペティション条項が含まれていることがあります。
競合するサイトを運営することが制約されれば、ノウハウを確保している既存事業が行えず、1から事業を始める必要があるでしょう。そうなれば、安定した収益を獲得するまでに時間がかかってしまう可能性があります。
そのため、売却を検討する際には契約条件の隅々まで確認するようにしましょう。
サイトM&Aの相場
サイトM&Aの相場は、売り手と買い手の双方の交渉によって決定されるため、一般的な価格帯を示すのは困難ですが、一般的には数十万円から数千万円ほどです。
ただし、これはあくまでも参考情報であり、具体的な売却額はサイトの種類や月間の利益などで変動します。
一般的には、サイトの月間利益に基づいて価格が設定され、その利益の20～30ヶ月分が相場の目安といえるでしょう。つまり、高い利益を上げているサイトほど、相場も高くなります。
さらに、ECサイトやコンテンツサイト、アプリなど、サイトの種類によっても相場が変動するでしょう。また、業界の競争状況や将来の成長見通し、ブランドの知名度なども価格に影響を与えます。
サイトM&Aの大まかな流れ
サイトM&Aの流れについて、仲介サイトを活用する方法がありますが、これは必須ではなく、売り手と買い手が直接交渉することもあります。
以下では、「直接交渉する」場合の流れについて見ていきましょう。
- 交渉
売り手と買い手との交渉が最初のステップです。価格や譲渡条件、契約内容などについて話し合い、双方が納得する形で合意に至ります。 - 契約
双方で合意した後は、売却契約書を作成します。この契約書には売却条件や取引の細かい内容が明記され、両者が署名捺印して正式な契約が成立します。 - 譲渡手続き
買い手から入金が完了したら、実際の譲渡手続きが行われます。これには、ドメイン名の移管やサイトのアクセス権限の移行などが含まれます。仲介者が関与している場合、手続きを円滑に進めるサポートが期待できます。 - 検収
買い手は引き渡されたサイトを検収します。これは、合意した条件が満たされているかを確認するプロセスであり、問題なければM&Aは完了です。検収が成功すれば、買い手は正式にサイトの新しい所有者となります。
サイトM&Aを進めるときの注意点
最後に、サイトM&Aを進めるときの3つの注意点について解説します。
ドメインやサーバーの移管手続きを行う
サイトM&Aを進める際に、特に注意が必要な点はドメインやサーバーの移管手続きです。
誤った手続きが行うと、サイトが停止するなどの深刻な問題が発生する可能性があります。
そのため、確実かつ慎重な移管プロセスを確立し、適切な専門家やサービスを利用して手続きを進めることが重要です。
コンテンツの著作権を確認する
サイトM&Aに伴い、コンテンツの著作権が移転する場合があります。
この際、法的な手続きを適切に行いましょう。著作権の所有者や権利範囲を確認し、適切な契約や許諾を取得することで、M&Aプロセスが円滑に進行し、潜在的な法的リスクを回避できるでしょう。
運営方法の引き継ぎを行う
サイトM&Aにおいて、スムーズな運営を実現するには、売り手側からノウハウを効果的に引き継ぐことが必要です。
双方が運営方法について明確な理解を持つために、事前に運営方法の引き継ぎに関する取り決めを行う必要があります。この作業を行うことで、新しい所有者が円滑にサイトを運営でき、ビジネスの継続性が確保されるでしょう。
まとめ
サイトM&Aは手軽に実施可能なうえに、成立できれば買い手と売り手の双方に利益がもたらされます。
サイトの売り手はまとまった資金を調達可能です。一方で、買い手は既に収益性の高い成熟したサイトを買収することで、手間やコストを大幅に削減できます。
しかし、サイト売買は通常のM&Aとは異なる側面が多いため、実際に取り組む際には専門家のアドバイスを受けることが重要です。
「サイトM&Aの進め方がわからない」「トラブルを避けてサイトM&Aを適切に進めたい」といった悩みを抱える人は、M&Aベストパートナーズへお気軽に相談してみてください。
