2023年10月18日

化学業界におけるM&A動向や実施するメリットとは?

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化学業界におけるM&A動向や実施するメリットとは?

近年、化学業界ではM&Aを実施する企業が増えています。

今後、化学業界に参入しようとしている人のなかには、化学業界におけるM&Aの動向について気になる人もいるでしょう。

また、M&Aによりどのようなメリットが得られるのか知りたい人もいるかもしれません。

この記事では、化学業界の概要やM&Aの動向、実施するメリットについて解説します。

M&Aの事例も解説するため、化学業界におけるM&Aについて詳しく知りたい人は参考にしてください。

化学業界の概要について

化学業界の概要について

ここでは、化学業界の概要について解説していきます。

 

化学業界とは

化学業界とは、石油や天然ガスなどの原料に化学変化を起こし、新たな製品を製造する事業を展開する企業もしくは組織の総称のことです。

化学業界が生み出す製品は多岐にわたり、一例として合成樹脂医薬品農薬化粧品などが挙げられます。

日本の化学業界は、1950年代に政府が推進した「石油化学工業の育成対策」により、飛躍的な発展を遂げました。この取り組みにより、日本は技術革新と産業の拡大に成功し、現在では世界でもトップレベルの化学産業国としての地位を築いています

また化学業界は、ほかの産業との関わりが多いのも大きな特徴です。

化学業界が提供する製品は、自動車業界や電子業界など、多くの分野で材料として使用されています。化学業界は日本経済の基盤ともいえるでしょう。

 

化学業界の現状

近年、化学業界では環境問題への意識が高まっています。

持続可能な社会を目指す動きのなかで、企業の環境への取り組みが重要視されるようになりました。

また、原料の価格高騰が続き、従来のビジネスモデルでの収益確保が難しくなっており、構造改革が求められています

化学業界で生き残るにはこうした課題を解決する必要があるでしょう。

化学業界におけるM&A動向

化学業界におけるM&A動向

環境問題への意識の高まりや、原料の価格高騰などの課題をかかえている化学業界では、M&Aを実施する企業が増えています。

ここでは、化学業界におけるM&Aの動向について解説します。

 

競争力強化のためのM&Aが増加

近年、化学業界では競争力を強化するためのM&Aが増えています。

化学業界の国内市場は既に飽和状態にあり、新たな市場を見つけるのが難しくなっているのが現状です。

こうした背景を受け、同業者同士とのM&Aや、上流・下流に位置する企業とのM&Aなどが増加しています。

特に中小企業では、大手企業同士の業界再編の動きにより、短期間で大きく転換することが求められ、M&Aを実施する企業が増えています。

 

人材不足・技術継承のためのM&Aが増加

化学業界では、人材不足の解消や技術継承などの目的でM&Aを実施する企業も増加傾向にあります。

化学業界では、後継者不足や人材不足という課題が深刻化しています。これらの課題をかかえている企業のなかには、解決できずに廃業を選択した企業もあるでしょう。廃業した場合、その企業独自の技術やノウハウが継承できません。

特に中小企業の間で、小規模なM&Aが行われるケースが多く見られるようになりました。化学工場に限らず多くの中小企業では、後継者不足や人材不足が深刻な課題です。

そのため、ほかの企業とのM&Aを通して、人材不足や後継者不足の解消、技術継承を図る動きが活発化しています。

また、中小企業におけるM&Aでは、人材不足や後継者不足などの解消だけでなく、「事業を立て直す」という意味でも大きな役割を果たしているでしょう。

 

IT技術を取り入れるためのM&Aが増加

近年では、IT技術を取り入れるためのM&Aも増加傾向にあります。

IT技術の急速な進展は、化学業界にも新しい風を吹き込んでいます。デジタル技術の発展に伴い、化学業界も変革の波に乗る必要がでてきました。

化学企業におけるIT技術では、データ解析やAI技術を駆使した新しい製品開発、生産効率の向上を目指すのが一般的です。そのため、IT技術を持つ企業を取り込むことで、他社との競争力を一段と高めることができます。

IT技術の必要性が高まる現代において、IT技術を持つ企業とのM&Aは今後も増え続けると予測されるでしょう。

 

海外進出を目的としたM&Aが増加

昨今の化学業界では、急速なグローバル化に伴い、海外進出を目的としたM&Aが増加傾向にあります。

海外の多様な需要に応えるためには、技術の進歩や新しい拠点の確立などは欠かせない要素です。M&Aを活用することで、企業はこれらの要素を効率的に手に入れることが可能となり、海外市場での地位を強化することに期待できます。

また、国内市場は既に飽和状態になっている化学業界において、海外進出を目的としたM&Aの動きは、今後も増加していくと予測されるでしょう。

化学業界におけるM&Aで得られるメリット

化学業界におけるM&Aで得られるメリット

化学業界では、課題解消のためや海外進出のためなどのさまざまな目的のM&Aが活発化していますが、M&Aを実施することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは化学業界におけるM&Aにより買い手側・売り手側が得られるメリットについて解説します。

 

買い手側がM&Aをするメリット

M&Aを進めるうえで、買い手側企業には多くのメリットが存在します。

具体的には以下のようなメリットが挙げられるでしょう。

・独自の技術や高い技術を獲得し、事業の拡大ができる
・海外進出における足がかりを確保できる
・新規事業として参入するための人材・技術確保のコストを削減できる
・業務を仕分けして受注していた場合は、一貫して請け負えるようになる

M&Aにより、高度な技術や独自性が高い技術を持つ企業を買収することで、自社の技術力の大幅な向上が実現します。これにより、事業の拡大や新たな市場への参入をスムーズに進められるでしょう。

また、海外市場への進出を考えている企業が、既にその地域に拠点を持つ企業を買収し、海外進出への足がかりを確保することも可能です。市場調査や新規顧客獲得のための時間とコストを大幅に削減できるでしょう。

新規事業への参入を考えている場合は、M&Aを通して人材・技術を確保することで、初期投資やリスクを低減できるのもメリットの一つです。

また、業務を外部に依頼していた場合、M&Aによりその企業を買収することで、一貫して業務を請け負えるようになり、業務効率の向上に期待できます。これらのメリットを考慮すると、化学業界におけるM&Aは、事業拡大や競争力強化のための重要な戦略として位置づけられることがわかるでしょう。

 

売り手側がM&Aをするメリット

M&Aは、売り手側にとっても、企業の将来性を切り開く大きなチャンスとなり得ます。

具体的には、以下のようなメリットが挙げられるでしょう。

・後継者不足を解消し、従業員の雇用を守れる
・企業を存続できる
・譲渡した資金を活用し、新規事業を開始できる

売り手側がM&Aにより得られるメリットの一つが、後継者不足の解消です。帝国データバンクが調査した「全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)」によると化学業界の企業の内、約43%の企業が後継者不足という課題をかかえていました。

(参照元:帝国データバンク│全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)

M&Aにより第三者へ事業承継することで企業を存続でき、従業員の雇用を守れることは、売り手側にとって大きなメリットといえるでしょう。

また、現経営者はM&Aによって後継者不足を解消すれば、経営から退くことも可能です。経営者は、M&Aにより自社を売却した場合、経営者利益を獲得することができます。

経営者利益は、引退後の生活費にあてたり、元手に新規事業を開始したりなど、さまざまな使い方ができるでしょう。

このように、M&Aは売り手側にとって、企業の存続や新たな可能性を追求するための鍵となり得るのです。

化学業界におけるM&Aの事例

近年、化学業界におけるM&Aは、さまざまなメリットあるため活発化しています。

具体的にはどのような事例があるのでしょうか。

ここでは、化学業界におけるM&Aの事例を紹介します。

 

同業種同士のM&A事例

A社とB社のM&Aは、双方の強みを活かし、新たな市場展開と価値創出を実現しました。

売り手側のA社はレアメタルの精密加工部品製造に長けており、特に医療分野を中心に納品している会社です。一方、買い手側のB社は化学品製造とオープンイノベーションのコンサルティング業を手がけ、VC機能も持つ多角的な企業です。

A社の新規顧客開拓や素材活用の展望は、B社との連携により実現されます。B社は、休眠特許を活用して事業化を進めるなか、A社の技術を幅広く取り入れ、事業の拡大を図りました。

M&Aの結果、A社の技術とB社の市場展開力が結びつき、新製品が迅速に市場に導入されています。技術者と営業チームが連携して顧客のニーズに合わせた製品開発が進められ、新市場も開拓されました。

 

異業種とのM&A事例

化学業界における異業種間のM&Aでは、大手C社・D社がE社との資本業務提携が大きな注目を集めました。

買い手側C社は、基礎化学品やさまざまな分野にわたる機能性化学品を製造する大手企業です。もう一つの買い手側であるD社は、基礎化学品やさまざまな分野の機能性化学品、医療機器、医療品などを製造する大手グループの持株会社です。

一方、売り手側のE社は、iPS細胞由来心筋細胞の販売や培地成分データベースの提供、独自の培地スクリーニング技術を利用した培地受託開発などの事業を展開しています。

C社は、M&Aにより医療分野において市場の成長が見込める細胞加工製品の品質向上、培養コスト削減が目的です。D社は、細胞培養周辺材料の課題解決力の強化や、品質と供給の安定化を目的としていました。

一方のE社は、細胞培養関連の製品もしくはサービスの開発促進が目的です。その後、C社・D社は、E社とのM&Aを実施し、資本業務提携を締結しました。

まとめ

まとめ

化学業界は、石油や天然ガスなどの原料に化学変化を起こし、新たな製品を生み出す企業もしくは組織の総称のことです。

化学業界におけるM&Aは増加傾向にあり、課題を解決するためやIT技術の導入するため、海外市場に参入するためなどさまざまな目的で行われています。

化学業界におけるM&Aには、買い手側・売り手側それぞれに多くのメリットもたらしますが、必ずしも成功するとは限りません。成功させるには、M&Aの専門家への依頼が不可欠でしょう。

「M&Aベストパートナーズ」では、さまざまな分野においてのM&Aの成功事例を持っています。

化学業界におけるM&Aを検討している人は、M&Aベストパートナーズにご相談ください。

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