
近年、さまざまな業種で倒産や廃業が増加しています。
不動産業界も例外ではなく、倒産を回避するために原因を把握し、解決策を考える必要があります。
この記事では、不動産業界で倒産が増えている原因と解決策を解説します。
経営悪化に悩んでいる不動業界関係者の方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
不動産業界における倒産の実態
東京商工リサーチの「全国企業倒産状況」によると、2024年1月〜12月までの不動産業全体の倒産件数は280件でした。
2023年は288件倒産しており、2年ぶりに件数が減少しました。
一方で、帝国データバンクの調査では、不動産仲介業の倒産件数が増加傾向にあり、2023年には120件倒産しています。
前年と比較して7割増となり、不動産業界のなかでも仲介業は厳しい状況下に置かれていることが考えられます。
仲介業の倒産件数が増加した背景には、新型コロナウイルスの流行を境に賃貸契約の件数が減ったことが挙げられます。
首都圏で見たとき、3万件前後で推移していた契約件数が、新型コロナウイルス以降は2万3,000件まで落ち込みました。
そのため、オンライン内見など最新技術を取り入れた大手仲介会社の需要が伸び、中小の不動産仲介会社が淘汰されたと考えられます。
不動産業界で倒産が相次ぐ原因
不動産業界のなかでも仲介業者の倒産が相次ぐ原因として、主に次の3つが考えられます。
- 景気の悪化
- 市場競争の激化
- 後継者問題・人手不足
それぞれの原因について、詳しく解説します。
景気の悪化
人々の暮らしと密接に関わる住まいや施設を扱う不動産業界は、景気の影響を受けやすいです。
近年では、食材や燃料費の高騰など、さまざまな要素が消費者や企業の購買意欲に悪影響を与えています。
購買意欲の低下は、身近な商品の購入を妨げるだけでなく、住宅の購入や引越し費用削減にもつながります。
このような理由から、一般住宅だけでなくオフィスの移転も減少し、不動産業のなかでも仲介業者の倒産が増えたと考えられます。
市場競争の激化
不動産業界における市場競争の激化も、倒産が増えている理由の一つです。
「国土交通白書 2024」によると、2022年度末の宅地建物取引業者数は、129,604件でした。
店舗とパソコン、インターネット環境など、開業に必要な設備投資が少なくて済むことが件数が多い理由として挙げられます。
一方で、少子高齢化の影響で今後は人口・世帯数ともに減少することが考えられるため、不動産需要の大幅な増加は期待できません。
減少する人口と世帯数に対して不動産業者の数が増えることは、競争の激化につながります。競争力に乏しい不動産会社は経営が悪化し、倒産に追い込まれるリスクが高くなるでしょう。
後継者問題と人手不足
後継者問題や人手不足を解決できず、事業の継続が困難になるケースも少なくありません。
少子高齢化による労働人口の減少は、不動産業界の人材確保を困難にしていると考えられます。さらに、経営者や役員も高齢化になっている場合、後継者問題が浮き彫りになるでしょう。
後継者や従業員が確保できない場合、事業の継続が難しくなり、廃業を検討する企業が増えるでしょう。

不動産業界が倒産を防ぐための解決策
不動産業界はさまざまな課題を抱え、解決できなかった場合は倒産のリスクが高まります。
不動産会社が倒産を回避するための解決策について解説します。事業の継続に悩みを抱えている経営者の方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
Webマーケティングの強化
Webマーケティングを強化することで、顧客の囲い込みがしやすくなります。
古くからあるアナログな広告手段はコストかかるだけでなく、アプローチできる範囲も限定的です。また、新聞の購読者の減少により、折込チラシで得られる効果も弱くなっています。
一方で、WebやSNSを活用した広告展開をした場合、ニーズを持つ顧客候補へ直接アプローチをすることが可能です。
また、動画によるオンライン内見を導入することで、ユーザーは自分の予定に合わせて内見することができます。
Webの活用は少ないコストで多くの見込み客へアプローチできるだけでなく、少ない人員でもユーザーニーズに対応することが可能になります。
M&Aの実施
不動産会社が抱えるさまざまな課題を解決する方法として、M&Aも有効です。
M&Aには複数の方法がありますが、自社の状況に適した方法が選択できれば、課題解決に繋げることができるでしょう。
例えば、後継者問題によって廃業を考えている場合、事業の譲渡を行うことで存続することができます。
新たな地域への参入を検討している場合は、狙っている地域の企業と統合することで、短期間で市場の拡大が
ただし、相手企業によって得られるメリットが異なるため、相手企業の選定も重要です。
関連記事:M&Aとは?M&Aの概要やメリット・デメリットなどを詳しく解説
不動産業界が倒産回避のためにM&Aをするメリット
競争が激化する不動産業界にとって、M&Aは多くのメリットを与えてくれます。
M&Aを実施することで不動産業界が得られるメリットをご紹介します。
後継者を見つけやすい
後継者を親族や従業員から探す場合、経営の知識が足りなかったり、事業の引き継ぎを拒否されたりするなどの理由で後継者が決まらないケースは少なくありません。
M&Aによって後継者が見つかれば、統合する際に自社の経営権を委ねることも可能です。優れた後継者に経営を引き継ぐことができれば、事業の発展も期待できます。
M&Aは、後継者問題の解決にとても有効な方法といえるでしょう。
人材を確保できる
M&Aは、人手不足問題も解消することができます。
人材の豊富な企業と統合すれば、人材の確保がしやすくなります。また、不動産業の知識や経験のある従業員の獲得ができれば、人材育成にかける時間とコストの削減にもつながるでしょう。
商圏・事業の拡大を図れる
M&Aによって相手企業の商圏や事業の獲得に成功すれば、事業の拡大につながります。
異なる地域に事業展開している企業を取り込むことができれば、スムーズな市場拡大が期待できます。
また、異業種とのM&Aによって技術や設備を取り込めば、コストを抑えながら新規事業に参入することも可能です。
このように、M&Aは相手企業の選び方次第でさまざまな目的を達成できます。
経営基盤の強化ができる
M&Aによって経営資源を増やし、経営基盤の強化を図ることが可能です。
例えば、資金力のある大手企業の傘下に入ることで、資金調達がしやすくなります。また、場合によっては税制優遇を受けられるケースもあります。
経営者の利益獲得・負担軽減につながる
M&Aは、経営者自身にもメリットをもたらします。
例えば、一般的なM&Aの手法である株式譲渡の場合、株式を買い手に売却することで自社の経営権を承継します。
株式の評価額よりも高く譲渡ができた場合、利益を得ることが可能です。
また、企業が融資を受けるとき、経営者が個人保証の対象となるケースは少なくありません。M&Aによって事業を承継する場合、取引次第では経営者の個人保証を解除することもできます。
まとめ
不動産業界では、解決すべき課題が多く存在し、倒産件数も増加しています。
倒産の原因は景気の悪化だけでなく、新規参入の増加による市場競争の激化、後継者問題・人手不足などさまざまです。
不動産会社が倒産を回避する方法として、M&Aという方法があります。
不動産会社がM&Aを実施した場合、人手不足の解消や事業の継続など、さまざまなメリットが得られます。
しかし、M&Aにはさまざまな手法があり、状況や目的に合った選択が必要です。また、M&Aを成功させるためには相手企業の選定や交渉、契約手続きなど専門的な知識と経験が必要です。
私たちM&Aベストパートナーズは、これまで不動産業界のM&Aを数多くサポートしてきた実績がございます。
M&Aによって事業の継続や市場拡大を検討している経営者の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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