2023年7月27日

介護業界のM&Aの現状や動向は?M&Aを行うメリットも解説!

MABPマガジン編集部

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介護業界のM&Aの現状

介護業界では、日本の高齢化による需要の高まりと介護人材の不足を背景に、M&Aを行う事業者が増加しています。

しかし、M&Aをいざ実行に移すとなると不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、介護業界の現状と課題を踏まえて介護業界のM&Aの動向を解説します。

また、買収側と売却側それぞれがM&Aを行うメリットについてもまとめています。

M&Aによって今後の展望を具体的に知ることによって、事業にとってのよりよい選択肢が見えてくるでしょう。

介護業界の概要

介護業界の概要

介護業界とは、日常生活の支援が必要な人々のサポートをサービスとして提供する仕事全般を含む業界を指します。

サポートの対象となるのは主に高齢者と障がい者で、食事や入浴を解除する身体介護、掃除や買い物などを代わりに行う生活援助が主な仕事です。

介護サービスは、主に訪問介護サービス・施設介護サービスの2種類に大別できます。

施設介護サービスの中には特別養護老人ホーム、老人保健施設などの居住タイプだけでなく、通所タイプのデイサービスなども含まれます。

こうした施設や訪問介護を提供する事業の運営をメインに、その他福祉関連サービスで構成されているのが介護業界です。

介護業界の現状と課題

介護業界の現状と課題

高齢者を主な顧客とする介護業界は、日本の高齢化の進行に比例して需要が高まる成長産業といわれています。

しかし、さまざまな課題を抱えているのが現状です。

介護業界が抱える課題と現状について、介護市場の拡大現場での人材不足の2つの観点から説明していきます。

 

介護業界の市場拡大

総務省統計局の調査によると、2022年9月時点の推計で、日本の65歳以上の高齢者数は過去最高の3,627万人となりました。高齢者の割合が総人口に占める割合は29.1%と過去最高の値を記録し、世界的にも最も高い水準です。

今後、第2次ベビーブーム(1971年~1974年)に生まれた世代が高齢者となる2040年には、35.3%を超えると見込まれています。

また、厚生労働省の介護保険制度に関する調査結果では、今後日本の総人口が減少していく中、高齢者の占める割合は増加していくと予想されています。

さらに、高齢者層の増加に伴って増加が予想されるのが、介護サービス量です。

在宅介護においては、2040年には2020年時点の実績値から32%の増加が見込まれています。

居住系サービスは39%、介護施設は30%の増加が予測されており、介護サービスの需要に応じてますます市場が拡大していくでしょう。

 

介護人材の不足

介護を必要とする高齢者の人口は増加していく一方、実際の介護の担い手である生産年齢人口(15~64歳)は減少し続けているのが現状です。

日本の生産年齢人口は、1995年以降毎年減少しており、2050年には5,275万人と2021年時点より約29%の減少が見込まれています。

また、厚労省の発表によれば、2025年時点で介護人材の需要と供給のギャップは約37.7万人になると推計され、介護人材確保に向けた取り組みが急がれています。

人材不足の原因の一つとして、人と直接触れ合う仕事ゆえの体力面・精神面共にハードな職務内容である点が挙げられるでしょう。

また、施設勤務の場合には長時間の夜勤が必要なことやシフト勤務で変則的な生活になりやすいこと、休日を取得しづらいことも離職率の高さの要因として考えられます。

既存事業の中には人手不足を理由に事業継続を断念する事業所も増加傾向にあり、東京商工リサーチの調査によれば、2022年の老人福祉・介護事業の休廃業・解散・倒産の総計は過去最多の600件台を超えました。

政府は人材不足解消のために、高齢の就労希望者や外国人労働者の業界への受け入れ、ICTやロボットなどテクノロジーの活用によるサービスの効率化による対策も打ち出しています。

関連サイト:しんぶろぐ〜介護ノート〜

介護業界のM&Aの動向

介護業界のM&Aの動向

介護業界では、業界内の競争激化人材不足に伴いM&Aの実施数も増加傾向にあります。

M&Aの成功には、業界のM&A動向を正しく把握しておくことが大切です。

ここでは、介護業界とM&Aの関連に着目し、M&Aが増えている理由介護のM&Aに特徴的な傾向について解説します。

 

介護人材の不足解消

人材不足の解消を目的としたM&Aが多いのは、介護業界に特徴的な傾向です。

人材の豊富さや従業員のスキルの高さが企業価値につながりやすい介護業界において、人材不足は企業にとって大きな問題となります。

同業種が事業拡大を目的としてM&Aを行う際に、買取側はすでにスキルのある従業員をそのまま雇い入れることができ、人材不足を効率的に解消可能です。

また、事業の規模や種類が拡大することで、従業員の働き方にも幅が広がり、スキル向上やキャリアアップにつながるというメリットもあります。

M&Aによって、専門性の高い介護人材の継続的育成を後押しできるともいえるでしょう。

 

異業種からの新規参入

介護業界では、同業種による事業拡大を目的としたM&Aだけではなく、異業種による新規参入も盛んに行われています。

需要拡大が確実な成長産業とはいえ、新たに事業を始めるにあたってのリスクを下げるために、既存介護事業のM&Aを選択する大手企業は少なくありません。

異業種の中でも、建設業界や警備会社、保険会社、医療機関などの介護業界との結びつきの強い業界によるM&Aが特に目立っています。

また、介護報酬の低下に伴い、継承した事業を再び売却するケースも増加しているようです。

 

事業継承

介護業界では、事業継承を目的としたM&Aも行われています。

2000年の介護保険制度創設から20年以上が経った現在、当時事業を始めた経営者の多くが高齢化し、事業承継を考え始めるタイミングを迎えています。

しかし、少子化の影響で後継者が不足しているため、従業員継承や親族内継承が難しい事業者がいるのが現状です。

さらに、国による介護事業の大規模化・資源集約化を推進する力が加わっていることもあり、M&Aをすすめる介護関連企業は今後も増加すると見込まれるでしょう。

買収側:介護業界のM&Aメリット

介護業界買収することによるメリットは、主に以下の2点です。

  • 有資格者やスキルを持ったスタッフを確保できる
  • 事業参入の負担を軽減できる

介護業界のM&A需要は高まっており、買収を検討する企業は増えています。早いうちにM&Aを実施するためにも、メリットを理解しておくとよいでしょう。

ここでは、買収側のメリットについて詳しく解説します。

 

有資格者やスキルを持ったスタッフの確保

介護業界は常に人手不足状態です。

厚生労働省の調査によれば、2020年5月の一般職業の有効求人倍率が1.02倍に対し、介護サービス職種では4.15倍となっています。

有効求人倍数とは、1人あたりの求職者に対して求人が何件あるかを表す指標です。倍率が高ければ高いほど、就職しやすいことが分かります。

人手を求める事業所が多い中、有資格者の確保は難しいといえます。そのため、M&Aを実施することで、求人を出さずに有資格者・スキルを持った人材を事業と共に引き継ぐことが可能です。

また、訪問介護に必要な介護福祉士に加え、認知症介助士・認定介護福祉士などの専門的な有資格者が在籍していることをアピールポイントにできれば、施設利用者の増加にもつながるでしょう。

人材育成に費用や時間を掛けずにスタッフを確保できるのは、買収側にとって大きなメリットといえます。

 

事業参入の負担軽減

異業種から介護事業に参入するにあたり、施設そのものやサービス拠点を一から用意しようとすれば、多大な初期費用と労力が必要です。

M&Aによって既存設備をそのまま引き継げれば、本来必要となる資金を節約し準備期間を短縮できます。

また、同業種であっても、新規エリアへの参入のために土地や建物をまとめて取得できるのは、大きなコストダウンにつながります。

ただし、一括買収となればその分費用が必要となるため、その後の事業運営の中で回収できるかが重要です。

そのため、現状の資産価値の把握だけでなく、買収後実際に事業を展開していく中で得られる利益を予想し、計画的にM&Aをすすめる必要があります。

 

売却側:介護業界のM&Aメリット

売却側:介護業界のM&Aメリット

介護業界におけるM&Aは、買収側だけではなく売却側にとってもメリットがあります。

主なメリットは以下のとおりです。

  • 事業承継問題を解消できる
  • 現職員の雇用先を確保できる

事業所だけではなく、サービスを受けている利用者や、働いている従業員にとってもメリットになるのが、介護業界におけるM&Aの特徴です。

ここでは、M&A事業を譲渡する売却側にとってのメリットを詳しく解説します。

 

事業承継問題の解消

後継者不足や経営状況の悪化による廃業を避けられるのは、M&Aの大きなメリットといえるでしょう。

3年ごとの介護報酬の改定の影響を避けられない介護業界では、そのタイミングで経営が悪化しやすい特徴があります。

大手企業に譲渡することで、変動に耐えられる安定した経営が可能になれば、利用者に対して安定したサービス提供と質の向上を目指せるでしょう。

なお、M&Aが既存の利用者に及ぼす影響については十分な配慮が求められます。サービス内容に変更が出るのであれば説明をしっかりと行い、M&A以前に比べて不満の出ないよう気を付けましょう。

 

現職員の雇用先確保

事業の経営状況が不安定では、従業員の雇用確保も難しいです。経営悪化によって廃業してしまえば、全従業員が雇用を失うことになります。

M&Aによって安定した事業経営を維持できれば、従業員を継続雇用できるだけでなく、従業員の待遇改善も期待できるでしょう。

また、大規模な事業所とのM&Aを実施することで、人手に余裕が生まれ、従業員の働き方が柔軟になる可能性もあります。

ほかの事業所のノウハウを吸収し、さらなるスキル向上を目指せるのであれば、従業員と事業所双方にとって大きなメリットとなるでしょう。

まとめ

日本社会の高齢化に伴って需要が高まり続けている介護業界では、M&Aも増加傾向にあります。

介護業界のM&Aは、人手不足に苦しむ既存企業と新規参入を望む企業双方にとってメリットがあるのが特徴です。

ただし、どちらの立場であっても自社でM&Aの全工程を行うのは困難なため、M&A仲介業者のサポートを受けることをおすすめします。

M&Aベストパートナーズは、M&A・事業承継のエキスパートが在籍しているのが強みです。

「介護業界でのM&Aの方法が分からない」「仲介業者選びが難航している」とお悩みの人は、ぜひ一度M&Aパートナーにご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

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