ホテルの4つの運営形態とは?ホテルを開業するために必要なことも併せて解説

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

ホテルを運営するにあたって、不動産オーナーであることは必須条件ではありません。

ホテルの運営形態には主に4つの種類があり、中には「所有者」「経営者」「運営者」がバラバラな形態もあります。

この記事ではホテルの主な4つの運営形態について詳しく紹介します。

あわせて、運営形態と混同されがちなホテルの経営形態や、開業するために必要なこと解説します。

ホテルの運営形態は4つある

運営形態とは、ホテル運営に携わる「運営者」「経営者」「所有者」のうち、運営者の視点から見た分類で、4形態に分類することができます。

それぞれの運営形態について解説します。

運営形態1:所有直営型

所有直営型とは、ホテルの運営者・経営者・所有者が全て同じである運営形態です。

帝国ホテルなどの大手ホテル、プリンスホテルといった鉄道系ホテルなどが所有直営型に該当するほか、一部の個人経営の旅館や民宿にも見られます。

主に不動産として固定資産を多く所有しているため、金融機関から融資してもらいやすい、社会的信用を得やすいといったメリットが挙げられます。

また素早い意思決定が可能になることから、世の中の変化に合わせて柔軟な経営判断がしやすいともいえるでしょう。

しかし、大規模なホテルの場合は大企業でないと土地や建物の取得が難しい点がデメリットといえます。

運営形態2:リース型

リース型は、運営者が所有者からホテルを借りて(リース)経営者となる運営形態です。

リース型で運営されている主なホテルブランドの例として、東横インやルートインなどが挙げられます。親会社が持つ土地や建物を、ホテル運営に特化した子会社がリースするケースも珍しくありません。

所有者にリース料を支払う必要があるものの、ホテル運営による利益は運営者が獲得します。経営手腕を発揮して大きな利益を得たり、複数の建物を借りてチェーン化したりすることも可能です。

日本では所有直営型の大手ホテルが多いため、不動産を所有していないとホテル経営ができないと思われる傾向にありますが、ホテル経営ができる物件がない場合はリース型が選択肢となります。

運営形態3:運営委託型(MC型)

ホテルの所有者が運営を別会社に委託する形態を運営委託型と呼びます。

マネジメント・コントラクト型(MC型)とも呼ばれており、こちらの名称を目にすることもあるかもしれません。世界中で広く採用されている運営形態であり、日本では星野リゾートやホテルJALシティなどが代表例です。

それぞれの得意分野に専念できる点がメリットとして挙げられます。一方で、関係者が多くなることにより、お互いの利害が対立してしまう可能性がある点がデメリットです。

具体的には、できる限り早く投資を回収したいオーナーと、ブランド価値を守りたい運営者の考えが対立するといったケースが考えられます。

運営形態4:フランチャイズ型

フランチャイズ型は、コンビニチェーンのような運営形態で、フランチャイズチェーン本部にロイヤルティを支払う必要があります。ホテルの「所有者」と「経営者」「運営者」が一体である点では、所有直営型に似ているといえるでしょう。

アパホテルやスーパーホテルなどのホテルブランドがフランチャイズ型を採用しています。

ロイヤルティの対価として運営ノウハウやブランド名などを使えるため、ホテル運営に慣れていない企業でも参入しやすいことがメリットです。

ただし、売上に関わらずロイヤルティが発生する場合では、負担が大きくなる可能性もある点には注意が必要です。

ホテルを経営形態で分類する方法

ホテルの運営形態と混同されやすいものに経営形態という言葉があります。

経営形態とは、ホテルの経営者に着目した分類方法のことです。2種類の経営形態を解説します。

1:単独型経営

単独型経営と、運営形態でいう「所有直営型」は同じものを指します。

ホテルの所有者・経営者・運営者が同一のため、意思決定がスムーズになることが特徴として挙げられます。

一方で、土地・建物の両方を取得できる資金力が必要になることから、新規参入はややハードルが高いといえます。

2:チェーン型経営

チェーン型経営は、ホテルの経営・所有・運営をそれぞれプロに任せることでリスクを抑えられる経営形態です。

運営形態でいう「リース型」「運営委託型」「フランチャイズ型」は、いずれもチェーン型経営に含まれます。

チェーン型の場合、ホテルのチェーン全体の経営を担うことが経営者の役割です。

ブランドの方向性やサービス内容の決定といった業務を経営者(本部)に集中させることで、運営者はホテル運営に専念できます。

複数の運営者に任せながら同一ブランドのホテルを多数展開することによって、スケールメリットが狙える方法です。

ホテルを開業するために必要なこと

ホテルを開業する際、運営形態を決めることのほかにもさまざまな準備が欠かせません。

ここからはホテル開業にあたって必要なことやものなどをご紹介します。

開業・運営資金

ホテルの開業には最低でも1,500万円程度の費用が必要といわれています。

特に費用がかかるのが、建設・リフォーム費、人件費、宣伝費、物販購入費などの項目です。

デザインや備品のグレードにこだわると予算オーバーになる恐れがあるだけでなく、ホテルの開業後、経営が軌道に乗るまで収入が運営費を下回ることも少なくありません。

古民家や賃貸マンションをホテルに転用したり、無人チェックイン機などを導入したりするといった方法で開業コストを節約する事業者は少なくありません。

許認可・資格

旅館やホテル・簡易宿泊所を開業する際は、サービスや設備に応じて許認可や資格を取得する必要があります。

ホテルの運営形態に関わらず、旅館・ホテル営業の許可が必要です。

レストラン・バーを併設したり日帰り入浴のサービスを提供したりする場合は、飲食店業許可や公衆浴場営業許可なども取得しましょう。

許可が下りるまでに時間がかかることがあるため、余裕を持って申請することが大切です。

またボイラー燃料の管理を行う危険物取扱者や、消防設備を取り扱える消防設備士といった有資格者も確保しておく必要があります。

業務支援システム

ホテル運営を効率化する業務支援システムの導入も検討しましょう。

特にホテル予約システムを導入すると、煩雑なフロント業務を効率化できます。

ホテル予約システムとしては、予約管理機能を備えている上に集客効果も期待できるOTA(オンライン旅行代理店)の活用が一般的です。

宿泊施設を探す多くの人が目にするサイトのため、宣伝としても使えます。

なお掲載は無料でも、実際にOTA経由で予約が入ると手数料を支払う必要がある点は押さえておきたいポイントです。

自社サイトにも予約機能を設けて、OTA以外の予約手段を設けるといった集客方法も検討しましょう。

まとめ

ホテルの運営形態には主に「所有直営型」「リース型」「運営委託型」「フランチャイズ型」の4種類があります。

ホテル経営が可能な不動産の所有状況や、運営ノウハウの有無などを考慮したうえで最適な選択をするとよいでしょう。

ホテル業界への新規参入や、事業規模の拡大を目指すといった場合は、M&Aも有効な方法です。

私たちM&Aベストパートナーズでは、ホテルや旅館業に精通した専任アドバイザーが、目標達成に向けた最適なご提案をさせていただきます。

ホテル業界におけるM&Aを検討されている方は、まずはお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

石橋 秀紀

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