昨今のホテル業界では、コロナ禍や外国人観光客(インバウンド)減少の煽りを受け、経営が苦しい状態が続いています。
不況が続く状況下のなかで利益を上げるには、ホテル業界における課題を洗い出し・改善する必要があるでしょう。
そこで今回は、ホテル運営において発生している課題とその解決策などについてお伝えします。
目次
ホテル運営における課題について
ホテル運営を始めようとしている人は、今後予測される課題について理解しておかなければ、安定した利益を生み出すことは難しいでしょう。
まずは、ホテル業界における現況や課題について解説します。
ホテル業界について
近年において、ホテル業界はコロナ禍やインバウンドの減少により、苦しい経営状態が続いている状況です。
また、ライフワーク面でも働き方改革が行われ、ビジネスシーンでは出張も減ったため、ホテルに宿泊する頻度が低下したと考えられるでしょう。
ホテル運営の課題
ホテル運営における課題には、以下の3つが挙げられます。
・不規則な勤務体系やハードな業務内容が原因の人手不足
・宿泊施設の老朽化
・外国人観光客の集客
ホテル業界では、日勤と夜勤の昼夜逆転するシフトが組まれているケースが多いといえるでしょう。
加えて、顧客ファーストを掲げる宿泊施設が多いことで、管理項目が増えたり、サービスの変化に対応したりと、多くのことに対応しなければなりません。
厳しい労働条件に対して給与形態が低いため、従業員の離職が増えていると考えられます。
国内においてホテル業界は、1980年代~1990年代にかけて活性化しました。その結果、多くの宿泊施設が建設されています。しかし、近年ではホテルの老朽化が課題として挙げられています。
宿泊客を安定させるには、老朽化した宿泊施設のリニューアルを行い、老朽化問題を解決しなければなりません。
具体的には、設備の安全性を確保し、近年のニーズに沿った宿泊施設にする必要があります。しかし、経営不振が続く業界では、設備投資やリニューアルにかける費用を捻出しづらい状態といえるでしょう。
外国人観光客が減少した要因には、コロナ禍の影響によるものと考えられますが、それだけが理由とは一概にいえません。
外国人観光客が満足感を得られるように、異文化に適応した接客も必要といえるでしょう。これらを実現するには、言語や文化への対応が急務といえます。
課題への解決策
ホテル業界が抱える課題への解決策として、以下が挙げられます。
・SNSを活用した情報発信
・働き方改革や宿泊形態の見直し
安定した売り上げを上げるには、SNSなどのコミュニケーションツールでホテルに関する情報を発信するとよいでしょう。
近年では電子機器の発達により、スマホで情報を得る人が多くなっています。各SNSの特徴を理解し、ユーザーニーズに適した情報を発信することで、検索や口コミを通して観光客が訪れるきっかけをつくれるでしょう。
例えば、ハッシュタグや動画を駆使することで、宿泊施設の魅力を効率的に伝えられます。
また、働き方改革やテクノロジーの導入により、効率的な運営を目指すことができます。例えば、非対面でのチェックインやチェックアウトのシステム導入は、業務効率化や人件費削減に寄与します。
自動化や非接触型サービスが進む中、ホテル業界もこうしたテクノロジーを活用して顧客体験を向上させ、運営コストを抑えることができます。
非対面での営業は多くのメリットが得られます。例えば、ホテル業界では、チェックインやチェックアウトを従業員に伝えず行えるようになれば、従業員の人件費も抑えられるでしょう。
ホテル運営で利益を上げるには?
ホテル運営における課題を解決する以外にも、いくつかの点を見直すことで安定した売り上げにつながる可能性があります。
ここからは、ホテル運営で利益を得るためのポイントについて紹介します。
業務の効率化を図る
ホテル業界では、労働タスクが多いことが課題といえます。過酷な労働環境による人材不足を解消するには、業務を効率化することが大切です。
労働環境を改善する場合は、デジタル技術の導入が重要です。
業務内容を精査し、デジタル化できる業務を洗い出しましょう。
例えば、キャッシュレス決済ができたり、人を介さず手続きができたりすれば、従業員の負担を軽減し、働きやすい環境に整えられます。
競合との差別化を図り付加価値を与える
競合他社と違う強みを生み出し、顧客に付加価値を与えることで、大きな利益を上げられる可能性が高まります。
顧客に付加価値を与えるには、サービスやおもてなしによって満足できる状態を生み出さなければなりません。そのため、設備やサービスだけでなく、ロケーションを整えることが大切といえます。
この宿泊施設でなければ見られない景観を整えれば、魅力がある宿泊施設として認識してもらえるでしょう。また、その地域でしか食べられない料理を取り入れれば、個性を出すことが可能です。
経営統合を検討する
集客率や安定した売り上げが見込めない場合は、他社との経営統合をすることも検討すべきでしょう。
老舗ホテルでは、経営者不足も深刻な課題といえます。廃業するよりも後世に残していきたい場合は、宿泊施設とスタッフを守る方法の1つとして、経営統合がおすすめです。
ホテル業界におけるM&Aの動向・注意点について
後継者不足や人手不足が原因でホテル運営が困難な場合は、M&Aを行うことで改善できる可能性があります。
ここからは、ホテル業界におけるM&Aの動向や注意点について紹介します。
ホテル運営ではM&Aが活発な傾向にある
後継者不足は、全国各地の老舗旅館を中心に深刻化しています。また、経営者の高齢化や事業が不安定になっている問題を受け、ホテル業界ではM&Aが活発といえるでしょう。
事業継承を行えば、深刻化している後継者不足問題の解決だけでなく、雇用している従業員を守れるメリットがあります。
売り上げが安定している企業であれば、経営不振の問題を洗い出し・改善を行い、安定した収益を見込める可能性があるでしょう。
特に、地方で経営している中小宿泊施設が、経営環境がよい大手の傘下に入れば、事業領域を広げられるため、経営不振が改善できる可能性があります。
ホテルを事業継承する際の注意点
ホテルを事業継承するうえで、以下の点に注意すべきといえるでしょう。
・経営者教育問題
・情報漏えい
事業継承後は、早期に教育を開始し、5年後、10年後を見据えた経営改善が行われます。事業継承時は、変えてほしくない部分や継承してほしい部分の教育を徹底することを伝えるようにしましょう。
また、事業継承する際は、スタッフや顧客、取引先などへ不安を与えないように、契約が締結するまで情報漏えいを防ぐことが大切です。
まとめ
コロナ禍やインバウンドの激減で、宿泊業界は経営不振が続いています。
社会情勢の変化による影響を受けやすいホテル業界で業績を維持するには、課題を克服し、売り上げにつながる改善策を講じる必要があるでしょう。
改善しても成果が見いだせない場合は、事業継承する方法があります。
M&Aベストパートナーズでは、各業界に特化した専門家によるサポートを提供しています。
M&A・事業継承でお困りの際は、お気軽にご相談ください。