訪問看護・訪問介護の業界動向|M&Aが増加する背景も解説

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

高齢化社会の進展に伴い、在宅医療・介護の重要性はかつてないほど高まっています。

その中核を担う「訪問看護・訪問介護」業界は、需要の拡大が続く一方で、深刻な人手不足や報酬改定への対応など、経営上の大きな転換期を迎えています。

このような課題を抱えている訪問看護・訪問介護業界では、後継者不在の解消や経営基盤の強化を目的としたM&Aが増加しています。

本記事では、最新の業界動向を整理するとともに、なぜ今、訪問看護・訪問介護領域でM&Aが増加しているのか、その背景を詳しく解説します。

この記事でわかること

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訪問看護の業界動向

はじめに、訪問看護の業界動向を解説します。

訪問看護利用者数は毎年増加

2009年以降、訪問看護の利用者数は毎年増加しており、2022年には約58.7万人に達しました。

訪問看護実施事業所も増加しており、請求事業者数は1.3万事業所を超えています。

訪問看護師の採用は困難

厚生労働省の試算によると、看護師一人当たりの超過勤務を月10時間以内、有給休暇の取得を年5日とした場合、2025年までに必要な訪問看護師は11.3万人という結果が出ています。

訪問看護ステーションの看護職員求人倍率は3.22倍となっており、次に高い倍率である病院の求人倍率1.80倍のおよそ2倍近くとなっています。

これは、売り手市場と受け取ることもできますが、実際には人手不足の事業所が多いとも捉えることができ、訪問看護における人材確保が困難な状況であることが予測できます。

参考:厚生労働省訪問看護
参考:厚生労働省看護師等(看護職員)の確保を巡る状況

訪問介護の業界動向

続いて、訪問介護業界の業界動向を解説します。

事業所数は5年連続で増加

厚生労働省の調査によると、2020年以降の訪問介護事業所数は5年連続で増加しており、2024年には35,468件と過去最多を更新しました。

市場競争は激化しており、今後は同業他社との差別化が課題となってくると考えられます。

人材不足が深刻化

訪問介護は自宅を訪問してサービス提供を行うため、有資格者でなければ従事することができませんが、有資格者は売り手市場となっており、獲得競争が激しくなっています。

また、離職率が高いことも人手不足を後押ししており、人手不足の解消が急務となっている状況が続いています。

訪問看護・訪問介護業界でM&Aが活発な背景

多くの課題を抱えている訪問看護・訪問介護業界では、課題解決に向けたM&Aが活発に行われています。

なぜ、今訪問看護・訪問介護業界でM&Aが盛んに行われているのか、その背景を解説します。

不足する人材の囲い込み

訪問看護・訪問介護業界では慢性的な人手不足となっており、将来的には今後さらに加速する高齢化社会への対応が難しくなる可能性があります。

さらに、「人手不足倒産」という言葉が登場するほど日本国内全体で労働人口が減少しており、新規雇用が困難な状況が続いています。

このような問題に対して、M&Aによって同業他社を取り込み、事業とともに既存スタッフを承継。特に有資格者を囲い込むためのM&Aが増加しています。

後継者問題の解消

近年では、経営者層が高齢になって引退しようとしても、親族や既存スタッフに事業を承継できる人材がいないなどを理由に廃業を選択するケースが増加しています。

しかし、廃業した場合は、借入金の全額返済や事業所の原状回復費用の支払い、スタッフへの退職金支払いなど、さまざまなコストがかかります。

それだけでなく、スタッフの雇用喪失、利用者が新たに依頼先を探さねばならないなど、多くの問題が発生します。

そこでM&Aによって第三者へと事業を承継。これまでと変わらないサービス提供やスタッフの雇用維持を目的としたM&Aも増加しています。

事業規模の拡大

事業拡大を目的としたM&Aも増加傾向です。

中小規模の事業者が事業のさらなる発展を目指して同業他社を買収するケースや、大規模事業者が新エリアへの参入を目指して狙っているエリアの中小規模事業者を買収するといったケースは少なくありません。

大手企業のリソース活用

経営基盤の強化を目的として、大手企業の傘下になるケースもあります。

大手企業の傘下となることで、資金面のサポートや人材の拡充など、さまざまなメリットを得ることができます。

訪問看護・訪問介護業界への新規参入

訪問看護・訪問介護事業は、高齢化の加速によって今後ますます需要が高まることが予測されています。

そこで、新たに訪問看護・訪問介護業界への参入を目的として異業種の企業が買収するケースが増加しています。

訪問看護・訪問介護業界で実際に行われたM&A事例

実際に、訪問看護・訪問介護業界で行われたM&Aの事例をご紹介します。

センコーグループホールディングスによるM&A

物流・商事・ライフサポート・ビジネスサポートなど、多角的に事業を展開しているセンコーグループホールディングス株式会社は、2017年に事業拡大を目的とし、大阪府で介護事業や訪問看護事業などを運営する株式会社ビーナスの全株式を取得、グループの傘下としました。

このM&Aにより、センコーグループ株式会社は介護関連サービスの充実かを、ビーナスは未進出エリアへの出店といった事業拡大を目指すとしています。

参考:センコーグループホールディングス株式会社大阪で介護サービス事業を展開する ㈱ビーナスをグループ化

セントケア・ホールディングによるM&A

2017年、在宅介護を中心とした介護サービスを運営しているセントケア・ホールディング株式会社は、東京都内で訪問看護事業を運営する株式会社ミレニアの株式を取得、子会社化しました。

このM&Aにより、セントケア・ホールディングは訪問介護領域のさらなる拡充を目指すとしています。

なお、セントケア・ホールディングは、2025年12月にTOBが成立。上場廃止となります。

参考:セントケア・ホールディング株式会社株式会社ミレニアの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
参考:セントケア・ホールディング株式会社株式会社Colorによる当社株券等に対する公開買付けの結果 並びに親会社、その他の関係会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ

ソラストによるM&A

2021年、訪問介護や通所介護、居宅支援介護、グループホーム運営など多角的な事業展開をする株式会社ソラストは、愛知県を中心にグループホームや小規模多機能型居宅介護を運営する株式会社プラスの株式を取得、子会社化しました。

このM&Aにより、ソラストは愛知県を中有心とするエリアのサービス拡充、理念とする「地域トータルケア」の実現を目指すとしています。

参考:株式会社ソラスト株式会社プラスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

まとめ

高齢化社会の深刻化などの影響もあり、訪問看護・訪問看護業界は今後ますます需要が拡大すると予測されています。

しかし、高齢者の増加と反比例して労働人口は減少。また経営者の高齢化などによって事業の存続が困難になるなど、さまざまな課題を抱えており、その解決策の一つとしてM&Aが増加しています。

しかし、M&Aを成功させるためには専門的な知識やノウハウなどが必要となり、専門家によるサポートが必要不可欠です。

私たちM&Aベストパートナーズは、M&Aのプロフェッショナル集団として、これまで数多くのM&A成功をお手伝いしてきた豊富な実績がございます。

また、訪問看護・訪問介護業界に精通したアドバイザーも在籍しており、抱えている課題の解決に向けて伴走方サポートをさせていただきます。

訪問看護・訪問介護事業を未来へと引き継ぎたいとお考えの方は、まずはお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。

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