自動車、家電、産業機器、医療機器など、あらゆる製品が高度にデジタル化する中で、組み込みソフトウェア開発の市場は継続的な成長を続けています。
しかし、技術の複雑化や慢性的なエンジニア不足により、開発スピードや品質確保は多くの企業にとって大きな課題となっており、開発力の補完や事業基盤の強化を目的とした組み込みソフトウェア開発企業のM&Aが活発化しています。
そこで本記事では、組み込みソフトウェア開発業界の市場動向や解決すべき課題、増加傾向にあるM&Aの動向を詳しく解説します。
あわせて、M&Aの成功に向けてすべきこともご紹介するので、市場での生き残り戦略を模索している方はぜひ参考にしてください。
↓ こちらから知りたい情報へ移動できます ↓
目次
組み込みソフトウェア開発業界の市場動向
組み込みソフトウェア開発業界は、loT化やDX化に対するニーズの高まりによって成長を続けています。
特に近年では、自動車に求められる高度な技術に向けて車載ソフトウェアの研究が進められており、引き続き成長が続くと予測されている業界です。
組み込みソフトウェア開発を行う企業が解決すべき課題
今後も成長が見込まれる組み込みソフトウェア開発業界では、生き残るために解決すべき課題を抱えています。
進化を続ける技術への柔軟な対応
組み込みソフトウェア開発業界では、プログラミング言語やフレームワーク、開発のためのツールなど新たな技術が次々と登場しており、これらの新技術に対応できなかった場合にはレガシー問題という新たな課題に立ち向かうことになってしまいます。
そのため、市場ニーズに応え続けるためには継続的な学習と新技術への柔軟な対応が不可欠な要素です。
慢性的な労働人口不足
昨今、日本国内は深刻な労働人口不足に直面しています。
実際に、2025年1月〜10月までに人手不足が原因で倒産した企業数は323件と、2024年度一年間の倒産件数を大きく上回ったことがニュースなどでも話題となりました。
この問題は組み込みソフトウェア開発業界にも影響を与えており、高度な技術と専門性を身につけた人材の確保が急務となっています。
参考：東京商工リサーチ｜1-10月の「人手不足」倒産323件、年間最多を更新 労働集約型で倒産が急増、「従業員退職」が1.5倍増
多重下請け構造からの脱却
組み込みソフトウェア開発に限らず、IT業界では多重下請け構造が慢性化しており、断層的に下請け企業へと委託されることで利益率の低下などさまざまな悪影響を及ぼしています。
利益率の低下は賃金停滞といったリスクがあり、エンジニアのモチベーション低下による離職につながる恐れもあります。
組み込みソフトウェア開発業界のM&A動向
近年では、激しい市場競争のなかで生き残るためにM&Aを行う企業が増加していますが、具体的にどのような目的で行われているのでしょうか。
代表的なケースをご紹介します。
生成AI技術の進歩によるM&Aが増加
AI技術は、ソフトウェア開発の効率化の実現による業界構造変革を促進するともいわれており、多くの企業が技術を自社へ取り込もうと考えています。
このような背景から、プロンプトエンジニアリングやAI最適化といった技術を持つ企業に対する買収が活発になっています。
クラウドサービス・SaaS事業者の統合
異なるサービス事業者と経営統合し、技術の獲得や顧客の拡大、サービスの拡充、新規市場への参入を目指すことを目的としたM&Aも増加しています。
DX化推進を目的とした異業種によるM&A
業務効率や生産性向上に向けて、多くの企業がDX化の推進を目指していますが、自社にリソースがなく外部委託する企業は少なくありません。
このような背景から、ソフトウェア開発事業者を傘下に納め、DX化を内製化しようとする企業も増えています。
創業者利益獲得を目的としたスタートアップ企業の売却
組み込みソフトウェア開発に限らず、IT関連企業にはスタートアップ企業が多いです。
スタートアップ企業は成長スピードが早く、短期間での成果を出すことから企業価値評価が高い傾向があります。
そのため、ある程度の段階まで成長させた事業を売却し、創業者利益を得ようと考えるスタートアップ企業経営者は少なくありません。
組み込みソフトウェア開発業界で行われたM&A事例
組み込みソフトウェア開発業界ではM&Aが盛んに行われていますが、なかでも代表的なM&A事例をご紹介します。
デジタル・インフォメーション・テクノロジーによるM&A
独立系システムインテグレーターとして、銀行系を主とした業務システム開発やシステク運用保守サービス、組み込みシステム開発事業などを手掛けるデジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社（以下・DIT）は、証券業務に強みがあり、クライドビジネスも手掛けるシステム・プロダクト株式会社を子会社化しました、
このM&Aにより、DITの金融・組み込みシステム開発力とシステム・プロダクトのクラウド技術を融合させ、開発力拡充と成長市場への対応力強化を図るとしています。
参考：デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社｜システム・プロダクト株式会社の株式取得（子会社化）に関するお知らせ
アイコムによるM&A
無線通信機器やネットワーク機器などの製造・販売を行うアイコム株式会社は、組み込み系ソフトウェアか初の受託や技術支援などを行う株式会社マクロテクノスの全株式を取得、子会社化しました、
このM&Aによって、開発スピードを加速させるとともにj者グループでの製品開発力のさらなる向上を図るとしています。
参考：アイコム株式会社｜ソフトウェア開発会社 株式会社マクロテクノスの株式取得（子会社化）に関するお知らせ
ACCESSによるM&A
組み込みブラウザなどをTV、セットボックスメーカー、自動車メーカーなどに提供する株式会社ACCESSは、ドイツにある子会社を通じてTV・社債向け動画配信プラットフォームを提供するNetRange MMH GmbHを子会社化しました。
このM&AによりACCESSは、今後大きな成長が見込まれる車内インフォテイメント分野でも事業基盤強化につなげるとしています。
参考：株式会社ACCESS｜ドイツNetRange MMH GmbH社の持分取得に関するお知らせ
組み込みソフトウェア開発事業のM&Aを成功させるために必要なこと
M&Aを成功させるためには、綿密な事前準備が必要です。
組み込みソフトウェア開発事業におけるM&Aを成功させるために必要なことを解説します。
求めるシナジー効果の明確化
M&Aの主な目的は、シナジー効果の創出によって事業のさらなる成長や抱える課題を解消することです。
そのため、M&Aの検討を始めた段階でどのようなシナジー効果を求めるのかを明確にしましょう。
目指すシナジー効果をはっきりさせることにより、対象企業とのマッチングがしやすくなるだけでなく、契約締結後の統合プロセス（PMI）の指針にすることもできます。
徹底した情報管理による漏洩対策
組み込みソフトウェア開発を手掛ける企業には、技術力や人といった資産だけでなく、取引先に関する情報も多く存在します。
M&Aの交渉においては、検討材料として企業のさまざまな情報が共有されますが、万が一これらの情報が漏洩してしまった場合、M&Aが失敗するだけでなく企業の社会的信用を失うことになりかねません。
M&Aのプロセスを進める際は必ずNDA（秘密保持契約）を締結し、機密情報を守るための対策を徹底しましょう。
業界に精通したM&A専門家への相談
M&Aのプロセスを進めるためには専門的な知識やノウハウが不可欠な要素であり、自社だけで行うことは非常に難しいです。
そのため、M&Aの検討段階でM&A仲介会社といった専門家へ相談をし、サポートを受けることがM&A成功の鍵といえます。
私たちM&Aベストパートナーは、M&A仲介のプロフェッショナルとして、これまで数多くのM&Aを成功に導いてきました。
組み込みソフトウェア開発業界におけるM&Aを検討されている方は、ぜひお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。
まとめ
あらゆる製品が高度にデジタル化する中で、組み込みソフトウェア開発の市場は継続的な成長を続けています。
しかし、技術の複雑化や慢性的なエンジニア不足により、開発スピードや品質確保は多くの企業にとって大きな課題となっており、課題解決に向けたM&Aが活発に行われていますが、時さhだけで成功へと導くことは難しいです。
「M&Aによってサービスを拡充し競争に打ち勝ちたい」
「他社の力を借りて大切にしてきた事業を守りたい」
このようなお悩みのある方は、まずはお気軽にM&Aベストパートナーズへご相談ください。
専任アドバイザーがM&Aの目的を丁寧にヒアリングさせていただき、M&A成功に向けて全力でサポートさせていただきます。
